「企業結合に関する会計基準」等の改正点と実務対応 【第2回】「取得の会計処理」~取得関連費用の会計処理と暫定的な会計処理~
改正前企業結合会計基準26項では、「取得とされた企業結合に直接要した支出額のうち、取得の対価性が認められる外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等は取得原価に含め、それ以外の支出額は発生時の事業年度の費用として処理する。」とされていた。
したがって、これまでは取得に直接要した支出額は、のれんの一部を構成していた(又は負ののれんの減少要因)。
改正企業結合会計基準26項では「取得関連費用(外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等※)は、発生した事業年度の費用として処理する。」とされた。
これは、国際的な会計基準に基づく財務諸表との比較可能性を改善する観点や取得関連費用のどこまでを取得原価の範囲とするかという実務上の問題点を解消する観点からの改正である(改正企業結合会計基準94項)。
税効果会計を学ぶ 【第22回】「連結財務諸表における税効果会計の取扱い⑦」~留保利益などに係る一時差異
留保利益は、連結手続上、子会社の資本の親会社持分額及び利益剰余金に含まれる。
一方、留保利益は親会社の個別貸借対照表上の投資簿価には含まれていないため、子会社の資本の親会社持分額と投資の個別貸借対照表上の投資簿価との間に差額が存在する。この差額が将来加算一時差異となり、税効果会計の対象となる(連結税効果実務指針34項)。
林總の管理会計[超]入門講座 【第14回】「今の経営に求められている製品別計算とは?」
〔林〕例えば君が、富山で置き薬を営む経営者だとしよう。
営業担当者のA君は客との関係がすごく良い、だがB君はやる気がなく売上げも少ない。
甲薬は利益率が高くて、乙薬はほとんど利益が出ない。営業マンは会社や家庭に何種類もの薬を置いて、半年後に使用した薬の代金を回収する。
そこで質問だ。君は経営者として、どのような原価情報を欲しいと思うかな。
〔Q〕そうですね・・・。薬の原価はわかりますから、あとは、営業担当者別とか、得意先別の利益ですね。
〔林〕それだけかな?
〔Q〕えっと、ほかには・・・・
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第24回】純資産会計②「自己株式の処分・消却」─自己株式処分差額の会計処理方法
当社はインターネット上の通信販売サイトの運営会社です。システムの大幅な更新のための資金を確保する目的で、過去の株価下落時に取得した自己株式を募集株式の発行手続により処分することを検討しています。また、処分した残りの自己株式については消却する予定です。
自己株式を処分した場合及び自己株式を消却した場合の会計処理について教えてください。
「企業結合に関する会計基準」等の改正点と実務対応 【第1回】「主な改正事項の確認」
企業結合における取得関連費用のうち一部について、改正前の会計基準では、取得原価に含めることとされていたが、改正会計基準等では、発生した事業年度の費用として処理することとされた。また、主要な取得関連費用を注記により開示することとされた。
なお、個別財務諸表における子会社株式の取得原価は、従来と同様に、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」及び日本公認会計士協会会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」に従って算定される。
これらの会計処理は、共通支配下の取引の会計処理にも同様に適用される。
「連結財務諸表の用語、様式及び 作成方法に関する規則等の一部を 改正する内閣府令」の解説 ―IFRS任意適用要件緩和の内容とその背景、 今後の展望について―
2013年6月19日、金融庁企業会計審議会は、
① International Financial Reporting Standards(以下、「IFRS」という)の任意適用要件の緩和
② IFRSの適用の方法
③ 単体開示の簡素化についての考え方
を整理した、「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」(以下、「方針」という)を公表した。
当該方針に基づき、8月26日には、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、「連結財規」という)等の一部を改正する内閣府令(案)」等が公表され、10月28日に内閣府令(第70号)が公布された。
当改正の趣旨は、IFRS任意適用企業を増加させることにあるといえる。以下では、主な改正内容やその背景等について概説する。
減損会計を学ぶ 【第2回】「減損会計の特徴」
減損会計基準を理解するためには、同会計基準が設定された背景を理解する必要がある。
固定資産に関する会計手法として、減価償却がある(「企業会計原則」第三、五)。
減損会計基準の設定の背景を理解するために、まず、減価償却の考え方を整理し、次に減損会計を必要とした理由を考えてみる。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第23回】純資産会計①「自己株式の取得」─自己株式は株主資本の控除項目
当社は、インターネット上の通信販売サイトの運営会社です。ここ数年利益が安定し、営業キャッシュ・フローもプラスのため株主還元として一定額を配当しています。
当期は配当に加え、取締役会において自己株式の取得を決定しました。
自己株式を取得した場合の会計処理について教えてください。
税効果会計を学ぶ 【第21回】「連結財務諸表における税効果会計の取扱い⑥」~子会社への投資に係る一時差異
子会社へ投資を行ったときには、投資の取得価額と投資の連結貸借対照表上の価額(子会社資本の親会社持分額と資産の部に計上されたのれんとの合計額)とは一致し、親会社にとって投資に係る一時差異は生じないことになる(次図参照。連結税効果実務指針29項、53項)。
減損会計を学ぶ 【第1回】「減損会計の全体像」
平成14年8月に、企業会計審議会から「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(以下「減損会計意見書」という)が公表され、平成17年4月1日以後開始する事業年度から実施されている。減損会計はすでに実務に定着しているものといえる。
減損会計は、企業の業績が悪化するなどし、将来の収益が十分には獲得できない場合に、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額する会計処理である。このため、減損会計は毎期決算のポイントとなる事項であり、将来の収益の獲得という見積りの要素が重要となる。
前述のように減損会計はすでに実務に定着しているものの、導入当初はなかなかなじみにくい会計基準であるとの意見が聞かれた。これは、減損会計には全体像が理解しにくい面があること、減損の兆候などの新しい用語が使用されていること、管理会計の要素を考慮する面があることなどがあるためではないかと考えられる。