「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例131(所得税)】 「特別償却費の額を取得した年に全額経費計上したため、所得控除が切捨てになってしまった事例」
令和X年分の所得税につき、1,000万円の貨物運送用車両を取得し、「中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却」(以下「中小事業者の機械等の特別償却」という)を限度額まで計上して申告したため、令和X年分の所得金額が50万円になり、所得控除額250万円が全額控除できず、200万円が切捨てになってしまった。上記特別償却は限度額までは任意償却ができ、1年間の繰越しが認められていることから、所得控除額を全額控除できるように特別償却額を調整し、翌年に繰り越していれば、令和Y年分の所得税額等を低く抑えることができたとして、損害賠償請求を受けた。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第34回】「一括取得した土地・建物の売買代金の按分方法として、鑑定評価に基づく積算価格比率による按分が認められた事例」
土地と建物を一括取得して、それぞれの価格がいくらなのか契約書に記載されていない取引がある。この場合、売買代金をなんらかの基準で土地と建物に配賦することになる。
建物を事業の用に供する場合は、減価償却費を通じて長期間にわたって購入対価を必要経費処理できるが、土地は必要経費処理をすることができない。毎期の所得税や法人税の納税負担を軽減したいならば、減価償却費を増額させるために建物の取得価額により多くの売買代金を負担したいと考える傾向がある。しかし、いきすぎた建物への取得価額の配賦については、否認されるケースがある。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第38回】「日本ガイシ事件-立地特殊優位性がもたらす利益の取扱いについて-(高判令4.3.10)(その2)」~租税特別措置法66条の4第1項、第2項1号ハ、同施行令39条の12第8項1号ハ~
本判決については、次の2点を評価する意見がある(※11)。第1は、「重要な無形資産以外の利益発生要因であっても、残余利益において考慮することを認めていることから」、重要な無形資産以外の利益発生要因は基本的利益、重要な無形資産は残余利益「の二分法を排除し、事案に応じた利益分割法の方法を提示した意味がある」点である。
《速報解説》 国税庁、定額減税に係る源泉所得税関係の様式案を公表~「各人別控除事績簿」のほか同一生計配偶者等の確認に必要な申告書の詳細が明らかに~
所得税の定額減税制度については、既報のとおり国税庁の定額減税特設サイトにおいて「令和6年分所得税の定額減税Q&A」等を公表するなど、源泉徴収義務者が早期に準備に着手できるよう関連情報の周知・広報が行われているところ、令和6年2月16日付で新たに同サイト内において、定額減税に係る源泉所得税関係の様式案が公表された。
日本の企業税制 【第124回】「令和6年度税制改正における新たな公益信託税制」
今回の改正法案には、公益法人制度改革と併せて、公益信託制度も公益法人制度と整合的なものとすることとされており、公益信託税制の抜本的な見直しも盛り込まれている。
〔令和6年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】「「オープンイノベーション促進税制の見直し」「デジタルトランスフォーメーション (DX) 投資促進税制の見直しと延長」「中小企業防災・減災投資促進税制の見直しと延長」」
令和5年度税制改正における改正事項を中心として、令和6年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。本連載では、その中でも主なものを解説する。
【第1回】は「研究開発税制の見直し」について解説した。
【第2回】は「オープンイノベーション促進税制の見直し」、「デジタルトランスフォーメーション (DX) 投資促進税制の見直しと延長」及び「中小企業防災・減災投資促進税制の見直しと延長」について解説する。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第58回】「事前確定届出給与と役員賞与引当金」
当社は事前確定届出給与の制度を活用しています。翌事業年度に支給する予定の金額を当事業年度に引当金として計上したいのですが、何か注意すべき点はありますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第61回】「非適格株式交換を行った場合の株式交換完全親法人、株式交換完全子法人、株式交換完全子法人の株主の取扱い」
今回は、非適格株式交換を行った場合の株式交換完全親法人、株式交換完全子法人、株式交換完全子法人の株主の取扱いについて解説します。
給与計算の質問箱 【第50回】「令和6年分所得税の定額減税」~月次減税~
令和6年度税制改正大綱に織り込まれ、実施が見込まれる令和6年分所得税の定額減税のうち、月次減税についてご教示ください。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第36回】
第34回の6で紹介した国税不服審判所令和4年3月23日裁決(裁決事例集未登載:TAINSコードF0-1-1362)では、暗号資産に係る所得の帰属についても問題となっている。
請求人は、次の点を挙げて、請求人とその母は共同出資者として暗号資産に投資し、その暗号資産を共同で管理していたことを前提として、暗号資産の投資による収入も請求人と母で各50%ずつにあん分すべきであると主張した。