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被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔税務面(所得税)のアドバイス〕 【第6回】「過去の大規模災害時における特例措置」

被災したクライアント企業への 実務支援のポイント 〔税務面(所得税)のアドバイス〕 【第6回】 「過去の大規模災害時における特例措置」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   災害による被害が甚大である場合には、従来、災害ごとに特例法や国税庁の個別通達による特例措置が設けられてきた。過去と同様の特例措置が、今後の大規模災害時にも設けられるとは限らないが、近い内容の措置が講じられる可能性は高いと考えられる。 そこで、東日本大震災の際の所得税に関する特例措置の概要を「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(以下、震災特例法という)に基づいて解説する。 なお、平成29年度税制改正では、災害に関する税制上の措置の常設化が図られている。本稿の最後に常設化された措置の項目を挙げる。   【1】 震災特例法による特別措置 東日本大震災の際の所得税に関する主な特例措置は、次の通りである。   【2】 雑損控除の特例 東日本大震災は、平成23年3月11日に発生した。当該震災により被害を受けた場合、所得税法の規定によると、平成23年分の所得税計算において雑損控除の適用を受けることになる(所法72①)。 この原則的な取扱いによると、被害を受けたときから1年近く経過しないと雑損控除の適用を受けることができない。そこで、震災特例法では、納税者が選択すれば平成22年に損失が生じたものとして、平成22年分の所得税で雑損控除を適用できるよう措置された(震災特例法4)。 また、震災特例法の施行日前に平成22年分の所得税の確定申告書を提出している場合には、同法の施行日から1年間、この特例の適用を受けるための更正の請求ができるものとされた(震災特例法附則2)。 なお、この特例は、「東日本大震災により生じた損失」について適用される。したがって、特例の対象は、申告期限を延長された地域(平成23年3月15日付国税庁告示)内に住所がある個人に限られず、また、同地域内の資産について生じた損失に限られることもない(震災特例法4、所得税の取扱い(情報)「Ⅱ 質疑応答編」第5-2)。   【3】 雑損失の繰越控除の特例 震災特例法により、東日本大震災による雑損失の金額は、繰越控除の期間が5年(所得税法では3年)とされた(震災特例法5)。   【4】 災害減免法に基づく所得税の軽減免除の特例 【2】雑損控除の特例と同様、東日本大震災により被害を受けた場合には、納税者の選択により、平成22年にその被害を受けたものとして、災害減免法に基づく所得税の軽減免除の適用を受けることができるよう措置された(震災特例法53)。 また、震災特例法の施行日前に平成22年分の所得税の確定申告書を提出している場合には、同法の施行日から1年間、この特例の適用を受けるための更正の請求をすることができるものとされた(震災特例法附則2)。 なお、この特例は、「東日本大震災により住宅又は家屋について甚大な被害を受けた場合」に適用がある。したがって、特例の対象は、申告期限を延長された地域(平成23年3月15日付国税庁告示)内に住所がある個人に限られず、また、同地域内の資産についての被害に限られることもない(震災特例法53、所得税の取扱い(情報)「Ⅱ 質疑応答編」第5-2)。   【5】 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等の適用期間等に係る特例 (1) 適用期間の特例 住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、控除を受ける年の12月31日まで引き続き対象家屋に居住していることが要件とされる。しかし、災害等によりその家屋に居住することができなくなった場合には、居住することができなくなった日まで引き続き居住の用に供していれば、その年分について控除を受けることができる(措法41①)。 この原則的な取扱いによると、被災した翌年からは、たとえ年末に住宅借入金の金額を有していたとしても、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできなくなる。 そこで、震災特例法では、東日本大震災により被害を受けた場合には、居住の用に供することができなくなった日の属する翌年以後においても引き続き住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるよう措置された(震災特例法13①②)。 (2) 重複適用の特例 東日本大震災によりそれまで住んでいた家屋(以下、従前家屋という)に居住できなくなり、新たな居住用家屋(以下、再取得家屋という)を借入金等により取得した場合で、従前家屋の借入金等も残っているときには、いわゆる二重ローンの問題が生ずる。 税制上の原則的な取扱いによると、再取得家屋に係る住宅借入金等については住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるが、従前家屋に係る住宅借入金等については同制度の適用を受けることができないこととなる(措法41①)。 そこで、震災特例法により、従前家屋に係る住宅借入金等と、再取得家屋(平成33年12月31日までに居住の用に供したものに限られる)に係る住宅借入金等について、住宅借入金等特別控除を重複して適用できることとされた(震災特例法13③④⑤)。この場合の控除額は、従前家屋に係る控除額と再取得家屋に係る控除額の合計額となる。 (3) 控除額に係る特例 東日本大震災により自己の居住の用に供する家屋に被害を受け、同家屋を居住の用に供することができなくなった者が、平成33年12月31日までの間に、一定の住宅の取得等をして住宅借入金等特別控除の適用要件を満たす場合には、通常の住宅借入金等特別控除の適用に代えて、以下の控除額に係る特例を適用することができる(震災特例法13の2)。 〈控除額に係る特例〉   【6】 財産形成住宅貯蓄の利子等の非課税 勤労者財産形成住宅貯蓄又は勤労者財産形成年金貯蓄について、住宅の取得等以外の目的で払出しを受けるときには、利子等について課税が行われる。 震災特例法では、東日本大震災により被害を受けたことによって、平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に同貯蓄を払い出す場合であれば、目的外の払出しであっても利子等に課税しないこととされた(震災特例法9の2)。   【7】 震災関連寄附金を支出した場合の寄附金控除の特例又は所得税額の特別控除 (1) 震災関連寄附金を支出した場合の寄附金控除の特例 平成23年3月11日から平成25年12月31日までに、震災関連寄附金(※1)を支出した場合には、寄附金控除の限度額が総所得金額等の80%(所得税法では40%)相当額とされた(震災特例法8①)。 (※1) 震災関連寄附金:国又は著しい被害の発生した地方公共団体に対する寄附金及び大震災に関連する指定寄附金 (2) 特定震災指定寄附金を支出した場合の所得税額の特別控除 平成23年3月11日から平成25年12月31日までに、2,000円を超える特定震災指定寄附金(※2)を支出した場合には、その年の所得税の額から特定震災指定寄附金の額(2,000円を超える部分)の40%相当額を控除できることとされた(震災特例法8②)。 (※2) 特定震災指定寄附金:震災関連寄附金(※1)のうち、被災者の救援又は生活再建の支援を行う活動に必要な資金に充てられる寄附金(一定の認定NPO法人又は社会福祉法人中央共同募金会に対するもの)   【8】 災害税制措置の常設化(平成29年度税制改正) 平成29年度税制改正により、災害に関する税制上の措置のうち次のものが常設化される。   (了)

#No. 212(掲載号)
#篠藤 敦子
2017/03/30

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《リース取引》編 【第1回】「通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理と通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理~所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)」

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領 《リース取引》編 【第1回】 「通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理と 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 ~所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)」   公認会計士・税理士 前原 啓二   はじめに 所有権移転外ファイナンス・リース取引の借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うこととされています。一方で、未経過リース料を注記することを条件として通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理することもできます。今回は、これら2つの方法を対比してご紹介します。   1 一連のリース取引に係る仕訳 ケース1 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理 〈×0年4月1日:リース取引開始日〉 〈×0年4月30日:第1回目リース料支払日〉 〈×1年3月31日:第12回目リース料支払日、決算日〉 ケース2 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 〈×0年4月1日:リース取引開始日〉 〈×0年4月30日:第1回目リース料支払日〉 〈×1年3月31日:第12回目リース料支払日、決算日〉 リース取引とは、特定の物件の所有者である貸手が、その物件の借手に対し、リース期間にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、リース料を貸手に支払う取引をいいます。リース取引は、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引とに区分されます。 ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づくリース期間の中途において契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、契約に基づきリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいいます。ファイナンス・リース取引は、所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引に区分されます(中小企業会計指針74-2)。 所有権移転ファイナンス・リース取引は、このうち、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるものをいいます。 具体的には、所有権移転ファイナンス・リース取引は、次のいずれかに該当するもの又は準ずるものです(法令48の2⑤)。 所有権移転外ファイナンス・リース取引は、所有権移転ファイナンス・リース取引以外のファイナンス・リース取引をいいます。 中小企業会計指針では、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うこととされていますが、未経過リース料を注記することを条件に、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うこともできるとされています(中小企業会計指針要点)。 この設例では、リース物件が特別仕様でもなく、また、リース契約上、所有権移転条項や割安購入選択権がいずれもないことから、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当します。 したがって、中小企業会計指針によると、このリース物件については、(1)売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う方法と、(2)通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行い、未経過リース料を注記する方法のいずれかを選択適用します。 (1) 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理 この設例では、リース料総額から利息相当額を控除しない方法によるので、リース取引開始日(×0年4月1日)において、リース料総額6,000,000円(税抜)を資産計上します。同時に、そのリース料総額の税込額6,480,000円をリース債務という科目にて未払計上します。 法人税法上、リース資産の貸手から借手への引渡時にそのリース資産の売買があったものとして取り扱われる(法法64の2①)ため、この引渡時に、480,000円(=6,000,000円×8%)全額を仮払消費税として計上し、消費税申告上、この引渡時を含む課税期間において仕入税額控除の規定適用を受けます。 リース料の支払時に、毎回の支払額108,000円を普通預金から支払い、同額のリース債務を減額していきます。期末において、リース未払金をワン・イヤー・ルールにより流動負債(1年以内返済予定リース債務、108,000×12回=1,296,000)と固定負債(リース債務108,000×36回=3,888,000)に分けて表示します。 リース資産については、法人税法上、リース期間定額法が適用されます。リース期間定額法によると、耐用年数をリース期間5年に、残存価額をゼロとして、減価償却費を計算(×1年3月31日決算期:6,000,000円×12月/60月=1,200,000円)します。 (2) 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 リース料の支払時に、毎回の支払額108,000円を普通預金から支払い、その税抜額100,000円をリース料(賃借料)計上していきます。この方法は、旧来の会計処理と同じです。 法人税法上、リース資産につき借手が賃借料として損金経理した金額は、償却費として損金経理した金額に含まれるものとされる(法令131の2③)ため、損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整はありません。 消費税についても、原則は、上記(1)のとおりですが、特例として、所有権移転外ファイナンス・リース取引につき、借手が賃貸借取引として会計処理している場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間において課税仕入れとして消費税を申告しているときは、これによって差し支えないこととされます。 したがって、この設例では、この特例を適用して、リース料の支払時ごとに、毎回の支払額108,000円のうち消費税部分8,000円を仮払消費税として計上していき、消費税申告上、その支払うべき日の属する課税期間において仕入税額控除の規定適用を受けます。 なお、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理は、未経過リース料を注記することが条件なので、×1年3月31日決算期においては、その時点の未経過リース料総額(毎月末100,000円/月×48回(残り4年)×1.08=5,184,000円)を注記します。   2 決算書の金額 ケース1 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理 ▷ ×1年3月31日決算期 〈当期損益計算書〉 〈当期末貸借対照表〉 ケース2 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 ▷ ×1年3月31日決算期 〈当期損益計算書〉 〈当期末貸借対照表〉 〈個別注記表〉   3 損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整 この設例のケースは、会計処理と法人税法上の取扱いに差異がないので、損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整はありません。 (了)

#No. 212(掲載号)
#前原 啓二
2017/03/30

計算書類作成に関する“うっかりミス”の事例と防止策 【第21回】「連結と個別で不統一となっている言い回し」

計算書類作成に関する “うっかりミス”の事例と防止策 【第21回】 (最終回) 「連結と個別で不統一となっている言い回し」   公認会計士 石王丸 周夫   今年の連載のラストとなるうっかりミスをご紹介しましょう。 1 今回の事例 計算書類のドラフトにはうっかりミスがつきものです。 たとえば、こんなミスをよく見かけます。 【事例21-1】 連結株主資本等変動計算書と株主資本等変動計算書で、不統一な表現がある。 【事例21-1】は、同じ会社・同じ年度の連結株主資本等変動計算書と株主資本等変動計算書です。 この中に2ヶ所、違和感のある箇所があります。 どこだかわかりますか? ヒントを出しましょう。 同じことを言っているにもかかわらず、連結と個別で表現が違っているところがあります。 探してみてください。   2 表現はそろえたほうがよい 正解を見てみましょう。 正しく修正したところを赤字にしてあります。 【事例21-1】では、表中の期首残高と期末残高を表す言いまわしが、以下のように連結と個別で異なっていました。 連結:平成28年4月1日残高 ⇔ 個別:当期首残高 連結:平成29年3月31日残高 ⇔ 個別:当期末残高 「年月日」を記載することでも、「期首、期末」と記載することでも、どちらでも構わないのですが、同じ会社・同じ年度の連結計算書類と計算書類であれば、表現をそろえた方がよいです。 上に掲載した正解では、「期首、期末」に統一した形で修正しています。   3 起こるべくして起こるコーディネート・ミス このミスは、分類でいうと「コーディネート・ミス」になります。この連載の【第10回】で解説したとおり、コーディネート・ミスは「分業が招くミス」です。 【事例21-1】では、連結株主資本等変動計算書をAさん、株主資本等変動計算書をBさんが作成したところ、Aさんは期首と期末の表現を「年月日」で、Bさんは「期首、期末」と記載しました。 どちらも単品で見る分には問題ないのですが、それらを合わせたときに、調和を欠く結果となってしまったのです。 分業は仕事の効率化につながりますが、各担当者は、自分の担当作業にしか注意を向けなくなるという欠点があります。細分化されバラバラに進んだ各作業は、最終的に1つにまとめられなければならず、そこに新たな作業が生まれます。『全体としての統一感を確認する』という作業です。 それが誰の仕事になるのかというと、誰も自分の仕事だとは思わないのです。 誰もチェックしないのですから、そこでミスが起こるのは当然と言えば当然ですね。   4 類似事例の紹介 期首残高、期末残高の表現についてのコーディネート・ミスには、類似の事例があります。 【事例21-2】 連結株主資本等変動計算書の上段と下段で表現が不統一となっているものがある。 【事例21-2】は、連結株主資本等変動計算書の上段で「当連結会計年度期首残高」、下段で「当期首残高」としている例です。 どちらでも構いませんが、同じ表の上段と下段は同じ表現でなければおかしいです。 株主資本等変動計算書の上段と下段の相違については【第17回】でも取り上げていますので、ご参照ください。 連結と個別のコーディネート・ミスの事例としては、貸借対照表の例も紹介しておきしょう。 【事例21-3】 「1年内」と「1年以内」のどちらかに統一すべきもの 同じ会社・同じ年度の連結貸借対照表と貸借対照表です。 長期借入金のうち、1年内返済予定分の科目名が微妙に違っていますね。 「1年内」「1年以内」のどちらでもよいのですが、これもやはり統一しておくべきところでしょう。   〈今回のまとめ〉 連結計算書類・計算書類は、「不統一な表現がないかどうか」という観点から、通し読みすることも大事です。 (連載了)

#No. 212(掲載号)
#石王丸 周夫
2017/03/30

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第34回】「ソフトウェア」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第34回】 「ソフトウェア」   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 今回は、研究開発費に該当しないソフトウェアの会計処理について解説する。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。 ソフトウェアの制作費は、その制作目的により、将来の収益との対応関係が異なること等から、ソフトウェア制作費に係る会計基準は、取得形態(自社制作、外部購入)別ではなく、制作目的別に設定されている(研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書(以下、「意見書」という)三3(1))。 そのため、購入・委託に要した費用は、制作目的に応じて会計処理することとなるため、制作又は購入したソフトウェアが(1)受注制作のソフトウェア、(2)市場販売目的のソフトウェア、(3)自社利用のソフトウェア(意見書Ⅲ3(3))のいずれに該当するかを判断する。 (1) 受注制作のソフトウェアに該当する場合、【STEP2】を検討する。 (2) 市場販売目的のソフトウェアに該当する場合、【STEP3】を検討する。 (3) 自社利用のソフトウェアの場合、【STEP4】を検討する。 受注制作のソフトウェアの制作費は、請負工事の会計処理に準じて会計処理する(研究開発費等に係る会計基準(以下、「基準」という)四1)。 したがって、受注制作のソフトウェア取引は、「工事完成基準」又は「工事進行基準」により売上及び売上原価を計上する。 この際、以下の点について留意が必要である。 【留意点】 ① 認識の単位 ② 引渡し ③ 買戻し条件付き ④ 分割検収 ⑤ 複合取引 ⑥ 総額表示 ① 認識の単位 受注制作のソフトウェアの制作費は、請負工事の会計処理に準じて会計処理するため、「工事契約に関する会計基準(以下、「工事基準」という)」に従って会計処理する。 工事契約に係る認識の単位は、工事契約において当事者間で合意された実質的な取引の単位に基づく。工事契約に関する契約書は、当事者間で合意された実質的な取引の単位で作成されることが一般的である。ただし、契約書が当事者間で合意された実質的な取引の単位(※)を適切に反映していない場合には、これを反映するように複数の契約書上の取引を結合し、又は契約書上の取引の一部をもって工事契約に係る認識の単位とする必要がある(工事基準7)。 したがって、受注制作のソフトウェア取引は、当事者間において合意された実質的な取引の単位に基づき、売上及び原価を計上する。 ② 引渡し 工事完成基準においては、完成し、引渡した日が収益認識時点となるため、いつ、引渡したかは非常に重要である。また、工事進行基準においても収益認識及び原価計上の最終時点がいつかを決める必要があるため、引渡し日は非常に重要である。 受注制作のソフトウェア取引の場合、基本的にオーダーメイドによるものであり、その仕様(スペック)は確定していないため、通常、顧客(ユーザー)の側で契約内容に応じて、成果物がその一定の機能を有することについての確認が行われることにより成果物の提供が完了すると考えられる(実取2(2)②)。 したがって、契約上の取引相手との間で取り決めた成果物の内容(例えば、顧客との間の取引において、単に制作するだけでなく、契約において定められた機能を有する状態にすること)に応じて、一般的には検収等何らかの形でその成果物の提供の完了を確認することにより、収益を認識する(実取2(2)②) 。 ③ 買戻し条件付き 買戻し条件が付いている場合や、事後に大きな補修が生じることが明らかであることにより成果物の提供の完了について問題が生じている場合には、収益を認識することはできない(実取2(2)②)。 ④ 分割検収 契約が分割された場合においても、一般的には、最終的なプログラムが完成し、その機能が確認されることにより収益を認識する(実取2(3))。 しかし、最終的なプログラムの完成前であっても、例えば、顧客(ユーザー)との取引において、分割された契約の単位(フェーズ)の内容が一定の機能を有する成果物(顧客が使用し得る一定のプログラムや設計書等の関連文書も顧客にとってはそれ自体で使用する価値のあるものと考えられる)の提供であり、かつ、顧客(ユーザー)との間で、納品日、入金条件等について事前の取決めがあり、その上で当該成果物提供の完了が確認され、その見返りとしての対価が成立している場合には、収益認識の考え方に合致しているため、収益認識は可能である(実取2(3))。 したがって、例えば、分割検収において、成果物の提供の完了の確認がなく、単に作業の実施のみに基づく場合や入金条件のみに関連しているだけでは、収益を認識することはできない(実取2(3))。 また、各フェーズ完了後において、売上金額の事後的な修正が行われることがあるため、収益認識にあたっては、各フェーズ完了時の対価の成立、販売代金の回収可能性、返金の可能性等、資金回収のリスクを考慮する必要がある(実取2(3))。 ⑤ 複合取引 受注制作のソフトウェアにおける複合取引とは、例えば、システム開発請負契約に期間的なシステム利用や保守サービスに関する契約が含まれている場合(実取3)が挙げられる。 システム開発と期間的なシステム利用・保守サービスの販売時点が異なっているにもかかわらず、一方の財の販売時に、他方の財の収益を同時に認識してしまうと、収益認識時点に関して問題が生じる場合がある(実取3)。 複合取引の場合、収益認識時点が異なる複数の取引が1つの契約とされていても、管理上の適切な区分に基づき、販売する財又は提供するサービスの内容や各々の金額の内訳が顧客(ユーザー)との間で明らかにされている場合、契約上の対価を適切に分解して、機器(ハードウェア)やソフトウェアといった財については各々の成果物の提供が完了した時点で、また、サービスについては提供期間にわたる契約の履行に応じて収益を認識する(実取3)。 一方、顧客(ユーザー)との間で金額の内訳が明らかにされていない場合でも、管理上の適切な区分に基づき契約上の対価を分解して、各々の販売時点において収益認識することができる(実取注9)。 なお、財とサービスの複合取引であっても、一方の取引が他方の主たる取引に付随して提供される場合には、その主たる取引の収益認識時点に一体として会計処理することができる(実取3)。 ⑥ 総額表示 複数の企業を介する情報サービス産業におけるソフトウェア関連取引において、委託販売で手数料収入のみを得ることを目的とする取引の代理人のように、仕入及び販売に関して通常負担すべき様々なリスク(瑕疵担保、在庫リスク、信用リスクなど)を負っていない場合、収益の「総額」表示は適切でない(実取4)。このような場合、収益を「純額」で表示する。 例えば、以下のようなソフトウェア関連取引については、販売者は、一般的に、通常負担すべき様々なリスクを負っていることが明らかでないと考えられるため、収益の総額表示を行うためには、当該リスクを負っていることを示すことが必要となる(実取4)。 機器(ハードウェア)やパッケージ・ソフトウェアなどの完成度の高いものにソフトウェア開発を行って販売するケースにおいて、ソフトウェア開発の占める割合が小さいなど、付加価値がほとんど加えられていない場合の当該機器(ハードウェア)やパッケージ・ソフトウェアに関する取引 受注制作ソフトウェアにおいて、第三者であるパートナー(協力会社)にそのプロジェクト管理のすべてを委託している場合の当該ソフトウェア開発に関する取引 機器(ハードウェア)にソフトウェアを組み込んだ製品やパッケージ・ソフトウェアの売手が、製品の仕様(スペック)や対価の決定に関与していない場合の当該機器(ハードウェア)やパッケージ・ソフトウェアに関する取引 この後は、【STEP5】を検討する。 市場販売目的のソフトウェアでは、最初に製品化された製品マスター完成までと完成後の時点別に会計処理を検討する。また、減価償却の検討も必要である。 【留意点】 機器組込みソフトウェアについて、ソフトウェア自体を販売するものではないが、市場販売目的のソフトウェアと同様の価値又は経済効果を有すると考えられる場合には、市場販売目的のソフトウェアの会計処理に準じた会計処理を行う(「研究開発費及びソフトウェアに関する会計処理Q&A」(以下、「Q&A」という)Q18)。   (1) 最初に製品化された製品マスター完成までの会計処理 市場販売目的のソフトウェアの制作に係る研究開発の終了時点は、製品番号を付すこと等により販売の意思が明らかにされた製品マスター、すなわち「最初に製品化された製品マスター」の完成時点である(会計制度委員会報告第12号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」(以下、「指針」という)8)。 以上をまとめると、以下のようになる(指針32)。 【研究開発の終了時点】 ① 製品マスターについて販売の意思が明らかにされていること ② 最初に製品化された製品マスターが完成すること ① 製品マスターについて販売の意思が明らかにされていること 販売の意思が明らかにされる時点とは、製品マスターの完成の前後にかかわらず、当該製品を市場で販売することを意思決定した時点が考えられる。例えば、製品番号を付す、又はカタログに載せるなどの方法で、市場で販売する意思が明確に確認できるようになった時点などがある(指針32)。 ② 最初に製品化された製品マスターが完成すること 最初に製品化された製品マスターの完成時点は、具体的には以下によって判断する(指針8)。 最初に製品化された製品マスターが完成する時点までの制作活動は研究開発と考えられるため、ここまでに発生した費用は「研究開発費」として発生時に費用処理する(指針8)。 研究開発費は、当期製造費用として処理されたものを除き、一般管理費に表示する(意見書四1)。以下も同様である。   (2) 最初に製品化された製品マスター完成後の会計処理 最初に製品化された製品マスター完成後では、資産計上する項目と、費用処理する項目がある。また、原価計算が必要となる。 ① 資産計上又は費用処理 費用項目により、会計処理(資産計上か、費用計上か)が異なる。 (ⅰ) 製品マスター又は購入したソフトウェアの機能の改良・強化を行う制作活動(著しい改良を除く)のための費用 製品マスター(下記②参照)又は購入したソフトウェアの機能の改良・強化を行う制作活動(著しい改良を除く)のための費用は、原則として無形固定資産として資産に計上する(指針9、35)。 具体的な会計処理の流れは、以下のとおりである(指針35)。 製品マスターの制作原価を製造原価に含める。 製造原価から製品マスターの仕掛品及び完成品を無形固定資産(※)へ振り替える。 製品マスター(無形固定資産)の減価償却費は売上原価に計上する(下記(3)参照)。 製品としてのソフトウェアで販売されなかったもの及び複写等制作途上のものについては、棚卸資産の仕掛品として計上する(下記(ⅳ)参照)(製品マスター(無形固定資産)の償却費は配分されるべき原価が確定しないため仕掛品の原価には含めない)。 (※) 製品マスターの制作原価は、仕掛品についてはソフトウェア仮勘定(無形固定資産)などの勘定科目を用いる。一方、完成品についてはソフトウェア(無形固定資産)などの勘定科目を用いる(指針10)。 なお、財務諸表上の表示に当たっては製品マスターの制作仕掛品と完成品を区分することなく一括してソフトウェアその他当該資産を示す名称を付した科目で表示する。しかし、仕掛品に重要性がある場合にはこれを区分して表示することが望ましい(指針10)。 (ⅱ) 製品マスター又は購入したソフトウェアの機能の著しい改良を行うための費用 著しい改良(※)と認められる場合は、著しい改良が終了するまでは上記(1)の研究開発の終了時点に達していないこととなるため、「研究開発費」として発生時に費用処理する(指針9)。 (※) 著しい改良とは、研究及び開発の要素を含む大幅な改良を指しており、完成に向けて相当程度以上の技術的な困難が伴うものである(指針33)。 具体的な例として、機能の改良・強化を行うために主要なプログラムの過半部分を再制作する場合、ソフトウェアが動作する環境(オペレーションシステム、言語、フォームなど)を変更・追加するために大幅な修正が必要になる場合などがある(指針33)。 (ⅲ) ソフトウェアの機能維持に要した費用 バグ取り等、ソフトウェアの機能維持に要した費用は、機能の改良・強化を行う制作活動には該当しないため、発生時に費用処理する(意見書三3(3)②)。 (ⅳ) 製品としてのソフトウェアの制作原価 製品としてのソフトウェアの制作原価(ソフトウェアの保存媒体のコスト、製品マスターの複写に必要なコンピュータ利用等の経費等)については、製造原価(棚卸資産)として計上する(Q&A Q11)。 〈まとめ〉 ② 原価計算 製品マスターについては、適正な原価計算によってその取得原価を算定する(指針10)。 したがって、材料費、労務費、外注費・減価償却費等の経費を集計する必要がある。 《設例》 当期の会計処理は、以下のとおりである。 (1) 無形固定資産の計上 (2) 減価償却費の計上 (3) 仕掛品の計上   (3) 減価償却 ① 減価償却の基本 市場販売目的のソフトウェアに関しては、ソフトウェアの性格に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用する必要がある。合理的な償却方法としては、「見込販売数量に基づく方法」のほか、「見込販売収益に基づく償却方法」も認められる(指針18)。 毎期の減価償却額は、残存有効期間(販売可能期間)に基づく均等配分額を下回ってはならない(指針18)。 したがって、毎期の減価償却額は、見込販売数量(又は見込販売収益(以下、「見込販売数量等」という))に基づく償却額と残存有効期間に基づく均等配分額とを比較し、いずれか大きい額を計上する。 この場合、当初における残存有効期間の見積りは、原則として3年以内の年数までである。3年を超える年数とするときには、合理的な根拠に基づくことが必要である(指針18)。 ② 見込販売数量(又は見込販売収益)の見直し 無形固定資産として計上したソフトウェアの取得原価を見込販売数量等に基づき減価償却を実施する場合、見込販売数量等は毎期変動する可能性があるため、毎期、翌期以降の見込販売数量等の見直しを行う必要があるか(変更する必要があるか)検討する必要がある(指針19)。 例えば、新たに入手可能となった情報に基づいて当第2四半期会計期間末において見込販売数量等を変更した場合には、以下の計算式により当第2四半期累計期間及び当第3四半期以降の減価償却額を算定する(指針19)。 (計算式) なお、販売期間の経過に伴い、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売「収益」の額を上回った場合、当該超過額は一時の費用又は損失として処理する(指針20)。 この後は、【STEP5】を検討する。 市場販売目的のソフトウェアの売上計上(収益認識)において、以下の点について留意が必要である。 【留意点】 ① 複合取引 ② 総額表示 ① 複合取引 市場販売目的のソフトウェアにおける複合取引とは、例えば、ソフトウェア販売に保守サービスやユーザー・トレーニング・サービスが含まれている場合やソフトウェア・ライセンス販売(使用許諾)にアップグレードの実施が含まれている場合(実取3)が挙げられる。 各取引の販売時点が異なっているにもかかわらず、一方の財の販売時に、他方の財の収益を同時に認識してしまうと、収益認識時点に関して問題が生じる場合がある(実取3)。 複合取引の場合、収益認識時点が異なる複数の取引が1つの契約とされていても、管理上の適切な区分に基づき、販売する財又は提供するサービスの内容や各々の金額の内訳が顧客(ユーザー)との間で明らかにされている場合、契約上の対価を適切に分解して、機器(ハードウェア)やソフトウェアといった財については各々の成果物の提供が完了した時点で、また、サービスについては提供期間にわたる契約の履行に応じて収益を認識する(実取3)。 一方、顧客(ユーザー)との間で金額の内訳が明らかにされていない場合でも、管理上の適切な区分に基づき契約上の対価を分解して、各々の販売時点において収益認識することができる(実取注9)。 なお、財とサービスの複合取引であっても、一方の取引が他方の主たる取引に付随して提供される場合には、その主たる取引の収益認識時点に一体として会計処理することができる(実取3)。 ② 総額表示 複数の企業を介する情報サービス産業におけるソフトウェア関連取引において、委託販売で手数料収入のみを得ることを目的とする取引の代理人のように、仕入及び販売に関して通常負担すべき様々なリスク(瑕疵担保、在庫リスク、信用リスクなど)を負っていない場合、収益の「総額」表示は適切でない(実取4)。このような場合、収益を「純額」で表示する。 取引の例示については、【STEP2】⑥を参照されたい。 自社利用のソフトウェアでは、資産計上をするかどうかを判断するため、将来の収益獲得又は費用削減が確実であるかを検討する。また、ソフトウェアの導入費用及び減価償却を検討する。   (1) 将来の収益獲得又は費用削減が確実であるか ソフトウェアの利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であることが認められるという要件が満たされているか否かを判断する。その結果、将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められる場合はソフトウェアを無形固定資産に計上し、確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には、費用処理する(指針11)。 確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には、以下の検討は不要である。 資産計上される場合の例としては、以下が挙げられる(指針11)。 通信ソフトウェア又は第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェア等を利用することにより、会社(ソフトウェアを利用した情報処理サービスの提供者)が、契約に基づいて情報等の提供を行い、受益者からその対価を得ることとなる場合 自社で利用するためにソフトウェアを制作し、当初意図した使途に継続して利用することにより、当該ソフトウェアを利用する前と比較して会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると明確に認められる場合 ソフトウェアを利用することにより、利用する前と比べ間接人員の削減による人件費の削減効果が確実に見込まれる場合、複数業務を統合するシステムを採用することにより入力業務等の効率化が図れる場合、従来なかったデータベース・ネットワークを構築することにより今後の業務を効率的又は効果的に行える場合等で、ソフトウェア制作の意思決定の段階から制作の意図・効果が明確になっている場合 市場で販売しているソフトウェアを購入し、かつ、予定した使途に継続して利用することによって、会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると認められる場合     (2) ソフトウェアの導入費用 ① 購入ソフトウェアの設定等に係る費用 外部から購入したソフトウェアについて、そのソフトウェアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用は、購入ソフトウェアを取得費用として当該ソフトウェアの取得価額に含める。ただし、これらの費用について重要性が乏しい場合には、費用処理することができる(指針14)。 ② ソフトウェアを大幅に変更して自社仕様にするための費用 自社で過去に制作したソフトウェア又は市場で販売されているパッケージソフトウェアの仕様を大幅に変更して、自社のニーズに合わせた新しいソフトウェアを制作するための費用は、それによる将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合を除き、研究開発目的のための費用と考えられるため、購入ソフトウェアの価額も含めて費用処理する(指針14)。 将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合には、購入ソフトウェアの価額を含めて当該費用を無形固定資産として計上する(指針14)。 ③ その他の導入費用 ソフトウェアを利用するための環境を整備し有効利用を図るための費用は、原則としてソフトウェアそのものの価値を高める性格の費用ではない。したがって、その費用は原則として発生時の費用として会計処理する(指針40)。 例えば、以下のような費用は、発生した事業年度の費用として会計処理する。 (ⅰ) データをコンバートするための費用 新しいシステムでデータを利用するために旧システムのデータをコンバートするための費用については、発生した事業年度の費用とする(指針16(1))。 (ⅱ) トレーニングのための費用 ソフトウェアの操作をトレーニングするための費用は、発生した事業年度の費用とする(指針16(2))。 なお、ソフトウェアを購入する際に、上記のような導入費用も含めた価額で契約等が締結されている場合には、導入費用は合理的な見積りによって購入の対価とそれ以外の費用とに区分して会計処理を行う(指針40)。 〈まとめ〉   (3) 減価償却 ① 減価償却方法 自社利用のソフトウェアにおいても、その利用の実態に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用すべきである。ただし、一般的には、定額法による償却が合理的である(指針21)。 ② 耐用年数 耐用年数は、ソフトウェアの利用可能期間によるが、原則として5年以内の年数とする。5年を超える年数とするときには、合理的な根拠に基づくことが必要である(指針21)。 利用可能期間については、毎期見直しを行う必要がある(指針21)。 例えば、利用可能期間の見直しの結果、新たに入手可能となった情報に基づいて当事業年度末において耐用年数を変更した場合には、以下の計算式により当事業年度及び翌事業年度の減価償却額を算定する(指針21)。 この後は、【STEP5】を検討する。 ソフトウェアでは、以下の注記が必要となる。   (1) 収益認識に関する注記 受注制作のソフトウェアの場合、以下の収益認識に関する注記を行う(工事基準22、会社計算規則101④)。 工事契約に係る認識基準 決算日における工事進捗度を見積るために用いた方法   (2) 研究開発費の注記 研究開発の規模について企業間の比較可能性を担保するため、一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費の総額を財務諸表に注記する(意見書四1)。 なお、計算書類では、当該注記は必ずしも求められていない。   (3) ソフトウェアの減価償却の注記 市場販売目的及び自社利用のソフトウェアの減価償却においては、減価償却の方法及び耐用年数を注記する(指針22、会社計算規則101②)。具体的には、以下の注記を行う。 ① 市場販売目的のソフトウェアの減価償却方法に関する注記 市場販売目的のソフトウェアに関して採用した減価償却の方法 見込有効期間(年数) ② 自社利用のソフトウェアの減価償却方法に関する注記 自社利用のソフトウェアに関して採用した減価償却の方法 見込利用可能期間(年数) *   *   * 以上、5つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (了)

#No. 212(掲載号)
#西田 友洋
2017/03/30

ストック・オプション会計を学ぶ 【第12回】「財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプション又は自社の株式を用いる取引の会計処理」

ストック・オプション会計を学ぶ 【第12回】 (最終回) 「財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプション又は自社の株式を用いる取引の会計処理」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 連載最終回となる今回は、「ストック・オプション等に関する会計基準」(企業会計基準第8号。以下「ストック・オプション会計基準」という)及び「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第11号。以下「ストック・オプション適用指針」という)にしたがって、財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプション又は自社の株式を用いる取引について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ ストック・オプション会計基準の適用範囲 ストック・オプション会計基準は、次の取引に適用すると規定している(ストック・オプション会計基準3項)。 ただし、②又は③に該当する取引であっても、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)等、他の会計基準の範囲に含まれる取引については、ストック・オプション会計基準は適用されない(ストック・オプション会計基準3項なお書き)。   Ⅲ 財貨又はサービスの取得の対価として「自社株式オプション」を付与する取引 ストック・オプション会計基準13項までに規定する会計処理(ストック・オプションに関する会計処理)は、取引の相手方や取得する財貨又はサービスの内容にかかわらず、原則として、取得の対価として「自社株式オプション」を用いる取引一般に適用される(ストック・オプション会計基準14項)。 これは、ストック・オプション会計基準では、一般的に取引の対価として自社株式オプションを用いる取引を適用範囲とし、この場合にも、ストック・オプションに関する会計処理と整合的な会計処理が求められるためである(ストック・オプション会計基準64項)。 ただし、次の事項に注意が必要である。 取得した財貨又はサービスの取得価額は、対価として用いられた自社株式オプションの公正な評価額もしくは取得した財貨又はサービスの公正な評価額のうち、いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額で算定する(上記②。ストック・オプション会計基準14項(2))。 これは、取得した財貨又はサービスの公正な評価額で算定する場合にも、等価での交換の前提となっている契約成立の時点の価値で算定するのが合理的であると考えられているためである(ストック・オプション会計基準50項、64項)。   Ⅳ 財貨又はサービスの取得の対価として「自社の株式」を交付する取引 企業が財貨又はサービスの取得の対価として、自社の株式を用いる取引については、次のように会計処理する(ストック・オプション会計基準15項)。 取得した財貨又はサービスの取得価額は、対価として用いられた自社の株式の契約日における公正な評価額もしくは取得した財貨又はサービスの公正な評価額のうち、いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額で算定する(上記②。ストック・オプション会計基準15項(2))。 通常、公開企業については、自社の株式の市場価格による信頼性のある測定が可能であり、これに基づいて算定すべきものと考えられており、算定の基準日は、いずれの評価額で算定を行う場合であっても、契約日とすることが合理的であると考えられている(ストック・オプション会計基準50項、66項)。   Ⅴ いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額の判定 いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額の判定は、次のように判断する(ストック・オプション適用指針23項、67項~70項)。   Ⅵ 終わりに 「ストック・オプション会計を学ぶ」は、今回(第12回)で終了となる。 「コーポレートガバナンス・コード」において、経営陣の報酬について現金報酬と自社株報酬との適切な割合の設定などが述べられていることもあり、引き続き、ストック・オプションを利用した報酬制度も選択肢の一つと考えられる。 今回の連載が、少しでも実務に役立てば幸いである。 (連載了)

#No. 212(掲載号)
#阿部 光成
2017/03/30

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第31回:2017年3月改訂】企業結合会計③「株式移転の会計」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第31回:2017年3月改訂】 企業結合会計③ 「株式移転の会計」   仰星監査法人 公認会計士 許 仁九   〈事例による解説〉 〈X2年3月期の連結修正仕訳〉 〇開始仕訳 〇当期純利益の振替 〈会計処理及びその解説〉 株式移転により親会社と子会社が共同で完全親会社を設立する場合、この取引は「共通支配下の取引」に該当することになります(企業結合に関する会計基準16項、「指針」204項(1))。 1 HD社の個別財務諸表上の会計処理 (*1) 株式移転完全子会社株式(旧親会社P社の株式)の取得原価は、P社の株式移転日の前日における適正な帳簿価額による株主資本の額2,000(=資本金1,700+利益剰余金300)に基づいて算定します(「指針」239項(1)①ア)。 (*2) 株式移転完全子会社株式(旧子会社S社の株式)の取得原価のうち、旧親会社持分(80%)については、S社の株式移転日の前日における適正な帳簿価額による株主資本の額1,200(=資本金1,000+利益剰余金200)に持分比率80%を乗じて算定します(「指針」239項(1)②ア)。 (*3) 株式移転完全子会社株式(旧子会社S社の株式)の取得原価のうち、非支配株主持分(20%)については、非支配株主A社に交付したHD社株式の時価300に基づいて算定します(「指針」239項(1)②イ)。 2 P社の個別財務諸表上の会計処理 株式移転に際して、P社がS社株式と引き換えに受け入れたHD社株式の取得原価は、S社株式の株式移転直前の適正な帳簿価額により計上します(「指針」239-4項)。 3 HD社の連結財務諸表上の会計処理 (1) P社に係る投資と資本の相殺消去 P社株式の取得原価とP社の株主資本を相殺します(「指針」240項(1)①)。 (2) S社に係る投資と資本の相殺消去 S社株式の取得原価とS社の株主資本を相殺し、消去差額は資本剰余金に計上します(「指針」240項(1)②)。 (3) P社所有HD社株式の自己株式への振替 P社がS社株式と交換により受け入れたHD社株式は、連結財務諸表上、自己株式に振り替えます(「指針」240項(2))。 (4) 資本項目の振替 HD社の株主資本の額は、株式移転直前のP社の連結財務諸表上の株主資本項目に非支配株主との取引により増加した払込資本の額を加算します(「指針」240項(3))。 株式移転前のP社の連結貸借対照表上の株主資本2,160(=資本金1,700+利益剰余金460)に、非支配株主との取引により増加した払込資本240(A社に発行したHD社株式の時価300+A社からS社株式を取得する際に生じた資本剰余金△60)を加算した額が、HD社の株主資本2,400(=資本金1,700+資本剰余金1,040+利益剰余金460-自己株式800)となります。 なお、利益剰余金の額は株式移転により変動しないため、株式移転前後の利益剰余金の額が同額となるよう、HD社個別貸借対照表上の資本剰余金を連結仕訳により利益剰余金に振り替えます。 (了)

#No. 212(掲載号)
#許 仁九
2017/03/30

これからの会社に必要な『登記管理』の基礎実務 【第1回】「商業登記記録は「会社の履歴書」」

これからの会社に必要な 『登記管理』の基礎実務 【第1回】 「商業登記記録は「会社の履歴書」」   司法書士法人F&Partners 司法書士 本橋 寛樹   はじめに いきなりだが、まず自社又は顧問先の企業が以下のチェックリストに当てはまるか、確認していただきたい。 ◆ ◆ ◆ チェックリスト ◆ ◆ ◆ □ 役員の任期到来の時期を把握している。 □ 登記記録と定款の記載に不一致がない。 □ 会社代表者の住所変更に伴う登記を変更のたびに行っている。 □ 全株主の氏名、住所、持株数、株式取得年月日を株主名簿に反映している。 □ 株主、役員の全員と連絡をとれる状態であり、株主、役員の意思表示は問題なく行われる。 □ 株主総会や取締役会に参加資格のある者に漏れなく決議の機会を与えている。 □ 株主の構成に変動がある場合に、会社所定の書式によって経過を証明できる。 □ 議事録や定款等の備置書類を時系列に沿って保管し、必要に応じて取り出せる。 □ 株主総会で定款変更の決議のたびに、定款を更新している。 チェックの結果はいかがであっただろうか。 上記項目のうち一つでも漏れがあるという会社は、これから始まる本連載の解説を読み進め、活用していただきたい。 本連載『これからの会社に必要な『登記管理』の基礎実務』では、主に会社の実務担当者や、法人案件に携わる税理士等を対象に、登記に至るまでの過程を軸とする社内整備の方策について、司法書士の立場から、分かりやすく、かつ、実践的に解説していく。   商業登記記録は「会社の履歴書」 本連載を読み進めていくうえで、まず、 商業登記記録 = 会社の履歴書 とイメージしていただきたい。 会社情報を精査するには、商業登記記録が記載される、法務局発行の「履歴事項全部証明書」を活用する。 この「履歴事項全部証明書」だが、省略して表記すると「履歴書」になる。つまり、商業登記記録は文字通り、「会社の履歴書」のようなものといえる。 個人の履歴書には、氏名、住所、生年月日をはじめとして、学歴や資格、職歴等の項目がある。一方、商業登記記録には、個人の履歴書に対応する、会社の商号、本店、会社の成立年月日をはじめとして、資本金、役員構成、機関設計等の項目がある。   共通点は? 例えば個人の履歴書の場合、入社を希望する会社の書面審査において、一定の審査水準を超えると、その書面審査を通過できる。逆に一定の水準を満たさないと、面接等の次のステップに進めない。誤字・脱字や、矛盾点がみられたり、転職回数が重なったりすると、審査の水準が満たされない可能性が高くなる。 上記のことは、会社の場合にも当てはまる。取引を検討するにあたり、対象会社の商業登記記録を確認することになるが、審査の水準を満たせば、取引開始のステップに近づく。逆に最低限の水準を満たしていないと、取引が見送りになるおそれがある。登記記録と会社資料の記載に不一致があったり、本店移転や商号変更が頻繁に行われたりするといった点は、会社の信用力低下に結びつく。   相違点は? 個人の履歴書と会社の商業登記記録には、上記のような共通点がある一方、次のとおり相違点がある。 会社の履歴書の特徴をまとめると、以下のとおりである。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 以上、商業登記記録の特徴をまとめると次のとおりである。 一定の時期に、複数の者の意思決定によって更新され、誰でも閲覧することができる記録   本連載の今後の進め方 本連載では、下図のとおり、商業登記記録の特徴を踏まえて、登記に至るまでの過程として、『任期管理』・『株主管理』・『議事録管理』の3点に着目する。 そして、この3点の総称を『登記管理』と定義する。 会社の登記管理が万全であれば、その会社の意思決定が迅速かつ忠実に登記記録に反映され、会社の信用力向上を期待できる。 他方で、登記管理が不十分であると、会社の意思決定が滞ったり、覆ったりする等のリスクを伴い、会社の信用力低下が懸念される。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 *  *  * 次回は、登記管理を怠った場合、どのようなリスクが生じるのかという点について紹介したい。 (了)

#No. 212(掲載号)
#本橋 寛樹
2017/03/30

税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第6回】「管理者による『預金の使い込み』(その1)」

税理士が知っておきたい [認知症]と相続問題 〔Q&A編〕 【第6回】 「管理者による『預金の使い込み』(その1)」   クレド法律事務所 駒澤大学法科大学院非常勤講師 弁護士 栗田 祐太郎   [設問06] 90歳になる私の父は、2年前に中程度の認知症と診断されたのと同時に内臓疾患が見つかったため、手術を行い、その後も長期間の入院を余儀なくされていました。 父は先月亡くなりましたが、遺言書を残していなかったため、相続人となる私と私の姉との2人で遺産の分割を協議することになりました。 しかし、ほぼ唯一の遺産であったはずの父の銀行預金が、死亡時にはわずか数十万円程度しか残っていなかったのです。 ◆  ◆  ◆ 父の入院中、身のまわりのことは、私の姉がすべて面倒を見ていました。 姉はもともと実家で父と2人暮らしをしていたので、父が入院したとき、自然の流れで父から通帳と印鑑を預かり、必要な入出金を代行することになりました。姉は、病院での付き添い、日用品の買い出し、入院費用等の各種支払い等、まさに父の生活全般をサポートしていました。 認知症となっていた父はひとりでは生活ができず、その中で姉が献身的な働きをしてくれたことには感謝しているのですが、父は入院する以前のまだ元気な頃から、常々、「自分が遺産として残せるのは、約1,500万円の銀行預金しかない。他にめぼしい財産は持っていないので、孫たちのためにもできるだけ無駄遣いはせず、お前たち娘に残してやるつもりだ。」と話していたのです。 約1,500万円あったはずの銀行預金も、わずかこの2年間で無くなってしまったということになります。 ◆  ◆  ◆ 私は不審に思い、姉に尋ねてみましたが、姉は との一点張りで、埒が明きません。 姉による財産管理が適切であったかが極めて疑わしい状況のなか、私は一体どうすればよいのでしょうか。   1 急増する「預金の使い込み」問題 筆者が弁護士として日々さまざまな相談を受けるなかで、近年急増しているトピックスが、いわゆる「預金の使い込み」である。 そして、この典型的な相談事例を元にしたのが今回の【設問06】である。 高齢に伴う判断能力の低下や身体障害等から、自分ひとりでは財産の管理や各種の支払いが困難な状況となったものの、成年後見人を付けるといった大袈裟な話になることは好まない、というようなケースはいくらでもある。 このようなケースで、子供や親族と同居していたり、または近所に住んでいる場合には、その者を信用して預金通帳や印鑑を預け、財産管理を任せることも非常に多い。 そのような中で使途不明金が発生し、財産管理に携わっていなかった親族から“不正な使い込み”を疑われてトラブルになるというのが「預金の使い込み」の事案である。 今回は、【設問06】の相談者=請求側の立場に立って、この種のトラブルへの対応方法を解説したい。   2 被害状況の把握(1)-「入出金明細」の取り寄せ まず何よりも、本件での被害状況、すなわち、 本人の存命中に、預金が、いつ、いくら払い戻されたのか? を正確に確認することが最優先となる。 本件では、相談者の父が既に亡くなっているため、法定相続人である相談者は、父名義の預金口座の「入出金明細」につき、自分ひとりで(=姉の協力・承諾を得ることなく)金融機関に請求し、開示してもらうことができる。これは判例も認めるところであるし、金融機関における実際の運用もそうなっている。 本件では、姉が財産管理を開始したのが2年前とあるので、その時期(入院開始前後)以降、現在までの入出金明細を入手できれば足りるだろう。 なお、【設問06】とは異なり、父がまだ存命中に「預金の使い込み」が疑われる事態が発生した場合は、どのようにすればよいだろうか。 この場合には、父本人に事情を話し、事実関係の正確な把握の必要性を理解してもらった上で協力を要請し、本人から委任状を入手して、代理人としての立場で金融機関に入出金明細の開示を求めればよい。 他方、本人がなかなか協力してくれない(自分が依頼した親族に財産管理を任せているというのであるから、心情的に協力を拒絶する場合も少なくない)といった場合には、入出金明細の確認もできず、通帳の確認も困難ということになり、その段階では事実関係の確認が困難といえる。 したがって、財産を管理している親族に対して直接に、通帳の写しや入出金明細の入手・開示を求めていくべきであろう。   3 被害状況の把握(2)-「出金一覧表」への整理 入手金明細を取り寄せた後は、特に出金(払戻し・引き落とし)の内容を精査していき、①出金日時と②出金額、そして、必要に応じて③出金場所(どこの支店・ATMか)を、時系列で一覧表に整理していく。 こうして一覧表に整理していくことで、出金の総額はいくらであったのか(数年間で千万単位の出金がなされていることも珍しくない)、出金が頻繁になされた時期はいつか等の情報が立体的に浮かび上がってくる。 一覧表作成の際のポイントとしては、①入手金明細や通帳等の記載から送金先・引き落とし先がわかるもの(例えば、水道光熱費、携帯料金、病院への支払い等)は除外する。 これは、高齢者本人の生活のために必要な支出であることが表記上明らかであり、請求内容から外すことで議論が整理されるからである。 同様に、②使途が不明な出金であっても、一度の出金で例えば5万円以下といった少額の出金も除外する。 これは、あまりに少額の出金を計上するとなると、後の損害額の計算が煩瑣になるためであるのと、金額に照らして、高齢者本人の日常生活にまつわる支出であると推測されるからである。 ただし、この場合でも、1日のうちで何度も出金がなされている場合や、短期間で多数回の出金がなされている場合には、例外的に一覧表に計上する。   4 管理者への返金請求 以上のようにして出金一覧表を作成すると、【設問06】においても、ここ2年間での姉による出金のうち、使途が不明であるものが特定できる。 そのうえで、まずは示談交渉として、以下のような段取りで交渉を進めていくのが良いであろう。 以上のように示談交渉を進め、姉との間で一定金額の返金をしてもらうことで合意できた場合には、合意書を作成し、この件については紛争を清算する。 他方で、示談交渉が物別れに終わった場合には、①中立的な第三者の仲介による話合いでの解決を目指し民事調停を申し立てるか、あるいは、②裁判所による判断を下してもらうべく、姉を被告とした民事訴訟を提起することを検討することになる。 調停申立てや訴訟提起の際には、前記のようにして分析して作成した出金一覧表を調停申立書ないし訴状別紙として添付すると、裁判所の方でも整理がしやすく、便宜である。 *  *  * それでは、請求を受けた姉の側としては、どのような対応をしていくべきか。 次回は、裁判となって以降の攻防に関連して、今回とは逆の姉の立場(財産管理者側)での争い方につき説明したい。 (了)

#No. 212(掲載号)
#栗田 祐太郎
2017/03/30

《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成28年7月~9月)」~注目事例の紹介~

 《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(平成28年7月~9月)」 ~注目事例の紹介~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   国税不服審判所は、平成29年3月23日、「平成28年7月から9月分までの裁決事例の追加等」を公表した。今回追加されたのは表のとおり、全12件であった。 今回の公表裁決では、国税不服審判所によって課税処分等が全部又は一部が取り消された事例が6件、棄却又は却下された事例が6件となっている。税法・税目としては、所得税法5件、国税通則法及び相続税法が各2件、法人税法、登録免許税及び消費税法が各1件であった。 【表:公表裁決事例平成28年7月~9月分の一覧】 ※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された12件の裁決事例のうち、重加算税の賦課決定処分と更正期間に関する不服審判所の考え方が示された上記②の裁決事例をはじめ、いずれも棄却事例であるが、所得税と消費税に関する事例をそれぞれ1件、紹介したい。いつものお断りであるが、論点を簡素化するため、複数の争点がある裁決については、その一部を割愛させていただいていることを、あらかじめお断りしておきたい。   1 重加算税(隠蔽、仮装の認定)・・・② 本件は、国税不服審判所が、重加算税の要件である「仮装、隠蔽」は認めなかったものの、更正期間を7年とする「偽りその他不正の行為」を認定した事例である。 (1) 争点 (2) 審判所の判断 ① 重加算税の賦課決定処分(国税通則法68条) 審判所はまず、重加算税を課するための要件として、次のように述べた。 そのうえで、審判所は、以下の理由から、請求人が本件事業に係る帳簿を作成していなかったことをもって、過少申告等の意図を外部からもうかがい得る特段の行動とまでは評価することができないと結論づけた。 ② 更正期間を7年とすることの是非(国税通則法70条) 一方、国税通則法70条に規定する「偽りその他不正の行為」について、審判所は以下のように定義する。 そのうえで、請求人については、以下のとおり、「偽りその他不正の行為」に該当すると判断した。 2 雑所得(収入すべき時期)・・・⑤ 本件は、外貨建借入金の為替差益の計上時期をめぐって、国税不服審判所が、審査請求人の主張を認めなかった事例である。 (1) 争点 借換えの時点において、既存の外貨建借入金の借入時の円換算額と新規の外貨建借入金により取得した外貨による返済額の円換算額との差額である為替差益を所得として認識すべきか否か。 (2) 審判所の判断 審判所はまず収入金額の計上時期について、最高裁昭和49年3月8日判決を引用して、次のように述べた。 そのうえで、外貨建取引を行った場合の円換算について規定する所得税法第57条の3第1項の規定についても、「所得の実現があったことを前提として、当該所得の金額の計算方法について規定したものであり、未実現の利得について同項の規定による換算を行うことにはならないと解される」として、あくまでも実現した為替差損益を課税の対象とすることを示し、具体的に、為替差損益の認識基準を次のように述べた。 そして、請求人の借換えについては、「同一支店から、同一の通貨、同一の金額で行われたものであり、借入れ及び返済の前後における借入金の内容に実質的な変化が生じたとは認められない」ことから、「計算される為替差損益は、単に評価上のものにすぎず、課税の対象となる収入として認識しないこととなる」と結論づけて、請求人の主張を退けた。   3 非課税取引(住宅の貸付け)・・・⑫ 本件は、再転貸借契約に係る建物の貸付けが消費税法に規定する非課税取引に該当するかどうか、国税不服審判所が判断を示した事例である。 (1) 争点 請求人の行った賃貸借取引(転貸借取引)は、非課税取引である「住宅の貸付け」に該当するか否か。 (2) 消費税法基本通達6-13-7 住宅用建物を転貸する場合の取扱いを定めた消費税法基本通達6-13-7(以下「本件通達」と略称する)の規定は、次のとおりである(下線は引用者による)。 (3) 審査請求人の主張 審査請求人の主張の概要は以下のとおりである。 (4) 審判所の判断 審判所は、住宅の貸付けが消費税法上非課税取引とされている趣旨を「住宅の貸付けを行う事業者が賃借人に対し、消費税相当額を転嫁しないことにより、住宅賃借人を政策的に保護することにある」と述べたうえで、本件通達の取扱いを相当であると認めた。 そして、請求人と賃借人との契約条件を検討したうえで、本件賃貸借契約は、賃借人が本物件を住宅(人の居住の用に供する家屋等)として転貸することが契約書その他において明らかであるから、本件賃貸借取引は、消費税法別表第一第13号に規定する「住宅の貸付け」に該当し、その全額が非課税取引となると結論づけた。 また、審判所は、請求人の主張について、以下のように斥ける見解を示している。 (了)

#No. 211(掲載号)
#米澤 勝
2017/03/27

《速報解説》 東証、「資本政策に関する株主・投資家との対話のために~リキャップCBを題材として~」を公表~「自社株買いの合理性」等、6つの検討ポイントで「想定される質問の例」と投資家の考え方を説明~

《速報解説》 東証、「資本政策に関する株主・投資家との対話のために ~リキャップCBを題材として~」を公表 ~「自社株買いの合理性」等、6つの検討ポイントで 「想定される質問の例」と投資家の考え方を説明~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年3月17日、株式会社東京証券取引所は、「資本政策に関する株主・投資家との対話のために ~リキャップCBを題材として~」(以下「本報告書」という)を公表した。 これは、上場会社と株主・投資家の相互理解を深め、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のための建設的な対話を促進することを目的とするものであり、リキャップCBと呼ばれるエクイティ・ファイナンスを例にして、中長期的な視点で投資する投資家の目から見た疑問点等を明らかにすることで、投資家の資本政策に関する考え方を解説するものとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 リキャップCB リキャップCBとは、転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行で資金を調達すると同時に自社株買いを行うことで、負債を増やしつつ資本を減らし、資本再構成(リキャピタライゼーション)を行う資本政策である(2頁)。 リキャップCBを発行すると、資本が減少してROE(自己資本利益率)の分母が小さくなるので、計算上、ROEの値が大きくなる効果がある。 2 対話のポイント 国内外の機関投資家等からは、上場会社が資本生産性の改善に取り組むことは評価できるものの、リキャップCBは必ずしも企業価値の向上に寄与せず、既存株主の立場からは歓迎できないという批判的な意見もあるとのことである。 このように、上場会社と投資家との間の資本政策を巡る意見の相違に関して、建設的な対話を促進するために、リキャップCBを題材として、本報告書では、重要な6つのポイントとして、以下の事項を挙げて説明している。 (了)

#No. 211(掲載号)
#阿部 光成
2017/03/24
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