2023年3月期決算における会計処理の留意事項
【第3回】
史彩監査法人 パートナー
公認会計士 西田 友洋
Ⅴ 会社法施行規則等の改正
2022年12月26日に、「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(法務省令第43号)が公布された。
改正点は、以下のとおりである。
1 電子提供措置事項記載書面への記載を省略することができる事項の対象の拡大
2 ウェブ開示によるみなし提供制度の対象の拡大
1 電子提供措置事項記載書面への記載を省略することができる事項の対象の拡大
振替株式を発行する上場会社等は、2023年3月1日以降に開催される株主総会から株主総会資料を電子的に提供する制度(電子提供制度)の適用が義務付けられている(会社法325の2、社債、株式等の振替に関する法律159の2①)。
電子提供制度でも、書面による提供を希望する株主は、電子提供措置の対象となる事項(電子提供措置事項)を記載した書面(電子提供措置事項記載書面)の交付を請求することができる。ただし、株主総会資料のうち一部の事項は、定款の定めにより電子提供措置事項記載書面への記載を省略することができる(会社法325の5)。
今回の改正では、電子提供措置事項記載書面に記載すべき(省略できない)事項の対象が、以下のとおり縮小されている。言い換えると、電子提供措置事項記載書面への記載を省略することができる事項の対象が拡大した。
〈主な電子提供措置事項記載書面に記載すべき(省略できない)事項〉
(※) 連結計算書類に対する会計監査人による会計監査報告、監査役による監査報告は、従来から、電子提供措置事項に該当しない(「「会社法施行規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について」第3 意見の概要及び意見に対する当省の考え方1③(ウ))。
2 ウェブ開示によるみなし提供制度の対象の拡大
ウェブ開示によるみなし提供制度とは、株主総会資料の一部を、ウェブサイトに掲載し、そのアドレス等を株主に通知することにより、当該情報が株主に提供されたものとみなす制度である(会社法施行規則94①、133、会社計算規則133)。
今回の改正で、ウェブ開示によるみなし提供制度についても、以下のとおり、対象が拡大されている。
3 適用時期
公布日(2022年12月26日)から施行する。ただし、ウェブ開示によるみなし提供制度に関する改正(上記2)は、2023年3月1日から施行する。