〔書面添付を活かした〕税務調査を受けないためのポイント 【第1回】「税務調査が来ない企業とは」
さて、日本の申告法人数は約255万社であり、そのうち利益法人は約64万社(25%)である。
一方、税務職員は約5万名だが、そのうち調査担当者数は限られる。
さらに消費税等税目の増加、取引の国際化、金融取引等取引自体の複雑化等があり、また、平成25年1月より適用されている国税通則法の改正による調査手続の負荷等によって、実調率を上げることは困難になりつつある。
年間に税務調査を受ける会社数は約14万社であり、申告法人数に占める割合は約5%。単純計算すると、調査は20年に1回の計算になる。しかし、仮装・隠蔽等の不正を行っている企業は別であるが、赤字企業に増差額が出ても結局赤字により納税がなければ、税務調査は効率的ではないとされる現状がある。
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第15話】「脱税とOB税理士」
「こりゃあ、ひどいなあ・・・」
渕崎統括官は、新聞を大きく広げてうなった。
新聞の見出しには『国税調査官とOB税理士を逮捕』と書かれている。
「どうしたのですか?」
田村上席が渕崎統括官の持っている新聞を覗き込んだ。
「現職の、上席調査官が逮捕されたのですか・・・」
〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第4回】「典型的な6パターンにおける〈相続人の範囲〉を理解する」
今回は具体例を見ながら、相続人となる親族の範囲について理解を深めることとする。
なお、筆者の経験から、以下の「6パターン」を理解すれば、実務的に遭遇するケースのほとんどをカバーできるといえる。
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について 【追補③】「新設された措置法通達のポイント(その3)」
この措通70の2の2-7では、本制度適用により贈与税の非課税とされる価額は、非課税限度額である1,500万円の範囲内で「教育資金非課税申告書」又は「追加教育資金非課税申告書」を預貯金の預入等をした日までに提出し、かつ、措令40の4の3④又は⑤の要件である教育資金の贈与を受けてから2月以内に教育資金管理契約に基づく口座へ預貯金の預入れ等を行った金額に限られる点が、留意的に明らかにされている。
〔理解を深める〕研究開発税制のポイント整理 【第3回】「試験研究の範囲・試験研究費の範囲」
試験研究費の範囲を述べる前に、まず「試験研究」の範囲を整理することが必要である。
「租税特別措置法42条の4第12項1号 試験研究費の意義」では、税額控除の対象となる試験研究費の「試験研究」を「製品の製造に関する試験研究」「技術の改良・考案・発明に関する試験研究」としている。
そのため、それぞれの試験研究に該当する支出であれば、当該試験研究の内容が、例えば製品の改良試験等の通常の試験研究又は開発的な試験研究であったとしても、その内容を問わず当該支出のすべてが税額控除の対象となる試験研究費の「試験研究」に該当することになる。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第8回】「交際費と給与を区別する」
会社が事業を行うに当たり、本来自社の役員や使用人が負担すべき費用を、会社が負担することがある。
このとき、この支出を「交際費」として扱うのか「給与」として扱うのかで、課税関係が異なる。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載34〕 会社分割により退職給付債務を移転する場合の税務処理
当社(P社)は、分社型分割により完全子会社(S社)を新設し、S社へ引き継ぐ従業員に係る退職給付債務をS社に移転する予定です。
この移転の税務処理に関して注意すべき点をご教授下さい。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第17回】工事契約会計①「工事契約の収益認識」
当社は、総合建設会社(ゼネコン)です。×1年3月期において、マンション建築工事を請負金額1,000百万円で受注しました。引渡し予定は×3年3月末で、原価予算は900百万円です。
このような条件で受注した建築工事について、どのように収益を認識すればよいでしょうか。
税効果会計を学ぶ 【第17回】「連結財務諸表における税効果会計の取扱い②」~子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(会計制度委員会報告第7号。以下「資本連結実務指針」)は、連結貸借対照表の作成に当たり、支配獲得日において、取得した株式に係る子会社の資産及び負債を時価により評価すると規定している(資本連結実務指針11項)。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第4回】「ホステス報酬事件(その1)」~事案の論点~
租税法律主義の下では、条文に書いてある内容に忠実に従ったところで、租税は賦課徴収されることになる。しかし、条文の内容が十分に明確ではないとか、いくつかの解釈が可能となってしまうというようなケースは少なくない。
例えば、「期間の日数」に一定の数をかけて源泉徴収税額を算出するという規定があるとしよう。そこでは、この「期間の日数」というものをどのように理解すればよいのかという問題が起こり得る。「連続した日数」をいうのか、あるいはある一定の「期間」の中から対象となる「日数」をカウントするのか、というようにである。
租税法の条文解釈の手法には、「文理解釈」と呼ばれるものと、「目的論的解釈」と呼ばれるものがある。ところで、上記の問題を明らかにするためには、この2つの解釈手法のうちいずれが採用されると考えるべきなのであろうか。