企業不正と税務調査
【第5回】
「経営者による不正」
(2) 架空(水増し)人件費
税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝
架空の人件費の計上による裏金作り/所得隠しは、かつては一般的な脱税手法であったが、近年は、税務調査において露見する可能性が高いということが経営者に浸透したためか、報道される件数は減っている。
しかし、昨年夏、パチンコ業界大手のガイア社が、グループ全体で40億円の所得隠しがあり給与の水増しが行われていたという報道があり、業種・業態によっては、こうした裏金作り/所得隠しスキームは健在であることが裏づけられた。
ガイア社の所得隠し報道は以下のようなものであった(一部抜粋)。
ガイア、40億円の所得隠し 国税局指摘 数年間、給与水増し
パチンコ大手「ガイア」(東京都中央区)とグループ企業が東京国税局の税務調査を受け、従業員の給与を水増しするなどし、数年間で約40億円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。重加算税を含めた追徴課税は約10億円。
関係者によると、ガイアやグループ企業は、従業員の給与を水増ししたり、役員の個人的な支払いを会社の経費にしたりしていたという。国税局は、意図的な経費の水増しがあり、悪質な仮装隠蔽を伴う所得隠しに当たると判断したとみられる。
1 架空(水増し)人件費計上の手口と特徴
(1) 架空人件費
架空の社員やパートタイム従業員を雇用したように見せかけたり、退職した従業員の雇用が継続しているように見せかけたりすることにより、その給料や交通費などを不正にプールして、架空人件費の計上による所得隠し(脱税)と裏金作りを同時に図るスキームである。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。