〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第91回】「ソフトウェア使用許諾契約書」
当社はソフトウェア開発会社です。当社所有のソフトウェアを使用することを許諾するにあたり、下記の「ソフトウェア使用許諾契約書」を取り交わすことを予定していますが、印紙税の取扱いはどうなりますか。
《速報解説》 経産省、「デジタル経済下における国際課税研究会」による中間報告書を公表~G20大枠合意に伴う課題等への検討を行い、今後の対応の方向性を示す~
経済産業省は、経済のデジタル化が加速する中、我が国が「投資立国」として持続的に成長を続けるため、国際的な議論を踏まえつつ、内外市場における公平な競争環境を整備し、日本企業の競争力強化及び経済活性化に資する公正な国際課税の在り方を検討することを目的として、本年3月、「デジタル経済下における国際課税研究会」を設置し、6回の議論を重ね、8月19日に中間報告書(以下「報告書」という)を公表した。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第5回】「遡及立法禁止原則と財産権の「制約」」-「損益通算廃止」年度内遡及[千葉]事件・最判平成23年9月22日民集65巻6号2756頁-
今回は、租税法律主義(形式的租税法律主義)の要請のうち遡及立法禁止原則ないし租税法律不遡及の原則(拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)【35】参照)に関して「損益通算廃止」年度内遡及[千葉]事件・最判平成23年9月23日民集65巻6号2756頁(以下「本判決」という)を取り上げる。本件は、平成16年度税制改正における土地建物等の譲渡損失に係る損益通算制度の廃止措置のいわゆる年度内遡及の合憲性が争われたものである。
組織再編成・資本等取引の税務に関する留意事項 【第1回】「特定関係子法人から受けた配当等の額に係る特例」
内国法人が特定関係子法人から受ける配当等の額(以下、「対象配当等の額」という)及び同一事業年度内配当等の額の合計額が基準時の直前における当該特定関係子法人の株式又は出資の帳簿価額の100分の10に相当する金額を超える場合には、当該対象配当等の額及び同一事業年度内配当等の額のうち、受取配当等の益金不算入(法法23①)、外国子会社から受ける配当等の額の益金不算入(法法23の2①)又は適格現物分配による益金不算入(法法62の5④)の規定により益金の額に算入されない金額に相当する金額を当該基準時の直前における特定関係子法人の株式又は出資の帳簿価額から減算する必要がある(法令119の3⑦、119の4①)。これは、みなし配当(法法24)に該当したことにより、受取配当等の益金不算入又は外国子会社から受ける配当等の額の益金不算入が適用される場合であっても同様である。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例101(消費税)】 「法人成りをしたため、個人に係る消費税の「事業廃止届出書」を提出したが、その後も個人で事業を行うこととなり、過去に提出した「簡易課税制度選択届出書」は有効であるものと思い込み、有利な簡易課税で申告してしまった事例」
令和Y年分及び令和Z年3月期(損害額を抑えるため、課税期間を短縮している)の消費税につき、令和X年6月に法人成りをしたため、個人に係る消費税の「事業廃止届出書」を提出したが、その後も個人で事業を行うこととなり、個人時代に「簡易課税制度選択届出書」を提出していたことから、届出書がそのまま有効であるものと思い込み、有利な簡易課税で申告したところ、所轄税務署から原則課税での修正を求められた。これにより、有利な簡易課税と不利な原則課税との差額につき損害が発生し、賠償請求を受けたものである。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第43回】「買換家屋が共有の場合」-買換家屋の床面積要件の判定-
Xは、居住用の家屋とその土地を売却しましたが、多額の譲渡損失が出てしまい、新居購入にあたっては銀行で住宅ローンを組み、妻と共有(各持分1/2)で家屋(床面積90㎡)とその土地を購入しました。
買換家屋の床面積(50㎡以上)に係る要件以外の適用要件が具備されている場合に、Xは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第8回】「請求の追加的併合が行われ、後で訴訟を提起した日が出訴期限を超えた場合にその訴訟が適法なものか否かが争われた判例」
第7回において、「固定資産の価格に不服がある場合は、原則的には、納税通知書の交付を受けた日後3ヶ月を経過する日までの間に固定資産評価審査委員会への審査の申出ができる(地方税法第432条第1項)。申出を受けた日から30日以内に審査決定し(地方税法第433条第1項)、決定のあった日から10日以内に通知しなければならない(地方税法第433条第12項)。この決定に不服がある場合は、取消しの訴えを提起することができる(地方税法第434条第1項)。ただし、固定資産の価格について訴えることができるのは、固定資産評価審査委員会への審査の申出を行い、その決定の取消しの訴えによることに限定されている(地方税法第434条第2項)」と述べた。
日本の企業税制 【第94回】「令和4年度税制改正の課題」
この8月末には例年、各省庁の概算要求と税制改正要望の取りまとめが行われる。それに伴い本稿では、令和4年度税制改正に向けた課題を概観したい。
今年は、衆議院議員の任期満了が10月21日であることから、年末の税制改正シーズンの開始の前にいずれにせよ総選挙が実施されるため、落ち着いて税制改正の議論をする時間は限られている。