公開日: 2016/06/09 (掲載号:No.172)
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ストーリーで学ぶIFRS入門 【第2話】「IFRSの特徴は大きく3つ」

筆者: 関根 智美

ストーリーで学ぶ
IFRS入門

【第2話】

「IFRSの特徴は大きく3つ」

仰星監査法人
公認会計士 関根 智美

 

● ○ プロローグ ○ ●

 ゼロから始めるIFRS勉強会

中堅上場会社の経理部に勤める桜井は、入社3年目。ようやく経理部の業務にも慣れてきた頃である。最近、会社がIFRS導入を検討し始めたため、2年先輩の藤原の下で桜井もIFRSを勉強することになった。

今日は6月の第2木曜日だ。藤原と約束したIFRS勉強会の日である。

「おはよう。さっそくIFRSの本を買ったのか?」
今朝も7時半にオフィスに入り、静かな時間を満喫している桜井に藤原が声をかけた。
桜井が本から目を離し、いつものように背後を見上げると、藤原が心なしか嬉しそうな顔をしている。

「おはようございます。とりあえず本屋に並んであった入門書を買ってみたんです。」
桜井は手に持った本のタイトルが藤原にも見えるように、少し掲げてみせた。

「いいんじゃないか?背伸びして難しい本を読んでも頭に入るどころか、下手すりゃ睡眠導入剤になるからな。」

「そうなんです。分厚いIFRSの本も立ち読みしたんですけど、歯が立たないってまさにこのことを言うんだなって実感しましたよ。」
藤原は、ため息をつく桜井の隣にドスンと腰を下ろし、大きく伸びをした。

「焦るな、若者。初めから上手くできる奴はいないんだから。まずは基礎をしっかり固めておくことが大事だぞ。幸い時間はまだある。」

「若者って、先輩とは2才しか違わないじゃないですか。」

「まぁ、細かいことは気にするな。さ、勉強しようぜ」
藤原は桜井のツッコミを軽くいなすと、コピーの裏紙とペンを取り出してせっせと何かを書き始めた。藤原の鷹揚さには慣れているので、桜井は気を取り直してノートとペンを準備することにした。

 

 重要なキーワードの英語表記も押さえよう

「ああ。そうだ。言い忘れていた。」
藤原は、紙から顔を上げて、桜井を見た。

「はい、何でしょう?」
桜井は何となく嫌な予感がした。

「これからIFRSを勉強するにあたって、重要な言葉については英単語も併せて教えていくからな。」

「えっー!?どうしてですか?ちゃんと日本語に訳されているのに、英語なんて必要ないじゃないですかぁ。」

「お前さ、英語苦手だろ?」

図星を指されて、桜井は一瞬口ごもる。学生時代は英語が不得意だったわけではない。受験英語は数学のように理屈で解けたため、英単語さえ押さえておけば何とかなった。でも、会話やニュースのように実際に生きている英語となるとそうはいかない。読むにしても聴くにしても全く理解できず、脳みそがフリーズしてしまうのだ。

「でもな、IFRSはもともと英語で書かれているだろ?会計処理を考えるときに、IFRSの本来の意味を原文に戻って確認することも今後は出てくるだろうし、これからは海外の子会社とも頻繁にやり取りするようになる。」

「はい。その通りですね・・・」
正直あまり遭遇したくないシチュエーションだな、と桜井は思った。

「何もIFRSのすべてを英語で理解しろ、と言ってるんじゃないんだ。大切なキーワードを押さえておけば、日本語訳からは伝わらないニュアンスを感じ取ることができるし、子会社の経理担当者とやり取りする際、どういったことについて問い合わせてきたのか、大まかに分かるだろう?」

「ええ、まぁ、確かに先輩のおっしゃる通りですが。」

「それに少しずつ英語にも慣れることができる。一石三鳥じゃないか。」
桜井だって、藤原の言ってることは理屈では分かるのだが、どうしても気分が落ち込んでしまうのは止められない。「でも、これも仕事だろ」と、自分に言い聞かせる。

そんな桜井の心境が手に取るように分かる藤原は苦笑しつつも後輩を励ます。

「まずは単語だけだ。焦らず行こうぜ。」

「はぁ。頑張ります・・・」
桜井は歯切れの悪い返事をした。今のところはこの返事で十分だろう、と藤原は思った。桜井の英語アレルギーの第一段階をクリアできたことは間違いない。

 

● ○  IFRSsの構成要素は4つ ○ ●

「よし。それでは勉強開始だ。」
藤原は「コホン」と咳払いを一つすると、桜井に先ほどコピー用紙の裏紙に書いた図を見せる。

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「IFRSの特徴は大きく3つ」

仰星監査法人
公認会計士 関根 智美

 

● ○ プロローグ ○ ●

 ゼロから始めるIFRS勉強会

中堅上場会社の経理部に勤める桜井は、入社3年目。ようやく経理部の業務にも慣れてきた頃である。最近、会社がIFRS導入を検討し始めたため、2年先輩の藤原の下で桜井もIFRSを勉強することになった。

今日は6月の第2木曜日だ。藤原と約束したIFRS勉強会の日である。

「おはよう。さっそくIFRSの本を買ったのか?」
今朝も7時半にオフィスに入り、静かな時間を満喫している桜井に藤原が声をかけた。
桜井が本から目を離し、いつものように背後を見上げると、藤原が心なしか嬉しそうな顔をしている。

「おはようございます。とりあえず本屋に並んであった入門書を買ってみたんです。」
桜井は手に持った本のタイトルが藤原にも見えるように、少し掲げてみせた。

「いいんじゃないか?背伸びして難しい本を読んでも頭に入るどころか、下手すりゃ睡眠導入剤になるからな。」

「そうなんです。分厚いIFRSの本も立ち読みしたんですけど、歯が立たないってまさにこのことを言うんだなって実感しましたよ。」
藤原は、ため息をつく桜井の隣にドスンと腰を下ろし、大きく伸びをした。

「焦るな、若者。初めから上手くできる奴はいないんだから。まずは基礎をしっかり固めておくことが大事だぞ。幸い時間はまだある。」

「若者って、先輩とは2才しか違わないじゃないですか。」

「まぁ、細かいことは気にするな。さ、勉強しようぜ」
藤原は桜井のツッコミを軽くいなすと、コピーの裏紙とペンを取り出してせっせと何かを書き始めた。藤原の鷹揚さには慣れているので、桜井は気を取り直してノートとペンを準備することにした。

 

 重要なキーワードの英語表記も押さえよう

「ああ。そうだ。言い忘れていた。」
藤原は、紙から顔を上げて、桜井を見た。

「はい、何でしょう?」
桜井は何となく嫌な予感がした。

「これからIFRSを勉強するにあたって、重要な言葉については英単語も併せて教えていくからな。」

「えっー!?どうしてですか?ちゃんと日本語に訳されているのに、英語なんて必要ないじゃないですかぁ。」

「お前さ、英語苦手だろ?」

図星を指されて、桜井は一瞬口ごもる。学生時代は英語が不得意だったわけではない。受験英語は数学のように理屈で解けたため、英単語さえ押さえておけば何とかなった。でも、会話やニュースのように実際に生きている英語となるとそうはいかない。読むにしても聴くにしても全く理解できず、脳みそがフリーズしてしまうのだ。

「でもな、IFRSはもともと英語で書かれているだろ?会計処理を考えるときに、IFRSの本来の意味を原文に戻って確認することも今後は出てくるだろうし、これからは海外の子会社とも頻繁にやり取りするようになる。」

「はい。その通りですね・・・」
正直あまり遭遇したくないシチュエーションだな、と桜井は思った。

「何もIFRSのすべてを英語で理解しろ、と言ってるんじゃないんだ。大切なキーワードを押さえておけば、日本語訳からは伝わらないニュアンスを感じ取ることができるし、子会社の経理担当者とやり取りする際、どういったことについて問い合わせてきたのか、大まかに分かるだろう?」

「ええ、まぁ、確かに先輩のおっしゃる通りですが。」

「それに少しずつ英語にも慣れることができる。一石三鳥じゃないか。」
桜井だって、藤原の言ってることは理屈では分かるのだが、どうしても気分が落ち込んでしまうのは止められない。「でも、これも仕事だろ」と、自分に言い聞かせる。

そんな桜井の心境が手に取るように分かる藤原は苦笑しつつも後輩を励ます。

「まずは単語だけだ。焦らず行こうぜ。」

「はぁ。頑張ります・・・」
桜井は歯切れの悪い返事をした。今のところはこの返事で十分だろう、と藤原は思った。桜井の英語アレルギーの第一段階をクリアできたことは間違いない。

 

● ○  IFRSsの構成要素は4つ ○ ●

「よし。それでは勉強開始だ。」
藤原は「コホン」と咳払いを一つすると、桜井に先ほどコピー用紙の裏紙に書いた図を見せる。

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連載目次

筆者紹介

関根 智美

(せきね・ともみ)

公認会計士

神戸大学経営学部卒業
2005年公認会計士2次試験合格
2006年より大手監査法人勤務後、語学留学及び専業主婦を経て、
2015年仰星監査法人に入所。法定監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
2017年10月退所。

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