学会(学術団体)の税務Q&A 【第1回】「セミナー受講料のインボイス対応」
本学会(適格請求書発行事業者)では、セミナーの開催に関して、学会指定の銀行口座に受講料の振込をしてもらっています。受講料の振込に関しては、従来、金融機関の振込明細(利用明細)をもって、受講料を支払った証憑としてもらっており、改めて学会として受講料に係る領収書を交付していません。インボイス制度においては、学会として、インボイスを交付する必要があるのでしょうか。
〔徹底解説〕東京国税不服審判所令和5年3月23日裁決~事業の移転を伴わない適格合併に対する包括的租税回避防止規定の適用を適法と判断~
本事案は、適格合併により被合併法人の繰越欠損金を請求人(合併法人)に引き継いだうえで、請求人において損金の額に算入したところ、原処分庁から包括的租税回避防止規定(法法132の2)の適用を受けたため、請求人が合理的な事業目的による合併であることから、包括的租税回避防止規定が適用されないものとして、原処分の全部又は一部の取消しを求めた事案である。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例130(所得税)】 「譲渡日を引渡日ではなく契約日として「空き家に係る3,000万円の特別控除」を適用して申告したため、家屋が取り壊されていないとして税務調査で否認された事例」
令和4年分の所得税につき、被相続人甲の相続により取得した居住用財産の譲渡につき、譲渡日を引渡日ではなく契約日として「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」(以下「空き家に係る3,000万円の特別控除」という)を適用して申告したため、所轄税務署の実地調査を受け、譲渡日までに家屋が取り壊されていないとして、特別控除を否認され、修正申告をすることになってしまった。これにより、所得税額等につき過大納付が発生したとして損害賠償請求を受けた。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第33回】「宗教法人の管理人室は「本来の用」に専ら供されているから、固定資産税が非課税となる境内建物及び境内地に該当するとされた事例」
固定資産税は、固定資産の所有者に課す租税である(地方税法343①)が「固定資産税は、固定資産の価格を課税標準として課されることになっているから、それは固定資産の所有の事実に着目して課される財産税の性質を有する」ともいわれている(※1)。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第36回】「大和鋼管工業代表者事件-特定外国子会社と租税条約-(地判平20.8.28、高判平21.2.26、最判平21.12.4)(その2)」~租税特別措置法40条の4、日星租税条約7条1項~
我が国のタックス・ヘイブン対策税制は、「課税の繰延べ」を規制することを目的としたものではなく、「租税回避の否認」を目的としたものである(※3)。なお、タックス・ヘイブン対策税制の本質論に関しては色々な見解があり、表にまとめると以下のようになる(※4)。
有価証券報告書における作成実務のポイント 【第3回】
今回は、有価証券報告書のうち、第一部【企業情報】第2【事業の概況】1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】から2【サステナビリティに関する考え方及び取組】までの作成実務ポイントについて解説する。
なお、本解説では2023年3月期の有価証券報告書(連結あり/特例財務諸表提出会社/日本基準)に原則、適用される法令等に基づき解説している。
開示担当者のためのベーシック注記事項Q&A 【第19回】「関連当事者との取引に関する注記」
当社は連結計算書類の作成義務のある会社です。連結注記表及び個別注記表における関連当事者との取引に関する注記について、どのような内容を記載する必要があるか教えてください。
〈会計基準等を読むための〉コトバの探求 【第10回】「「やむを得ない場合」を用いる理由と該当性の判断」
「比較情報の取扱いに関する研究報告(中間報告)」(会計制度委員会研究報告第14号)では、親子会社の決算日の変更に関する記載の箇所で、「やむを得ない場合」という表現を用いている箇所がある。
今回は、「やむを得ない場合」という表現について、ただし書きを設ける場合との違いや該当性の判断について取り上げる。
《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(令和5年4月~6月)」~注目事例の紹介~
本稿では、公表された裁決事例のうち、無予告の税務調査が違法又は不当ではないとした裁決(前掲表①)、一括購入した土地及び建物について各資産の取得価額の算定に当たり不動産鑑定評価による按分が合理的であるとした裁決(前掲表③)、相続開始の時に空室であった貸室について賃貸されていたのと同視し得る状況にはないから、賃貸されていなかったものとは認められないとした裁決(前掲表⑦)について、国税不服審判所の判断内容を概説したい。