《速報解説》
平成30年度税制改正に係る
「所得税法等の一部を改正する法律」が
3月31日付官報:特別号外第7号にて公布
~施行日は原則4月1日~
Profession Journal編集部
財務省の決裁文書の書換えをめぐり平成30年度税制改正関連法案の国会での審議の遅れが懸念されていたが、3月28日の参議院本会議で可決・成立され、3月31日(土)の官報特別号外第7号にて「所得税法等の一部を改正する法律」が公布された(法律第7号)。施行日は原則平成30年4月1日(法附則第1条)。地方税関係の改正法である「地方税法等の一部を改正する法律」も官報同号にて公布されている(法律第3号)。ただし、平成31年1月7日から適用予定の国際観光旅客税について規定された国際観光旅客税法案は参議院での審議が続いている。
また、創設された事業承継税制の特例制度に合わせパブコメに付されていた経営承継円滑化法省令の一部改正省令も公布・施行された。
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平成30年度税制改正では上記の通り中小企業の事業承継を強く後押しするため現行の事業承継税制の要件を大幅に緩和した10年間限定の特例制度を創設、合併・分割等による承継時の税負担を軽減する措置も織り込まれた。資産税関係では他に小規模宅地等特例や一般社団法人等を使った課税逃れへの対策が講じられることから、こちらは今国会で法案審議が行われている民法(相続法制)の見直しと合わせ相続対策を再構築する契機になるといえる。
また企業の賃上げ・生産性向上を推進する観点から所得拡大促進税制の要件を大企業・中小企業ごとに見直し大幅に改組。賃上げ・設備投資に消極的な大企業に対しては研究開発税制等の適用が認められない措置も加わる。新たな設備投資減税としてIoT等の革新的情報産業活用設備を取得等した場合の特別償却・税額控除制度が創設される。
なお、大企業については平成32年4月1日以後開始事業年度から法人税等の電子申告が義務化されるほか、ペーパレス化に向けた環境整備が行われる。1年半後にせまる消費税の軽減税率導入、さらに会計基準の動向を受けた法人税における収益認識等に係る措置を含め、社内の会計・税務システムの見直しを行う際は数年先を見据えた制度設計が必要といえよう。
個人所得課税については基礎控除の引上げとともに給与所得控除、公的年金等控除には年収による一定の控除額の制限が設けられる。これらは平成32年分以後からの適用となるが、昨年度改正による配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが本年分から適用されたばかりであり、さらなる源泉等実務への負担は避けられない。
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以下では主な法律、政令、省令の官報該当ページへのリンクを紹介する。
なお本誌では例年同様、主要な改正事項については4月以降、毎週木曜日公開号において、専門家による解説記事を順次掲載するとともに、各府省庁・主な団体等より公表された平成30年度税制改正関連の情報については「平成30年度税制改正に関する《資料リンク集》」及び「新着情報」を随時更新していくので、そちらを参照いただきたい。
また、税制改正大綱を受けた主な改正情報については、すでに本誌掲載済みの「平成30年度税制改正大綱」に関する《速報解説》 をご覧いただきたい。
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