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税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題 【第6回】「『判断能力』に問題ある場合/問題が発生しそうな場合の具体的対処法(その1)」

税理士が知っておきたい [認知症]と相続問題 【第6回】 「『判断能力』に問題ある場合/ 問題が発生しそうな場合の具体的対処法(その1)」   クレド法律事務所 駒澤大学法科大学院非常勤講師 弁護士 栗田 祐太郎   1 自分/親族の「判断能力」に関心を持つことの重要性 前回までの解説で明らかなように、一度認知症となり、判断能力に問題が生じる事態となれば、自己の財産管理や各種契約の締結等において著しい支障が生じることになる。 そのため、自分や家族が認知症となって判断能力に問題が生じる前から、将来の万一の事態に備えた手当てをしておくことは非常に有用である。 もしくは、判断能力に関して問題を感じ始めた初期の段階で、その時点でなしうる最善の対策に、できるだけ早期に取り組むということも肝要となる。 そこで、今回と次回とで、判断能力に問題が生じる場合の段階ごとにステージを分け、対処法を検討したい。   2 第1ステージ:平常時~判断能力に不安が生じてきた段階 ▷想定する状況 ▷対応方法 まだ本人の判断能力には目立った問題がない第1ステージにおいて、将来の財産管理の重要性に気づき、先手を打って対策を検討しておくことは非常に賢明といえる。 この段階では、下記のような広範な手法を使うことができ、また、生前において中長期にわたっての相続税対策上の取り組みも可能となる。 なお、【第2回】でも説明したように、一般的に加齢とともに認知症の罹患率も上昇する傾向にある。 仮に第1ステージから財産管理等への取り組みを始めた場合であっても、事情の変動による管理方法の見直しや本人に対する有効な治療・療養看護のためには、認知能力の低下がないか等についてその後も継続的に注意を向けていく必要がある。 ▷第1ステージで取りうる財産管理等の手法 ▷補足説明 まず、(1)財産管理契約についてであるが、非常に多発するトラブル例は、「管理を依頼された者が適切に財産管理を行わず、使途不明金が生じた」というものである。 この場合、依頼した本人の死後に相続人がこれを発見し、受任者に対して損害賠償請求するケースも近年増加している(いわゆる預金の使い込みのケース)。 このような事態を防止する対策としては、①財産管理を依頼された者以外の第三者(別の親族等)が、定期的に、預貯金残高や入出金の概要につき報告を受け、チェックできるような体制としておく、②受任者には、士業など職務上適切な取扱いを義務付けられている者に就任してもらうこと等が考えられる。 次に、(3)民事信託についてであるが、これらは近時話題とされることも多く、様々な利用形態が考えられる。そのため、個々人のニーズに応じ、契約内容の慎重な検討を前提として、これを利用することも選択肢に入れてよい。 その代表的な類型については、本連載後半のQ&A編において紹介したい。 (了)

#No. 188(掲載号)
#栗田 祐太郎
2016/10/06

〈小説〉『資産課税第三部門にて。』 【第13話】「認知症と相続債務」

〈小説〉 『資産課税第三部門にて。』 【第13話】 「認知症と相続債務」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「あの、統括官・・・納税者から電話で質問があったのですが・・・」 谷垣調査官は、田中統括官の机の前に立っている。 「納税者?」 資産税の調査報告書を読んでいた田中統括官は顔を上げた。 「ええ、相続債務についてなんですけど・・・」 谷垣調査官は少し困ったような表情を浮かべている。 「難しい質問なのかい?」 田中統括官は優しく尋ねる。 「それが・・・認知症の人の債務になるかどうか、というもので・・・」 谷垣調査官は電話のメモを見ながら応えた。 「認知症か・・・テレビなどを観ていると、介護する家族は本当に大変だね・・・」 田中統括官は真面目な顔になった。 「そうなんです。この前も、認知症の人が起こした事故(不法行為)に対して、鉄道会社がその家族に損害賠償を請求した事件かありましたよね・・・もっとも最高裁(平成28年3月1日判決)は、賠償責任はないと判断しましたけど・・・」 谷垣調査官は、先日、雑誌で読んだ記事を思い浮かべる。 「・・・ところで、納税者からの質問内容はどういうものだったの?」 田中統括官は谷垣調査官に尋ねた。 「はい、納税者からの質問は、この損害賠償金が、事故を起こした被相続人の相続債務になるのか、ということなんですけど・・・」 谷垣調査官は再びメモを見る。 「損害賠償は、認知症の人に対してではなく、介護をしていた家族に対してのものだよね?」 田中統括官は谷垣調査官の顔を見た。 「ええ・・・民法714条に基づく「監督義務」の責任です。」 「ということは、損害賠償金は、介護をしていた家族が支払うべきもので、認知症の人はもともと責任能力がないから、認知症の人の債務ではないだろう。」 田中統括官は、傍らにある小六法を取り出して図を描いた。 田中統括官は図を描き終えると、説明を始めた。 「鉄道会社は、基本的に、事故を起こした人に民法709条(不法行為)に基づく損害賠償をするけれども、精神上の障害により、自分が悪いことをしたと弁識できない成年者(認知症の人)は、他人に損害を与えても、その人に損害賠償の民事責任は負わさない・・・と民法713条に規定している。」 田中統括官は小六法で再び条文を確認する。 「ということは、鉄道会社は、認知症の人には損害賠償の請求ができないということなのですね。責任能力のない人に対して民事責任は負わせないということだから・・・やむを得ないということか・・・」 谷垣調査官は納得した様子だ。 「したがって、鉄道会社は、認知症の人を介護していた家族に対して損害賠償の訴えを起こすことになるのだけど、その根拠条文が民法714条・・・すなわち「責任無能力者の監督義務者等の責任」・・・ということになる。」 田中統括官は、民法714条を読み上げた。 「先ほどの最高裁は、家族の監督義務を否認し、家族は損害賠償金を支払う必要がなかったのですが、もし、責任を負うと判断された場合には、その損害賠償金は、統括官が説明されたように、法律上、認知症の人の債務ではないと判断することが、本当に妥当なのでしょうか・・・」 田中統括官は黙ったまま、谷垣調査官の話を聞いている。 谷垣調査官は話を続ける。 「例えば、認知症の人が多くの財産を持っていて、家族がお金を持っていない場合に、認知症の人の財産から損害賠償金が支払われたら・・・これって逆に、家族に贈与税を課するのか、という疑問が生じますよね・・・」 そう言うと、谷垣調査官は思案顔になる。 「確かに・・・君の言うことも分かるが・・・」 田中統括官も腕を組みながら考えている。 さらに谷垣調査官は尋ねる。 「・・・家族に対する贈与税はともかく、もし、これを相続債務として、相続人が相続税の申告をしてきた場合、統括官はこの申告を更正しますか?」 「・・・」 田中統括官は黙ってしまう。 「もともと、認知症の人が損害賠償の原因を作ったのだから、たとえ法律上は、認知症の人は責任無能力者で本人に対して責任を問えないとしても、公平の理念や条理に照らして、実質的な側面で課税する税法の世界では、被相続人の相続債務として、控除してもかまわないように思えるのですが・・・」 谷垣調査官は、田中統括官を見つめる。 「う~ん・・・これは、最終的には、立法で解決するしかないのかなあ・・・」 田中統括官は、腕を組みながらつぶやいた。 (つづく)

#No. 188(掲載号)
#八ッ尾 順一
2016/10/06

《速報解説》 H28.10以降提出分の相続税申告書への「被相続人の個人番号(マイナンバー)」記載が不要に~納税者等からの意見を踏まえ国税庁が取扱いを変更

《速報解説》 H28.10以降提出分の相続税申告書への 「被相続人の個人番号(マイナンバー)」記載が不要に ~納税者等からの意見を踏まえ国税庁が取扱いを変更   Profession Journal編集部   マイナンバー制度の導入により、本年1月1日以降発生した相続等に係る相続税の申告書には、各相続人等に加え被相続人の個人番号も記載することとされていた。 この点については既報の通り、国税庁ホームページの「社会保障・税番号制度〈マイナンバー〉FAQ」において7月8日付で「相続税・贈与税に関するFAQ」を設け、柔軟な対応を含め周知してきたところだ。 具体的には下表の通り、被相続人の個人番号が確認できない場合などは、相続税申告書における被相続人の個人番号の記載欄を空欄として提出することも認められていた。 このたび9月30日付で、国税庁は下記のように、平成28年10月以降に提出される相続税申告書については、被相続人の個人番号の記載を不要とする取扱いを示した。 (※) 贈与税の申告書における贈与者の個人番号については上表のとおり、従前から記載が不要とされている(贈与を受けた者の個人番号記載は必要)。 これは、相続税申告書への被相続人の個人番号の記載について、納税者等から、 といった意見が寄せられたことを踏まえ、関係省庁と協議・検討の上、取扱いを変更するとしたもの。 なお、既に税務署へ提出された相続税申告書に記載された被相続人の個人番号については、税務署においてマスキングすることとされている。 今回の取扱い変更を受け、すでに国税庁ホームページ上の相続税の申告書第1表については様式が改訂されており、さらに上記FAQの内容も見直しが行われている。 相続税の申告実務としては朗報と言えるが、各相続人等の個人番号については従前どおり記載が必要とされているため、見直し後の上記関係資料を改めて確認いただき、各相続人等の特定個人情報の取扱いについては引き続き慎重を期したい。 【参考図】 (※) 国税庁ホームページより (了)

#No. 187(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/10/04

《速報解説》 「公益法人会計基準を適用する公益社団・財団法人及び一般社団・財団法人の財務諸表に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」が公表~過年度遡及会計基準に係る監査上の取扱いを追加~

《速報解説》 「公益法人会計基準を適用する公益社団・財団法人及び一般社団・財団法人の財務諸表に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」が公表 ~過年度遡及会計基準に係る監査上の取扱いを追加~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年9月27日、日本公認会計士協会は、「公益社団・財団法人及び一般社団・財団法人における監査上の取扱い」(非営利法人委員会実務指針第34号)を改正し、「公益法人会計基準を適用する公益社団・財団法人及び一般社団・財団法人の財務諸表に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」(非営利法人委員会実務指針第34号)として公表した。 これにより、平成28年6月16日から意見募集していた公開草案が確定することとなる。実務指針の改正に際して、公開草案に対する「コメントの概要及び対応について」も公表されている。 今回の改正は、平成28年3月23日に公表された「平成27年度 公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について」(内閣府公益認定等委員会 公益法人の会計に関する研究会。以下「27年度報告」という)に基づいて検討を行い、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号。以下「過年度遡及会計基準」という)に係る監査上の取扱いを追加した上で、形式的な変更を行ったものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 1 適用範囲 公益社団・財団法人及び一般社団・財団法人における法定監査及びこれに準ずる監査上の取扱いについて規定している(実務指針1項)。 2 財務報告の枠組み 公益法人会計基準を適用した財務諸表は、一般目的として受入可能であり、また、公益法人会計基準は、監査基準委員会報告書200第12項(13)に規定する適正表示の枠組みの要件を満たしていると考えられるため、一般目的・適正表示の枠組みであると考えられる(実務指針11項)。 3 過年度遡及会計基準 27年度報告では、過年度遡及会計基準について原則適用とするのではなく、本基準の企業への適用状況、公益法人の実態等に鑑み、「自主的に適用することは妨げない」という取扱いが示されている。 また、27年度報告では、「公益法人が会計監査を受ける場合の取扱いについては、別途、日本公認会計士協会において、ご検討いただきたい。」という取扱いも示されている。 会計方針や表示方法の変更、過去の誤謬の訂正があった場合には、過年度遡及会計基準を適用することにより、「財務諸表の期間比較可能性及び企業間の比較可能性が向上し、財務諸表の意思決定有用性を高めることができる」という趣旨は、非営利組織における財務報告の目的を達成する観点からも、企業と公益法人の間で違いはないため、監査対象となるような公益法人においては、通常、過年度遡及会計基準を適用することとなる(実務指針24項)。 4 独立監査人の監査報告書の文例 実務指針では、「付録 独立監査人の監査報告書の文例」が記載されており、公益法人会計基準を適用した財務諸表について法定監査を実施する場合の監査報告書の文例(無限責任社員の場合で、公認会計士法34条の10の4第2項に規定する指定証明であるとき)を示し、実務の参考に供している。   Ⅲ 適用時期等 実務指針は、平成29年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する。 (了)

#No. 187(掲載号)
#阿部 光成
2016/09/29

プロフェッションジャーナル No.187が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年9月29日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.187を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/09/29

〈平成28年9月30日施行〉スキャナ保存制度の見直しについて

〈平成28年9月30日施行〉 スキャナ保存制度の見直しについて   税理士 坂本 真一郎   1 スキャナ保存制度の見直し いよいよ、平成28年9月30日以後の申請分から、領収証等をスマホやデジカメにより撮影した画像データにより保存し原本書類を廃棄できるという「平成28年度改正によるスキャナ保存制度」がスタートする。 そもそも、企業等が作成又は受領する仕訳帳等の国税関係帳簿や、決算書類、領収証・請求書等の国税関係書類については、法人税法等の規定により法定保存期間にわたり紙で保存することが義務付けられているが、平成10年7月に国税関係帳簿書類の保存方法等の特例法として「電子帳簿保存法」が施行され、事前に所轄税務署長等の承認を受ければ、企業等が作成した仕訳帳や決算書類などのデータを、一定の要件の下、データにより保存することが可能となった。 その後、平成17年4月の電子帳簿保存法改正により「スキャナ保存制度」が導入され、これにより、事前に所轄税務署長等の承認を受ければ、企業等が取引先から受け取った領収証や、自らが作成し相手方に交付した請求書の写し等の紙の書類を、一定の要件の下、スキャナで読み取った画像データにより保存し、原本書類を廃棄することができるようになった。 しかしながら、平成17年4月に「スキャナ保存制度」がスタートしてから平成27年6月までの約10年もの間に、全国でスキャナ保存の承認を受けた事業者はわずか152件と極めて少ない件数となっている。これは、可能な限り原本との同等性が求められるため、スキャンデータの真正性の担保に必要な法的要件が非常に厳しいことなどが要因であった。 このような中で、経済団体等からのスキャナ保存制度に係る規制緩和要望を踏まえて、国税庁は要件緩和を実施し、平成27年3月に電子帳簿保存法施行規則が改正された。 これにより、それまでは、国税関係書類のうち契約書や領収証については記載金額が3万円未満のものに限りスキャナ保存の対象とされていたが、平成27年度改正後は、金額に関わらず全ての国税関係書類がスキャナ保存の対象となった。また、スキャナで読み取る際に必要とされていた電子署名が不要となり、入力者等の情報さえ確認できればよいとされた。その一方で、適正な事務処理の実施を担保するための措置として「適正事務処理要件(※1)」という内部統制要件が追加された。 (※1) 「適正事務処理要件」とは、国税関係書類の作成又は受領から当該国税関係書類に係る記録事項の入力までの各事務について、その適正な実施を確保するために、「相互けん制」、「定期的な検査」及び「報告連絡体制」に掲げる事項に関する規程を定めるとともに、これに基づき当該各事務を処理することをいい、「定期的な検査」が完了すれば原本書類を廃棄できるとされている。 そして、今年度も平成28年3月に電子帳簿保存法施行規則が改正され、「スキャナ保存制度の見直し」が連年で行われた。   2 平成28年度改正の概要 上記の通り、平成28年度改正では、領収証等の国税関係書類をスマホやデジカメで撮影し電子化できるというのが大きなポイントである。 また、平成27年度改正で追加された「適正事務処理要件」を満たすためには最低でも3名の人員が必要だったが、平成28年度改正により、小規模企業者の場合には「定期的な検査」を税務代理人等に依頼すれば、「相互けん制要件」が不要となった。 例えば、1人で事業を営む者が領収証等を受領した場合、自らが領収証等をスキャニングし、原本である領収証等とスキャン画像の入力確認を行い、タイムスタンプを付与し、顧問税理士等に定期的な検査のみを依頼すれば「相互けん制要件」が不要とされるため、「適正事務処理要件」を満たすための人員は事業主と顧問税理士等の2名のみで足りることとなった。   3 適正事務処理要件に基づく事例 それでは、平成28年度改正を踏まえて「適正事務処理要件」を満たすためには具体的にどのような業務フローが考えられるか。経費精算事務を例に、4つの事例を掲げてみた。 【事例1】 書類の受領者等と、別の者が入力確認を行う場合 経費使用者本人がスキャナ機器でスキャニング(撮影)する場合であっても、原本である領収証等の紙書類のすべてを経理に提出し、経理担当者が当該スキャン画像全数の入力確認を行うというフローである。 この場合においては、「スキャナで読み取りを行う者」が書類を受領等した者とは別な者となることから、特に速やかにタイムスタンプを付与する必要はなく、「速やかに(7日以内)」若しくは「業務サイクル後速やかに(37日以内)」の入力方式を採用できる。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 【事例2】 書類の受領者等以外の者が入力手順の全てを行う場合 経費使用者本人が精算データは入力するものの、証憑である領収証等を経理などの別な者に提出し、別な者がスキャナ機器でスキャニングした場合であれば、「スキャナで読み取りを行う者」が書類を受領等した者とは別な者となることから、特に速やかにタイムスタンプを付与する必要はなく、「速やかに(7日以内)」若しくは「業務サイクル後速やかに(37日以内)」の入力方式を採用できる。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 【事例3】 書類の受領者等がスキャナで読み取る場合 経費使用者本人がスマートフォン又はスキャナ機器でスキャニング(撮影)し、原本である領収証等とスキャン画像の入力確認を行い、タイムスタンプを付与する場合は、領収証等を受領した本人が「スキャナで読み取りを行う者」に該当することになる。この場合には、自らが署名した当該受領等した国税関係書類をスキャナ入力した後、「特に速やかに(3日以内に)」タイムスタンプを付与することになる。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 【事例4】 小規模企業者の場合 前述のとおり、平成28年度改正により、小規模企業者の場合には、定期検査を税務代理人等が行うことにより、相互けん制要件が不要となる。 ただし、この場合は書類の受領者等がスキャナで読み取ることとなるため、タイムスタンプは特に速やかに(3日以内に)付与しなくてはならない。 なお、スキャンデータと原本である領収証等との「入力確認」を外部の者に委託するなどの対応をとれば、「業務サイクル後速やかに(37日以内)」の入力方式を採用できる。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。   4 申請書の提出について 国税関係書類をスキャナ保存するためには、事前に「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書(※3)」を所轄税務署長等へ提出し、承認を受ける必要がある。 (※3) 国税庁ホームページ「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請」 申請書の提出期限は、スキャナ保存を開始する日の3月前の日となる。例えば、平成29年4月1日から国税関係書類をスキャンデータとして保存したいという場合には、平成28年12月31日までに申請書を提出する必要がある。 申請書を提出すると、担当部署において「書面審査」が行われ、記載内容や添付書類に確認事項や記載不備などがあれば必要に応じて問合せがある。そして、保存に代える日の前日(上記日付の例の場合には、平成29年3月31日)までに、取下依頼や却下通知等がなければ、承認があったものとみなされる(「みなし承認」)。 実際に法令要件通りにスキャナ保存が行われているどうかという審査は、みなし承認後の税務調査の際に実施され、その際に要件違反等が確認されれば、改善指導や承認取消を受ける可能性もある。 なお、平成28年度改正前にスキャナ保存の承認を受けている国税関係書類について、平成28年度改正後の要件を適用してスキャナ保存を行いたい場合には、保存に代える日の3月前の日までに、新たに承認申請書を提出して所轄税務署長等の承認を受ける必要がある(※4)。 (※4) 国税庁ホームページ「電子帳簿保存法Q&A」問95参照。   5 おわりに 連年の要件緩和により、「スキャナ保存制度」を導入しやすい環境は急速に整いつつあり、申請件数の大幅な増加が見込まれている。是非、この機会に、領収証等の国税関係書類の電子化を検討し、書類保管コスト等の削減、経費精算業務等の効率化を実現してみてはどうだろうか。 (了)

#No. 187(掲載号)
#坂本 真一郎
2016/09/29

「更正の予知」の実務と平成28年度税制改正【第2回】

「更正の予知」の実務と 平成28年度税制改正 【第2回】   税理士 谷口 勝司   3 加算税と更正の予知の制度趣旨 加算税に関する規定は条数も少なく、また計算規定でもあり、素っ気ない。それゆえ、更正の予知の取扱いを理解していく上では、その規定振り(文理)とともに、加算税や更正の予知の制度趣旨をまず理解することが不可欠であると思われる。 これまで数多くの裁判例でその趣旨が判示されており、これに関する研究もあるが、ここでは代表的と思われる裁判例について簡単に触れておきたい。 (1) 加算税の制度趣旨 最高裁の平成18年4月20日判決(一小)では、「過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば、原則としてその違反者に対して課されるものであり、これによって、当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに、過少申告による納税義務違反の発生を防止し、適正な申告納税の実現を図り、もって納税の実を挙げようとする行政上の措置であり」と判示する。最高裁では、平成18年4月25日判決(三小)や、平成18年10月24日判決(三小)でもほぼ同様の判示をしており、このような考え方は定着しているといってよい。 過少申告加算税は、申告義務違反者に対する措置(行政制裁と理解できる)であって、適法に申告した者との間の不公平の是正等により、適正な申告納税の実現等を図るものといえよう。 (2) 更正の予知の制度趣旨 それでは、過少申告加算税の例外的な免除規定である「更正の予知」は、どのような趣旨によるものであろうか。 この点については、多くの裁判例において、納税者による自発的な修正申告書提出を奨励するもの、といった趣旨が判示されている。 例えば、東京地裁平成7年3月28日判決は、 と判示する。前述した加算税の制度趣旨と併せ考えると、判示された更正の予知の趣旨はもっともであり、また多数意見であると思われる。 また、やや古いが、大阪地裁昭和29年12月24日判決は、 と判示し、国税当局の手数に言及した裁判例も見受けられる。   4 更正の予知における2つの要件と「調査」の意義 更正の予知について国税通則法では、「修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合」と規定しており(通則法65⑤)、この規定振りから、更正の予知は、「その申告に係る国税についての調査があったことにより」と、「更正があるべきことを予知してされたものでない」という、2つの要件があるとの理解が一般的である。 そして、第一の要件については「調査の意義」、第二の要件については「更正の予知の時期」が問題となる。 まず、調査の意義については、国税通則法では調査の定義規定は置かれていないが、「調査」でまず思い浮かべるのが、第24条(更正)の規定である。 第24条では、 と規定している。 国税通則法では、増額更正や減額更正の更正処分を行う前提として「調査」が必要とされ、そして、ここでの「調査」について、大阪地裁昭和45年9月22日判決は、 と判示する。 この判示によれば、調査は、納税者等に質問検査権を行使して行うものはもちろんのこと、課税標準等又は税額等を認定するために行う税務署内での準備調査、申告書の審査検討、法定調書等との資料突合、法令解釈等をも含む相当幅広い概念として捉えることになる。 例えば、提出された申告書の審査検討を行った結果、計算誤り(例えば単純な税率適用誤り等)がある場合に、これを是正しようとするケースでは、署内で行うこの申告書の審査検討そのものが「調査」と理解される。また、このように理解しなければ(仮に、納税者等と接触して質問検査権を行使するものだけが調査と理解すると)、明白な誤りがある申告書であっても国税当局は納税者と接触しない限り更正処分ができない(是正ができず課税の公平が保てない)、という不合理を招来することになる。 また、「調査」で今一つ着目すべきは、国税通則法第7章の2(国税の調査)の規定(74の2~74の13)で、これらは、平成23年度税制改正によって調査手続の法定化が行われ、質問検査権、事前通知や調査終了時の手続等について追加された規定である。 この改正に伴って、国税庁は、平成24年9月12日付課総5-9ほか「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について(法令解釈通達)」(以下「調査解釈通達」という)を発遣・公表している(下記参照)。 そしてこの調査解釈通達では、第7章の2における「調査」の意義として、 と定めている(調査解釈通達1-1(1))。これは国税通則法第24条に係る前述の裁判例とほぼ同じ解釈である、と理解できる。 条文が異なるとはいえ同じ国税通則法であり、別に解すべき特段の事情もないように思われることから、更正の予知(通則法65⑤)における第一の要件としての「調査」についても、まずは同様に理解しておきたい。   5 更正の予知の時期 2つ目の要件として、更正の予知の時期、すなわちいつの時点で、「更正があるべきことを予知してされた」と考えるべきであろうか。 この点、裁判例や学説には様々なものがあって分かれている。 品川芳宣教授の研究によれば、この点は、次の3つの説に区分される(『附帯税の事例研究 第四版』(財経詳報社刊)175頁。なお、同書は、酒井克彦教授『附帯税の理論と実務』(ぎょうせい刊)とともに、理論的・体系的にまとめられた優れた研究書である)。 そして、品川教授は、納税者にとって調査の進展過程で調査官が脱漏所得を発見したか否か、あるいはその端緒となる資料を発見したか否かを常に知り得ることではない等と指摘し、「課税の実務においては、調査開始後に提出された修正申告書については、特段の事情のない限り、当該納税者が更正があるべきことを予知して提出したものと推定せざるを得ない」とされている(前掲書176頁)。また、「客観的確実性説が国税通則法第65条5項の文理解釈に最も適うものと解されるが、同説は、前述したように、『特段の事情』を厳格(正確)に解すると、調査過程における時間的位置付けとしては調査開始説に限りなく近づくことになるものと解される。」とされる(品川前掲書178頁)。 また、国税通則法の立法担当者等による著書(『国税通則法精解 第15版』(大蔵財務協会刊)747頁)では、「この『予知してされたもの』とは、納税者に対する当該国税に関する実地又は呼出等の具体的調査がされた後にされた修正申告をいう」とされ、調査開始を基調とした説明がなされていると思われる。 さらに、最高裁昭和51年12月9日判決(一小)では、調査開始後に提出された修正申告書について加算税賦課を認めており、この最高裁判決は、調査開始説(調査着手説ともいう)をとるものと理解されている(品川前掲書170頁、酒井前掲書138頁)。 もっとも、客観的確実性説(端緒把握説ともいう)をとると理解される裁判例(例えば、東京地裁昭和56年7月16日判決、東京地裁平成24年9月25日判決など)や学説がその後も多く見受けられるなど、必ずしも統一されていないと思われる。   (了)

#No. 187(掲載号)
#谷口 勝司
2016/09/29

〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第8回】「別表6(6) 試験研究費の総額に係る法人税額の特別控除又は中小企業者等が試験研究を行った場合の法人税額の特別控除及び特別試験研究費に係る法人税額の特別控除に関する明細書」

〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第8回】 「別表6(6) 試験研究費の総額に係る法人税額の特別控除 又は中小企業者等が試験研究を行った場合の法人税額の特別控除 及び特別試験研究費に係る法人税額の特別控除に関する明細書」   公認会計士・税理士 菊地 康夫   Ⅰ はじめに 本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、複数の書き方パターンがある様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第8回目は、実務上適用例が増えてきているものの、一般的な書籍等では解説される機会がまだ少なく、かつ最近様式改訂があった「別表6(6) 試験研究費の総額に係る法人税額の特別控除又は中小企業者等が試験研究を行った場合の法人税額の特別控除及び特別試験研究費に係る法人税額の特別控除に関する明細書」を採り上げる。   Ⅱ 概要 この別表は、青色申告書を提出する法人が租税特別措置法第42条の4第1項から第3項までの規定(試験研究を行った場合の法人税額の特別控除)の適用を受ける場合に作成する。 いわゆる研究開発税制は、現在、以下の4つの制度により構成されている。 なお、平成27年4月1日前に開始した事業年度におけるこれらの制度には、上記④の制度を除いて、「繰越税額控除限度超過額等の繰越控除制度」が設けられていたが、平成27年度税制改正によりその繰越控除制度が廃止された。そのため、平成28年度の様式改正においては、上記①から③に対応する旧様式の「別表6(6) 試験研究費の総額等に係る法人税額の特別控除に関する明細書」、「別表6(7) 中小企業者等が試験研究を行った場合の法人税額の特別控除に関する明細書」、及び「別表6(8) 特別試験研究費の額に係る法人税額の特別控除に関する明細書」に繰越控除制度部分の記載が不要となり、3つの様式が1つの様式に統合されて、新たに「別表6(6) 試験研究費の総額に係る法人税額の特別控除又は中小企業者等が試験研究を行った場合の法人税額の特別控除及び特別試験研究費に係る法人税額の特別控除に関する明細書」となったのである。 (※) ④の制度に係る様式は、上記とは別に別表6(7)(改正前別表6(9))が設けられている。 ①から③の制度の概要は次のとおりとなっている。 ① 試験研究費の総額に係る税額控除制度 青色申告法人のその事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の8%~10%の金額をその事業年度の法人税額から控除する制度(ただし当期の法人税額の25%が上限)。次の「②中小企業技術基盤強化税制」との重複適用は認められない。 なお、試験研究費割合(※)が10%以上の場合の税額控除割合は10%となるが、試験研究費割合が10%未満である場合の税額控除割合は、 (試験研究費割合×0.2)+8% となる。 (※) 試験研究費割合=その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額÷当期を含む過去4年の平均売上金額 ② 中小企業技術基盤強化税制 中小企業者等である青色申告法人のその事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、上記①との選択適用で、その試験研究費の額の12%の金額をその事業年度の法人税額から控除する制度(ただし当期の法人税額の25%が上限)。 ③ 特別試験研究に係る税額控除制度 青色申告法人のその事業年度において損金の額に算入される特別試験研究費の額がある場合に、上記①及び②の制度とは別枠で、その特別試験研究費の額の20%又は30%の金額をその事業年度の法人税額から控除する制度(ただし当期の法人税額の5%が上限)。 なお、本制度を活用するために計上した試験研究費については、上記①及び②の制度を活用するための試験研究費として計上はできない。     Ⅲ 「別表6(6)」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成28年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。   (4) 別表の各記載欄の説明 〔試験研究費の総額に係る税額控除限度額の計算〕欄 〔5欄〕~〔9欄〕 事例では中小企業者等に該当するケースを扱っており、本欄は記入不要となるため、記載の仕方のみ解説する。 〔特別試験研究費の額の明細〕 (了)

#No. 187(掲載号)
#菊地 康夫
2016/09/29

金融・投資商品の税務Q&A 【Q13】「外貨建預金を払い出して外貨建株式に投資した場合の為替差益の取扱い」

金融・投資商品の税務Q&A 【Q13】 「外貨建預金を払い出して外貨建株式に投資した場合の 為替差益の取扱い」   PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子   ●○ 検 討 ○● 所得税法上、外貨建取引とは、「外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいい、居住者が外貨建取引を行った場合には、その外貨建取引の金額の円換算額はその外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額を計算するもの」とされています(所得税法第57条の3)。 また所得税法施行令167条の6第2項において、以下のとおり記載されています(下線筆者)。 この外貨建取引の範囲から除外する規定の趣旨としては、同一の金融機関において、同一の外国通貨で預貯金の預入れと払出しが行われる限り、その金額に増減はなく、実質的には外国通貨を保有し続けていることと同じであるところ、このような外貨の保有状態に実質的に変化がない外貨建預貯金の預入と払出しについては、その都度外貨建取引として為替差損益が認識されることは実情に即さないものであるから、とされています(【Q11】参照)。 本件のように、外貨建の預金をもって外貨建の株式に投資した場合が、上記の施行令を満たしているといえるかどうかですが、実質的には外国通貨を保有し続けていることと同じとは言い難いことから、為替差損益を認識する必要があると考えられます。 国税庁の質疑応答事例(「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して外貨建MMFに投資した場合の為替差損益の取扱い」)でも、「新たな経済的価値(その投資時点における評価額)を持った資産(株式)が外部から流入したことにより、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが所得税法第36条の収入すべき金額として実現したものと考えられるから、為替損益の認識が必要」との旨のコメントがなされています。 したがって、おたずねのケースでは、当該外貨建株式の投資金額の円換算額とその投資に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差益)が雑所得として認識され、総合課税の対象になると考えられます。 〔為替差益〕 (120円-100円)×10,000ドル=200,000円 なお、取得をした外国株式を譲渡(売却)したことによる所得については株式等の譲渡に係る譲渡所得等として申告分離課税の対象となりますが、その譲渡による所得の金額を計算する際には、当該外国株式への投資時の為替レート(本件の場合は120円/ドル)による円換算額をその取得に要した金額として所得を計算することになります。 (了)

#No. 187(掲載号)
#箱田 晶子
2016/09/29

裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第16回】「反対株主の株式買取請求②」

裁判例・裁決例からみた 非上場株式の評価 【第16回】 「反対株主の株式買取請求②」   公認会計士 佐藤 信祐   前回では、カネボウ事件のうち、東京高裁平成22年5月24日決定・金判1345号12頁について解説を行った。 本稿では、もうひとつのカネボウ事件である東京地裁平成21年10月19日判決・金判1329号30頁と、会社法施行後の事件である道東セイコーフレッシュフーズ事件について解説を行う。   1 東京地裁平成21年10月19日判決・金判1329号30頁 (1) 事実の概要 本事件は、平成20年11月11日に効力が生じた、相手方を吸収合併存続会社とし、清算会社である旧カネボウ社(平成19年7月1日に商号変更)を吸収合併消滅会社とする吸収合併に際して、反対株主の株式買取請求が申し立てられた事件である。 なお、本事件に先立ち、旧カネボウ社は主要三事業を営業譲渡していることから、営むべき事業がほとんどなくなっているため、清算会社になっている。 (2) 裁判所の判断 (3) 評釈 このように、裁判所は、清算価値に基づいて公正な価格を算定することとした。ただし、純資産価額が110円であるものの、合併交付金として130円を支払っていることから、公正な価格を130円であると判断している。 本事件では、営業譲渡から合併までの間が2年6ヶ月も経過している。営業譲渡の段階で反対株主の株式買取請求をしないでおきながら、合併の段階で営業譲渡における譲渡価額に異議を唱え、公正な価格を引き上げるということは、さすがに期間が長すぎることから認められなかったということが言える。   2 最高裁平成27年3月26決定・金判1466号8頁 (1) 事実の概要 本事件は、相手方を吸収合併存続会社、道東SFFを吸収合併消滅会社とする吸収合併に反対した道東SFFの株主であった申立人が、相手方に対し、申立人の有する道東SFFの株式を公正な価格で買い取るよう請求したが、その価格について協議が調わなかったため、反対株主の株式買取請求権が行使された事件である。 (2) 第一審(札幌地裁平成26年6月23日金判1466号15頁) (3) 控訴審(札幌高裁平成26年9月25日金判1466号14頁) 控訴審は、第一審の判断を踏襲しているため、詳細な解説は省略する。 (4) 裁判所の判断 (5) 評釈 本事件の第一審では、サイズプレミアム3.89%、非流動性ディスカウント25%をそれぞれ用いている。サイズプレミアムは小規模ディスカウントのことをいい、割引率に加算されていることから「プレミアム」という言い方になっている。算定された計算結果に対してディスカウント率を乗じるのであれば、「ディスカウント」という言い方になる。また、マイノリティ・ディスカウントは考慮されていない。 本事件では、非流動性ディスカントを考慮すべきでないと判断した最初の最高裁決定であり、極めて重要性の高い裁判例であると言える。しかし、その根拠が、反対株主の買取請求の事件だからなのか、収益還元法だからなのかは明らかではない。理論的には、カネボウ事件との整合性もあることから、前者と考えるべきであろう。 本稿までで、会社法の主要な裁判例については説明できたと思う。次回以降は、租税法の裁判例、裁決例について解説を行う予定である。 (了)

#No. 187(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/09/29
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