税理士が知っておきたい
不動産鑑定評価の常識
【第11回】
「共有不動産はどうして価値が下がるのか」
~税務の常識と鑑定評価の常識~
不動産鑑定士 黒沢 泰
不動産は一般の物と異なり価格も高額で、自分一人だけでその購入資金を調達することができないケースも多くあります。このような場合、単独所有というわけにはいかず、資金を提供する他の者との「共有」という形態をとらざるを得ません。
また、相続が発生し、相続人も何人か存在するという場合、相続財産である不動産が共有形態で引き継がれていくケースが多く見受けられます。それだけにとどまらず、相続人が多数存在する場合もあり、各々の持分が細かく分割されていることも珍しくありません。
ここで厄介なのは、共有の場合、単独所有の場合と比較して価値が下がるケースが多いということです(もちろん、すべてにこのような現象が生じるわけではないことは後掲のとおりです)。
ただ、税理士業務に携わる方にとっては、このことを疑問に感ずる向きも多いのではないでしょうか。その理由は、相続税の財産評価では、共有不動産であっても全体の評価額を単純に各々の持分で按分して、各人の評価額を決定していることによると思われます(すなわち、ここでは共有による減価という考え方は反映されておらず、これを仮に「税務の常識」と名付けておきます)。
一方、不動産の鑑定業務に携わる者にとっては、共有により減価が生ずるという捉え方をすることが多く、全体の評価額を各々の持分で按分するだけでは済まないケースがあります(これを仮に「鑑定評価の常識」と名付けておきます)。
今回は、共有不動産の評価に当たり、税務と鑑定評価の捉え方の相違を対比させた後に、共有減価というものがどのような根拠に基づいて発生するのかについて述べます。
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