収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第47回】
変動対価や売上割戻しの課税上の取扱いについては、法人税基本通達2-1-1の11及び2-1-1の12に基本的な内容が定められている。以下では、このうち法人税基本通達2-1-1の11について検討する。
本通達は、資産の販売等に係る契約の対価について、値引き等の事実(値引き、値増し、割戻しその他の事実をいい、貸倒れ又は買戻しの可能性に基づく事実を除く)により変動する可能性がある部分の金額(変動対価)がある場合について定めている。法人が変動対価に係る値引き等をした後の金額で収益を計上した場合の取扱いをどうするか、という問題である。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第68回】「砂利採取業者事件」~最決平成16年1月20日(刑集58巻1号26頁)~
砂利採取業者X社は、売上除外等の方法により多額の法人税を逋脱していた。これにつき、国税局査察部は内偵調査を開始していたが、これを察知したX社は、税理士を通じ、管轄の税務署に対し、事情を説明して修正申告の可否等について相談した。これを受けて、税務署は税務調査を実施することとし、当該税理士を通じてその旨通知した上でこれを実施して、X社から関係資料を預かった。税務調査後、担当の統括調査官は、国税局査察部に対し、税務調査の実施を連絡した上で、一部資料をFAX送付した。その後、国税局査察部は、当初予定していた強制捜査を繰り上げて実施した。
〔強制適用前におさえておきたい〕監査上の主要な検討事項(KAM)への対応と留意点 【第3回】「企業及び監査人のKAMへの対応」
KAMは、監査人が考えて監査報告書に記載するものであるが、企業が監査人に言われたとおりに監査人から提示されたKAMを受け入れるだけでは、KAM導入の効果(【第1回】参照)が発揮されない。
そのため、本解説では、KAMを監査報告書に記載するにあたって、企業側及び監査人側がどのようにKAMへ対応する必要があるかについて解説する。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第110回】ダイワボウホールディングス株式会社「特別調査委員会調査報告書(2020年11月27日付)」
大和紡績の子会社であるB社元役員のA氏(以下「A氏」と略称する)は、2020年9月4日、B社社長に対し、2012年4月から2018年9月末日までノイ社C部副部長であった当時から、ノイ社には秘して、商品が実在しないにもかかわらず、製品を伝票のみでP社等に販売し、その後、R社等を経てノイ社が購入し、更に循環に回すという、架空の循環取引(以下「本件循環取引」という)を行っていたことを告白した。
B社は、直ちに、大和紡績にA氏の自白と本件循環取引の概要を報告し、社内調査を経て、ダイワボウHDは、9月30日開催の取締役会において、本件循環取引の事実解明、原因究明などを目的として、外部の弁護士及び公認会計士を含む特別調査委員会の設置を決議し、同日、これを適時開示した。
《速報解説》 改正会社法及び会社法整備法の施行等に伴う金融庁関係政府令等が公布~「財務諸表等規則」等の改正に伴う経過措置もあるため適用時には附則に注意~
2021(令和3)年2月3日、「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号。以下「改正会社法」という)及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和元年法律第71号)の施行(1年3月以内施行及び1年6月以内施行)等に伴う金融庁関係政府令等が公布された。これにより、2020年11月6日から意見募集されていた改正案が確定することになる。改正案に対するコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方も公表されており、改正案から変更されている部分がある。
《速報解説》 令和3年度税制改正(法人税関係)に関連大きい「産業競争力強化法等の改正法案」が閣議決定される~DX・カーボンニュートラル投資促進税制や中小企業経営資源集約化税制の認定制度を整備~
令和3年度税制改正関連法は国税に係る改正法が本年1月26日に、地方税に係る改正法が1月29日にそれぞれ通常国会へ提出されたところだが、今回の改正で創設される税制のうちデジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制やカーボンニュートラルに向けた投資促進税制、これら取組み企業への繰越欠損金の控除上限の特例措置は、それぞれ産業競争力強化法で定めた計画認定が必要とされている。
《速報解説》 国税庁、確定申告期限の延長に伴い「コロナFAQ」に12の設問を追加
既報のとおり令和2年分の確定申告期限が令和3年4月15日まで延長されたことに伴い、国税庁は「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を更新、申告以外の期限延長の対象となる主な手続きなど、「1 申告・納付等の期限の一律延長関係」に関する9問含む12の設例の追加(2つの設問について更新)を行っている。
《速報解説》 会計士協会、近年増加している非パブリック型のブロックチェーンを活用した受託業務に係る内部統制の保証報告書に関する実務指針案を公表
2021年2月3日、日本公認会計士協会は、保証業務実務指針「非パブリック型のブロックチェーンを活用した受託業務に係る内部統制の保証報告書に関する実務指針」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。
これは、保証業務実務指針3402「受託業務に係る内部統制の保証報告書に関する実務指針」に基づいて、非パブリック型のブロックチェーンを活用したサービスを対象として実施する際の指針を提供するものである。
monthly TAX views -No.97-「カーボンプライシング導入に向けた「炭素税」の論点とは」
菅総理が「2050年温暖化ガス排出量実質ゼロ」を表明して以降、わが国でも急速に脱炭素社会の実現に向けた動きが広まっている。
SDGsの流れもあり、気候変動をもたらす原因であるCO2の排出を抑えることは、いわば世界共通の責務ともいえよう。環境後進国の汚名返上に向けてのチャンスでもある。
