ストーリーで学ぶ
IFRS入門
【第3話】
「概念フレームワークを学ぶ(前編)」
仰星監査法人
公認会計士 関根 智美
(以下で説明する概念フレームワークは、2010年9月に公表されたものに準じています。)
● ○ プロローグ ○ ●
今日は、IFRSの早朝勉強2回目の日だ。入社3年目の桜井は、同じ経理部の先輩である藤原にIFRSについて教えてもらうことになっている。桜井の勤める会社は規模こそ大きくないが上場会社であり、IFRSの導入を検討していることから、桜井もIFRSを勉強することになったのだ。
「どうした?難しい顔してるぞ。」
藤原よりも先に出社して、IFRSの本を読んでいる桜井の眉間に深い皺が寄っていた。
「あ、おはようございます。今日は概念フレームワークについて勉強するって言ってたじゃないですか。それで、予習しようとこの前買ったIFRSの入門書を読んでいたんです。」
「お前、真面目だな~」
「ありがとうございます。でも、この概念フレームワークの章を読んでも頭にすんなり入らなくて・・・。難解な日本語で説明しているわけじゃないんですが。」
どれどれ、と藤原が桜井の本を覗き込む。
「概念フレームワークは抽象的すぎるからな。しかも、『〇〇性』って用語がいっぱい出てきて、どれがどの要素かどんどん混乱していくんだよなぁ。そして睡魔に負けるってパターンだ。」
「仕事の後に勉強してたら、確実に熟睡してますね。」
「それだよな、早朝勉強の良いところ。その代わり、残業があると辛いんだけどさ。」
2人は暫く笑い合っていたが、藤原は「コホン」と咳払いすると、真面目な口調で話し始めた。
● ○ 概念フレームワークとは何なのか? ○ ●
概念フレームワークの位置づけ
「だが、概念フレームワークは重要だから押さえておく必要があるぞ。ちなみに英語では、The Conceptual Framework for Financial Reportingと言う。」
「うっ、さっそく英語ですか・・・。でも、これってIFRSの基準ではないですよね。何か特定の会計処理を定めているわけではないですし、IFRSの基準や適用指針一覧表を見ても、見当たりませんよ。IFRS第1号は「国際財務報告基準の初度適用」となっています。」
「良いところに気がついたな。それは、概念フレームワークがIFRSの枠外で定められているためだ。」
藤原は、以前書いたIFRSの構成要素の図に「概念フレームワーク」のボックスを書き加えた。
「図で描くとするなら、こんな感じかな。IFRSには含まれていないけど、影響を与えているという関係だ。」
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