企業不正と税務調査
【第3回】
「税務調査と
内部監査・会計監査との相違点」
税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝
1 税務調査の視点・手法・武器
(1) 税務調査の視点
税務調査の視点は、基本的には「性悪説」―つまり、納税者には、できるだけ税金を少なくしたいという動機が存在する―に立つ。
こうした姿勢が、業務監査や会計監査との大きな違いであることは言うまでもなく、おまけに、国税調査官は、納税者による不正の事例を数多く知っているため、どのあたりをつつけば脱税行為を発見できるかというノウハウを豊富に有している。
脱税というのは、しょせん、売上を減らすか、仕入や経費を増やすかして、利益を少なくすることでしか達成できないため、独創的な手口というのは考えづらい。
そういう視点からすれば、国税調査官が脱税の手口を知識として身につけておくことが大事であるように、不正を発見すべき側の人間も、不正の手口、不正が行われている場合の兆候について、発覚した他社事例を検討して、それを自社に置き換え、どこにリスクがあるかを検証するというのは、不正防止・発見のための知見を獲得するためには大変有効なアプローチであるといえる。
(2) 税務調査の手法
税務調査は、必ず、「三現主義」に基づいて行われる。顧客、仕入先とのやり取りをした書類、預金通帳など、当然、コピーやPDFは絶対受け付けない。
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