Ⅱ 連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い
2020年3月31日にASBJより実務対応報告第39号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い(以下、「グループ税効果」という)」が公表された。
当該グループ税効果は、令和2年度税制改正において従来の連結納税制度が見直され、グループ通算制度に移行する税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号))(以下「改正法人税法」という)が2020年3月27日に成立していることから、改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む)における、グループ通算制度の適用を前提とした繰延税金資産の回収可能性の会計処理についてまとめたものである。
(1) 会計処理
改正法人税等の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期含む)についてグループ通算制度の適用を前提とした税効果会計における繰延税金資産及び繰延税金負債の額については、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」に関する必要な改廃が行われるまでの間は、グループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目について、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づいて会計処理することができる(グループ税効果3)。
(2) 注記
繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、追加情報として、改正前の税法の規定に基づいている旨を注記する(グループ税効果4)。なお、計算書類においても重要性に応じて注記するかどうかを検討する必要がある。
【事例】(株)りそなホールディングス 2020年3月期 有価証券報告書
連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用
当社及び一部の連結子会社は、「所得税法等の一部を改正する法律」(2020年法律第8号)において創設されたグループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目については、「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」(実務対応報告第39号2020年3月31日)第3項の取扱いにより、「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号2018年2月16日)第44項の定めを適用せず、繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、改正前の税法の規定に基づいております。
(3) 適用時期
公表日以後適用する。
(4) 今後
本解説時点では、グループ税効果に代わる基準は公表されていない。しかし、ASBJから公表されている「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」によると、2021年3月に公開草案を公表することを目標としている。そのため、今後の動向も注視する必要がある。