〈注記事項から見えた〉減損の深層 【第15回】「自動車関連部材の事業が減損に至った経緯」-戻らない需要-
今回取り上げる事例は、自動車のシート用クッション材等を欧州自動車メーカーに供給している製造拠点について、減損損失を計上した事例です。
発泡スチロールのメーカーとして知られるこの会社は、コロナ前の2019年2月に、欧州で自動車部材の製造拠点等を展開する製造メーカー、Proseat GmbH & Co. KG等(以下、Proseatグループ)を買収しました。同社は、その後、2022年3月期にProseatグループの固定資産について多額の減損損失を計上し、2025年3月期には、それに次ぐ規模の減損損失を計上しています。以下で取り上げるのは、2025年3月期の事例です。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第176回】株式会社創建エース「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2025年6月30日付)」
創建エースは、2024年10月1日に証券取引等監視委員会開示検査課による金融商品取引法に基づく開示検査を受け、創建エース連結子会社において2021年9月から2023年 6月末日までのA社との取引の実在性及びA社に対する債権の資産性について疑義(本件疑義)がある旨の指摘を受けた。
2025年3月7日に証券取引等監視委員会より本件疑義について外部専門家による調査の要請を受け、創建エースは、連結子会社の本件疑義における会計処理に関する事実関係の調査、業績への影響の把握及び原因の究明が必要であると判断し、中立・公正且つ独立した調査を行うため、利害関係を有しない外部専門家によって構成される特別調査委員会を2025年3月19日に設置し、調査を実施することとした。
〔まとめて確認〕会計情報の月次速報解説 【2025年10月】
2025年10月1日から10月31日までに公開した速報解説のポイントについて、改めて紹介する。
具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。
《速報解説》 ASBJよりバーチャルPPAに関する会計上の取扱いを規定する「非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い」が公表される
2025年11月11日、企業会計基準委員会は、「非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第47号)を公表した。
《速報解説》 監査役協会、「グループ・ガバナンスと監査役等の監査について」を公表~アンケート調査をもとに今後のグループ監査活動の取り組みに関する提言を取りまとめ~
2025年11月11日、日本監査役協会ケース・スタディ委員会は、「グループ・ガバナンスと監査役等の監査について」を公表した。
決算短信の訂正事例から学ぶ実務の知識 【第20回】「期中レビュー報告書の一部記載漏れ」
第1四半期と第3四半期の四半期決算短信については、監査人によるレビュー手続がなされているものがあります。2024年度においては、上場会社のうち、4社に1社程度がレビューを受けたようです。
今回の訂正事例は、四半期決算短信に係る期中レビュー報告書が間違っていたものです。四半期決算短信のレビューは、一部の会社に対しては義務付けられていますが、基本的には任意です。そして、いずれの場合も、レビューを受けている場合は四半期決算短信にレビュー報告書を添付します。レビュー報告書自体は監査人が作成するものなので、その間違いについて会社に責任はありませんが、訂正を公表するのは会社です。訂正になった場合の手間を考えると、一定程度の知識は持っておいた方がよいと思います。
では、早速、事例を見ていきましょう。
連結会計を学ぶ(改) 【第8回】「みなし取得日」
連結財務諸表の作成は支配獲得日から行うことになるが、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)では、支配獲得日等に関して、みなし取得日の規定を設けている(連結会計基準(注)5)。
なお、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(移管指針第4号。以下「資本連結実務指針」という)は、2025年10月16日の「期中財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第37号。以下「期中会計基準」という)の公表を受けて修正されている規定があるので、実際の適用に際しては、期中会計基準の適用時期に注意する。
《速報解説》ASBJ、「金融商品に関する会計基準(案)」等を公表~金融資産の減損に予想信用損失モデルを導入~
2025年10月29日、企業会計基準委員会は、「金融商品に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第89号。以下「金融商品会計基準(案)」という)等を公表し、意見募集を行っている。
有価証券報告書における作成実務のポイント 【第16回】
今回は、有価証券報告書のうち、【経理の状況】の【注記事項】1株当たり情報からその他の作成実務ポイントについて解説する。
なお、本解説では2025年3月期の有価証券報告書(連結あり/特例財務諸表提出会社/日本基準)に原則、適用される法令等に基づき解説している。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第175回】株式会社トーシンホールディングス「第三者委員会調査報告書(開示版)(2025年8月29日付)」
2025年4月30日、トーシンHDの当時の一時会計監査人である中部総合監査法人(報告書上の表記は、B監査法人))からの指摘によって、トーシンモバイルの財務報告に関し、2023年4月期から2024年4月期にかけて、主に移動体通信関連事業における二次代理店向けの代理店精算において、財務報告用資料と実際の代理店精算用資料の2種類が存在しており、かつ財務報告用資料において二次代理店向けの端末販売等の売上高が過大計上となっており、その結果として帳簿上未回収となっている売掛金が存在している事実(本事案)が判明した。
本事案について、事案の解明を図るためには、独立性及び専門性を有する第三者による調査が必要であるという中部総合監査法人からの指摘を受け、トーシンHDは、公正性を確保した調査が必要であると判断し、2025年5月9日開催の取締役会において、外部の有識者によって構成する第三者委員会(第2次調査委員会)の設置を決議し、同月20日開催の取締役会において、第三者委員会の委員を決定し、調査に着手した。
