公開日: 2018/02/22 (掲載号:No.257)
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平成30年3月期決算における会計処理の留意事項 【第1回】

筆者: 西田 友洋

平成30年3月期決算における会計処理の留意事項

【第1回】

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

       はじめに       

3月の決算の時期が近づいてきた。当期も3月の決算にあたり、確認しなければいけない事項がある。そこで、4回にわたり平成30年3月期決算における会計処理の留意事項を解説する。
なお、以下では、3月31日を決算日とする会社を前提に解説している。

-全体構成-

【第1回】(本稿)

Ⅰ 税制改正

Ⅱ 公共施設等運営事業における運営権者の会計処理

【第2回】 3/1公開

Ⅲ 有償ストック・オプションの会計処理

Ⅳ 在外子会社等の会計処理の改正

Ⅴ 仮想通貨の会計処理

【第3回】 3/8公開

Ⅵ マイナス金利

Ⅶ 事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組

Ⅷ 金融庁の平成28年度有価証券報告書レビューの審査結果

【第4回】 3/15公開

Ⅸ 収益認識

Ⅹ 税効果会計の改正

ⅩⅠ 監査報告書の透明化

 

Ⅰ 税制改正

 

平成28年度税制改正、平成29年度税制改正、平成30年度税制改正大綱等のうち、会計処理等において留意すべき改正点としては、以下が挙げられる。

1 税率の変更(国内)

2 税率の変更(アメリカ)

3 繰越欠損金の控除限度額及び繰越期間

4 確定申告書の提出期限の延長

5 組織再編税制

6 電子申告義務化

7 収益認識に関する会計基準への対応

(注) なお、本解説では、平成28年度税制改正、平成29年度税制改正、平成30年税制改正大綱等のうち、会計処理等において留意すべき改正点のみを解説しているため、全てを解説しているわけではない。

 

1 税率の変更(国内)

平成28年度税制改正において、法人税、地方法人税及び地方税の税率の変更が行われた。また、消費税増税の延期に伴い、地方法人税及び地方税の税率の変更時期が延期された。

なお、平成30年度税制改正大綱において、法人税、地方法人税及び地方税の税率の変更はない。

(1) 法人税率

平成28年度税制改正において、法人税率は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から23.9%から23.4%へ、平成30年4月1日以後に開始する事業年度からは23.2%へとさらに引き下げられた。

平成30年3月期以降の法人税率は、以下のとおりである。

(2) 地方法人税の税率

平成28年度税制改正において、平成 29 年4月1日以後に開始する事業年度から地方法人税の税率が4.4%から10.3%へ引き上げられた。

しかし、平成28年11月28日に「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律」が公布及び施行され、消費税率の10%への引上げ時期が平成29年4月1日から平成31年10月1日へ2年半延期された。

これに伴い、同日「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(以下、「地方税法改正」という)が公布及び施行され、地方法人税の税率の引き上げも2年半延期されている。

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平成30年3月期決算における会計処理の留意事項

【第1回】

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

       はじめに       

3月の決算の時期が近づいてきた。当期も3月の決算にあたり、確認しなければいけない事項がある。そこで、4回にわたり平成30年3月期決算における会計処理の留意事項を解説する。
なお、以下では、3月31日を決算日とする会社を前提に解説している。

-全体構成-

【第1回】(本稿)

Ⅰ 税制改正

Ⅱ 公共施設等運営事業における運営権者の会計処理

【第2回】 3/1公開

Ⅲ 有償ストック・オプションの会計処理

Ⅳ 在外子会社等の会計処理の改正

Ⅴ 仮想通貨の会計処理

【第3回】 3/8公開

Ⅵ マイナス金利

Ⅶ 事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組

Ⅷ 金融庁の平成28年度有価証券報告書レビューの審査結果

【第4回】 3/15公開

Ⅸ 収益認識

Ⅹ 税効果会計の改正

ⅩⅠ 監査報告書の透明化

 

Ⅰ 税制改正

 

平成28年度税制改正、平成29年度税制改正、平成30年度税制改正大綱等のうち、会計処理等において留意すべき改正点としては、以下が挙げられる。

1 税率の変更(国内)

2 税率の変更(アメリカ)

3 繰越欠損金の控除限度額及び繰越期間

4 確定申告書の提出期限の延長

5 組織再編税制

6 電子申告義務化

7 収益認識に関する会計基準への対応

(注) なお、本解説では、平成28年度税制改正、平成29年度税制改正、平成30年税制改正大綱等のうち、会計処理等において留意すべき改正点のみを解説しているため、全てを解説しているわけではない。

 

1 税率の変更(国内)

平成28年度税制改正において、法人税、地方法人税及び地方税の税率の変更が行われた。また、消費税増税の延期に伴い、地方法人税及び地方税の税率の変更時期が延期された。

なお、平成30年度税制改正大綱において、法人税、地方法人税及び地方税の税率の変更はない。

(1) 法人税率

平成28年度税制改正において、法人税率は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から23.9%から23.4%へ、平成30年4月1日以後に開始する事業年度からは23.2%へとさらに引き下げられた。

平成30年3月期以降の法人税率は、以下のとおりである。

(2) 地方法人税の税率

平成28年度税制改正において、平成 29 年4月1日以後に開始する事業年度から地方法人税の税率が4.4%から10.3%へ引き上げられた。

しかし、平成28年11月28日に「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律」が公布及び施行され、消費税率の10%への引上げ時期が平成29年4月1日から平成31年10月1日へ2年半延期された。

これに伴い、同日「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(以下、「地方税法改正」という)が公布及び施行され、地方法人税の税率の引き上げも2年半延期されている。

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連載目次

3月期決算における会計処理の留意事項

「2024年3月期決算における会計処理の留意事項」(全4回)

Ⅰ 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

Ⅱ 資金決済法における特定の電子決済の手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い

Ⅲ 電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会計処理及び開示に関する取扱い

Ⅳ グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い(案)

Ⅴ グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い(案)

Ⅵ 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針(案)

Ⅶ 企業内容等の開示に関する内閣府令の改正

Ⅷ インボイス制度

Ⅸ 分配可能額

Ⅹ サステナビリティ開示

XI 税制改正

XII 四半期報告制度の改正

XIII 金融庁の令和5年度有価証券報告書レビューを踏まえた留意事項

「2023年3月期決算における会計処理の留意事項」(全4回)

  • 【第1回】
    Ⅰ 税制改正等
    Ⅱ グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い(案)
  • 【第2回】
    Ⅲ 時価の算定に関する会計基準の適用指針
    Ⅳ グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い
  • 【第3回】
    Ⅴ 会社法施行規則等の改正
    Ⅵ 企業内容等の開示に関する内閣府令の改正
  • 【第4回】
    Ⅶ 電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会計処理及び開示に関する取扱い
    Ⅷ 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準
    Ⅸ 金融庁の令和4年度有価証券報告書レビューを踏まえた留意事項

「2022年3月期決算における会計処理の留意事項」(全5回)

  • 【第1回】
    Ⅰ 税制改正等
    Ⅱ 連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い
    Ⅲ グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い
  • 【第2回】
    Ⅳ 収益認識に関する会計基準等
    Ⅴ 時価の算定に関する会計基準等
  • 【第3回】
    Ⅵ LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い
    Ⅶ 取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い
    Ⅷ その他の記載内容に関連する監査人の責任
  • 【第4回】
    Ⅸ 会社法施行規則等の改正
    Ⅹ 金融庁の令和2年度有価証券報告書レビューを踏まえた留意事項
    Ⅺ 開示の好事例
  • 【第5回】(追補)
    ◎最近の不安定な世界情勢下における会計処理等の留意事項

「2021年3月期決算における会計処理の留意事項」(全5回)

  • 【第1回】
    Ⅰ 税制改正等
    Ⅱ 連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い
    Ⅲ 監査上の主要な検討事項(KAM)
  • 【第2回】
    Ⅳ 会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準
    Ⅴ 会計上の見積りの開示に関する会計基準
    Ⅵ 新型コロナウイルス感染症に関連する会計処理及び開示
  • 【第3回】
    Ⅶ LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い
    Ⅷ 取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い
    Ⅸ 会社計算規則等の改正
  • 【第4回】
    Ⅹ 金融庁の平成31年度有価証券報告書レビューを踏まえた留意事項
    Ⅺ その他留意事項及び参考情報
    Ⅻ 今後の会計基準の改正
  • 【第5回】(追補)
    ◎ グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い(案)の公表

「2020年3月期決算における会計処理の留意事項
~新型コロナウイルス感染症の影響への対応~」(全2回)

  • 【前編】
    Ⅰ 新型コロナウイルス感染症に関連する省庁や各団体からの公表物
  • 【後編】
    (【前編】公開以降の公表情報について)
    Ⅱ 新型コロナウイルス感染症における会計処理の検討事項
    Ⅲ 会計上の見積りにあたって

「2020年3月期決算における会計処理の留意事項」(全4回)

  • 【第1回】
    Ⅰ 税制改正
    Ⅱ 「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い(案)」の公表
  • 【第2回】
    Ⅲ 会社法の改正
    Ⅳ 企業内容等の開示に関する内閣府令の改正
    Ⅴ 監査上の主要な事項(KAM)
  • 【第3回】
    Ⅵ 企業結合会計基準等の改正
    Ⅶ 在外子会社等の会計処理の改正
    Ⅷ 時価の算定に関する会計基準等の公表
    Ⅸ 収益認識基準の早期適用
  • 【第4回】
    Ⅹ 金融庁の平成30年度有価証券報告書レビューを踏まえた留意事項
    Ⅺ 今後の改正予定

「2019年3月期決算における会計処理の留意事項」(全4回)

  • 【第2回】
    Ⅱ 税制改正
    Ⅲ 企業内容等の開示に関する内閣府令の改正
  • 【第3回】
    Ⅳ 事業報告等と有価証券報告書の一体的開示
    Ⅴ 監査上の主要な事項(KAM)
    Ⅵ 有償ストック・オプションの会計処理
    Ⅶ 在外子会社等の会計処理の改正
    Ⅷ マイナス金利
    Ⅸ 仮想通貨の会計処理等
  • 【第4回】
    Ⅹ 企業結合会計基準等の改正
    XI 金融庁の平成29年度有価証券報告書レビューを踏まえた留意事項
    XII 今後の改正予定

「平成30年3月期決算における会計処理の留意事項」(全4回)

  • 【第1回】
    Ⅰ 税制改正
    Ⅱ 公共施設等運営事業における運営権者の会計処理
  • 【第2回】
    Ⅲ 有償ストック・オプションの会計処理
    Ⅳ 在外子会社等の会計処理の改正
    Ⅴ 仮想通貨の会計処理
  • 【第3回】
    Ⅵ マイナス金利
    Ⅶ 事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組
    Ⅷ 金融庁の平成28年度有価証券報告書レビューの審査結果
  • 【第4回】
    Ⅸ 収益認識
    Ⅹ 税効果会計の改正
    ⅩⅠ 監査報告書の透明化

「平成29年3月期決算における会計処理の留意事項」(全4回)

  • 【第2回】
    Ⅱ 税効果会計の改正
    Ⅲ 減価償却方法の改正
    Ⅳ 法人税等に関する会計基準の改正
  • 【第3回】
    Ⅴ マイナス金利
    Ⅵ 在外子会社等の会計処理の改正
    Ⅶ リスク分担型企業年金
  • 【第4回】
    Ⅷ 公共施設等運営事業における運営権者の会計処理
    Ⅸ 短信及び有価証券報告書の改正
    Ⅹ 金融庁の平成27年度有価証券報告書レビューの審査結果

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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