租税争訟レポート 【第63回】「税務職員による税務相談と信義則違反(国税不服審判所令和2年4月13日裁決)」
本件は、本件は、審査請求人が、相続により取得した土地に対し、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下、「本件特例」と略称する)を適用して相続税の申告をしたところ、原処分庁が、当該特例の適用はないとして原処分を行ったのに対し、請求人らが、税務相談において当該特例の適用がある旨の回答を受けていたから原処分は信義則に反し違法であるとして、その全部の取消しを求めた事案である。
〈一から学ぶ〉リース取引の会計と税務 【第2回】「リースのメリットとデメリット」
【第1回】では、レンタルや購入との違いを確認し、リースの定義を整理しました。設備投資をする際には、主に「自己資金」「借り入れ」「リース」といった資金調達を用いて設備を購入しますが、どの方法で設備を使える状態にするかは選択する必要があります。
〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《収益・費用の計上-収益認識》編 【第3回】「返品権付きの販売」
今回の『収益認識』編では、中小企業に適用義務化されなかった収益認識会計基準や平成30年度税制改正後の法人税等の取扱いによる会計処理をご紹介します。それらの中から今回は、「返品権付きの販売」を取り上げます。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第31回】「不採算の売り手に対してM&Aをする場合の再生の着眼点」~再生させるように相手を磨くことのできる買い手になるために~
中小企業同士でも、一方(買い手)が他方(売り手)を救済するために行われるM&Aのケースは少なくありません。買い手はわざわざ不採算の売り手と共に歩む道を選択するわけですから、どれくらいの期間がかかるかわからないにせよ、採算にのせてM&Aの効果を高めたいものです。売り手としても、自力では抜け出せない状況を買い手の力を借りてなるべく早く脱したいのではないでしょうか。
《速報解説》 国税庁、準備の進捗や対応漏れの確認に有用な「インボイス制度への事前準備の基本項目チェックシート」を公表~登録・売手・買手編に分類のうえ、チェック項目を設置~
国税庁は、令和4年9月22日、「インボイス制度への事前準備の基本項目チェックシート」を公表した。
《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(令和4年1月~3月)」~注目事例の紹介~
国税不服審判所は、2022(令和4)年9月28日、「令和4年1月から3月までの裁決事例の追加等」を公表した。追加で公表された裁決は表のとおり、所得税法が2件、法人税法及び相続税法が各1件で、合わせて4件と、前回公表分(令和3年10月から12月)と同じく、非常に少なくなっている。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第18回】「瑕疵ある法律行為等の課税上の取扱い」-特別土地保有税「経過的事実」事件・最判平成14年12月17日判時1812号76頁-
前々回から課税要件事実の認定に関する問題を検討してきたが、今回は、その問題の1つとして、瑕疵ある法律行為等の課税上の取扱いの問題を取り上げることにする。これは、私法上の法律行為に瑕疵があるとき、その瑕疵に対する私法的評価ないしその効力如何が、課税要件事実の認定において考慮されるべきか否か、また、どのように考慮されるべきかという問題である(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【61】参照)。
これからの国際税務 【第33回】「グローバルミニマム税の国内立法化の動向」
軽課税国に所在する子会社等の税負担が、国際的に合意された最低税率(15%)に達するまで、親会社の所在する国において課税する所得合算ルールを中核とする「グローバルミニマム税」については、2021年10月のG20/OECDでの合意を受けて、国内法立法のガイダンスとなるモデルルール(2021年12月)及びその内容を解説をするモデルルールコメンタリー(2022年3月)がOECD/IFにより公表され、現在は、執行面のルール等に関する「実施枠組み」の策定作業が行われている状況にある。
〔令和4年度税制改正〕財産債務調書・国外財産調書制度の見直し
令和4年度税制改正案に盛り込まれた「財産債務調書制度等の見直し」案について、去る3⽉22⽇の国会において可決・成⽴し、令和5年分以後の財産債務調書等より適用がされていく。
また、7月6日には、国税庁から「財産債務調書制度等の見直しについて」のチラシが公開され、改正前後の取扱いについて周知が行われている。