平成28年3月期決算における会計処理の留意事項
【第2回】
「税効果会計の改正」
仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋
- 【第1回】 平成27年度税制改正及び平成28年度税制改正大綱
- 【第2回】 税効果会計の改正 ※本稿
- 【第3回】 企業結合会計基準等の改正
- 【第4回】 金融庁の平成26年度有価証券報告書レビューの審査結果
平成27年12月10日に企業会計基準適用指針公開草案第55号「税効果会計に関する税率に関する適用指針(案)(以下、「税率適用指針案」という)」が公表されている。また、平成27年12月28日に企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(以下、「回収適用指針」という)」が公表されている。今回は、公表された2つの適用指針について解説する。
1 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の主な改正点
回収適用指針では、以下の実務指針について、基本的にその内容を引き継いだ上で、必要と考えられる見直しが行われている。
- 会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」及び会計制度委員会「税効果会計に関するQ&A」のうち繰延税金資産の回収可能性に関する定め
- 監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い(以下、「監委66号」という)」及び監査委員会報告第70号「その他有価証券の評価差額及び固定資産の減損損失に係る税効果会計の適用における監査上の取扱い(以下、「監委70号」という)」のうち会計処理に関する部分
ここでは、以下の主な改正点について解説する。
【主な改正点】
(1) 企業の分類
(2) 「分類2」に該当する企業におけるスケジューリング不能な将来減算一時差異
(3) 「分類3」に該当する企業における将来の一時差異等加減算前課税所得の合理的な見積可能期間
(4) 「分類4」に係る分類の要件を満たす企業が「分類2」又は「分類3」に該当する場合
(5) 会計方針の変更
(6) 適用時期
(7) 未適用の会計基準等に関する注記
(1) 企業の分類
監委66号において、企業を5つに分類することが求められていた。回収適用指針においても基本的に踏襲した上で一部必要な見直しが行われている。
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