理由付記の不備をめぐる事例研究 【第43回】「寄附金(終身年金)」~創業者の配偶者に対する金員の支給が寄附金に該当すると判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「創業者の配偶者に対する金員の支給が寄附金に該当すること」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成11年6月4日裁決(裁決事例集57号371頁。以下「本裁決」という)を素材とする。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第34回】「NTTドコモ事件」~最判平成20年9月16日(民集62巻8号2089頁)~
X社は、該当事業年度の法人税の確定申告に当たり、個別のエントランス回線利用権を少額減価償却資産(旧法人税法施行令133条)として、取得価額の全額を損金に算入した。これに対し、Y税務署長は、同利用権は少額減価償却資産に該当しないとして、更正処分を行った。これを不服としてXが出訴した。
《速報解説》 馬券の払戻金の所得区分に係る昨年12月の最高裁判決を受け、所得税基本通達が再び改正へ~ソフトウェア未使用の場合にも雑所得に該当するケースを追加~
国税庁は2月15日、昨年12月の最高裁判決を受け馬券の払戻金の所得区分に係る所得税基本通達を改正する旨公表していたが、3月2日付けでこの改正のパブリックコメントが開始され、具体的な改正内容が明らかとなった(意見・情報受付締切日は4月2日)。
monthly TAX views -No.62-「欧州で白熱するポストBEPSの議論」
2月24日付の日経新聞は、一面トップで、「G20『アマゾン課税』協議へ 国またぐネット売買 EU案軸、売上高を対象」という見出しの報道をしている。
今回はもう少し詳しく、この動きを解説してみたい。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第27回】
既に述べたように、組織再編税制は、財務省主税局が単独で作ったものではなく、個別の条文については、経済界からの要請を受けたものも少なくない。そのため、当時の経済団体連合会経済本部税制グループ長であった阿部泰久氏が述べられていた内容は、財務省主税局が公式に公表したものではないものの、実務家からすると、貴重な情報源のひとつであったことは疑いがない。
「使用人兼務役員」及び「執行役員」の税務をめぐる考察 【第4回】「執行役員の法律上の定義と役割」
執行役員制度とは、取締役会における意思決定を迅速化するため、経営の意思決定を行う取締役と、事業の執行を専門に行う執行役員とを分離し、経営の効率化を目指した制度である。
執行役員は経営の意思決定に携わらないため、基本的には「使用人」である。ただし法令上、役員とされる規定に該当すれば役員となる。
~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第18回】「従業員等の横領行為に係る損害賠償請求権の益金計上時期が争われた事例」
原処分庁は、税務調査において本件詐取行為を把握し、架空外注費の損金算入を否認する内容の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分を行った(平成16年10月19日付)(なお、処分理由は、損害賠償請求権を損害発生時に益金計上すべきというものではない点に留意が必要である)。
《速報解説》 民法(相続関係)等の改正に関する要綱が正式決定、今国会での改正法案審議へ~今後の遺産分割協議に影響のある改正項目も~
法務省の「法制審議会-民法(相続関係)部会」で審議が続けられていた「民法(相続関係)等の改正に関する要綱」が、2月16日の法制審議会総会において正式に決定された。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第44回】「平成30年度税制改正とその問題点」-改正ではなく改革を-
現行の所得税では利子、配当等が分離課税になっているので、所得1億円を超えると負担が急激に下がります。
所得税法等の一部を改正する法律(昭和62年法律第96号)附則第51条では次のような見直し規定を置き、平成4年10月までに総合課税を含めた見直しをすることにしていました。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第26回】
ヤフー・IDCF事件では、法人税法132条の2に規定されている包括的租税回避防止規定のみが注目されることが多いが、制度濫用基準を採用していることから、税制適格要件やみなし共同事業要件の制度趣旨についても争われている。
その中で、国側の立場で朝長英樹氏が書かれた鑑定意見書(以下、「本鑑定意見書」という)は、朝長英樹氏が組織再編税制の立案に関与されていたことから、当時の制度趣旨を知るうえで、貴重な文献であることは疑いがない。もちろん、退官後に書かれたものであるため、当時の財務省主税局の見解と一致していない部分もあり得るが、それを差引きしたとしても、組織再編税制の制度趣旨を探るうえで重要な文献である。