固定資産をめぐる判例・裁決例概説
【第61回】
「売主と記載された者が代理人である旨の表示が契約書になくても、不動産の真の売主が非居住者であることを買主は委任状等を通じて知っていたと認められるから、買主に源泉徴収義務があるとされた事例」
税理士 菅野 真美
▷非居住者の不動産の売買と源泉徴収義務
非居住者による日本の不動産の取得が増加している。
国外に住所がある者による東京23区、大阪市、京都市の新築マンションの取得費率(区分所有建物の保存登記において、国外に住所がある者が取得している割合)は次表のとおりである。
| 地域 | 2025年 1~6月 | 2024年 | 2018年~2023年 での最大値 |
|---|---|---|---|
| 東京23区 | 3.5% | 1.6% | 2.0%(2018) |
| 大阪市 | 4.3% | 5.1% | 3.6%(2021) |
| 京都市 | 2.5% | 3.4% | 1.6%(2023) |
さらに都心6区に絞ると次のようになる。
| 区名 | 2025年 1~6月 | 2024年 | 2018年~2023年 での最大値 |
|---|---|---|---|
| 千代田区 | 7.7% | 6.2% | 11.4%(2023) |
| 中央区 | 0.0% | 2.2% | 4.5%(2018) |
| 港区 | 4.3% | 9.7% | 8.5%(2019) |
| 新宿区 | 14.6% | 1.7% | 3.8%(2023) |
| 文京区 | 5.0% | 1.9% | 5.1%(2022) |
| 渋谷区 | 8.1% | 8.6% | 10.8%(2018) |
なお、23区で新築マンションを取得した国外に住所がある者の国・地域について、直近では台湾が最も多くなっている。
(データ引用元:令和7年11月25日 国土交通省「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引実態の調査・分析について」)
非居住者が不動産売買契約の当事者である場合に、契約締結の場などに本人が現れるケースは少ない。このような場合は、日本に居住している代理人が立会い、契約書にも代理人として署名押印することが多い。しかし、売主が非居住者の場合、日本の不動産の譲渡対価は国内源泉所得に該当する(所法161①五)。そのため、国内で対価が支払われる場合、原則的には、買主に源泉徴収義務(所法212①)が生ずることになる。税率は10.21%(所法213①二、復興財源確保法28)である。
今回は、不動産の譲渡対価について、買主に源泉徴収義務があるか否か、すなわち、売主が非居住者か内国法人であるかで争われた事案を検討する。
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