小説 『法人課税第三部門にて。』
【第9話】
「優良法人の税務調査(その3)」
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
(前回のつづき)
午後からは、睡魔との戦いである。
伝票をめくる渕崎統括官の手が止まる。瞼が重く、ついつい心地よい眠りに誘われる。
渕崎統括官は、眠りから逃れるために、異常な力を込めて伝票をめくった。
田村上席は、源泉徴収簿からパートの氏名とその支給額を写している。
時計の針は、午後2時を示している。
テーブルを挟んで座っている会長は、先ほどから眼をつむっている。吉田税理士は目を開けているが、時々、眠気を払うように、頭を振っている。齋藤課長は、頭を下げて、完全に眠っている。耳を澄ますと、小さなイビキが聞こえる。
「・・・ところで・・・」
渕崎統括官が声を発する。
「平成23年分の領収書の綴りは、どこにありますか?」
急に声をかけられた齋藤課長は、驚いた様子で頭を上げた。
「・・・平成23年分、ですか?」
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