公開日: 2024/07/25 (掲載号:No.579)
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固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第39回】「倍率方式で算定した相続税評価額は時価を上回るため違法であるという請求が認められなかった事例」

筆者: 菅野 真美

固定資産をめぐる判例・裁決例概説

【第39回】

「倍率方式で算定した相続税評価額は時価を上回るため違法であるという請求が認められなかった事例」

 

税理士 菅野 真美

 

相続税法22条において、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価と定められている。よって、「相続または贈与による財産の取得後に何らかの理由によってその価額が低落した場合も、課税価格に算入されるべき価額は、別段の定めがない限り、相続時または贈与時のその財産の時価である」(※)

(※) 金子宏『租税法(第24版)』(弘文堂、2021年)734頁

この「時価」とは、客観的な交換価値と考えられるが、財産の時価は一種類とは限らない。納税者が自分に都合の良い時価で相続税の申告書を提出すると課税の公平が保たれず課税実務が混乱する。よって、原則的には、財産評価基本通達(以下「評価通達」という)の定めによって評価した価額が時価である(評価通達1《評価の原則》(2))。

しかし、評価通達に従って算定した価額が、相続時の時価を上回るような場合は、時価で評価すべきである。これは、評価通達の定める方法によるべきでない特別の事情がある場合と考えられるが、どのような場合であろうか。

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【第39回】

「倍率方式で算定した相続税評価額は時価を上回るため違法であるという請求が認められなかった事例」

 

税理士 菅野 真美

 

相続税法22条において、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価と定められている。よって、「相続または贈与による財産の取得後に何らかの理由によってその価額が低落した場合も、課税価格に算入されるべき価額は、別段の定めがない限り、相続時または贈与時のその財産の時価である」(※)

(※) 金子宏『租税法(第24版)』(弘文堂、2021年)734頁

この「時価」とは、客観的な交換価値と考えられるが、財産の時価は一種類とは限らない。納税者が自分に都合の良い時価で相続税の申告書を提出すると課税の公平が保たれず課税実務が混乱する。よって、原則的には、財産評価基本通達(以下「評価通達」という)の定めによって評価した価額が時価である(評価通達1《評価の原則》(2))。

しかし、評価通達に従って算定した価額が、相続時の時価を上回るような場合は、時価で評価すべきである。これは、評価通達の定める方法によるべきでない特別の事情がある場合と考えられるが、どのような場合であろうか。

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連載目次

固定資産をめぐる判例・裁決例概説

第1回~第20回 ※クリックするとご覧いただけます。

筆者紹介

菅野 真美

(すがの・まみ)

税理士・社会福祉士・CFP

関西学院大学法学部政治学科卒業後、平成2年税理士試験合格。
平成18年まで新日本監査法人大阪事務所並びに関係会社において、監査並びに税務コンサルティング業務に従事。
その後、日本租税綜合研究所主任研究員を経て、税理士事務所開業。現在、東京税理士会芝支部、信託法学会会員、成年後見法学会会員。

【主な著書】
・『老後の備え・相続から教育資金贈与、事業承継まで 「信託」の基本と使い方がわかる本』日本実業出版社
・『税理士のために国外転出時課税と国際相続について考えてみました』中央経済社
・『申告なし・税金なしの贈与使いこなしQ&A 教育・結婚・子育て資金一括贈与+ジュニア NISA』中央経済社
・『顧問税理士なら答えて!個人の国際課税Q&A 結婚・転勤・移住・留学・運用・相続アラカルト80』(共著)中央経済社
・『教育資金の一括贈与非課税制度完全ガイド』中央経済社
他多数

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