日本の企業税制 【第119回】「各府省庁による「令和6年度税制改正要望」」
話を戻し「令和6年度税制改正」については、8月末に各府省庁から税制改正要望が出そろっている。
今回の要望項目数は、単純合計で国税189項目・地方税209項目、重複排除ベースで国税136項目・地方税162項目であった。なお、廃止・縮減項目数は単純合計ベースで国税1項目・地方税0項目、重複排除ベースで国税1項目・地方税0項目であった。国税の要望項目は少なめといえる。
相続税の実務問答 【第87回】「生前退職したが相続開始後に退職金の支給額が決定した場合」
A社の社長であった父が、本年7月に亡くなりました。父は、本年3月に癌が見つかり、社長継続が難しくなったので4月30日をもって社長を退任し、その後、治療に専念していました。
父の社長退任に伴う退職金については、8月の株主総会で配偶者である母に2,400万円を支給することが決議され、同額が母の銀行口座に振り込まれました。
被相続人の死亡により相続人等が退職手当金等の支給を受けた場合には、その退職手当金等は相続税の課税対象となる一方、そのうちの一定額が相続税の非課税財産とされるそうですが、相続税の課税上、生前に退職した父の退職金はどのように扱われるのでしょうか。なお、父の相続人は、母を含め3人です。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第53回】「役員退職年金の過大判定」
当社は、役員の退職に際し、自社が運用する年金形式にて支給することを検討しています。
法人税法において、過大な役員退職給与は損金不算入となることは知っていますが、このような役員退職年金についてもその対象となるのでしょうか。
基礎から身につく組織再編税制 【第56回】「株式交換の概要」
前回までは「株式分配」について解説してきましたが、今回からは組織再編税制における「株式交換」について解説していきます。まずは「株式交換」に関する基本的な考え方を解説します。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第26回】
これまで考察してきたところによれば、暗号資産の譲渡による所得の所得区分について、譲渡所得には該当せず、原則として雑所得に該当するという国税庁の見解の論拠はおおむね次のように整理できる。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第25回】「上村工業第一事件-残余利益分割法が適用された事例-(地判平29.11.24、高判令1.7.9、最判令2.3.20)(その1)」~租税特別措置法66条の4第2項ほか~
本件は、大阪に本社を持ち、めっき用の薬品、機械装置、自動液管理装置等のめっき資材を製造販売するXが、その中央研究所で開発しためっき用の薬品の製造販売の権利を平成9年に、子会社である台湾に所在するT社に付与し、また平成12年にマレーシアに所在するU社に製造の権利を付与しノウハウを提供し、その見返りとして5%のロイヤリティを収受する契約を締結し、事業を行っていた。
《速報解説》 国税庁、「高速道路利用料金に係る適格簡易請求書の保存方法」について「お問合せの多いご質問」へ掲載~クレジットカード利用明細書は適格請求書に該当しないとの見解~
国税庁は9月15日付でインボイス制度に関する「お問合せの多いご質問」を更新(前回更新は8月21日)、以下2つの問答を追加問として掲載した。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第123回】「節税商品取引を巡る法律問題(その17)」
これまで、この連載では、節税商品過誤訴訟の実態などを通して、節税商品取引における「投資者保護」の必要性を論じてきた。既述のとおり、そこには特別の議論が待っていると思われる。
なぜなら、①節税商品には特殊構造が認められるにも関わらず、②説明者の専門的知識の欠如という問題が所在するからであった。節税商品取引においては税理士の役割が期待されるところ、投資者と税理士を繋ぐためにも、税理士でない者に係る消極的説明義務の議論が欠かせないことを論じた。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第18回】「国税通則法38条(36条~40条)」-繰上請求の意義と位置づけ-
既に第1回の2で述べたように、国税通則法はその制定の経緯からして国税徴収法の延長線上で制定されたとみるべきものであり、両法は「実は[手続の]実体的には一本のやつを、便宜主義的に二本に分かれている」(研究会「国税通則法をめぐって」ジュリスト251号(1962年)10頁、14頁[志場徳治郎発言])というようにみることができる。