マンション評価に関する通達案の概要と論点整理~明らかとなった6割水準評価等への理論・実務的な検証~
本稿では、当該通達案の内容を紹介するとともに、現在考えられる論点や疑問点を理論・実務の双方から検討して、パブリックコメントや今後の実務の参考資料を提供できればと考えている。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第27回】「〔第1表の1〕自己株式を取得及び処分した場合の株主判定と所得税基本通達59-6の適用の留意点」
乙はA社の株式を配当還元価額(1株25,000円)で取得しており、同額で売却していますので、課税関係は生じないと考えていいでしょうか。なお、1株当たりの資本金等の額は25,000円となります。
また、自己株式の処分は、資本等取引に該当するため、丙についても課税関係は生じないと考えていいでしょうか。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第26回】「〔第1表の1〕自己株式を取得した場合の株主判定と所得税基本通達59-6の適用の留意点」
A社株式は最近において売買されたことはなく、A社と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額もないため、所得税基本通達59-6に定めにより財産評価基本通達を準用して1株当たりの価額を求めるものとします。
A社株式の1株当たりの類似業種比準価額と純資産価額が次の通りである場合には、乙がA社に株式を売却する場合の1株当たりの価額はいくらになりますか。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第26回】「家屋の相続税評価額を固定資産税評価額に1.0を乗じて算定することは違法ではないとされた事例」
家屋の相続税評価額として財産評価基本通達第3章89には、「家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額(地方税法第381条《固定資産課税台帳の登録事項》の規定により家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。以下この章において同じ。)に別表1に定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。」と定められており、別表1において家屋の固定資産税評価額に乗ずる倍率は1.0と定められている。つまり、家屋の相続税評価額=固定資産税評価額ともいえる。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第85回】「タワマン節税事件」~最判令和4年4月19日(民集76巻4号411頁)~
被相続人Aは、平成21年1月30日、甲マンションを8億3,700万円で購入した(資金のうち6億3,000万円は借入金)。さらに、同年12月21日には、乙マンションを5億5,000万円で購入した(資金のうち4億2,500万円は借入金)。その後、Aは、平成24年6月17日に94歳で死亡した。甲マンション・乙マンションは、Aの遺言により、相続人Xが取得した。なお、Xは、平成25年3月7日、乙マンションを5億1,500万円で売却した。
〔資産税を専門にする税理士が身に着けたい〕税法や通達以外の実務知識 【第12回】「建築基準法・都市計画法の基礎知識(その4)」-建蔽率①-
第10回及び第11回において、容積率を確認しました。今回は、容積率と並んで重要な項目である建蔽率について確認してみることにします。
建蔽率とは、建築物の建築面積(注1)が当該建築物の敷地の用に供されている宅地の面積である敷地面積(注2)のうちに占める割合をいいます。これを算式で示すと、次のとおりとなります。
〔資産税を専門にする税理士が身に着けたい〕税法や通達以外の実務知識 【第11回】「建築基準法・都市計画法の基礎知識(その3)」-容積率②-
第10回では、容積率について下記に掲げる事項を確認しました。
(1) 容積率の意義とその算定方法
(2) 2つある容積率(指定容積率と基準容積率)の意義及び算定方法並びに実務における適用基準
上記を受けて、今回は、容積率に関して応用的な知識を確認してみることにします。
相続税の実務問答 【第72回】「相続開始直前に銀行借入れにより不動産を取得していた場合の当該不動産の評価」
父は、食料品販売の会社を経営していましたが、高齢になり、後継者もいないことから、その会社の株式の全てを同業者に売り渡し、その譲渡代金3,200万円に銀行からの借入金2,800万円を加えて、賃貸目的の新築マンションの1室を6,000万円で購入しました。そのマンションは、購入後、第三者に賃貸していましたが、購入から1年後に父が急死してしまいました。私は、このマンションを相続し、引き続き賃貸の用に供していきたいと考えています。
ところで、このマンションを評価通達の定めに従って評価すると、その評価額は建物及びその敷地の持分を併せて2,400万円になります。最近、相続開始前に借入金で不動産を購入した場合には、評価通達に定める評価方法で評価した価額ではなく、相続開始時の不動産鑑定評価額などを基にした評価額で相続税の計算をすべきであるとの最高裁判決が出されたと聞きました。
父の相続財産であるこのマンションについては、評価通達に定める方法により評価した価額を基に相続税の計算をすることは、認められないのでしょうか。
〈判例評釈〉相続マンション訴訟最高裁判決-相続税の節税目的で取得したマンションに対する評基通6項適用の可否が問われた事例- 【後編】
本件判決に接して真っ先に思ったのは、課税庁は日頃から「伝家の宝刀」を抜かないで済むための対応を怠るべきでないということである。ここでいう伝家の宝刀とは評基通6項のことであるが(※4)、なぜ抜くべきでないかといえば、評基通6項とは通達による評価の「否認」、すなわち自らが規定した評価方法(本件の場合は路線価による評価、評基通11)に「欠陥」があることを認めることにつながりかねず、その行為は「自己矛盾」というべきものであるからである。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第42回】「取引先の上場会社が持つ株式の買取り」
私(L)は70歳で製造業(R社)を経営しています。私が所有するR社株式については、後継者である私の子供へ承継する目途がつきました。ところで、今般、取引先のF社(上場会社)より、F社が所有する私の会社(R社)の株式を買い取ってほしいとの相談がありました。
F社には、関係強化を目的に30年間にわたってR社株式の4%を保有してもらっていました。10年前までは多くの取引がありましたが、近年の取引額は減少傾向にあります。当時の簿価純資産価額が1株当たり約600円だったR社株式を、私から額面金額(50円)でF社へ売却したので、私としては額面金額でR社に自己株式として買い戻したいと思っています。どのように交渉すればよいでしょうか。