遺贈寄付の課税関係と実務上のポイント 【第12回】「遺贈寄付における受遺団体の注意点」
遺贈寄付を受けた受遺団体は、領収書を寄付者に発行することになるが、その場合に悩むポイントがある。そのポイントにつき遺言による寄付、相続財産の寄付に分けて見ていくことにする。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第43回】「アパート等の空室がある場合の貸付事業用宅地等の特例の適否」
被相続人である甲は令和4年5月1日に相続が発生し、その所有するAマンション(Aマンションの敷地は300㎡で各階の床面積は同一です)を配偶者である乙が相続し、引き続き、貸付事業の用に供しています。
Aマンションは、昭和50年に被相続人が購入し、第三者に賃貸しています。相続開始時点において、15室のうち3室(101号室、201号室、301号室)は空室となっていますが、その空室の状況は、下記の通りとなります。
〔資産税を専門にする税理士が身に着けたい〕税法や通達以外の実務知識 【第11回】「建築基準法・都市計画法の基礎知識(その3)」-容積率②-
第10回では、容積率について下記に掲げる事項を確認しました。
(1) 容積率の意義とその算定方法
(2) 2つある容積率(指定容積率と基準容積率)の意義及び算定方法並びに実務における適用基準
上記を受けて、今回は、容積率に関して応用的な知識を確認してみることにします。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第42回】「「相当の対価を得て継続的に行うもの」に該当するかどうかの判断(貸付事業用宅地等の特例の適否)」
被相続人である甲は令和4年6月20日に相続が発生し、その所有するAマンションの1室と、B宅地を配偶者である乙が相続し、引き続き、貸付事業の用に供しています。
不動産の利用状況は下記の通りですが、被相続人の貸付事業はいわゆる「準事業」に該当します。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例111(消費税)】 「個別対応方式が有利であったにもかかわらず、前期に一括比例配分方式を選択したため、2年間の継続適用要件により、不利な一括比例配分方式での申告となってしまった事例」
令和Y年3月期の消費税につき、土地を売却したことから、課税売上割合が下がり、またテナントビルを取得したことから、個別対応方式が有利であったが、令和X年3月期に一括比例配分方式を選択したため、2年間の継続適用要件により、不利な一括比例配分方式での申告となってしまった。これにより、不利な一括比例配分方式と有利な個別対応方式との差額につき損害が発生し、賠償請求を受けたものである。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第18回】「塩田跡地を造成してゴルフ場用地とした土地について鑑定評価額をもって登録価格としたことは違法か否かが争われた事例」
今回は、当初塩田であった土地を造成してゴルフ場にした案件にかかる固定資産税評価額について、評価基準ではなく鑑定評価に基づいて登録価格を算定したことから争われた事案を検討する。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第81回】
〈Q5〉売主であるA社(3月決算)は、X1年3月末に、買主であるB社に、B社が購入したA社の商品を出荷した(配送業者に引き渡した)。その後、A社は、X1年4月1日にB社に商品が到着したことを配送業者のウェブサイト上の追跡サービスを利用して確認した。この場合、A社は、その販売に係る収益をその商品を出荷した日の属する事業年度(X1年3月期)の収益に計上することが認められるか。
また、A社は、その販売に係る収益を出荷日ではなくウェブサイトの確認によって把握した商品のB社への到着日(着荷日)の属する事業年度(X2年3月期)の収益に計上することも認められるか。
日本の企業税制 【第104回】「「新しい資本主義」実現に向けた“人への投資”」
岸田政権の掲げる「新しい資本主義」のコンセプトについて、今回の「実行計画」では、市場だけでは解決できない外部性の大きい社会的課題を障害物ではなくエネルギー源と捉え、官民連携によって解決を進め、包摂的で新たな成長を図ることと説明されている。
この実現に向けて、①人への投資、②科学技術・イノベーションへの投資、③スタートアップへの投資、④GX及びDXへの投資の4本柱に投資を重点化するとし、これらの政策を実行するため、事業の性質に応じて基金等を活用して予算単年度主義の弊害を是正するとともに、税制改正においてその将来にわたる効果を見据えた動的思考を活用することとし、財政措置や税制改正が施策の中心に据えられていることが注目される。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第3回】「国税通則法2条」-納税者の意義・範囲と源泉徴収の法律関係-
国税通則法2条は、「国税通則法の各条の規定の平易化と解釈の明確化を図るため、同法中において特別の意義をもって用いられる基本的な用語を定義したもの」(志場喜徳郎=荒井勇=山下元利=茂串俊共編『国税通則法精解〔令和4年改訂・17版〕』(大蔵財務協会・2022年)136頁)であるが、今回は、同条5号における納税者の定義を取り上げて検討することにする。