租税争訟レポート 【第17回】損害賠償金に対する課税(ライブドア事件による損害賠償金)〔納税者勝訴〕
原告は、平成18年、保有していた株式会社ライブドア(以下「ライブドア」という)の株式が有価証券報告書虚偽記載の公表により暴落して損害を被ったため、平成21年、ライブドアから損害賠償金、弁護士費用賠償金、遅延損害金の支払いを受けた(別件事件判決)。本件は、処分行政庁が、原告に対し、損害賠償金等は平成21年分の一時所得又は雑所得に当たるとして、それぞれ更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行ったことから、原告が、更正処分及び過少申告加算税賦課決定の取消しを求めた事案である。
鵜野和夫の不動産税務講座 【連載11】「広大地の評価(3)」
〔税理士〕広大地の適否判定のフローチャートで検討して、前回は
「マンション適地か、又は、既にマンション等の敷地用地として開発を了しているか」
というところまで解説してもらいましたが。そして、マンション適地等に該当しないと判定されると・・・
税務判例を読むための税法の学び方【29】 〔第5章〕法令用語(その15)
次に、前回見た国税通則法第10条第2項において、期限が日曜や休日の場合の例外規定において、括弧書きに「時をもって定める期限その他の政令で定める期限を除く。」とあった、この時をもって定める期限等について説明しよう。
まずこの括弧書きであるが、「「時をもって定める期限」その他の「政令で定める期限」を除く」とあることから、「時をもって定める期限」については「政令で定める期限」に含まれ、例示となっている(第15回参照)。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第14回】「土地譲渡に係る所得税と相続税との二重課税問題(その2)」
この事案の裁判所の判断をみる前に、相続税と所得税の二重課税問題が争点となったいわゆる年金二重課税訴訟最高裁判決を確認しておきたい。同判決は、死亡した夫から生命保険会社を経由して、妻が受領した年金受給権が相続税の課税対象とされた上で、さらに、妻が生命保険を年金形式で受領する際に、雑所得として改めて所得税が課されることとなることが、二重課税であるとして、所得税法9条1項16号(訴訟当時は15号)の規定を適用して、かかる雑所得に対する課税が違法なものになると判示したものである。
平成26年3月期 決算・申告にあたっての留意点 【第2回】「商業・サービス業・農林水産業活性化税制・研究開発税制」
青色申告法人である中小企業者等で認定経営革新等支援機関による経営改善に関する指導・助言を受けたものが、平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に、その指導・助言を受けて行う店舗の改修等に伴い器具備品及び建物附属設備の取得等をして指定事業の用に供した場合には、特別償却か法人税額の特別控除(資本金等が3,000万円以下の中小企業者等のみ)の適用が受けられる。
提出前に確認したい「国外財産調書制度」のポイントQ&A 【第6回】「調書の記載事項と注意点」
Q 国外財産調書(調書施規12⑤、別表第二)と国外財産調書合計表(調書通5-14、表1)の両方を所定の様式に記載して提出することとされていますが、このうち、国外財産調書はどのように記載するのですか。
〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第15回】 「死亡保険金・死亡退職金」
今回は、死亡保険金及び死亡退職金について考えることとする。
被相続人が受取人になっている死亡保険金及び死亡退職金は、基本的には、法律上相続財産には該当しない。したがって、法律上の相続財産には該当しないが、相続税の計算上は、みなし相続財産として、相続税の対象に含まれることとされている(相続税法3)。このように、死亡保険金及び死亡退職金はともに相続税の対象となるのであるが、一定の金額までは相続税が非課税となることとされている(相続税法12)。具体的には、以下の金額までは、相続税がかからないとされている。
居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第18問】「転勤により空家とした後も継続して管理している場合」-居住用財産の範囲-
会社員Xは、東京都杉並区にある家屋に居住し、新宿区の本社に通勤していましたが、5年前に神奈川県小田原市の営業所へ転勤となったことから、同市の社宅に家族と共に転居し、そこから営業所に通勤していました。
営業所勤務は2年間ほどで終わり本社へ戻るものと考えていたため、家財道具類も最少限度の移転にとどめ、戸締りはしたものの、月に一度はその杉並区の家屋に帰り、清掃等を行うほか寝泊りをすることもあり、他人に貸すということはしませんでした。
結局のところ営業所勤務が長くなったことなどから、小田原に新居を構えることとし、杉並区の家屋は売却しました。
この場合、「3,000万円特別控除(措法35)」の特例を受けることができるでしょうか?
貸倒損失における税務上の取扱い 【第11回】「子会社支援のための無償取引⑦」
第6回目から第10回目までは、無利息貸付け、低利貸付けに係る法人税法上の取扱いについて解説を行った。
第11回目以降においては、所得税法の判例である「平和事件」について分析し、法人税法と所得税法における無利息貸付けの考え方の違いを明らかにすることにより、法人税法第22条の収益認識、同法37条の寄附金についての考え方について考察する予定である。