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《速報解説》 所有者不明土地対策として「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置」を創設~平成30年度税制改正大綱~

筆者:羽柴 研吾

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 《速報解説》

所有者不明土地対策として

「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置」を創設

~平成30年度税制改正大綱~

 

弁護士 羽柴 研吾

 

1 はじめに

平成29年12月14日に公表された与党の平成30年度税制改正大綱(以下「与党税制改正大綱」という)において、相続登記(相続を起因とする所有権に関する登記)を促進するための登録免許税の特例を新設することが明記された。

 

2 改正の背景

近年、いわゆる所有者不明土地の問題(例えば、地方公共団体における公共事業用地の取得の支障等)が生じており、このような問題の要因の1つとして、数次にわたる相続を経ても相続登記が放置されていることが指摘されていた。

このような指摘を受け、政府は、相続登記を促進することを掲げた「経済財政運営と改革の基本方針2016」に続く、「経済財政運営と改革の基本方針2017」において、長期間相続登記が未了の土地の解消を図るための方策を、関係省庁が一体となって取り組み、必要となる法案の時期通常国会への提出を目指すこととした。

また、国土交通省においても、「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会」が、平成28年3月に、「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策 最終とりまとめ」を公表しており、相続登記に係る登録免許税の免除・減免措置について引き続き検討を行うことを指摘していた。

さらに、自由民主党の所有者不明土地等に関する特命委員会も、平成29年6月に中間とりまとめを行い、必要な税制上の措置を講ずることを指摘していた。

今回の特例は、以上のような経緯を踏まえ、新設されることになったものである。

 

3 新設制度の概要

与党税制改正大綱によれば、次のような要件を満たす場合に、登録免許税を免税にすることが想定されている。

(1) 数次にわたる相続を経ても相続登記が放置されている土地の登録免許税

相続により土地の所有権を取得した者が当該土地の所有権の移転登記を受けないで死亡し、その者の相続人等が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受ける当該移転登記(相続登記)に対する登録免許税を免税とする。

(2) 相続登記を促進すべき地域における少額土地の登録免許税

個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(仮称・後記〔注〕参照)の施行の日から平成33年3月31日までの間に、市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地について相続による所有権の移転登記を受ける場合において、当該移転登記の時における当該土地の価額が10万円以下であるときは、当該移転登記に対する登録免許税を免税とする。

〔注〕所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(仮称)とは

同法案は、国土交通省の国土審議会土地政策分科会特別部会が、所有者不明土地の公共的目的のための円滑な利用を可能にするために検討している法案である(平成29年12月 国土審議会土地政策分科会特別部会中間とりまとめ参照)。

本法案においては、次のような措置を講じることが想定されている。

 道路事業・河川事業など高い公益性をもち、恒久的に土地を利用する事業について、判明している当該土地の共有者の中には反対者はいないが、不明者がいることによって利活用されていない場合に、従来の土地収用法の手続を合理化すること。

 土地収用制度の対象となるまでの公益性はないが、一定の公益を持つ事業について、上記の公益性との差を踏まえ、所有権の取得まで可能な土地収用制度よりも、権利制約の程度が小さい利用形態とし、土地収用法とは異なる新たな利用の仕組みを導入すること。
 なお、具体的には、不明者が現れる可能性が低い土地について、最低5年程度の一定期間の利用権を設定し、所有者が現れ、明渡しを求めた場合には、期間終了後に原状回復して明け渡すことが想定されているようである。

(了)

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筆者紹介

  • 羽柴 研吾

    (はしば・けんご)

    弁護士
    弁護士法人東町法律事務所(神戸事務所所属)

    企業法務、金融法務、自治体法務(固定資産税含む)を中心に一般個人案件にも従事。
    現在は、企業の事業承継問題、研究開発税制、不動産投資を含む空家対策問題に関心を寄せる。

    【略歴】
    京都府出身
    平成17年 立命館大学法学部卒業
    平成19年 立命館大学法科大学院修了、新司法試験合格
    平成20年 弁護士登録
    平成24年 仙台国税不服審判所(国税審判官)
    平成27年 東京国税不服審判所(国税審判官)
    平成28年 日弁連法務研究財団「国税不服審査制度に関する研究」研究員(現在)

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