公開日: 2021/09/16 (掲載号:No.436)
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税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第21回】「評価方法の選定に影響を与える「特別の事情」とは何か」~鑑定評価額が採用されたレアケース~

筆者: 黒沢 泰

税理士が知っておきたい

不動産鑑定評価常識

【第21回】

「評価方法の選定に影響を与える「特別の事情」とは何か」

~鑑定評価額が採用されたレアケース~

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

前回は、財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます)による評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り、相続財産の評価に当たっては、評価通達の定める評価方法によって評価を行うのが相当である旨、税務上取り扱われていることを述べました。すなわち、相続税の財産評価に用いる時価は評価通達により算定した評価額が原則であり、例外的に(すなわち特別の事情のある場合に限り)他の合理的な方法(鑑定評価等)による評価額が許容されるということです。

その際の「特別の事情」とは何かについては前回紹介したとおりですが、上記の考え方による限り、評価通達以外の評価方法による評価額が許容された事例は(筆者の調査による範囲では)事実上きわめて少ない傾向にあります。

前回、納税者と課税庁の間で評価額をめぐり争いとなった事例をいくつか掲げましたが、最後に鑑定評価の結果が活用されたケースとして東京地方裁判所令和元年8月27日判決(相続した不動産の時価について評価通達の定めによることなく鑑定評価額によって評価することが許されるとした事例)(※1)を簡単に紹介しました。この裁判例は、特別の事情の解釈を検討するに当たり、各方面から注目を浴びているということも耳にします。そこで、今回は、この事案の概要と争点、裁判所の判断について全体像を要約した上で、鑑定評価の位置付けに関し筆者なりのコメントを付しておきたいと思います。

(※1) 金融・商事判例No.1583(2020年2月1日号)、TAINSコード:Z888-2271。

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「評価方法の選定に影響を与える「特別の事情」とは何か」

~鑑定評価額が採用されたレアケース~

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

前回は、財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます)による評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り、相続財産の評価に当たっては、評価通達の定める評価方法によって評価を行うのが相当である旨、税務上取り扱われていることを述べました。すなわち、相続税の財産評価に用いる時価は評価通達により算定した評価額が原則であり、例外的に(すなわち特別の事情のある場合に限り)他の合理的な方法(鑑定評価等)による評価額が許容されるということです。

その際の「特別の事情」とは何かについては前回紹介したとおりですが、上記の考え方による限り、評価通達以外の評価方法による評価額が許容された事例は(筆者の調査による範囲では)事実上きわめて少ない傾向にあります。

前回、納税者と課税庁の間で評価額をめぐり争いとなった事例をいくつか掲げましたが、最後に鑑定評価の結果が活用されたケースとして東京地方裁判所令和元年8月27日判決(相続した不動産の時価について評価通達の定めによることなく鑑定評価額によって評価することが許されるとした事例)(※1)を簡単に紹介しました。この裁判例は、特別の事情の解釈を検討するに当たり、各方面から注目を浴びているということも耳にします。そこで、今回は、この事案の概要と争点、裁判所の判断について全体像を要約した上で、鑑定評価の位置付けに関し筆者なりのコメントを付しておきたいと思います。

(※1) 金融・商事判例No.1583(2020年2月1日号)、TAINSコード:Z888-2271。

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連載目次

税理士が知っておきたい
不動産鑑定評価の常識

第1回~第40回 ※クリックするとご覧いただけます。

第41回~

筆者紹介

黒沢 泰

(くろさわ・ひろし)

大手鉄鋼メーカーの系列会社(部長職)にて不動産鑑定業務を中心に担当。不動産鑑定士。

【役職等】
不動産鑑定士資格取得後研修担当講師(財団の鑑定評価、現在)、不動産鑑定士実務修習修了考査委員(現在)、不動産鑑定士実務修習担当講師(行政法規総論、現在)、(公社)日本不動産鑑定士協会連合会調査研究委員会判例等研究委員会小委員長(現在)

【主著】
『土地の時価評価の実務』(平成12年6月)、『固定資産税と時価評価の実務Q&A』(平成27年3月)、『基準の行間を読む 不動産評価実務の判断と留意点』(令和元年8月)『不動産鑑定評価書を読みこなすための基礎知識』(令和2年12月)『土地利用権における鑑定評価の実務Q&A』(令和3年12月)『新版 実務につながる地代・家賃の判断と評価』(令和4年9月)『新版/税理士を悩ませる『財産評価』の算定と税務の要点』(令和5年7月)『税理士が知っておきたい/実務で役立つ 不動産鑑定評価の常識』(令和6年7月、以上清文社)、『新版 逐条詳解・不動産鑑定評価基準』(平成27年6月)『新版 私道の調査・評価と法律・税務』(平成27年10月)、『不動産の取引と評価のための物件調査ハンドブック』(平成28年9月)、『すぐに使える不動産契約書式例60選』(平成29年7月)『雑種地の評価 裁決事例・裁判例から読み取る雑種地評価の留意点』(平成30年12月、以上プログレス)、『事例でわかる不動産鑑定の物件調査Q&A(第2版)』(平成25年3月)、『不動産鑑定実務ハンドブック』(平成26年7月、以上中央経済社)ほか多数。

     

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