Ⅱ 「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い(案)」の公表
2020年2月13日にASBJより実務対応報告公開草案第58号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い(案)(以下、「グループ税効果案」という)」が公表された。
令和2年度税制改正において従来の連結納税制度が見直され、グループ通算制度に移行する税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」)(以下「改正法人税法」という)案が第201 回通常国会に提出されている。グループ税効果案では、改正法人税法が成立した場合、グループ通算制度の適用対象となる企業が、改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算において、グループ通算制度の適用を前提としてどのように税効果会計を適用するかの取扱いをまとめている。
(1) 適用対象
改正法人税法の成立日の属する事業年度において連結納税制度を適用している企業及び改正法人税法の成立日より後に開始する事業年度から連結納税制度を適用する企業を対象とする(グループ税効果案2)。
(2) 会計処理
改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む)について、グループ通算制度の適用を前提とした税効果会計については、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」に関する必要な改廃が行われるまでの間は、グループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目については、決算日において改正法人税法が成立していても改正前の税法の規定に基づき(連結納税制度を前提として)、税効果会計を適用することができる(グループ税効果案3)。つまり、従前どおりに検討し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上することで問題ない。
(3) 注記
繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、グループ税効果案の取扱いにより改正前の税法の規定に基づいている旨を注記する(グループ税効果案4)。
(了)
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