税理士が知っておきたい
不動産鑑定評価の常識
【第63回】
「震災減価率の査定は考えるほど容易ではない」
不動産鑑定士 黒沢 泰
1 はじめに
本連載の【第16回】では、土砂災害(特別)警戒区域内の土地を例として、鑑定評価や固定資産税評価、そして相続税評価におけるアプローチの方法等について取り上げました。そこでは、自然災害が現実に生じた場合、それが土地価格に与える影響度を不動産鑑定評価基準に速やかに取り込んで評価実務に活かすことが現時点では難しい反面、固定資産税評価においてはその影響度を何がしかの形で評価額に反映させて対応している自治体も見受けられる旨も併せて述べました(相続税の財産評価においては、財産評価基本通達に規定されている「特別警戒区域補正率表」の適用)。
このような相違がある背景としては、自然災害による影響度を不動産鑑定評価基準に的確に反映させるためには、被災地の市場における取引状況や減価度合いの普遍性といった観点から十分な検証を要するところ、税務においては課税の公平性という観点から被災地とそうでない土地との間で税額のバランスを図る必要があること等が指摘されています。
今回取り上げるテーマもこの延長線上にあるものですが、平成23年3月の東日本大震災及び令和6年1月の能登半島地震の発生を契機として、震災の影響を受けた土地の評価(震災による減価率の査定)をいかにすべきかが、鑑定評価上の課題となっています。
以下、税務における扱いとの関連も踏まえつつ、震災減価について述べていきます。
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