公開日: 2025/03/19 (掲載号:No.611)
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税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第63回】「震災減価率の査定は考えるほど容易ではない」

筆者: 黒沢 泰

税理士が知っておきたい

不動産鑑定評価常識

【第63回】

「震災減価率の査定は考えるほど容易ではない」

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

1 はじめに

本連載の【第16回】では、土砂災害(特別)警戒区域内の土地を例として、鑑定評価や固定資産税評価、そして相続税評価におけるアプローチの方法等について取り上げました。そこでは、自然災害が現実に生じた場合、それが土地価格に与える影響度を不動産鑑定評価基準に速やかに取り込んで評価実務に活かすことが現時点では難しい反面、固定資産税評価においてはその影響度を何がしかの形で評価額に反映させて対応している自治体も見受けられる旨も併せて述べました(相続税の財産評価においては、財産評価基本通達に規定されている「特別警戒区域補正率表」の適用)。

このような相違がある背景としては、自然災害による影響度を不動産鑑定評価基準に的確に反映させるためには、被災地の市場における取引状況や減価度合いの普遍性といった観点から十分な検証を要するところ、税務においては課税の公平性という観点から被災地とそうでない土地との間で税額のバランスを図る必要があること等が指摘されています。

今回取り上げるテーマもこの延長線上にあるものですが、平成23年3月の東日本大震災及び令和6年1月の能登半島地震の発生を契機として、震災の影響を受けた土地の評価(震災による減価率の査定)をいかにすべきかが、鑑定評価上の課題となっています。

以下、税務における扱いとの関連も踏まえつつ、震災減価について述べていきます。

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税理士が知っておきたい

不動産鑑定評価常識

【第63回】

「震災減価率の査定は考えるほど容易ではない」

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

1 はじめに

本連載の【第16回】では、土砂災害(特別)警戒区域内の土地を例として、鑑定評価や固定資産税評価、そして相続税評価におけるアプローチの方法等について取り上げました。そこでは、自然災害が現実に生じた場合、それが土地価格に与える影響度を不動産鑑定評価基準に速やかに取り込んで評価実務に活かすことが現時点では難しい反面、固定資産税評価においてはその影響度を何がしかの形で評価額に反映させて対応している自治体も見受けられる旨も併せて述べました(相続税の財産評価においては、財産評価基本通達に規定されている「特別警戒区域補正率表」の適用)。

このような相違がある背景としては、自然災害による影響度を不動産鑑定評価基準に的確に反映させるためには、被災地の市場における取引状況や減価度合いの普遍性といった観点から十分な検証を要するところ、税務においては課税の公平性という観点から被災地とそうでない土地との間で税額のバランスを図る必要があること等が指摘されています。

今回取り上げるテーマもこの延長線上にあるものですが、平成23年3月の東日本大震災及び令和6年1月の能登半島地震の発生を契機として、震災の影響を受けた土地の評価(震災による減価率の査定)をいかにすべきかが、鑑定評価上の課題となっています。

以下、税務における扱いとの関連も踏まえつつ、震災減価について述べていきます。

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連載目次

税理士が知っておきたい
不動産鑑定評価の常識

第1回~第40回 ※クリックするとご覧いただけます。

第41回~

筆者紹介

黒沢 泰

(くろさわ・ひろし)

大手鉄鋼メーカーの系列会社(部長職)にて不動産鑑定業務を中心に担当。不動産鑑定士。

【役職等】
不動産鑑定士資格取得後研修担当講師(財団の鑑定評価、現在)、不動産鑑定士実務修習修了考査委員(現在)、不動産鑑定士実務修習担当講師(行政法規総論、現在)、(公社)日本不動産鑑定士協会連合会調査研究委員会判例等研究委員会小委員長(現在)

【主著】
『土地の時価評価の実務』(平成12年6月)、『固定資産税と時価評価の実務Q&A』(平成27年3月)、『基準の行間を読む 不動産評価実務の判断と留意点』(令和元年8月)『不動産鑑定評価書を読みこなすための基礎知識』(令和2年12月)『土地利用権における鑑定評価の実務Q&A』(令和3年12月)『新版 実務につながる地代・家賃の判断と評価』(令和4年9月)『新版/税理士を悩ませる『財産評価』の算定と税務の要点』(令和5年7月)『税理士が知っておきたい/実務で役立つ 不動産鑑定評価の常識』(令和6年7月、以上清文社)、『新版 逐条詳解・不動産鑑定評価基準』(平成27年6月)『新版 私道の調査・評価と法律・税務』(平成27年10月)、『不動産の取引と評価のための物件調査ハンドブック』(平成28年9月)、『すぐに使える不動産契約書式例60選』(平成29年7月)『雑種地の評価 裁決事例・裁判例から読み取る雑種地評価の留意点』(平成30年12月、以上プログレス)、『事例でわかる不動産鑑定の物件調査Q&A(第2版)』(平成25年3月)、『不動産鑑定実務ハンドブック』(平成26年7月、以上中央経済社)ほか多数。

     

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