相続税の実務問答 【第45回】「令和元年台風第19号による被災地内の土地等の評価」
長野県N市に住んでいた私の父は、令和元年6月20日に亡くなりました。相続人は母、姉及び私の3名です。主な相続財産は、自宅建物及びその敷地並びに貸家及びその敷地で、いずれもN市内にあります。
相続税の申告の準備をしていたところ、10月の台風第19号により、近くを流れる河川が氾濫し、これらの土地が冠水してしまいました。N市は台風第19号に係る「特定地域」に指定されたと聞きましたが、冠水してしまった土地の評価について何らかの配慮はされないのでしょうか。
街の税理士が「あれっ?」と思う税務の疑問点 【第2回】「低い家賃の貸家建付地の評価」
相続財産の家屋に借家権があり、その宅地が「貸家建付地」に該当するかどうかを判断する際に、低額な家賃しか受け取っていない場合(特に同族関係者が借家人のケース)、貸家としての評価控除(借家権割合30%)が可能か否かを検討するに当たっては、何を基準とすればよいでしょうか。また、小規模宅地等の特例の適用はどうでしょうか。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第14回】「事業承継にあたっての少数株主の相続対策」
A社は創業者が20年前に亡くなり、長男XがA社株式の80%、長女Yが20%の株式を相続しました。その後はXが代表取締役として会社を引き継ぎ、Yは取締役としてXを支え、従業員の協力もありこれまで会社の業績は堅調に推移してきました。なお、A社はこれまで無配当であり、株価(原則的評価方式による相続税評価額)は高い状況となっています。
このたびXは70歳を迎え、Yとも話し合い、Xの息子Z(A社取締役)に事業承継することを決めています。
Yには子1人と孫2人がいますが、この3人にA社での勤務経験はありません。
この場合、Y所有のA社株式は、どのように相続対策すれば良いでしょうか。株価は高く、Yにもしものことがあったときの納税資金に不安を感じています。
なお、A社業態は多額の運転資金が必要であり、銀行借入れに頼らざるを得ない状況のため、余剰資金はあまりなく、A社に納税資金を頼るにも限界があります。
街の税理士が「あれっ?」と思う税務の疑問点 【第1回】「低い地代の貸宅地の評価」
相続税評価では「貸宅地」について、古い物件かつ昔からのお付き合いということで借地の地代が非常に低い(固定資産税の1~2倍)ケースがありますが、地主と借地人が共に個人で他人の場合、使用貸借扱いとせず、賃貸借として借地権は控除可能ですか。
〔資産税を専門にする税理士が身に着けたい〕税法や通達以外の実務知識 【第7回】「不動産鑑定評価について(その5)」-価格に関する鑑定評価(土地(宅地))-
相続財産の評価に当たって、評価通達に基づき算定された評価額が客観的な時価を超えていることが証明されれば、当該評価方法によらないことはいうまでもないとされています。
上記の証明を求めて、相続財産が不動産(土地等、家屋等)である場合には、不動産鑑定士等に不動産鑑定評価を依頼することが通例となります。
この連載では、不動産鑑定評価に関する知識を確認してみることにします。
第5回目となる今回は、価格に関する鑑定評価のうち「土地(宅地)」について、その主要項目を確認してみることにします。
《相続専門税理士 木下勇人が教える》一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第6回】「相続税申告における複眼的視点をもったリスク管理」~取引相場のない株式評価に関する税務・会社法からのアプローチ~
優良企業の取引相場のない株式については、かねてより事業承継対策の中心であり、未だ課題も多い。また、「特例事業承継税制(法人版)」が平成30年度税制改正により導入されたことで、相続税・贈与税の納税猶予制度適用における相続税評価額が多大な影響を及ぼすことになった。
そこで本稿では、相続税申告実務において自己株式の取得等に関する誤りやすい箇所を税務・法務の視点から複眼的に検証することとする。
〔資産税を専門にする税理士が身に着けたい〕税法や通達以外の実務知識 【第6回】「不動産鑑定評価について(その4)」-鑑定評価の基本的手法②-
相続財産の評価に当たって、評価通達に基づき算定された評価額が客観的な時価を超えていることが証明されれば、当該評価方法によらないことはいうまでもないとされています。
上記の証明を求めて、相続財産が不動産(土地等、家屋等)である場合には、不動産鑑定士等に不動産鑑定評価を依頼することが通例となります。
この連載では、不動産鑑定評価に関する知識を確認してみることにします。
第4回目となる今回は、鑑定評価の基本的手法について、前回でご紹介した原価法及び取引事例比較法に続いて、収益還元法及び開発法について確認してみることにします。
国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第28回】「国外居住財産の相続及び譲渡に係る帰国のタイミング」
私X(日本国籍)は8年前に夫Y(日本国籍)と外国へ移住しました。今年初めに夫が死亡し、財産はすべて私が相続することになっています。財産は外国の居住用不動産と外国にある預金、日本にある銀行の支店に預けている定期預金ですが、相続税の申告は必要ですか。
また、外国での一人暮らしはとても寂しいので、年末までに家を売却して日本に戻ろうと考えています。帰国のタイミングで課税関係は変わりますか。日本は税金が高いので、何か税金が安くなる規定を利用することはできますか。
船舶会社の事業承継に係る諸問題-株式評価と船舶評価について-
国内船舶会社X社の創業者オーナーのA氏は、息子であるB氏を後継者にすべく、事業承継を行うことを検討している。X社は、パナマ共和国を本店所在地とする株式会社Y社及びZ社の各株式を100%保有しており、Y社及びZ社は、合計10隻の船舶を所有している。
A氏が、B氏に事業承継を行うに際し、X社の事業価値を算定する必要があるところ、どのような点に留意するべきか。