相続税の実務問答 【第77回】「葬式費用の範囲②(2ヶ所で葬式を行った場合)」
私の父が先月亡くなりました。父の生家は、P県Q市で、代々造り酒屋をしており、現在は、伯父がその家業を引き継いでいます。
父は、東京で酒類や食料品の卸しの会社を経営しており、また、業界団体の役員にもなっていましたので、東京が活動の中心でした。そこで、東京で通夜及び告別式を行いましたが、その7日後に、親戚や知人の多い出身地のQ市でも告別式を行いました。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第60回】「事業の全部を転業した場合の特定事業用宅地等の特例の適用と個人版事業承継税制の適用の可否」
被相続人である甲は飲食店(中華料理屋)の事業を40年間営んでいましたが、令和4年10月9日に相続が発生しました。甲の飲食店の事業の用に供していたA宅地及び建物(いずれも甲が100%所有)及びその他財産の全てを長男である乙が相続しました。甲は開業以来、青色申告者として事業を営んでいました。相続開始時の甲の年齢は80歳で乙の年齢は50歳となります。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第4回】「米国デラウェア州LPSの法人該当性(地判平23.12.14、高判平25.1.24、最判平27.7.17)(その1)」~米国デラウェア州法201条(b)、所得税法2条1項7号等、租税特別措置法41条の4の2、民法33条、36条~
本件の納税者(居住者X)は、信託銀行との信託契約を介して米国デラウェア州法により設立されたリミテッド・パートナーシップ(以下「LPS」)(※1)が行う不動産賃貸事業にリミテッド・パートナーとして参加した。Xは、本件LPSは日本の租税法上の法人には該当しないので、本件LPSが行う不動産賃貸に係る所得はパス・スルー課税(※2)されて、自己の不動産所得になるとして、減価償却費等による不動産所得の損失金額を他の所得と損益通算して所得税の確定申告を行った。
マスクと管理会計~コロナ長期化で常識は変わるか?~ 【第10回】「これから目指すべき目標は?」
PNザッカ社は、キッチン雑貨や生活雑貨の製造・販売を手がける会社です。休み明けの経理部では、新商品の話に花が咲いています。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第134回】株式会社ソフィアホールディングス「独立調査委員会答申書(開示版)(2022年8月12日付)」
2022年6月8日、SHDの連結子会社であるSDIの代表取締役社長であったf氏及び取締役であったg氏が、B社(答申書の内容から、アルテリア・ネットワークス株式会社であることが判明しているため、以下の表記は「アルテリア社」とする)の従業員であるb氏や複数の代理店の役職員ら等と共謀の上、C社(新聞報道などから、株式会社NTTドコモであることが判明しているが、本稿では、答申書の表記に従い、「C社」とする)から接続料金を騙取することを目的とする組織として、2021年3月頃、アルテリア社から仕入れたIP電話番号に対して所謂「機械呼」と呼ばれる方法(以下「本件方法」という)で機械的連続発信をすることによりC社をしてアルテリア社に対して接続料金を支払わせて接続料金を騙取したとして、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑い(本件被疑事件)で警察に逮捕された。
《速報解説》 国税庁、事務運営指針の改正とともに「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」を公表~売上げや帳簿の範囲、帳簿の提示等の時期などを具体例も交え全20問で解説~
国税庁は、令和4年10月に、本件加重措置の運用に関連して以下の各事務運営指針を一部改正するとともに、「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」(以下「本件Q&A」という)を公表した。
本稿については、本件Q&Aの概要について解説する。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第113回】「節税商品取引を巡る法律問題(その7)」
これまで、節税商品取引に勧誘等をする側の法的問題を述べてきたが、他方で、かかる勧誘等を受ける側の問題についても関心を払う必要がある。具体的にいえば、勧誘等を受ける者の租税リテラシーのレベルに関する問題がそこには所在する。
以下、この視角に議論をシフトすることとし、いくつかの事例を参照しながら検討を加えることとする。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第8回】「国税通則法(10条及び)11条」-災害等による期限の延長-
期間とは、一般に、「一定の時間的隔たりの間の長さ」(角田禮次郎ほか編『法令用語辞典〔第10次改訂版〕』(学陽書房・2016年)116頁)をいい(ホステス報酬源泉徴収事件・最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁によれば「ある時点から他の時点までの時間的隔たりといった、時的連続性を持った概念」)、期限とは、一般に、「公法上若しくは私法上の法律行為の効力の発生若しくは消滅又はこれらの法律行為若しくは事実行為の履行が、一定の日時の到達にかかっている場合における、その一定の日時」(角田ほか編・前掲書122頁)をいう。