《速報解説》 相続税の物納財産、上場株式等が第一順位に ~平成29年度税制改正大綱~ 税理士 齋藤 和助 1 改正内容 「平成29年度税制改正大綱」(平成28年12月22日閣議決定)では、「資産課税 - その他の事項」において、相続税の物納財産の順位見直しについて次のように記載されている。 2 現行制度における物納順位 物納に充てることができる財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産(相続により取得した財産を含み、相続時精算課税の適用を受ける贈与によって取得した財産を除く)のうち、次表に掲げる財産及び順位による。 なお、「物納劣後財産」とは、他に物納に充てるべき適当な財産がある場合には、物納に充てることができない財産のことをいう。 3 改正案による物納順位 冒頭に紹介した平成29年度税制改正案によると、物納が認められる財産の順位は次表のようになる。 現行ではすべてが第2順位であった株式等が、「上場」と「非上場」に区別され、上場株式等は第1順位となり、非上場株式等は第2順位のままとされる。そして、上場株式等の範囲に投資証券等(※)が加えられる。 (※) 「投資証券」とは金融機関が発行する債券で、株式のようにいつでも売買ができるものである。特徴としては投資信託と同様、基準価格の値上がりを期待して投資するものであり、株式や投資信託では難しかった様々な対象指標に連動する商品があるが、資産の裏付けがないため、発行元の金融機関が経営破綻した場合の信用リスクは投資家が負うこととなる。 なお、上記改正の施行時期は未定である。 4 改正の背景 今回の改正は、金融庁が要望していた上場株式等の相続税評価の見直しに端を発している。 すなわち、現行の上場株式等の評価は、原則として相続時点の時価で評価されているため、相続時から納付期限までの期間の価格変動リスクが考慮されていない。このため、上場株式等は価格変動リスクの低い預金や債券などの他の資産と比べて不利になっており、投資家の株式離れが助長されているとの指摘がある。 そこで、上場株式等について、以下の項目の見直しを要望していた。 今回の税制改正においては、上記項目のうち③が実現された形であるが、他の項目についても今後、改正が行われていくかどうか注視していきたい。 (了)
《速報解説》 中小企業者等の貸倒引当金の特例措置、割増率を見直し2年延長 ~平成29年度税制改正大綱~ 税理士 伊村 政代 1 概要(租税特別措置法第57条の9第3項) 貸倒引当金の繰入限度額のうち、一括評価繰入額については、公益法人等や協同組合等であれば、その繰入限度額が通常の計算による繰入限度額の12%割増しとされている。 「平成29年度税制改正大綱」(平成28年12月22日閣議決定)においては、本特例の適用期限(現行平成10年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度)を2年間(平成31年3月31日まで)延長すると共に、上記の割増率を10%に引き下げることとした。 2 対象となる債権の範囲 貸倒引当金繰入限度額の計算については、債権を貸し倒れる危険性の高い「個別評価金銭債権」と一般的な債権である「一括評価金銭債権」とに区別して、それぞれの繰入限度額を計算している。今回は一括評価金銭債権に関する計算の特例についての改正となっている。 3 一括評価金銭債権の繰入限度額 ① 実績繰入率による計算(原則) その事業年度末の一括評価金銭債権の帳簿価額に、過去3年間の貸倒実績繰入率を乗じて計算する。 貸倒実績率は、次の算式により計算する(小数点以下4位未満切上げ)。 (※) 算式中の「月数」については、暦に従って計算し、1ヶ月に満たない端数が生じたときは、これを1ヶ月とする。 ② 法定繰入率による計算(特例) 中小法人等については①の実績繰入率による計算に代えて、法定繰入率による計算が認められている。 〈法定繰入率〉 なお、一括評価金銭債権へ該当するもの、該当しないものについては、下記国税庁ホームページを参照されたい。 4 公益法人等又は協同組合等の割増率の特例 最後に、公益法人等又は協同組合等の割増率の特例の各事業年度の適用される割増率については次のとおりとなるので留意されたい。 (了)
《速報解説》 中小企業者等の法人税率の軽減特例、2年延長へ ~平成29年度税制改正大綱~ 税理士 伊村 政代 1 概要 中小企業者等については、各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の金額については、軽減税率が適用される(本則の軽減税率は19%)。 現行制度においては、平成24年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度については本則の19%によらず、15%の軽減税率が適用されている。 「平成29年度税制改正大綱」(平成28年12月22日閣議決定)によると、この15%の軽減税率の適用期限が2年間(平成31年3月31日まで)延長されることとなる。 2 対象法人 15%の軽減税率の対象となる法人は以下のとおり。 3 計算 現在の法人税の基本税率は23.4%(平成30年4月1日以後に開始する各事業年度は23.2%)である。したがって下図のように、所得金額のうち年800万円以下の金額に、上記の軽減税率である15%を乗じた金額と、年800万円を超える金額に、通常の法人税率である23.4%を乗じた金額との合計額がその事業年度の法人税額となる。 (了)
-お知らせ- いつもプロフェッションジャーナルをご愛読いただきありがとうございます。 2016年下半期(7月~12月)掲載分の目次をアップしました。 2016年下半期(7月~12月)掲載目次ファイル ※PDFファイル PDFファイルを開いて各記事タイトルをクリックすると、該当の記事ページが開きます。 (※) お使いのブラウザによって開かないものがあります。 パソコンやクラウド等に保存していただくと、PDFファイルから各記事ページへすぐに移動できますので、ご活用下さい(PDFファイル内の文字検索もできます)。 Back Number ページからもご覧いただけます。 ▷半年ごとの目次一覧 2016年 1月~6月(No.151~175)⇒[こちら] 7月~12月(No.176~200)⇒[こちら] ★ 2015年 1月~6月(No.100~125)⇒[こちら] 7月~12月(No.125~150)⇒[こちら] 2014年 1月~6月(No.51~75)⇒[こちら] 7月~12月(No.76~100)⇒[こちら] 2013年 1月~6月(No.1~25)⇒[こちら] 7月~12月(No.26~50)⇒[こちら] 2012年 創刊準備1号~5号⇒[こちら]
《速報解説》 金融庁、財務諸表等規則等を改正し「リスク分担型企業年金」へ対応 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月27日、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(平成28年12月27日内閣府第66号)が公布され、次のものが改正された。 これにより、平成28年11月7日から意見募集されていたものが確定することになる。 これは、平成28年12月16日に、企業会計基準委員会が公表した「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号)の改正、「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第33号)などに対応するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 財務諸表等規則及び連結財務諸表規則 2 財務諸表等規則ガイドライン及び連結財務諸表規則ガイドライン 財務諸表等規則ガイドライン8の13の2において次のように規定する。 連結財務諸表規則ガイドライン15の8の2は、「財務諸表等規則ガイドライン8の13の2の取扱いは、規則第15条の8の2に規定する確定拠出制度に関する注記について準用する。」とする。 3 パブリックコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方 「金融庁の考え方」において、今回の改正は、企業会計基準委員会が、「確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金」に関する注記事項を実務対応報告等で規定したことを受けて行うものであり、実務対応報告等に規定されていない注記事項であっても、各企業が重要と判断した事項については、適切に記載されるべきものと考えられると述べられている。 また、次のコメントとそれに対する金融庁の考え方も述べられている。 Ⅲ 適用時期等 平成29年1月1日から施行する。 (了)
《速報解説》 金融庁 金融審議会、「市場ワーキング・グループ」報告書を公表 ~フィデューシャリー・デューティーの確立やFinTech活用への取組み等を明記~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月22日(ホームページ掲載日)、金融審議会「市場ワーキング・グループ」(座長 神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)は、「市場ワーキング・グループ報告~国民の安定的な資産形成に向けた取組みと市場・取引所を巡る制度整備について~」(平成28年12月22日。以下「報告書」という)を公表した。 報告書は、今後、金融審議会総会・金融分科会において報告されることとなる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 人口減少や高齢化等が進む中、国民の厚生の増大を図っていくためには、国民の安定的な資産形成を促進していくことが重要な課題となっており、顧客本位の業務運営に関する原則の策定及びその定着を通じ、顧客と金融事業者との間で信頼関係が構築されていくことが不可欠な前提と考えられている(報告書の「おわりに」)。 報告書の構成は次のとおりである。 以下では、報告書における主な内容に焦点をあてて解説を行う。 1 顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の確立 従来型のルールベースでの対応を重ねるのではなく、プリンシプルベースのアプローチを用いることが有効であるとして、当局において、「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定し、金融事業者に受け入れを呼びかけ、金融事業者が、原則を踏まえて何が顧客のためになるかを真剣に考え、横並びに陥ることなく、より良い金融商品・サービスの提供を競い合うよう促していくことが適当であるとしている(第1章、1、(1))。 顧客本位の業務運営に関する原則に盛り込むべき事項として、次のものが述べられている(第1章、1、(2))。 「当局の役割」として、顧客本位の業務運営を実現するためには、検査・監督においても、原則の受入れ状況、策定した取組方針、当該方針に係る取組状況について、適切にモニタリングを行い、ベスト・プラクティスの実現を目指して対話していくことが重要であるとしている(第1章、2、(4))。 2 国民の安定的な資産形成におけるETFの活用と課題 ETF(上場投資信託)は国民の安定的な資産形成に向けて本来有用な投資商品と考えられるとしつつ、現状、国民の安定的な資産形成のためにETFが十分に活用されているとは言い難い状況にあるとして、取引所等の関係者における検討を求めている。 3 アルゴリズムを用いた高速取引 アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する証券会社の関与が薄まるとともに、当局や取引所も、アルゴリズム高速取引の全体像やその取引戦略等を十分に把握できているとは言えない状況にあるとし、欧米の状況も踏まえながら、アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する登録制を導入し、必要な体制整備・リスク管理義務を課した上で、当局がその取引実態・戦略等を確認することを可能とする枠組みを整備することが適当であるとしている。 4 取引所の業務範囲 FinTechを活用した革新的な金融サービス事業が急速に拡大しつつあり、人工知能やブロックチェーン技術等は、今後の取引所の業務にも大きな影響を与えることが考えられるとして、日本の取引所グループにおいても、そのような技術の活用等に関する先駆的な取組みが求められ、例えば、そのような技術を有する企業等への出資等も想定しておく必要があるとしている。 そのほか、国際化への対応、取引所持株会社の経営管理機能の明確化などについても述べられている。 (了)
《速報解説》 フェア・ディスクロージャー・ルール導入に向け、 金融審議会「市場ワーキング・グループ」よりタスクフォース報告書が公表 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月22日(ホームページ掲載日)、金融審議会「市場ワーキング・グループ」に設置された「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」(座長 黒沼悦郎早稲田大学法学学術院教授)において、「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告~投資家への公平・適時な情報開示の確保のために~」(平成28年12月7日。以下「報告書」という)がとりまとめられ、「市場ワーキング・グループ」に報告・了承されたと公表された。 報告書は、今後、金融審議会総会・金融分科会において報告されることとなる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 フェア・ディスクロージャー・ルール フェア・ディスクロージャー・ルールとは、公表前の内部情報を発行者が第三者に提供する場合に、当該情報が他の投資家にも提供されることを確保するルールである(報告書1)。 報告書では、各国の導入状況を踏まえ、我が国市場において、個人投資家や海外投資家を含めた投資家に対する公平かつ適時な情報開示を確保し、すべての投資家が安心して取引できるようにするため、フェア・ディスクロージャー・ルールを導入すべきであるとしている(報告書2)。 2 具体的内容 報告書では、上記のほか、公表を必要としない情報提供(第三者に伝達しない義務・投資判断に利用しない義務)、情報の公表方法(EDINET、TDnet、発行者のホームページ)などについても記載されている。 (了)
2016年12月28日(水)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.200を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
〈平成29年1月1日施行〉 加算税見直しの再確認と留意点 【後編】 税理士 佐藤 善恵 〈2〉 短期間で繰り返された無申告又は仮装・隠ぺいに対する 加重措置の創設 (1) 改正の趣旨と改正内容 改正前の加算税の税率は、過去の「無申告や仮装・隠ぺい」行為の回数に関わらず一律とされていたので、意図的に「無申告や仮装・隠ぺい」を繰り返す者に対する牽制効果は限定的であった。 そこで、悪質な行為を防止する観点から、過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課されたものが、再び「無申告又は仮装・隠ぺい」に基づく修正申告書の提出等を行った場合について、通常の加算税の税率に10%を加重する措置が導入された。 (※) 期限後申告等とは、①期限後申告書又は修正申告書の提出(更正又は決定を予知してされたものに限る)、②更正又は決定の処分、③納税の告知又は告知を受けることなくされた納付をいう。 〈まとめ〉 (※) ( )は一定額を超える無申告についての無申告加算税の割合。 (2) 改正法施行後の留意点 〈3〉 条文からみた改正ポイント 各加算税の条文について、今回の改正の影響を整理すると次のとおりである。 以下、2つの改正項目が含まれている無申告加算税(通法66)の条文構成を概観する。 (1) 国税通則法66条1項 この項は、無申告加算税の課税要件と基本税率を規定している。改正後の条文は次のとおりであり、下線部分(括弧書)が新たに加えられた。 (※) 「次の各号」とは無申告加算税が課される要件であり、2つの場合がある。1つは、期限後申告書の提出又は決定(以下「期限後申告書の提出等」という)があった場合(1号)、そして、期限後申告書の提出等があった後に修正申告書の提出又は更正があった場合(2号)である。 改正で加えられた括弧書は、〈1〉更正予知に係る加算税減免措置に関する規定である。すなわち、改正前は更正等を予知する前までは加算税が減免されていたが(通法66⑤)、改正後は、調査の事前通知という形式を満たせば更正等を予知する前であっても通常の加算税よりも一段階低い税率で加算税が課されることとなった。この一段階低い税率の規定が、括弧書として加えられたのである。 (2) 国税通則法66条2項・3項 2項は、無申告税額が大きい場合における加重に関する規定、3項は、2項で用いられている用語(累積納付税額)の意義について規定している。改正による直接的な影響はない。 (3) 国税通則法66条4項 改正前の旧4項は5項に繰り下がり、新設された4項は以下のとおりである。 内容は、改正で加わった〈2〉短期間で繰り返された無申告に対する加重措置である。 (4) 国税通則法66条5項 改正前の旧4項である。 (5) 国税通則法66条6項 改正前の旧5項をベースに〈1〉更正予知に係る加算税減免措置に関する規定のうち、更正予知に当たらず、かつ、調査の事前通知以前であれば、改正前と同様の加算税の減額規定が適用されることの定め(下線部分)が加えられた。 (6) 国税通則法66条7項 改正前の旧6項(期限内申告をする意思があったと認められる場合の不適用)が繰り下がった上で、〈1〉更正予知に係る加算税減免措置の影響が織り込まれた。 (連載了)
〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第11回】 「別表6(16) 雇用者の数が増加した場合又は特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(16)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」 〈その2〉 公認会計士・税理士 菊地 康夫 Ⅰ はじめに 本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第11回目は、前回採り上げた「別表6(16) 雇用者の数が増加した場合又は特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(16)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」のうち、平成27年度の税制改正において創設された地方拠点強化税制による特例措置についての内容と書き方について解説することにする。 Ⅱ 概要 この別表は、青色申告書を提出する法人が租税特別措置法第42条の12第1項から第3項まで(特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)又は平成28年度改正前の措置法第42条の12の2第1項から第3項まで(雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)の規定(いわゆる「雇用促進税制」)の適用を受ける場合に作成する。 このうち、いわゆる本体部分については前回解説したところであるが、地域再生法に基づき都道府県知事が認定する「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を実施する法人は、特例措置として以下の税制優遇が受けられる。 ① 【拡充型】 地方活力向上地域で特定業務施設を整備し雇用者を増加させた場合には、特定業務施設における当期増加雇用者数1人当たり以下を税額控除(ただし法人全体の増加雇用者数が上限)。 法人全体の雇用者増加率が10%以上:50万円 法人全体の雇用者増加率が10%未満:20万円 (※) 適用年度に雇用保険一般被保険者の数を5人以上(中小企業の場合には2人以上)増加させることが必要。 ② 【移転型】 東京23区から地方活力向上地域に特定業務施設を移転して整備する場合には、拡充型の税額控除額に加え、当該特定業務施設における増加雇用者1人当たり30万円の税額控除(①と併せて、1人当たり最大80万円の税額控除)。 (※) 雇用を維持していれば最大3年間継続。 [適用にあたっての注意点] 1 上記①(拡充型)による控除税額は、適用事業年度の法人税額の30%相当額から、〈その1〉で解説した本体部分の控除税額と、地方拠点建物等を取得した場合の税額控除制度(措法42の11の2、旧措法42の12)による控除税額との合計額(上記②(移転型)による控除税額は、これらと上記①(拡充型)による控除税額との合計額)を控除した残額が上限となる。 2 本拡充措置を適用するためには、確定申告書等に次の書類の添付が必要。 (1) 適用事業年度開始後2ヶ月以内に公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、適用事業年度終了後2ヶ月以内に都道府県労働局又は公共職業安定所で計画の達成状況についての確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写し (2) 控除の対象となる基準雇用者数、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類 なお、以下の解説では前回の〈その1〉で解説した内容と重複する部分については極力その解説を省略しているので、必要に応じて〈その1〉も併せてお読みいただきたい。 Ⅲ 「別表6(16)」「別表6(16)付表」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成28年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 別表6(16) 〔認定地方活力向上地域特定業務施設整備計画に関する事項〕 別表6(16)付表 (了)