事例で検証する
最新コンプライアンス問題
【第14回】
「自動車メーカー会長逮捕事件
-経営トップへのガバナンス(上)」
弁護士 原 正雄
2019年3月27日、自動車メーカーN社が、ガバナンス改善特別委員会からの報告書を公表した(以下「委員会報告書」という)。同報告書は、同社の会長が逮捕されたことを契機に、同社のガバナンス上の問題点を解明し、ガバナンスの改善点等を提言するものである。
ガバナンスという観点から特に注目されるのは、「取締役の報酬に関する問題」と、「経営体制及び株主との関係に関する問題」である。本稿は「上」と「下」の二部構成である。委員会報告書や報道を基礎に、「上」では取締役の報酬という観点を中心に、ガバナンス上の問題を論じることとする。
1 取締役の報酬の決め方
(1) 自動車メーカーN社での取扱い
委員会報告書によれば自動車メーカーN社は、株主総会で取締役報酬の上限を定め、配分については会長に一任していた。会長は、自身を含む取締役の報酬の配分を実質的に1人で自由に決めることができた。
その結果、例えば2009年には報酬の上限が30億円であったところ、取締役9名に総額26億円が支払われたが、そのうち約20億円が会長への支払であった。
このような取扱いに問題はなかったのだろうか。
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