〈要点確認〉非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度~昨今の事業承継税制等をめぐる改正事項~ 【第2回】「平成25年度税制改正事項の確認」
中小企業の後継者不足が問題となり、親族外承継が中小企業事業承継の有力な選択肢と期待されている中、従来は、先代経営者の親族に限定して適用される制度であったため、親族外承継を難しくする要因の一つになっているとの指摘があった。
改正により親族外承継も可能となり、親族内に適当な後継者がいない場合や、経営能力のある従業員等を後継者に置く場合などでも、納税猶予制度を選択することが可能となった。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第51回】「法人税基本通達9-6-3の具体的内容」
法人税基本通達9-6-3では、債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない)について、当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を、損金経理により貸倒損失として計上することが認められている。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第33回】「租税法の解釈における厳格性(その3)」
アプローチ①は、特に租税特別措置規定の解釈論に代表されることが多いものである。以下、アプローチ①を考えるに当たり、租税特別措置規定を中心に考えてみたい。
そもそも、租税特別措置規定についてはいかに考えるべきであろうか。ここでは、差し当たり2つの解釈が考えられる。すなわち、第一に、法人税法や相続税法のような本法が原則であり、租税特別措置「法」は例外的規定であるから、厳格に解釈しなければならないとする考え方である【図3】。
消費税の軽減税率を検証する 【第7回】「適用税率誤りのリスク・事務負担・簡易課税への影響等」
適用するべき税率について疑義がある場合、「その商品の販売価額をどう設定するか?」という問題が生じる。
見切り発車をした結果、軽減税率の適用が誤りであったことが税務調査で明らかになった場合、売上先に対して、遡って取引額を修正し追加の支払いを求めることができるだろうか。
対消費者取引ではほとんど不可能と考えられ、その増差税額(多くの場合、数年分の累計額となろう)は、事業者の負担となり、経営状態を一気に悪化させることになる。
こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第34回】「国外転出時課税の適用を受ける場合の所得税及び復興特別所得税の処理」
Q 私は、フリーの経営コンサルタントです。9月30日に日本を出国し、シンガポールに拠点を移すことにしました。顧客は東京の会社なので、出国後も毎月来日する予定です。日本に住居や事務所は設けません。国外転出時課税制度が創設されましたが、対象になるのでしょうか?
9月10日現在、納税管理人の届け出はしておらず、保有資産は以下の通りです。
連結納税適用法人のための平成27年度税制改正 【第12回】「国際税務の改正」
連結納税制度に係る外国子会社配当益金不算入制度については、外国子会社の範囲において、他の連結法人が保有する外国法人の株式等を含めて、25%以上の保有割合要件を判定すること以外は単体納税制度と同じ取扱い(同じ番号の条文が適用される)となるため、税制改正についても単体納税法人と同様のものなる。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第34回】「非公開裁決事例⑤」
今回、紹介する事件は、株式を取得する目的で支出した財務調査費が有価証券の取得価額に含まれるか否かについて争われた事件である。
法人税法施行令119条1項1号において、「購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用」を有価証券の取得価額に含めることが明記されているが、財務調査費が有価証券の取得価額に含まるか否かについては、その金額が多額であることから、付随費用として取り扱うことに違和感があり、一部において誤解があったため、実務上も参考になる事件であると思われる。
税務判例を読むための税法の学び方【68】 〔第8章〕判決を読む(その4)
以前、【第46回】にて「具体的な事実を抽象化していった結果残された事実、その有無により結論が変わるような事実は「重要な事実(material fact)」と呼ばれる。」と記したように、結果を左右する要素として「重要な事実」がある。
馬券の払戻に係る裁判(大阪事案)においては、第一審及び控訴審においては、「機械的・網羅的」な馬券購入が、この「重要な事実」と認識されていた。
そこで、この事案に係る裁判例を、裁判所HPの裁判例情報から入手して読んでいただきたい。
まず、第一審は、大阪地裁平成25年5月23日判決である。
monthly TAX views -No.32-「ベビーシッター代と特定支出控除」
8月25日付の日本経済新聞朝刊1面に、「シッター代 所得控除 仕事・育児両立、税で支援 厚労省検討 」という記事が掲載された。
筆者は、数年前から、さまざまな機会をとらえて、ベビーシッター代を特定支出控除の対象にすることを主張してきた(「少子化問題と税制を考える」季刊社会保障研究(平成19年12月)など)。