Ⅸ 会社計算規則等の改正
1 会社計算規則の改正
2020年8月12日に「会計上の見積りの開示に関する会計基準」等の公表に伴い、会社計算規則が改正されている。2021年3月期に関係する改正については、【第2回】のⅣ及びⅤを参照されたい。
2 会社法施行規則の改正
(1) 2020年会社法施行規則の改正
改正会社法の成立及び公布に伴い、2020年11月27日に会社法施行規則が改正され、原則2021年3月1日から施行されている。
① 株主総会参考書類の記載の改正
株主総会参考書類の記載について、以下の改正が行われている。
(注) 上記以外にも、有価証券報告書提出会社で監査役会設置会社(公開会社かつ大会社に限る)については、社外取締役が義務化されたため、社外取締役を置いていない場合の社外取締役を置くことが相当でない理由を株主総会参考書類に記載しなければならない規定が削除された。当該改正は、2022年3月期から適用される。
② 事業報告の記載の改正
(注) 上記以外にも、有価証券報告書提出会社で監査役会設置会社(公開会社かつ大会社に限る)については、社外取締役が義務化されたため、社外取締役を置いていない場合の社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告に記載しなければならない規定が削除された。当該改正は、2022年3月期から適用される。
(2) 2021年会社法施行規則等の改正
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、2021年1月29日に会社法施行規則及び会社計算規則が改正されている。
◎ウェブ開示によるみなし提供制度に関する改正
(ⅰ) 改正内容
2020年5月に会社法施行規則及び会社計算規則が改正され、ウェブ開示によるみなし提供の拡充が行われたが、当該改正の効力は2020年11月15日をもって失われている。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響は収まっていないため、引き続きウェブ開示によるみなし提供を拡充する必要があることから、会社法施行規則及び会社計算規則が改正された。みなし提供制度の拡充対象は、以下のとおりである(前回と同様である)。
➤公開会社である場合:事業報告の「当該事業年度における事業の経過及びその成果」及び「対処すべき課題」
➤無限定適正意見等の場合:賃借対照表及び損益計算書に表示すべき事項(ただし、計算書類が株主総会の承認を要する場合は除く)
なお、上記を提供する際には、株主の利益を不当に害することがないよう特に配慮しなければならない。
(ⅱ) 施行期日
施行日(2021年1月29日)から2021年9月30日までに招集の手続が開始された定時株主総会に係る事業報告及び計算書類の提供に適用される。
3 企業内容等の開示に関する内閣府令の改正
改正会社法の成立に伴い、2021年2月3日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」が改正され、有価証券報告書の記載が拡充されている。当該改正は、改正会社法の施行の日(2021年3月1日)から施行される。主な改正点は、以下のとおりである。
(了)
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