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NEW!《速報解説》 恒久的施設(PE)関連規定の見直し~平成30年度税制改正大綱~

筆者:島田 弘大

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《速報解説》

恒久的施設(PE)関連規定の見直し

~平成30年度税制改正大綱~

 

税理士・行政書士 島田 弘大

 

1 はじめに

平成29年12月14日に「平成30年度税制改正大綱」が公表され、22日に閣議決定された。日本企業の健全な海外展開を支えることにより海外の成長を国内に取り込むと同時に、BEPSプロジェクトを背景に国際的な脱税や租税回避に対する効果的な対応も求められることから、毎年のように国際課税に関する重要な改正が行われている。

平成30年度の税制改正においても国際課税における改正が行われているが、国際課税の重要な改正の中に「恒久的施設関連規定の見直し」がある。

恒久的施設(Permanent Establishment)(以下「PE」という)の主な改正ポイントは、「PE認定の人為的回避防止措置の導入」と「租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備」の2つである。

 

2 PE認定の人為的回避防止措置の導入

(1) 支店PEの見直し

 現行法

「支店PE」とは、支店、出張所その他の事業所若しくは事務所、工場又は倉庫業者の倉庫その他事業を行う一定の場所をいう。ただし、保管、展示、引渡し、その他の特定の活動(以下、「特定活動」という)のみを行う場所等は、支店PEには含まれない。

 改正案

(ア) 特定活動のみを行う一定の場所等であったとしても、その活動が非居住者又は外国法人(以下、「非居住者等」という)の事業の遂行にとって準備的又は補助的な性格のものでない場合には、支店PEに該当する。

(イ) 支店PEに該当しないと判定された場合も、非居住者等と密接に関連する者(※)が当該場所で一体的な業務の一部として補完的な機能を果たしている場合には、支店PEに該当することとする。

(※) その個人又は法人との間に直接・間接の持分割合50%超の関係その他の支配・被支配の関係にある者をいう。

 留意すべきポイント

保管などの特定活動のみを行う場所であったとしても、準備的又は補助的な性格のものではない場合には支店PEに該当することになる。したがって、例えば相当数の従業員が勤務し、製品の保管・引渡しのみを行うための倉庫等については改めて検討が必要になる。

(2) 代理人PEの見直し

 現行法

「代理人PE」とは、下記(ア)(ウ)をいう。ただし、その者が、その事業に係る業務を、非居住者等に対し独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合における当該者(以下、「独立代理人」という)を除く。

(ア) 非居住者等のために、その事業に関し、契約を締結する権限を有し、かつ、これを継続的に又は反復して行使する者(常習代理人)

(イ) 非居住者等のために、顧客の通常の要求に応じる程度の数量の資産を保管し、かつ、当該資産を顧客の要求に応じて引き渡す者(在庫保有代理人)

(ウ) 専ら又は主として一の非居住者等のために、継続的に又は反復して、その事業に関し契約を締結するための注文の取得、協議その他の行為のうちの重要な部分をする者(注文取得代理人)

 改正案

非居住者等の「資産の所有権の移転等」に関する契約の締結に関する業務を行う者を常習代理人に加える。また、独立代理人の範囲から、専ら又は主として一又は二以上の自己と密接に関連する者に代わって行動する者を除外する。

 留意すべきポイント

常習代理人の範囲に「資産の所有権の移転等に関する契約」も含まれることになる。したがって、例えば販売委託契約(コミッショネア契約)で外国法人が日本の受託者(コミッショネア)を経由して日本の顧客に自社製品の売買を行っている場合も、その受託者(コミッショネア)が代理人PEに該当する可能性が考えられる。

(3) 建設PEの見直し

 現行法

「建設PE」とは、建設、据付け、組立てその他の作業又はその作業の指揮監督の役務の提供で、1年を超えて行われる建設作業場をいう。

 改正案

建設PEの期間要件について、契約を分割して建設工事等の期間を1年以下とすることにより建設PEを構成しないことがその契約の分割の主たる目的の1つであった場合には、分割された期間を合計して判定を行うこととする。

 留意すべきポイント

作業期間が1年超であるかどうかについて、分割された期間を合計して判定を行うことが明記されることとなるため、契約が分割されていることにより建設PEとなっていない場合には注意が必要となる。

 

3 租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備

わが国が締結した租税条約において、国内法上のPEと異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける非居住者等については、その租税条約上のPEを国内法上のPEとする。

OECDモデル租税条約と合わせるため、国内法上の上記(2)(イ)在庫保有代理人、(ウ)注文取得代理人を削除、またその他の国内法上の定義についても一部変更される。

 

4 適用時期

法人税平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用する。

所得税平成31年分以後の所得税について適用する。

(了)

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筆者紹介

  • 島田 弘大

    (しまだ・こうた)

    税理士・行政書士

    ・所属団体:東京地方税理士会、神奈川県行政書士会、Singapore Institute of Accredited Tax Professionals
    ・事務所名:島田&アソシエイツ国際税理士事務所(http://shimada-associates.com/

    神奈川県出身。早稲田大学商学部卒業後、新日本アーンスト&ヤング税理士法人(現EY税理士法人)、BNPパリバ証券株式会社を経てシンガポールに移住。
    現在は日本に帰国し、「国際税務」と「シンガポール進出」に特化した税理士事務所を日本とシンガポール両国で運営。シンガポール移住・進出サポートの実績も多数有する。

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