〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第14回】「財産評価基本通達第26項(2)(注)2の「一時的に賃貸されていなかった」の具体的期間」
① 平成24年6月に死亡した被相続人は共同住宅を2棟所有し、本件家屋1については12室(うち1室は被相続人が居住)、本件家屋2については21室で構成されている。
② 相続開始日現在においての空室は、本件家屋1については2室で、平成25年12月31日までの空室期間はそれぞれ「1年10ヶ月15日」と「1年4ヶ月5日」、本件家屋2については5室で、同じく「1年5ヶ月」と「1年8ヶ月」と「3ヶ月9日」と「11ヶ月29日」と「5ヶ月26日」であった。
③ 審査請求人(請求人)は、本件家屋1については被相続人居住部分を除く11室全て、本件家屋2については21室全てについて、それぞれ賃貸の用に供されているとして、財産評価基本通達(評価通達)第26項の貸家建付地及び同第93項の貸家として評価減をした上で相続税の当初申告を行った。
④ 原処分庁は、上記②の各空室については貸家建付地及び貸家の評価減はできないとして更正処分等を行った。
租税争訟レポート 【第71回】「税理士懲戒処分の取消請求事件(第1審:大阪地方裁判所令和3年5月27日判決、控訴審:大阪高等裁判所令和3年12月2日判決)」
税理士である原告は、東京都新宿区に本店を置く株式会社A(以下「A」と略称する)の平成25年4月から平成26年3月までの事業年度(平成26年3月期)の法人税の申告に当たり、Aの関与税理士であったB(横浜市に事務所を置く税理士。以下「B税理士」と略称する)からAの所得金額を圧縮することの相談を受けた。
原告は、Aの代表取締役であったC(平成26年死亡。以下「亡C」という)がAに対する貸付金債権のうち4億1,300万円について生前に債権放棄していたにもかかわらず、亡Cの死後に債権放棄額を3億円に減額する旨の債権放棄通知書を作成しAの債務免除益を1億1,300万円減少させることによって、その相談に応じたが、その行為は税理士法36条、45条1項の規定に該当するとして、処分行政庁から、令和元年6月6日付けで、税理士業務の禁止の処分を受けた。
本件は、原告が、原告の行為は税理士法36条が禁止する脱税に関する「相談」に当たらないから処分は違法であるなどと主張して、被告を相手に、処分の取消しを求める事案である。
〈一から学ぶ〉リース取引の会計と税務 【第12回】「リース取引の税務上のポイント」
これまで本連載では、リース取引の会計について見てきました。今回は、リース取引の税務の概要について、会計と比較しながら簡単に確認します。
会計の勉強を始めた頃の筆者は、今回のような「会計と税務を比較する」「会計と税務の違い」と聞くと、頭にたくさん「?」が浮かびました(会計で計算された利益に基づいて、法人税を計算することは理解していたのですが・・・)。今回、当時の筆者と同じように、頭に「?」が浮かんでいる読者の方もいらっしゃると思います。
そのため今回は、まず会計と税務の違いを簡単に確認してから、リース取引の会計と税務の違いを見ていきたいと思います。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第45回】「仲介者や金融機関が好む買い手と売り手の特徴」
【第43回】は主に売り手の立場から、【第44回】は買い手の立場から第三者に好まれる特徴などをみてきました。今回は、第三者の視点から、自らが好む買い手や売り手の特徴をいくつかみていきたいと思います。
《速報解説》 令和6年能登半島地震の損失に係る雑損控除等、令和5年分の所得税確定申告で適用可とする特例法案の概要が明らかに~自民・公明両党、今国会での早期成立を目指す~
令和6年1月31日(水)、自由民主党・公明党は、令和6年能登半島地震における被災者の所得控除を前倒しで適用可能とする特例法案の早期成立を目指すとしたうえで、同法案の概要を公表した。
《速報解説》 総務省、「個人住民税の定額減税(案)に係るQ&A集」を公表~控除対象配偶者以外の同一生計配偶者に係る定額減税を令和7年度分からとする詳細示す~
既報のとおり令和6年1月22日に所得税の定額減税については、源泉徴収義務者に向けた実施要領案が公表されたところ、同月29日には、総務省ホームページにおいて「個人住民税の定額減税(案)に係るQ&A集(第1版)」が公表された。
《速報解説》 国税庁、インボイス制度に関して「多く寄せられるご質問」を更新~令和5年10月から課税事業者となった場合の令和7年における基準期間の取扱いなど4問追加~
インボイス制度に関して「多く寄せられるご質問」は、既報のとおり令和5年11月13日に全13問で国税庁ホームページにて公表され、その後12月13日には設問が5問追加されたところ、本日(令和6年1月26日)付で新たに4問が追加された。
《速報解説》 「倫理規則」及び「倫理規則に関するQ&A」の改正案がJICPAより公表される~上場事業体及び社会的影響度の高い事業体の定義に関する規定等を改正~
2024年1月24日、日本公認会計士協会は、「倫理規則」及び「倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」」の改正に関する公開草案を公表し、意見募集を行っている。
《速報解説》 ASBJが「グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い(案)」を公表~IIRに係る取扱いの見直し予定を踏まえ、2024年3月末までに実務対応報告の改正を想定~
2024年1月24日、企業会計基準委員会は、「グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第68号(実務対応報告第44号の改正案))を公表し、意見募集を行っている。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第34回】「過少申告加算税の減免に係る「正当な理由」の意義と類型」-過少申告加算税減免の実質的正当根拠理由の検討-
前々回、前回と2回にわたって重加算税の賦課要件に関する判例を検討したが、今回は、それらと並ぶ加算税に関する重要論点として、過少申告加算税の減免に係る「正当な理由」要件(税通65条5項1号)の解釈適用の問題を検討する(なお、無申告加算税や不納付加算税についても同様の問題(税通66条1項柱書但書・7項、67条1項但書)があるが、以下では過少申告加算税について検討する)。