公開日: 2025/11/20 (掲載号:No.645)
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税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第71回】「底地取引をめぐる新しい動向と鑑定評価」

筆者: 黒沢 泰

税理士が知っておきたい

不動産鑑定評価常識

【第71回】

「底地取引をめぐる新しい動向と鑑定評価」

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

1 はじめに

旧借地法の下で締結された土地の賃貸借契約で長期間にわたり継続しているものについて、地代の利回り(=年額地代÷更地価格×100%)を計算した場合、経済合理性という観点からみて著しく低いものとなっているのが一般的な傾向です。

その理由は、旧借地法による借主保護という観点から、地価が上昇してもこれに見合う十分な地代に改定することが難しいという事情が大きく影響していたことが様々な方面から指摘されています。

そのため、土地の賃借人がいる状態でその土地の所有権(すなわち、底地の所有権)を取得しようと考える人は、一般市場においてはきわめて限られているのが実情です。

しかし、平成4年8月1日から新しい借地借家法が施行され、事業用定期借地権が活用されるに伴い、ここ最近、従来とは異なるスタイルでの底地取引が見受けられるようになってきました。

例えば、J-REITによる事業用不動産の敷地の取得です(ここで取得の対象とされているのは、あくまでも土地の賃借人がいる状態における土地の所有権であり、これがまさに底地に他なりません)。

このような新しい動向は、2025年9月29日付日本経済新聞朝刊にも「『底地ビジネス』10兆円市場」(※1)という大きな見出しで掲載されています。

(※1) この記事では、土地と建物の所有権を分離し、土地のみを取引する「底地ビジネス」が拡大しているとし、それは企業が資産の効率化に向けて土地の売却を進めていることが要因であり、米投資ファンドのKKRやイオンリテールが活用している旨が紹介されています。

そこで、今回はこのような動向を鑑定評価という視点も交えながら分析してみたいと思います。

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不動産鑑定評価常識

【第71回】

「底地取引をめぐる新しい動向と鑑定評価」

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

1 はじめに

旧借地法の下で締結された土地の賃貸借契約で長期間にわたり継続しているものについて、地代の利回り(=年額地代÷更地価格×100%)を計算した場合、経済合理性という観点からみて著しく低いものとなっているのが一般的な傾向です。

その理由は、旧借地法による借主保護という観点から、地価が上昇してもこれに見合う十分な地代に改定することが難しいという事情が大きく影響していたことが様々な方面から指摘されています。

そのため、土地の賃借人がいる状態でその土地の所有権(すなわち、底地の所有権)を取得しようと考える人は、一般市場においてはきわめて限られているのが実情です。

しかし、平成4年8月1日から新しい借地借家法が施行され、事業用定期借地権が活用されるに伴い、ここ最近、従来とは異なるスタイルでの底地取引が見受けられるようになってきました。

例えば、J-REITによる事業用不動産の敷地の取得です(ここで取得の対象とされているのは、あくまでも土地の賃借人がいる状態における土地の所有権であり、これがまさに底地に他なりません)。

このような新しい動向は、2025年9月29日付日本経済新聞朝刊にも「『底地ビジネス』10兆円市場」(※1)という大きな見出しで掲載されています。

(※1) この記事では、土地と建物の所有権を分離し、土地のみを取引する「底地ビジネス」が拡大しているとし、それは企業が資産の効率化に向けて土地の売却を進めていることが要因であり、米投資ファンドのKKRやイオンリテールが活用している旨が紹介されています。

そこで、今回はこのような動向を鑑定評価という視点も交えながら分析してみたいと思います。

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連載目次

税理士が知っておきたい
不動産鑑定評価の常識

第1回~第40回 ※クリックするとご覧いただけます。

第41回~

筆者紹介

黒沢 泰

(くろさわ・ひろし)

大手鉄鋼メーカーの系列会社(部長職)にて不動産鑑定業務を中心に担当。不動産鑑定士。

【役職等】
不動産鑑定士資格取得後研修担当講師(財団の鑑定評価、現在)、不動産鑑定士実務修習修了考査委員(現在)、不動産鑑定士実務修習担当講師(行政法規総論、現在)、(公社)日本不動産鑑定士協会連合会調査研究委員会判例等研究委員会小委員長(現在)

【主著】
『土地の時価評価の実務』(平成12年6月)、『固定資産税と時価評価の実務Q&A』(平成27年3月)、『基準の行間を読む 不動産評価実務の判断と留意点』(令和元年8月)『土地利用権における鑑定評価の実務Q&A』(令和3年12月)『新版 実務につながる地代・家賃の判断と評価』(令和4年9月)『新版/税理士を悩ませる『財産評価』の算定と税務の要点』(令和5年7月)『税理士が知っておきたい/実務で役立つ 不動産鑑定評価の常識』(令和6年7月)『不動産鑑定評価書を読みこなすための基礎知識』(令和7年4月、以上清文社)、『新版 逐条詳解・不動産鑑定評価基準』(平成27年6月)『新版 私道の調査・評価と法律・税務』(平成27年10月)、『不動産の取引と評価のための物件調査ハンドブック』(平成28年9月)、『すぐに使える不動産契約書式例60選』(平成29年7月)『雑種地の評価 裁決事例・裁判例から読み取る雑種地評価の留意点』(平成30年12月、以上プログレス)、『事例でわかる不動産鑑定の物件調査Q&A(第2版)』(平成25年3月)、『不動産鑑定実務ハンドブック』(平成26年7月、以上中央経済社)ほか多数。

     

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