《速報解説》 会計士協会、平成18年以降の法令改正等を踏まえ 「株主代表訴訟に関するQ&A」を見直し ~多重代表訴訟や旧株主による責任追及等の訴えなど最新改正への対応も~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成27年8月7日(ホームページ掲載日)、日本公認会計士協会は、「株主代表訴訟に関するQ&A」(法規委員会研究報告第4号)の改正について公表した。 今回の改正は、平成26年の会社法改正を受け、多重代表訴訟制度に関するQ&Aの追加や、公表時からの法令改正等を踏まえた所要の見直しを行ったものである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な改正の内容 1 株主代表訴訟(Q1) Q&Aでは、「株主代表訴訟」として、「株主による責任追及等の訴え」(会社法847条)及び「旧株主による責任追及等の訴え」(会社法847条の2)について述べている。 また、「多重代表訴訟」(Q8)として、「最終完全親会社等の株主による特定責任追及の訴え」(会社法847条の3)について述べている。 2 株式交換等が行われた場合(Q5) 会社法では、株主が株主代表訴訟を提起した後、株式交換等が行われたとしても、次の場合には、原告の地位は失われないとされている(会社法851条)。 平成26年改正会社法では、株主代表訴訟の提起前に①又は②の手続によって株主の地位を失った場合でも、①によるとき、又は②のうち吸収合併により吸収合併存続会社の完全親会社の株式を取得したときは、完全子会社又は吸収合併存続会社に対し、旧株主が訴えを提起することができるように見直しが行われている(旧株主による責任追及等の訴え 会社法847条の2)。 ただし、旧株主による責任追及等の訴えの対象となる責任又は義務は、株式交換等の効力が生じた時までにその原因となった事実が生じているものに限られている。 3 多重代表訴訟制度(Q8、Q9) 平成26年改正会社法では、企業集団における親会社株主の保護という観点から、親会社株主が子会社の役員等の責任を追及する訴え(多重代表訴訟)を提起する制度が創設されている。 多重代表訴訟制度とは、最終完全親会社等の株主が、その重要な完全子会社の役員等に対して責任を追及するために代表訴訟を提起できる制度である(特定責任追及の訴え 会社法847条の3)。 多重代表訴訟制度の創設により、最終完全親会社等の株主は、重要な完全子会社の会計監査人に対して責任を追及するために株主代表訴訟を提起することができるようになる(Q9)。 4 監査法人が負担した損害賠償債務(Q13) 有限責任監査法人の場合に、指定有限責任社員以外の社員は、監査法人が負担した損害賠償債務について、無限連帯責任を免れることができるのかどうかという設問が設けられている。 これについて、指定社員制度を採用している無限責任監査法人と同様に、監査証明業務に関する特定証明の場合は、監査法人が第一次的な責任を負うことになるが、第二次的な責任は指定有限責任社員に限定され(公認会計士法34条の10の6第8項)、それ以外の社員に債務の負担は及ばないことになると述べている(公認会計士法34条の10の6第7項)。 また、公認会計士法34条の10の6第11項ただし書は、会社法612条(退社した社員の責任)を準用していないので、指定有限責任社員は、仮に脱退し、その旨の登記をしたとしても、その後2年の経過によって債務を免れるという会社法612条の適用を受けることはできないと述べている。 5 株主代表訴訟の対象となる損害(Q16) 会計監査人が株主代表訴訟の被告になる典型例として考えられるのは、財務諸表の虚偽表示により、違法配当、法人税の過払いなど、会社から資金流出の損害が生じた場合であると述べられている。 不正発見については、一義的には会計監査の目的ではないので、そのような不正を発見し得なかったというだけでは、損害賠償責任は問われないものと考えられると述べている。ただし、この場合でも、適正な監査手続を行っていれば発見できたであろう不正については、発見することで以後の損害の発生を防止できた部分について、会計監査人の責任が問われる可能性があることに留意が必要であると述べられている。 6 会社に対する損害賠償責任(Q19) 会計監査人が損害賠償責任を負うのは、故意・過失が存在する場合であり、故意・過失がないのに責任を負うということではないと述べられている。 ただし、原告(株主)は、請求原因として会計監査人の任務懈怠(債務不履行)を主張し立証することが必要であり、これに対して、会計監査人が責任を免れるためには、抗弁として過失が存在しないこと(会計監査人の責めに帰すことができないこと)を立証する必要があると述べられている。 7 会社法上の責任(Q20) 会計監査人が監査証明業務を行うに当たり、会社法上は被監査会社及び以下の第三者に対する損害賠償責任が生ずる可能性がある。 被監査会社に対する責任は、会社法423条に基づく任務懈怠責任で、株主代表訴訟の対象になるのはこの場合であると述べられている。 ①から④の第三者に対する責任は、会社法429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任)に基づくもので、民法709条の不法行為責任の特例であると述べられている。 8 責任限定契約(Q31) 会計監査人には会社法上の役員等の責任限定に関する三つの制度(Q30)のすべてが適用されると述べている。 特に、事前に損害賠償額について合意しておく責任限定契約の制度が採用されることが多いとして、詳細に述べられている。 (了)
《速報解説》 監査役協会、CGコード・改正会社法へ対応した 改定版の「監査役監査基準」及び 「内部統制システムに係る監査の実施基準」を公表 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成27年8月4日(ホームページ掲載日)、日本監査役協会は「監査役監査基準」及び「内部統制システムに係る監査の実施基準」の改定を公表した。 これにより、平成27年4月28日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 今回の改定は、コーポレートガバナンス・コードの公表、会社法及び法務省令の改正などを踏まえたものである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 監査役監査基準の改定 改定は、コーポレートガバナンス・コードへの対応、改正会社法及び法務省令への対応に大きく分かれている。 各条項については、レベル1からレベル5までに分類し、各規定の語尾については、法定事項は、原則として、「ねばならない」、「できない」に統一することなどを行っている。 また、各規定に関しては、補足による説明が行われており、内容の理解に資するように工夫されている。 1 監査役の職責等 主な改定内容は、次のとおりである。 2 コーポレートガバナンス・コードを踏まえた対応 「第4章 コーポレートガバナンス・コードを踏まえた対応」として、主に次のことが規定されている。 3 改正会社法及び法務省令への対応 主に次のことが規定されている。 Ⅲ 内部統制システムに係る監査の実施基準の改定 (了)
《速報解説》 改正地域再生法の施行日は「平成27年8月10日」で確定 ~地方拠点強化税制に係る計画認定・9号買換えの圧縮率引下げに留意 Profession Journal 編集部 〇租税特別措置法への関連規定あり 企業の地方拠点強化の促進やコンパクトビレッジ(小さな拠点)形成を目的とした地域再生法の一部を改正する法律(以下、改正地域再生法)は6月26日付けで公布されていたが、このたび8月7日の官報号外第178で公布された施行期日を定める政令により、改正地域再生法の施行日は「平成27年8月10日」で確定した。 本改正については、第17条の4、17条の5において規定された《認定事業者における課税の特例》措置が平成27年度税制改正において租税特別措置法に規定されるなど関連する規定があり、施行日がいつになるか注目されていた。 なお、官報同号にはパブリックコメントに付されていた「地域再生法施行令の一部を改正する政令」及び「地域再生法施行規則の一部を改正する内閣府令」も合わせて公布されている。 〇地方拠点強化税制が適用開始 具体的には『地方拠点強化税制』として、「地方活力向上地域特定業務施設設備計画」(以下、当該計画)の認定を受けた青色法人が、当該計画に記載された建物(以下、特定業務施設)に該当する一定規模以上の建物及びその附属設備並びに構築物を、認定を受けた日から同日の翌日以後2年を経過する日までの間に取得又は建設し事業供用した場合に特別償却又は税額控除が受けられる①「オフィス減税」(措法42の12、68の15)が創設され、またこの認定を受けた事業者が特定業務施設における雇用者を増加した場合の②「雇用促進税制の拡充措置」(措法42の12の2、68の15の3)が設けられたが、この①②の特例措置の適用を受けるためには、改正地域再生法の施行日(平成27年8月10日)から平成30年3月31日までの期間に、当該計画の認定を受ける必要がある。 〇集中地域への9号買換えの圧縮率が引下げへ また、特定の事業用資産の買換え特例のうち、いわゆる「9号買換え」に関しては、地方から東京23区や首都圏等一定の集中地域への買換えについて圧縮率が80%から70%又は75%に引き下げられることとなり、圧縮率の引下げの結果、課税の繰延効果が小さくなる。 この圧縮率の引下げは、「譲渡資産の譲渡時期」及び「買換資産の取得時期」が共に改正地域再生法の施行日(平成27年8月10日)以後である場合に適用され、「譲渡資産の譲渡時期」又は「買換資産の取得時期」のいずれかが施行日前であれば改正前の圧縮率(80%)が適用できる点について、関与先へ誤ったアドバイスを行わないよう注意したい(詳しくはこちらの記事を参照)。 ちなみに、対象区域に関しては50年以上も見直されていないため、思い込みをせずにそれが対象区域に該当するか、自治体などで確認をした上で適用されたい。 (了)
消費税率の引上げに関する 《資料リンク集》 改正消費税法(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律)による消費税率引上げに伴い、関連する法令・通達や情報等が順次公表されています。 ここでは、これら「消費税率引上げに伴う関連資料」へのリンクを掲載していきます。 ※2015年で更新を終了しています。 ・「転嫁拒否行為に対する対応実績(平成27年7月まで)」(公正取引委員会) ★2015/8/17 ・「改訂版 中小企業・小規模事業者のための消費税転嫁の手引き」(中小企業庁) ★2015/8/7 ・「「ケースで考える消費税率引上げ対策」(改訂版)を発行」(日本商工会議所) ★2015/6/29 ・「パンフレット「消費税の転嫁拒否に関する主な違反事例」」(公正取引委員会) ★2015/4/14 ・「特別企画 : 消費税率再引き上げに対する企業の意識調査」(帝国データバンク) ★11/14 ・「消費税の複数税率導入に反対する意見」(9団体連名) ★7/2 ・「「中小企業における消費税の価格転嫁に係る実態調査(第1回)調査結果」について」(日本商工会議所) ★7/2 ・「消費税の軽減税率に関する検討について」(与党税制協議会) ★6/5 ・「消費税転嫁に関する調査を装った悪質行為にご注意下さい」(公正取引委員会) ★6/2 ・「消費税転嫁に関する調査を装った悪質行為にご注意下さい」(中小企業庁) ★5/23 ・「消費税の転嫁拒否等の行為に関する事業者等向け説明会及び相談会の実施について」(公正取引委員会) ★5/14 ・「消費税率引上げにおける転嫁状況等に関する緊急調査結果(速報)」(全国中小企業団体中央会) ★5/8 ・「消費税率の引上げ等に伴う特定保健指導費用の取扱いに関するQ&Aの改訂について(第2版)(平成26年4月22日付事務連絡)」(厚生労働省) ★5/7 ・「消費税の転嫁拒否等に関する大規模な調査を開始します」(中小企業庁) ★4/24 ・「消費税増税対策の給付金が当選したとのメールにご注意ください」(財務省) ★4/18 ・「消費税の転嫁拒否等の行為に関する中小企業・小規模事業者等向け書面調査について」(公正取引委員会) ★4/16 ・「「消費税の転嫁拒否等に関する調査」を実施します」(中小企業庁) ★4/16 ・「「事業者が消費者に対して価格を表示する場合の取扱い及び課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)」(国税庁) ★4/11 ・「消費税の引上げ等に伴う特定健康診査及び特定保健指導の費用における消費税の円滑かつ適正な転嫁について(平成26年2月6日保総発0206第1号)」(厚生労働省) ・「消費税率の引上げ等に伴う特定保健指導費用の取扱いに関するQ&Aについて(平成26年3月7日付事務連絡)」(厚生労働省) ・「消費税転嫁対策強化月間における3月の取組状況を公表します~3-4月は監視・取締りや広報・相談対応を強化しています~」(中小企業庁) ・「ガソリンスタンドにおける消費税の総額表示への協力を要請しました」(経済産業省) ・「申請受付を開始しました。 ※申請書類はこちらからご確認ください。」(すまい給付金) ・「「改正消費税法に関するQ&Aについて、Q10~Q12を追加しました。」(リース事業協会) ・「「消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)」(国税庁) ・「「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)」(国税庁) ・「消費税率引上げに伴う住宅取得支援制度の周知について」(宅建協会) ・「消費税増税に伴う消費税転嫁及び表示方法についてのお願い」(日本不動産鑑定士協会連合会) ・「(平成26年3月12日)消費税率引上げに向けた消費税転嫁対策の強化について」(公正取引委員会) ・「3~4月は消費税転嫁対策強化月間です!」(中小企業庁) ・「消費税法等の施行に伴う源泉所得税の取扱いについて(法令解釈通達)」(国税庁) ・「消費税率引上げに伴う鉄道事業者及び乗合バス事業者の上限運賃・料金の変更認可について」(国土交通省) ・「消費税率及び地方消費税率の引上げに伴う宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額の改正について」(宅建協会) ・「給付申請書を公表しました。」(すまい給付金) ・「消費税率の引き上げに伴う報酬告示・ガイドラインの改正について」(宅建協会) ・「企業業績に与える消費税増税の影響度分析」(帝国データバンク) ・「経営Q&A「消費税法改正への対応」」(日本政策金融公庫) ・「平成26年4月1日以後終了する課税期間分の消費税及び地方消費税の申告書・添付書類」(国税庁) ・「「「中小企業・小規模事業者 経営力強化フォーラム~会計・税制を活用した消費税率引上げ対策~」を開催します」(中小企業庁) ・「「消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)」(国税庁) ・「平成26年4月実施の消費税率引き上げに伴うタクシー運賃の改定方法について」(国土交通省) ・「(平成26年1月24日)平成25年における消費税転嫁対策の取組について」(公正取引委員会) ・「業者向け説明会と消費者向け(一部)説明会の日程が発表されました。」(すまい給付金) ・「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」(国税庁) ・「(平成26年1月17日)消費税の円滑かつ適正な転嫁の要請等について」(公正取引委員会) ・「建設業者団体に対して改めて消費税の円滑かつ適正な転嫁を要請します」(国土交通省) ・「575団体に対して消費税の円滑かつ適正な転嫁を改めて要請します」(経済産業省) ・「『消費税価格転嫁拒否通報ホットライン』の取り組み」(日本労働組合総連合) ・「中小企業・小規模事業者のための消費税の転嫁万全対策マニュアル」(中小企業庁) ・「消費税転嫁に係る特別相談窓口を設置、専門家派遣を開始しました。」(全国中小企業団体中央会) ・「消費税転嫁対策特別措置法の事業者等向け説明会及び相談会の実施について」(公正取引委員会) ・「(平成25年12月4日)消費税の転嫁拒否等についての移動相談会の実施について」(公正取引委員会)⇒リーフレット ・「消費税の転嫁拒否等の行為に関するよくある質問」(公正取引委員会) ・「消費税の複数税率導入に反対する意見」(全国中小企業団体中央会) ・「「消費税の複数税率導入に反対する意見」について」(日本商工会議所) ・「消費税の複数税率導入に反対する意見」(日本経済団体連合会) ・「消費税率の引上げに伴う定形郵便物等の上限料金の改定案に関する消費者委員会の意見について」(内閣府) ・「すまい給付金に関するスマートフォン向けアプリ(Android版)」(すまい給付金) ・「「(平成25年11月15日)消費税の円滑かつ適正な転嫁に係る要請文書の発出について」(公正取引委員会) ・「「消費税の円滑かつ適正な転嫁が行われるよう要請しました」(経済産業省) ・「消費税価格転嫁等総合相談センターの相談対応状況(お知らせ)」「参考資料」(内閣府) ・「軽減税率についての議論の中間報告」(与党税制協議会・軽減税率制度調査委員会) ・「「改正消費税法に関するQ&A」(リース事業協会) ・「(平成25年11月1日)消費税の転嫁拒否等の行為の有無についての書面調査を実施しています。」(公正取引委員会) ・「消費税転嫁・表示カルテルの届出状況の公表について」(公正取引委員会) ・「平成25年度「消費税の転嫁拒否等に関する調査」を実施します」(中小企業庁) ・「パンフレット「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のために」」(財務省) ・「消費税法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令」(官報:平成25年10月30日付(本紙第6161号)) ・「消費税転嫁対策相談窓口の設置について」(国土交通省) ・「鉄道・バスにおける具体的な端数処理の方法」(国土交通省) ・「参考資料:[1]「消費税率引上げに伴う公共料金等の改定について」」(国土交通省) ・「参考資料:[2]「公共交通事業における消費税の運賃・料金への転嫁の方法に関する基本的な考え方」」(国土交通省) ・「消費税率引上げに伴う公共交通運賃(鉄道、バス)への1円単位運賃(ICカード利用)の導入について」(国土交通省) ・「消費税価格転嫁等対策」(内閣府) ・「消費税転嫁対策特別措置法に関する相談窓口」(内閣府) ・「たばこ・塩に関する消費税価格転嫁等対策関係」(財務省) ・「すまい取得支援セミナー」(すまい取得支援セミナー) ・「不動産仲介契約に係る消費税率に関する経過措置の適用の有無等について」(国土交通省) ・「(小冊子)消費税率引上げ対策早わかりハンドブック」(日本商工会議所) ・「中小企業・小規模事業者向けに消費税転嫁対策パンフレットを作成しました」(中小企業庁) ・「総額表示義務の特例措置に関する事例集(税抜価格のみを表示する場合などの具体的事例)」(国税庁) ・「〈事業者向け〉住宅関連税制とすまい給付金に関する説明会」(すまい給付金) ・「消費税価格転嫁等総合相談センター」(内閣府) ・「消費税率引上げに伴うトラブル防止のポイントについて」(住宅リフォーム推進協議会) ・「消費税転嫁対策に係る事業者等向けパンフレット」(公正取引委員会) ・「消費税率引上げに際しての便乗値上げ情報・相談窓口」(消費者庁) ・「「消費税転嫁対策室」を設置しました~消費税転嫁に係る取引上のお悩み相談をお受けします~」(中小企業庁) ・「すまい給付金について閣議決定されました。」(すまい給付金(国土交通省)) ・「民間投資活性化等のため税制改正大網」(自由民主党・公明党) ・「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」(財務省) ・「(平成25年9月10日)消費税転嫁対策特別措置法のガイドラインの公表について」(公正取引委員会) ・「消費税転嫁対策特別措置法のガイドラインを公表します」(財務省) ・「消費税転嫁対策特別措置法のガイドラインの公表について」(消費者庁) ・「消費税転嫁対策特別講習会」(中小企業庁) ・「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」(内閣府) ・「消費税転嫁対策に関する「講師養成研修会」」(中小企業基盤整備機構) ・「消費税転嫁対策特別措置法の事業者等向け説明会の実施について」(公正取引委員会) ・「すまい給付金ホームページ」(国土交通省) ・「消費税率引上げに伴う住宅取得に係る対応の周知について」(国土交通省) ・「消費税転嫁対策コーナー」(公正取引委員会) ・「消費税転嫁対策特別措置法のガイドライン(案)に関するパブリックコメント手続きの開始について」(消費者庁) ・「消費税転嫁対策特別措置法のガイドライン(案)に関するパブリックコメント手続を開始します」(財務省) ・「「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」の施行期日について」(公正取引委員会) ・「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」の成立について(公正取引委員会) ・平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A(国税庁) ・消費税法改正のお知らせ(社会保障と税の一体改革関係)(国税庁) ・平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いについて(法令解釈通達)(国税庁) ・消費税法改正のお知らせ(平成25年3月)(国税庁) ・消費税率の引上げを見据えた買いたたき等の行為への対応について(公正取引委員会) 【公正取引委員会ホームページ】 ※PDFファイル ・「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」の閣議決定について ・(別紙)法案概要 ・法案要綱 ・法案及び理由 ・新旧対照条文 ・参照条文 ・消費税法施行令の一部を改正する政令(平成25年3月13日公布)(財務省) ・地方税法施行令の一部を改正する政令(平成25年3月13日公布)(総務省) ・地方税法施行規則の一部を改正する省令(平成25年3月13日公布)(総務省) ・社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(財務省) ・社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律(総務省) ※第180回国会(常会)提出 ・行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(番号法案)(内閣官房) ・社会保障・税番号制度(内閣官房) ・社会保障・税一体改革に関連する国会提出法案等(内閣官房) ・社会保障と税の一体改革(内閣官房)
2015年8月6日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.131が 公開されました。 プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布中! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
monthly TAX views -No.31- 「始まる『タックスヘイブン対策税制』の見直し」 中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹 BEPS関連の税制で、移転価格税制などと並んで、タックスヘイブン対策税制(CFC税制)の見直しがアジェンダに上がっている。行動計画3において、「CFC税制に関し、各国が最低限導入すべき基準の勧告を策定」とされ、9月にも報告が提出される予定となっている。 これを受けて経済産業省内に「日本企業の海外展開を踏まえた国際課税制度の在り方に関する研究会」が立ち上げられ、筆者もそのメンバーとして参加し、すでに2回の会合が開催されている。 研究会の趣旨・背景は、以下のように説明されている(筆者要約)。 その上で具体的な論点としては、インカムアプローチとエンティティアプローチの比較(メリット・デメリット)、コーポレートインバージョンへの対応などが論点となっている。 経団連の立場が披露されたが、おおむね以下のとおりである。 筆者は、企業が合併、M&Aなどの組織再編を行う場合、買収先を本社とすることによって、本社の持っている無形資産を非課税・課税繰延べで低税率国に移転させるコーポレートインバージョンについて、わが国としてどう対応すべきか、十分議論する必要がある旨の発言をしている。 米国では現在も、企業の国外源泉所得を米国管轄権から離脱させるインバージョンが横行している。背景には、米国が未だ全世界課税方式をとっているため、配当還流時に米国の高い法人税率(35%)で課税されることがあげられる。 これに対し米国政府は、米国企業の旧株主がインバージョン後の外国親法人の株式を80%以上所有する場合には米国法人として取り扱うなどの規制強化を行ってきたのだが、その網をくぐるようなプラニングが未だ行われている。 また、インバージョンに伴って、外国の親会社から多額の負債(借入金)を負い、利払いという形で米国企業から外国親会社に所得移転されるプランニングも横行している。 このようなことは、「税収の観点」から大きな問題を招くというだけでなく、一国で形成された無形資産(特許権、著作権など)が、非課税で国境を越えてしまえば、将来にわたっての成長の原資を奪うという、「産業政策上」も問題となりうる。 わが国税制では、外国子会社からの配当は前述のように非課税となっているので、インバージョンのインセンティブは米国ほど強くないし、最低限の対策税制も導入されている。 しかし、(破談になったが)東京エレクトロンと米国アプライドマテリアルズとの合併がオランダに持株会社を作るインバージョンであったように、米国企業に巻き込まれる可能性は残っており、改めて検討する必要がある。これが筆者の問題意識である。 いずれにしても、経済産業省の研究会の結論が出るのは今年度末の予定であり、再来年度の税制改正をにらみながらの議論となっている。 (了)
消費税の軽減税率を検証する 【第5回】 「軽減税率による減収と さらなる標準税率の引上げ」 税理士 金井 恵美子 平成26年6月11日の税制調査会会議においては、ほとんどの委員、特別委員が、軽減税率の導入に反対する発言をし(※1)、7月2日には、日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会の9団体は、連名で「消費税の複数税率導入に反対する意見」を公表し、「複数税率制度は導入せず、単一税率を維持すべきである」と主張した。 (※1) 平成26年6月11日第9回税制調査会議事録。ただし、現税制調査会には、消費税の税率構造についての答申はない。 また、平成26年12月30日の27年度与党大綱の公表を受け、同日、日本商工会議所の三村会頭は「導入すべきでない。」(※2)、日本経済団体連合会の榊原会長は「慎重に検討することが必要」(※3)とコメントした。 (※2) 「平成27年度与党税制改正大綱について(三村会頭コメント)」(日本商工会議所) (※3) 「平成27年度与党税制改正大綱に関する榊原会長コメント」(日本経済団体連合会) これらの理由は、軽減税率の導入は、消費税の公平、中立、簡素という良い特徴を後退させるからである。 軽減税率の問題点は、次のように指摘することができる。 今回から3回にわたり、これらの問題点について、考えてみよう。 【1】 軽減税率による減収はさらなる標準税率の引上げを必要とする 消費税率の引上げと軽減税率の導入とは、政策論として矛盾する。 軽減税率は、税率の引上げにより増加するはずの税収を侵食し、標準税率をより高く引き上げる必要を生じさせるからである。 与党税制協議会が平成26年6月5日に公表した「消費税の軽減税率に関する検討について」(以下「検討資料」という)には、「検討資料」は、飲食料品分野に軽減税率を適用することを想定して、次の8種類の線引きのパターンを提示し、それぞれの減収額の消費税率換算を示している。 対象品目の8パターンの減収額と財源の規模を一覧表にすると、次のようになる。 【対象品目8パターンの減収額と財源の規模】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ※ 「減収額は、24年家計調査における総世帯の平均消費支出額を基に一定の前提をおいて推計したもの。あくまでも概数であり、線引きの定義を反映したものでもない。」とされている。 与党税制協議会の下に置かれた消費税軽減税率制度検討委員会では、このうち、②の酒を除く全ての飲食料品、③の生鮮食品、⑧の精米の3パターンを検討している。 ②の酒を除く全ての飲食料品に5%の軽減率を適用し、標準税率を10%とした場合の税収は、単一税率で8.4%とした場合に等しい(10%-1.6%=8.4%)。 これでは、何のために税率を引き上げるのかということになる。 また、標準税率を10%、軽減税率を8%とした場合に得られる税収の規模は、単一税率に換算して9.3%である。 さらにこの計算は、平成24年家計調査における総世帯の平均消費支出額を基に推計した概数によるのであり、飲食料品よりもそれ以外の価格弾力性が大きいこと、税率の適用誤り(第7回参照)や追加的な行政コスト(第6回参照)を考慮すれば、実質的な税収の規模は単一税率8%とした場合を下回る可能性もある。 消費税の税率引上げは、「社会保障・税一体改革」における税制面での柱であり、軽減税率によって税収が減少すれば、社会保障制度の持続可能性を損なうことになる。 「検討資料」は、「軽減税率の対象範囲は広ければ広いほど良いということになりがちである。」と指摘しており、その対象範囲が拡大してゆく危険を示唆している。 複数税率制度への移行によって、財政は、軽減税率の適用範囲が拡大してゆくことによる減収の危険を抱えることになる。 * * * 上記のうち【2】から【8】については、次回以降でくわしく取り上げる。 (了)
連結納税適用法人のための 平成27年度税制改正 【第8回】 「地方拠点強化税制の創設(その2)」 公認会計士・税理士 税理士法人トラスト パートナー 足立 好幸 (3) 雇用促進税制の拡充(措法68の15の3、措令39の45の2) 今回の改正により、①現行の雇用促進税制に加えて、次の②及び③を上乗せすることとなった。 ① 現行の雇用促進税制 現行の連結納税制度に係る雇用促進税制は、連結法人のすべて又は連結グループ全体で[要件1]~[要件5]を満たした場合に、連結グループ全体の増加雇用者数に40万円を乗じた金額を連結税額控除額とし、各連結法人の増加雇用者数の割合によって個別帰属額を計算することとなる。 具体的には、連結法人が、適用年度(注1)において、次に掲げる要件のすべてを満たす場合には、適用年度の連結法人税額から、40万円に連結親法人及び各連結子法人の基準雇用者数(注2)の合計(注3)を乗じて計算した金額(税額控除限度額)を控除する(措法68の15の3①)。 この場合において、税額控除限度額が、連結法人税額の10%(連結親法人が中小連結親法人である場合には、20%)に相当する金額を超えるときは、税額控除額はその10%相当額を限度とする(措法68の15の3①)。 (※1) 前連結事業年度とは、適用年度に係る連結事業年度開始日前1年以内に開始した各連結事業年度又は各事業年度をいう(以下、(※5)に同じ)。 (※2) 基準雇用者割合とは、連結親法人及び各連結子法人の基準雇用者数の合計の適用年度に係る連結事業年度開始日の前日における連結親法人及び各連結子法人の雇用者数(適用年度に係る連結親法人事業年度終了日において高年齢雇用者に該当する者を除く)の合計に対する割合をいう(措法68の15の3⑤六)。 (※3) 高年齢雇用者とは、連結親法人又は連結子法人の使用人のうち高年齢継続被保険者(雇用保険法第37条の2第1項に規定する高年齢継続被保険者)に該当するものをいう(措法68の15の3⑤三)。 (※4) 給与等支給額とは、連結親法人又は連結子法人の給与等の支給額(その給与等に充てるため他の者(他の連結法人を含む)から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額)のうち適用年度の連結所得金額の計算上損金の額に算入される金額(適用年度に係る連結親法人事業年度終了日において高年齢雇用者に該当する者に係るものを除く)をいう(措法68の15の3⑤八)。 (※5) 比較給与等支給額とは、連結親法人又は各連結子法人ごとに、次の算式により計算した額をいう(措法68の15の3⑤七)。 (*1) 給与等の支給額とは、給与等の支給額のうち、連結所得の金額の計算上損金の額に算入される金額をいう。また、前連結事業年度と適用年度の月数が異なる場合は所要の調整を行う。 (*2) 前連結事業年度の給与等の支給額には、適用年度に係る連結親法人事業年度終了日において高年齢雇用者に該当する者に対する支給額は含まれない。 (*3) 前連結事業年度とは、適用年度に係る連結親法人事業年度開始日の1年前の日から適用年度開始日の前日までの期間内に開始した各連結事業年度又は各事業年度をいう。 (*4) 適用年度に係る連結親法人事業年度開始日の前日における雇用者数が0である場合には、次の算式により計算した額が比較給与等支給額となる。 また、この制度の適用を受けるためには、連結親法人の事務所の所在地を管轄する都道府県労働局又は公共職業安定所に連結親法人及び各連結子法人の雇用促進計画の提出を行い、都道府県労働局又は公共職業安定所で、[要件2]~[要件4]までの要件についての確認を受け、その際交付される連結親法人及び各連結子法人の雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写しを連結確定申告書に添付する必要がある(措令39の45の3①、措規22の29①)。 この場合、この雇用促進計画の達成状況の確認に関する手続は、厚生労働省の業務取扱要領にて示されており、連結親法人の事務所の所在地を管轄する公共職業安定所に、適用年度開始2ヶ月以内に雇用者の目標増加数を示した同計画の書類を提出し、適用年度終了後2ヶ月以内に適用年度の雇用者増加数などの要件を充足した内容を追記した同計画の書類を再度提出する必要がある。 また、この制度は、連結確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に、控除の対象となる基準雇用者数、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用することができる(措法68の15の3⑧)。この場合、控除される金額は、連結確定申告書等に添付された書類に記載された基準雇用者数を基礎として計算した金額に限るものとする(措法68の15の3⑧)。 ② 地方拠点強化実施計画の雇用促進税制 連結法人が、適用年度(注1)において、下記[第1号]に掲げる要件を満たす場合、適用年度の連結法人税額から20万円(その連結法人が下記[第2号]に掲げる要件を満たす場合には50万円)に連結親法人及び各連結子法人(注2)の適用年度の地方事業所基準雇用者数(注3)の合計(注4)を乗じて計算した金額(地方事業所税額控除限度額)を控除する。 この場合において、地方事業所税額控除限度額が、連結法人税額の30%に相当する金額(注5)を超えるときは、税額控除額は、その30%相当額を限度とする(措法68の15の3②)。 ③ 移転型計画の雇用促進税制 「②地方拠点強化実施計画の雇用促進税制」の適用を受ける又は受けた連結法人(注1)のその適用を受ける連結事業年度(注1)以後の各適用年度(注2)において、連結親法人及び各連結子法人が雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業を行っている場合には、適用年度の連結法人税額から、30万円に連結親法人及び各連結子法人(注3)の適用年度の地方事業所特別基準雇用者数(注4)の合計を乗じて計算した金額(地方事業所特別税額控除限度額)を控除する(措法68の15の3③)。 この場合において、地方事業所特別税額控除限度額が、適用年度の連結法人税額の30%に相当する金額(注5)を超えるときは、税額控除額は、その30%相当額を限度とする(措法68の15の3③)。 [雇用促進税制に係る税額控除額の個別帰属額の計算方法] そして、上記①②③で計算された連結税額控除額は、次のように、各連結法人に配分計算される(措法68の15の3⑩、措令39の45の3⑳)。 [地方法人税における雇用促進税制に係る税額控除額の取扱い] 法人税における雇用促進税制の税額控除額は、地方法人税の課税標準となる基準法人税額の計算において、連結法人税額から控除される(地方法6三)。 この場合、各連結法人の雇用促進税制の税額控除額の個別帰属額に4.4%を乗じた金額が地方法人税個別帰属額の計算において減算される(措法68の15の3⑩、地方法15①)。 [住民税における雇用促進税制に係る税額控除額の取扱い] 中小連結親法人又はその各連結子法人の各連結事業年度の個別帰属法人税額(道府県民税及び市町村民税の課税標準)の計算において、法人税における①現行の雇用促進税制に係る税額控除額の個別帰属額がある場合は、①~③の雇用促進税制に係る税額控除額の個別帰属額は個別帰属法人税額から控除される(連結法人税個別帰属額に加算しない。地方税法附則8⑥、地法23①四の三、292①四の三)。 中小連結親法人に該当しない連結親法人又はその各連結子法人については、個別帰属法人税額から控除されない(連結法人税個別帰属額に加算する)。 (了)
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第32回】 「非公開裁決事例③」 公認会計士 佐藤 信祐 今回、紹介する事件は、法人成りを行った場合において、個人事業の債権と債務の差額を営業権として処理した事件である。 法人成りについては、事業譲渡の手法を採用することも考えられ、いわゆる組織再編成の一形態として取り扱うことも可能である。 17 平成25年7月19日裁決(TAINSコード:J92-3-13) (1) 事件の概要 本件は、審査請求人(以下「請求人」という)が、設立の際に、請求人の株主であり代表取締役でもあるHから事業を譲り受けたとして、個人事業の債権と債務の一部について貸借対照表に計上し、その債権と債務の差額(債務超過分)を営業権として処理し、当該営業権に係る減価償却費及び当該債務のうちの借入金の利息等を損金の額に算入し、当該営業権に係る消費税相当額を控除対象仕入税額に算入したところ、原処分庁が、当該営業権は財産的価値がなく、借入金利息はHが支払うべきものであるから、当該減価償却費及び当該借入金利息について損金の額に算入できないとして更正処分等を行ったため、請求人が、これらの処分の違法を理由として同処分の全部の取消しを求めた事件である。 本事件の争点は、以下の通りである。 このうち、【争点4】については重要であるように思えるが、認定事実を見てみると、当事者間の債務の引継ぎが否定されていることから、他の事件への射程がほとんど及ばないため、本稿においては、【争点3】についてのみ解説を行うこととする。 (2) 原処分庁の主張 本件事業年度において、請求人がHの債務を明確に引き受けたと認められる事実は存在しないことから、引受債権と引受債務の差額を根拠とする本件営業権は、税法上財産的価値を有しているとは認められず、事実関係においても根拠のないものと判断され、本件営業権に係る減価償却費の損金算入は認められない。 請求人が、Hにおいて借入金の支払が不能であることを認識しながら、Hの借入金を引き受けたのであれば、法人税法第37条(寄附金の損金不算入)に規定する寄附金又は同法第34条(役員給与の損金不算入)に規定する役員給与に該当するものであり、法人税法上の損失に該当するものではない。 (3) 請求人の主張 引受債権と引受債務に差額があれば、会社法計算規則に従い資産又は負債に営業権を立て、それでも貸借に差額があれば、その期の損益に一括計上することは会社法の定める公正妥当な会計処理であり、法人税法に否認する規定がない以上はそのまま法人税法上の処理になる。 本件営業権に係る減価償却費は実質的に債務引受けによる借入金のうち引受債権と相殺された残額が損失の額であり、本件法人税申告書上に本件営業権に係る繰延資産として償却した額はその一部であり、繰延資産計上をして減価償却をすることは法人税法の理論的にも特に奇異なことではない。 (4) 国税不服審判所の判断 請求人に引き継ぐ段階において、将来の超過収益力があり明確に財産的価値があると認定できるような具体的な無形資産は見受けられず、逆に引き継ぐ直前のHの事業経営の内容は極めて悪く、請求人の設立は、Hの行っていた同一内容の営業の継続を図り、H個人の負債整理を円滑に行うことを目的として行われたものと認められる。また、事業の引継ぎに当たり、請求人について特別に考慮して評価すべき事情もないと認められることから、事業等を引き継いだ請求人が財産的価値のある営業権を取得したと認定することはできない。したがって、請求人に償却すべき営業権の額はなく、減価償却費を損金の額に算入することはできない。 (5) 評釈 請求人の主張はかなり奇異なものであり、原処分庁の主張が正しいことは言うまでもない。そのため、営業権償却費の損金算入や、営業権についての仕入税額控除を認めなかった国税不服審判所の判断は相当であり、異論を挟む余地はないと考えられる。 しかしながら、本事件を概観すると、資産調整勘定及び営業権の法体系が整理することができるため、ここでは、裁決書を参考にしながら、制度の解説を行いたい。 まず、平成18年度税制改正により、税務上ののれんの取扱いが明確になり、法人税法62条の8において、資産調整勘定の規定が定められた。しかしながら、法人税法施行令123条の10第1項において、「当該非適格分割等に係る分割法人、現物出資法人又は移転法人の当該非適格分割等の直前において営む事業及び当該事業に係る主要な資産又は負債のおおむね全部が当該非適格分割等により当該非適格分割等に係る分割承継法人、被現物出資法人又は譲受け法人に移転をするもの」と定められたが、この条文を素直に読めば、法人からの事業譲受のみが資産調整勘定が計上できる場合であり、個人からの事業譲受については資産調整勘定を計上することができないと解することになる。 この点については、やや奇異に感じることから、実務上は両説存在するが、もし、資産調整勘定として認識することができない場合であっても、営業権として認識することが可能であり、いずれにしても、差額概念によって処理されることから、特段の弊害はないと考えられる。 しかしながら、資産調整勘定として処理するにしても、営業権として処理するにしても、対価性のない支払いであれば、寄附金又は過大役員給与として処理されることになり、損金の額に算入することができないという問題が生じる。 本事件については、その点を争点とすべきものであり、原処分庁の主張としても、財産的価値を有しているものに限定されるべきであるとしており、国税不服審判所の判断においても、無形の財産的価値(超過収益力)を有する事実関係が必要であるとしている。しかしながら、納税者はこの点についての立証をほとんど行っておらず、納税者の主張を認める余地は見当たらない。 さらに、納税者からは「債務引受損失」についての主張もなされているが、本事件における事業譲受が法人税基本通達9-4-2に該当する余地が全く存在しないということは言うまでもない。 なお、傍論ではあるが、寄附金又は役員給与に該当する可能性についての原処分庁の主張に対しては、「未払の段階で寄附金として処理することはできない」「役員給与として認定できる具体的事実関係を示す証拠書類も見受けられない」として、採用することができないとしている。 すなわち、本事件においては、重畳的債務引受けがなされているという事実関係すら金融機関との関係から明確ではないとしており、さらに、請求人及びHとの間において、いずれが負担するのかという明確な合意がなかったことや、債務の引受けがなされていたとしても、債務の履行がなされていないということから、「未払の段階」であるという認定がなされている。この点については、通常の寄附金の取扱いであれば分からなくはないが、事業譲受における資産調整勘定の規定を見る限り、事業譲受(すなわち、債務引受け)の段階で寄附金と認定しないと整合性が取れない内容となっていることから、やや妥当ではない。 しかしながら、事業譲渡における重畳的債務引受けは頻繁になされているものであり、どちらが最終的に債務を負担するのかということは明確にしておかないと、事業譲受における債務の引受けがなされていないとして、資産調整勘定を減額させられてしまうなど、税務調査において、やや混乱を招く可能性があるということは留意しておく必要があろう。 本事件においては、やや杜撰に過ぎる処理が行われていたため、国税不服審判所の裁決書も分かりにくいものとなっているが、主たる論点としては、超過収益力が認められない資産調整勘定及び営業権は認識することができないという点であり、実務においても留意しておく必要があると考えられる。 (了)