公開日: 2020/12/03 (掲載号:No.397)
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租税争訟レポート 【第52回】「課税仕入れの計上時期(第一審:東京地方裁判所2019(平成31)年3月15日判決、控訴審:東京高等裁判所2019(令和1)年9月26日判決)」

筆者: 米澤 勝

租税争訟レポート

【第52回】

「課税仕入れの計上時期(第一審:東京地方裁判所2019(平成31)年3月15日判決、控訴審:東京高等裁判所2019(令和1)年9月26日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

〈第一審〉

東京地方裁判所平成31年3月15日判決
消費税更正処分等取消請求控訴事件
TAINSコード:Z888-2284

[原告]

不動産の賃貸借及び所有、管理、利用等を目的として設立された法人

[被告]


処分行政庁:行橋税務署長

[争点]

(1) 本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か。

(2) 本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か。

(3) 本件更正処分等が信義則に反して違法であるか否か。

(4) 本件更正処分(ただし、平成29年6月27日付け更正の処分による一部取消し前のもの)についての理由の提示に不備があるか否か。

(5) 原告に「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か。

[判決]

棄却(原告控訴)

〈控訴審〉

東京高等裁判所令和1年9月26日判決
消費税更正処分等取消請求控訴事件
TAINSコード:Z888-2285

[控訴人](第一審原告)

不動産の賃貸借及び所有、管理、利用等を目的として設立された法人

[被控訴人](第一審被告)


処分行政庁:行橋税務署長

[争点]

(1) 本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か。

(2) 本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か。

(3) 本件更正処分等が信義則に反して違法であるか否か。

(4) 本件更正処分(ただし、平成29年6月27日付け更正の処分による一部取消し前のもの)についての理由の提示に不備があるか否か。

(5) 控訴人に「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か。

[判決]

棄却、上告受理申立て

 

【事案の概要】

本件は、原告が、平成25年4月25日、土地並びに建物及び附属設備(以下、「本件不動産」といい、本件不動産のうち土地を除く部分を「本件建物」という)を代金7億円で買う旨の売買契約を締結するとともに、本件売買契約の際に生じた所有権の移転及び根抵当権の設定の各登記手続に係る事務を司法書士に委任する旨の約定を司法書士との間でしたとして、本件建物の取得に係る支払対価の額及び司法書士報酬の額を合計した6億1,362万2,313円を、平成25年4月24日から同月30日までの課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に算入した上で消費税及び地方消費税の確定申告をしたところ、行橋税務署長が、平成27年5月26日付けで、本件課税期間の消費税等の更正の処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたため、本件更正処分等には、「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)の解釈及び適用を誤った違法があるなどとして、本件更正処分等の一部の取消しを求める事案である。

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【第52回】

「課税仕入れの計上時期(第一審:東京地方裁判所2019(平成31)年3月15日判決、控訴審:東京高等裁判所2019(令和1)年9月26日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

〈第一審〉

東京地方裁判所平成31年3月15日判決
消費税更正処分等取消請求控訴事件
TAINSコード:Z888-2284

[原告]

不動産の賃貸借及び所有、管理、利用等を目的として設立された法人

[被告]


処分行政庁:行橋税務署長

[争点]

(1) 本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か。

(2) 本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か。

(3) 本件更正処分等が信義則に反して違法であるか否か。

(4) 本件更正処分(ただし、平成29年6月27日付け更正の処分による一部取消し前のもの)についての理由の提示に不備があるか否か。

(5) 原告に「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か。

[判決]

棄却(原告控訴)

〈控訴審〉

東京高等裁判所令和1年9月26日判決
消費税更正処分等取消請求控訴事件
TAINSコード:Z888-2285

[控訴人](第一審原告)

不動産の賃貸借及び所有、管理、利用等を目的として設立された法人

[被控訴人](第一審被告)


処分行政庁:行橋税務署長

[争点]

(1) 本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か。

(2) 本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か。

(3) 本件更正処分等が信義則に反して違法であるか否か。

(4) 本件更正処分(ただし、平成29年6月27日付け更正の処分による一部取消し前のもの)についての理由の提示に不備があるか否か。

(5) 控訴人に「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か。

[判決]

棄却、上告受理申立て

 

【事案の概要】

本件は、原告が、平成25年4月25日、土地並びに建物及び附属設備(以下、「本件不動産」といい、本件不動産のうち土地を除く部分を「本件建物」という)を代金7億円で買う旨の売買契約を締結するとともに、本件売買契約の際に生じた所有権の移転及び根抵当権の設定の各登記手続に係る事務を司法書士に委任する旨の約定を司法書士との間でしたとして、本件建物の取得に係る支払対価の額及び司法書士報酬の額を合計した6億1,362万2,313円を、平成25年4月24日から同月30日までの課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に算入した上で消費税及び地方消費税の確定申告をしたところ、行橋税務署長が、平成27年5月26日付けで、本件課税期間の消費税等の更正の処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたため、本件更正処分等には、「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)の解釈及び適用を誤った違法があるなどとして、本件更正処分等の一部の取消しを求める事案である。

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連載目次

租税争訟レポート

第1回~第30回

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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