〈平成28年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第2回】「今年から適用される改正事項(その2)」
前回に続き、平成28年分の所得税に適用される税制改正事項のうち、年末調整に影響のあるものを取り上げ解説する。
今回取り上げるのは
【1】 給与所得控除額の引下げ
【2】 国外居住親族を扶養控除等の対象とする場合の取扱い
【3】 学資金の取扱い
である。
~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第12回】「形式的には消費貸借契約に基づく金銭の交付であるが、実質は寄附金に当たるとされた事例」
本件の原告(X社)の元代表者である甲は、オランダに所在するA社に全額出資をしている。X社は、A社が2つの銀行から借入をする際、債務保証をするとともに、X社が有するソニー株式(本件株式)を担保として各銀行に提供(本件担保提供)した。しかし、その翌年、本件株式の時価が2分の1以下に下落したため、X社は、各銀行から追加担保を求められた。
なお、A社は、甲が参画するフォーミュラワン(F1)レースに関する事業を行うために、複数の法人を設立するなどして事業資金を必要としていた。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第20回】「共同相続人の連帯納付義務事件」~最判昭和55年7月1日(民集34巻4号535頁)~
被相続人Aが死亡し、X・B・CがAを相続して、所轄の税務署長(Y´)に対し相続税の申告をした。しかし、B・Cが相続税を完納しなかったので、Y´は、Xには連帯納付義務があるとして、Xの所有地の差押えをした。そこで、Xは当該所有地をD社に売却し、D社は、差押えにかかる未納相続税を代位弁済として納付した上、Xに対する求償権とXに支払うべき売買代金債務とを相殺した。
その上で、Xは、国(Y)に対し、Xの連帯納付義務の確定には特別の手続が必要なのにこれが行われていないから、連帯納付義務は不存在であるなどと主張し、D社による納付金は過誤納金であるとして、返還請求を行ったというのが本件である。
最高裁は、Xの主張を認めず、D社による納付金の返還はしなくてよいと判断した。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第39回】「継続的取引の基本となる契約書④(契約期間が3ヶ月を超えるもの)」
【問】当社は警備会社です。第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当する要件は「契約期間の記載のあるもののうち、契約期間が3ヶ月以内で、かつ、更新に関する定めのないものは除く」とされていますが、警備に関する基本契約を結ぶにあたり、次の【事例1】から【事例3】のように契約期間を記載した場合、第7号文書に該当しますか。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q18】「ETFを譲渡した場合の課税の取扱い」
私(居住者たる個人)は、保有している内国ETFについて国内証券会社への売委託により譲渡しました。譲渡益についてどのように課税されますか。
このETFは国内株式投資信託の受益証券の形態をとっており、国内の金融商品取引所において上場されています。
なお、ETFは国内証券会社の一般口座に預け入れられているものであり、特定口座や非課税口座(NISA口座)には入っていません。
包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第26回】「私法上の法律構成による否認論③」
前回は、アルゼ事件について解説を行った。本稿では、公正証書贈与事件と航空機リース事件について解説を行う。特に、航空機リース事件は、私法上の法律構成による否認論に対する裁判例として非常に注目された事件であり、重要な裁判例であると言える。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第28回】「売り上げの計上時期はどうなっているか」
各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入すべき金額は、具体的には商品や製品の販売、有価証券や固定資産の譲渡、受取利息や受取配当等、資産の賃貸料収入などがその大宗を占めます。
これらをどの時点で益金の額として認識するかについて、実定法上は「当該事業年度の収益の額とする」と規定しているだけです。
〈平成28年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第1回】「今年から適用される改正事項(その1)」
10月も下旬となり、年末調整に向けて準備を始める時期となった。今年は、マイナンバー制度導入後、実質的に初めての年末調整となる。
年末調整の業務は、短期間に多くの作業を行う必要があるため、早目に準備をしておきたい。
今回から3回シリーズで、年末調整における実務上の注意点やポイント等を解説する。今回と次回(第2回)は、平成28年分の所得税に適用される税制改正事項のうち、年末調整に影響のあるものを取り上げ解説する。
