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《速報解説》 グループ通算制度、政省令出揃う~投資簿価修正に係る改正施行令等の他、改正施行規則では新制度対応の別表様式も~

 《速報解説》 グループ通算制度、政省令出揃う ~投資簿価修正に係る改正施行令等の他、改正施行規則では新制度対応の別表様式も~   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   グループ通算制度に関する法人税法施行令等の一部を改正する政令(政令第207号)が6月26日に、グループ通算制度に関する法人税法施行規則等の一部を改正する省令(財務省令第56号)が6月30日に公布された。 ポイントは以下のとおりとなる。 〇法人税法施行令第19条(関連法人株式等に係る配当等の額から控除する利子の額) 関連法人株式等に係る負債利子控除額を、関連法人株式等に係る配当等の額の4%相当額(その事業年度において支払う支払利子等の額の10%相当額を上限とする)とすることが定められている。 この取扱いは、単体納税法人についても適用されるが、さらに、通算法人については、その上限額を各通算法人の支払利子等の額の合計額を各通算法人の関連法人株式等に係る配当等の額の比で配分して計算することが定められている。 さらに、その上限額の計算について修更正の遮断措置が設けられている。   〇法人税法施行令第22条の4(外国子会社の要件等) 外国子会社の判定(25%以上の株式保有割合と6ヶ月以上の保有期間の判定)について、剰余金の配当等を受ける内国法人が通算法人である場合には他の通算法人の有する株式等を含めて判定を行うことが定められている。   〇法人税法施行令第112条の2(通算完全支配関係に準ずる関係等) 通算制度の開始又は通算制度への加入に伴う資産の時価評価の対象外となる法人(時価評価除外法人)に該当する通算法人が支配関係発生日以後に新たに事業を開始した場合の繰越欠損金の切り捨てについて、その制限の対象から除外される「通算親法人 (通算親法人にあっては、いずれかの通算子法人)との間に支配関係が5年超又は設立日からある場合」及び「通算承認の効力が生じた後に通算法人と他の通算法人とが共同で事業を行う場合」の要件が定められている。 また、この場合に切り捨てられる繰越欠損金のうち、支配関係事業年度以後の特定資産譲渡等損失相当額の計算について、合併に係る取扱いを準用することにしている。 さらに、この場合に切り捨てられる繰越欠損金について適格合併時の含み損益の特例計算の規定が準用できることが法人税法施行令第113条第12項及び第13項で定められている。 なお、連結納税制度と同様に、通算法人間の適格合併又は残余財産の確定について、適格合併又は残余財産の確定に係る繰越欠損金の利用制限(法法57③④)の適用がないことが定められている。   〇法人税法施行令第119条の3(移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の1単位当たりの帳簿価額の算出の特例) 投資簿価修正について定められている。具体的には、通算子法人に通算終了事由(通算承認が効力を失うこと)が生じた場合、その通算子法人の株式について、その通算終了事由が生じたときの帳簿価額をその通算子法人の簿価純資産価額に相当する金額とすることになる。 また、連結納税制度の投資簿価修正に係る譲渡等修正事由と帳簿価額修正額は、法人税法施行令第9条第2項から第4項で定められているが、すべて削除されている。 この点、連結納税制度では、投資簿価修正を行う事由として譲渡等修正事由が定められており、連結グループ内での連結子法人株式の譲渡など連結承認の効力が失われる場合以外にも投資簿価修正が行われ、逆に連結グループ内の適格合併など連結承認の効力が失われる場合であっても投資簿価修正は行われない。しかし、通算制度では、通算承認が効力を失う場合にはすべて投資簿価修正が行われることになる。 以上より、通算制度と連結納税では、投資簿価修正が行われる事由と修正金額が異なることになるため、実務上留意すべきだろう。 なお、この場合、法人税法施行令第9条第1項第6号において、その通算子法人の株式を有する通算法人において、その終了直前の帳簿価額と簿価純資産価額との差額を利益積立金額に加減算することが定められている。   〇法人税法施行令第131条の8(損益通算の対象となる欠損金額の特例) 損益通算の対象外となる欠損金額について、次の取扱いを定めている。   〇法人税法施行令第131条の11(通算法人の範囲) 通算法人の適用範囲となる完全支配関係(通算除外法人及び外国法人が介在しないものとして政令で定める関係)について定められている。 また、離脱法人について、同一の通算グループへの再加入が5年間制限されることが定められている。 いずれも連結納税制度と同様の取扱いとなる。   〇法人税法施行令第131条の15~18(通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益)、(通算制度の加入に伴う資産の時価評価損益)、(通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価損益)、(時価評価資産に関する他の規定の不適用等) 通算制度の開始又は加入に伴う時価評価の対象外となる資産について、税務上の帳簿価額が1,000万円未満の資産、評価損益が通算法人の資本金等の額の2分の1又は1,000万円のいずれか少ない金額に満たない資産、開始・加入日以後2ヶ月以内に通算グループから離脱する通算子法人の保有する資産が挙げられている。この点、基本的には、連結納税制度と同様の取扱いとなる。 また、離脱等に伴う時価評価については、時価評価が不要となる法人、時価評価が必要となる事由、時価評価の対象となる資産の範囲について定められている。   〇法人税法施行令第131条の19(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入) その適用の対象から除外される「通算親法人 (通算親法人にあっては、いずれかの通算子法人)との間に支配関係が5年超又は設立日からある場合」及び「通算承認の効力が生じた後に通算法人と他の通算法人とが共同で事業を行う場合」の要件が定められている。   〇法人税法施行令第148条(通算法人に係る控除限度額の計算) 外国税額控除制度について、通算法人の控除限度額は、その通算法人及び他の通算法人の法人税の額の合計額等を基礎に計算することが定められている。連結納税制度における計算方法と異なるため、計算結果まで異なることになるか検討が必要となる   〇法人税法施行規則第8条の3の3、第27条の16の8、第27条の16の9 通算制度の承認及び通算制度の取りやめの承認の申請書等の記載事項と通算制度への加入時期の特例の適用を受けるために提出する書類の記載事項を定めている。   〇法人税法施行規則第26条の2の2~第26条の2の4、第27条の16の5~第27条の16の7、第27条の16の10~第27条の16の15 通算制度の開始又は通算制度への加入に伴う資産の時価評価の対象外となる法人に該当する通算法人が支配関係発生日以後に新たに事業を開始した場合の繰越欠損金額に係る繰越控除の適用の制限について、次のとおり整備を行っている。 損益通算の対象外となる欠損金額、通算制度の開始・加入・離脱等に伴う資産の時価評価、通算制度の開始又は通算制度への加入に係る特定資産譲渡等損失額の損金不算入の取扱いについて、同様の整備を行っている。   〇法人税法施行規則第26条の3 欠損金の繰越控除制度の適用を受けるために保存することとされる書類について、次のとおり整備を行っている。   〇法人税法施行規則第68条 通算親法人が他の通算法人の法人税の申告に関する事項の処理として行う申告書記載事項又は添付書類記載事項の提供の方法等の手続の細目を定めている。   〇法人税法施行規則別表関係 法人税申告書について、通算制度に対応した別表を公布している。 別表4、5(1)、5(2)等の単体納税の別表を、通算制度に対応した様式に改めるとともに、通算制度に特有の取扱いについて、別途、別表を用意している。また、修更正の遮断措置に対応した別表も用意している。 [改正省令で公布された別表様式]   〇附則関係 この政省令は令和4年4月1日から施行され、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されることが定められている。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 376(掲載号)
#足立 好幸
2020/07/06

2020年上半期(1月~6月)掲載分の目次(PDFファイル)をアップしました!

-お知らせ- いつもプロフェッションジャーナルをご愛読いただきありがとうございます。 2020年上半期(1月~6月)掲載分の目次をアップしました。 2020年上半期(1月~6月)掲載目次ファイル ※PDFファイル PDFファイルを開いて各記事タイトルをクリックすると、該当の記事ページが開きます。 (※) お使いのブラウザによって開かないものがあります。 パソコンやクラウド等に保存していただくと、PDFファイルから各記事ページへすぐに移動できますので、ご活用下さい(PDFファイル内の文字検索もできます)。 Back Number ページからもご覧いただけます。 ▷半年ごとの目次一覧 2020年 1月~6月(No.351~375)⇒[こちら] ★ 2019年 1月~6月(No.301~324)⇒[こちら] 7月~12月(No.325~350)⇒[こちら] 2018年 7月~12月(No.275~300)⇒[こちら] 1月~6月(No.251~274)⇒[こちら] 2017年 7月~12月(No.225~250)⇒[こちら] 1月~6月(No.201~224)⇒[こちら] 2016年 1月~6月(No.151~175)⇒[こちら] 7月~12月(No.176~200)⇒[こちら] 2015年 1月~6月(No.100~125)⇒[こちら] 7月~12月(No.125~150)⇒[こちら] 2014年 1月~6月(No.51~75)⇒[こちら] 7月~12月(No.76~100)⇒[こちら] 2013年 1月~6月(No.1~25)⇒[こちら] 7月~12月(No.26~50)⇒[こちら] 2012年 創刊準備1号~5号⇒[こちら]

#Profession Journal 編集部
2020/07/03

《速報解説》 会計士協会が「2019年度 品質管理委員会年次報告書」を公表~会計上の見積りの監査に関する改善事項や監査人の異動理由等について示す~

《速報解説》 会計士協会が「2019年度 品質管理委員会年次報告書」を公表 ~会計上の見積りの監査に関する改善事項や監査人の異動理由等について示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年6月30日、日本公認会計士協会は、「2019年度 品質管理委員会年次報告書」、「2019年度 品質管理レビューの概要」及び「2019年度 品質管理レビュー事例解説集」を公表している。 年次報告書は、監査法人又は公認会計士が行う監査の品質管理の状況をレビューする制度(品質管理レビュー制度)に基づくものであり、基本的な対象は、監査法人又は公認会計士である。 しかしながら、年次報告書に記載されている内容については、一般の事業会社における会計処理等にも関連するものがあるので、実務において参考になるものを紹介する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 会計処理等に関連する改善勧告 多くの監査事務所が改善勧告を受けた「1.会計上の見積りの監査」では、次の事項を含めて、幅広く改善勧告事項が指摘されている(年次報告書56ページ)。 会計上の見積りの監査に関して、次の改善勧告事項が多く見受けられたとのことである(年次報告書56ページ)。 次の事項に関する改善勧告事項が述べられている(年次報告書23ページ、67ページ、事例解説集13ページ、22ページ、23ページ、30ページ、41ページ、45ページ、46ページ)。 より具体的な内容は、「2019年度 品質管理レビュー事例解説集」をお読みいただきたい。   Ⅲ 監査人の異動理由 2019年4月1日から2020年3月31日までに生じた会計監査人の異動のうち、2020年4月30日までに前任監査人及び後任監査人から届出書の提出があった106件の会計監査人の異動について、その理由を集計している(年次報告書38ページ)。 異動理由として「監査報酬」、「継続監査期間」をあげている例が多い。 一方、「監査人の対応の適時性や人員への不満」については、前任監査人が1件であるのに対し、後任監査人が30件と、両者で大きく乖離していることが伺える。   Ⅳ IFIAR の調査結果 監査監督機関国際フォーラム(以下「IFIAR」という)は、世界各国・地域の監査監督機関から構成された組織である。 IFIARによる「上場企業の監査業務における品質管理の項目別の指摘数」では、次のものがあげられている(年次報告書89ページ)。 公正価値測定を含む会計上の見積りの監査については、指摘数は前年度から減少しているが、前年度同様、整合性のない監査証拠の検討を含む経営者の仮定の合理性を十分に評価していないという指摘がほぼ半数を占めているとのことである(年次報告書89ページ)。 (了)

#No. 376(掲載号)
#阿部 光成
2020/07/02

《速報解説》 金融庁より「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」が公表される~財務情報(追加情報)及び非財務情報(記述情報)の開示に関する留意事項を示す~

《速報解説》 金融庁より「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」が公表される ~財務情報(追加情報)及び非財務情報(記述情報)の開示に関する留意事項を示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020(令和2)年7月1日に、金融庁は、「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表した。 これは、5月21日の「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」の発出に続くものであり、四半期報告書においても、新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報を適時適切に開示することは、投資家の投資判断にとって重要と考えている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示 1 四半期報告書の提出期限 2020年4月17日に、「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第37号)が公布され、2020年4月20日から9月29日までの期間に提出期限が到来する有価証券報告書 、四半期報告書等に関して、財務局長等へ企業側が個別に申請を行わなくとも、一律に2020年9月30日まで提出期限が延長されている。 2 財務情報(追加情報)の開示 2020年6月26日の企業会計基準委員会の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」の更新により、 四半期決算における考え方が示されている。 これを踏まえて、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについて、四半期報告書において、適時適切に投資家へ情報提供することが強く期待されている。 新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りの仮定について、その後の経営環境の変化を踏まえ見直しを行った結果として、会計上の見積りに変更が生じた場合には、四半期財務諸表において、当該見積りの変更の影響を反映する必要があるとのことである。 3 非財務情報(記述情報)の開示 四半期報告書における非財務情報(記述情報)の開示に関して、次のことに留意する。   Ⅲ 有価証券報告書レビューとの関係 2020年5月21日に「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」が発出されており、有価証券報告書の財務情報(追加情報)及び非財務情報における新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示については 、有価証券報告書レビューの対象となっている。 四半期報告書の財務情報(追加情報)及び非財務情報における当該開示についても、有価証券報告書レビューの一環として、必要に応じて確認するとのことである。 (了)

#No. 376(掲載号)
#阿部 光成
2020/07/02

プロフェッションジャーナル No.376が公開されました!~今週のお薦め記事~

2020年7月2日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.376を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2020/07/02

monthly TAX views -No.90-「ドイツの消費税時限減税から考える」

monthly TAX views -No.90- 「ドイツの消費税時限減税から考える」   東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹   今後、第2波、第3波が予想される新型コロナ問題だが、ドイツメルケル政権は経済対策として、20年7-12月の期間限定で消費税率を19%から16%へ(軽減税率は7%から5%へ)引き下げる決定をした。 わが国でも従来からコロナ経済対策として、消費税減税を主張する声が、特に自民党の若手議員や野党から上がっており、今回のドイツの決定がわが国にも影響を及ぼすことが考えられる。 しかし、以下に述べる通り、ドイツの財政状況はわが国とは大きく異なるので、これでもって「わが国も同様の措置を」というような議論は乱暴といえよう。 *  *  * ドイツは2014年以降、6年連続で財政黒字を出し続けてきた。EU各国から緊縮財政を改めるよう何度も圧力がかかったが、それをはねのけて財政黒字を守り続けてきたのである。 2007年に消費税率を16%から19%へ引き上げた後、リーマンショックが襲い、ドイツでの実質経済成長率はマイナス5.6%になったが、その際も付加価値税率を引き下げなかった。そして2009年には、財政収支均衡原則を盛り込んだ憲法(基本法)の改正を行い、財政黒字を出し続けてきた。 しかし今回の新型コロナウイルス問題は、これまでとは異なる深刻度ということで、黒字を国民に還元する策として位置付けたのである。逆に言えば、医療費の削減を含む歳出削減などを通じて財政黒字を出し政府債務残高そのものを減らしてきた結果として、国民に還元する財政余地が存在していたといえよう。 この点、フローでもストックで見ても財政赤字を垂れ流してきたわが国とは、大きく背景が異なる。「ドイツが消費税率を引き下げたからわが国も」とはならないのである。 *  *  * もうひとつ、ドイツの消費税減税に関する現地の報道を見ると、極めて興味深いことが議論されている。 今回の時限的な消費税減税の利益が、一部事業者の手元に残り消費者に還元されないのではないか(わが国でいう「益税」)ということが議論になっているのである。 事業者間の転嫁は、インボイスが導入されているので、税率引下げ分はきちんと転嫁されるだろうが、最終的な対消費者取引になると、インボイスはあるものの、総額表示のため、税率引下げが消費者に行き渡らず、事業者の手元に利益として残るのではないかという懸念である。 インボイスが導入されているドイツでも、消費者にきちんと転嫁されるかどうかが議論されているというのは、興味深い。もっとも今回は消費税減税なので、話がややこしいのだが。 (了)

#No. 376(掲載号)
#森信 茂樹
2020/07/02

居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度の適正化-令和2年度税制改正- 【第4回】「新型コロナ税特法等に係る措置」

居住用賃貸建物の取得等に係る 消費税の仕入税額控除制度の適正化 -令和2年度税制改正- 【第4回】 (最終回) 「新型コロナ税特法等に係る措置」   税理士 石川 幸恵   新型コロナウイルス感染症の影響により、設備投資計画の変更や事務処理能力の低下が生じた場合、消費税の納税義務に関する制限や簡易課税制度選択の制限が、業績回復の妨げになりかねない。 そこで消費税については、4月30日に公布・施行された新型コロナ税特法(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律)によって、「消費税の課税選択の変更に係る特例」及び「納税義務が免除されない制限を解除する特例」の2つの措置が設けられた。 なお簡易課税制度選択については、消費税法第37条の2「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例を適用できる。 連載最終回となる今回は、新型コロナ税特法と消法37の2の特例のうち、【第3回】までに解説した居住用賃貸建物の取得に影響のある部分を解説する。 (※) 「消費税の課税選択の変更に関する特例」は、本連載の内容とは直接的には関係しないため割愛する。   1 3年間の「納税義務が免除されない制限」の解除 (1) 内容 本連載の【第3回】で解説したように、高額特定資産の仕入れ等に伴う「納税義務が免除されない制限」は、居住用賃貸建物の取得にも適用される。 簡潔にまとめると、次のとおりである。 新型コロナ税特法10⑤⑥の適用を受ければ、上記(イ)(ロ)の課税期間の初日以後3年間、「納税義務が免除されない制限」を解除することができる。 (2) 特例の対象となる事業者 特例の対象となる事業者は、新型コロナウイルス感染症等の影響により、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間のうち任意の連続した1ヶ月以上の期間(以下「調査期間」という)の事業としての収入金額が、前年の同時期と比べて、概ね50%以上減少している事業者(国税庁「新型コロナ税特法に係る消費税の特例に関するQ&A」(以下「Q&A」)問2)である。 なお、調査期間内の日を含む課税期間を「特定課税期間」という(Q&A問6)。 (3) 特例の対象となる取得等の時期 「納税義務が免除されない制限」の解除を受けられるのは、特定課税期間の初日以後2年を経過する日の属する課税期間までの課税期間において、高額特定資産を取得した場合や、高額特定資産等について棚卸資産の調整措置を受けた場合である。 取得等の時期が特定課税期間以前の課税期間や翌課税期間以後であっても適用があることに注意されたい(Q&A問16、問17、問19)。 (4) 手続き ① 提出書類 以下の書類を納税地の所轄税務署長に提出する。 ② 申請期限 (イ) 高額特定資産を取得した場合 「特定課税期間の確定申告書の提出期限」と「高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の末日」とのいずれか遅い日(Q&A問15)。 (ロ) 高額特定資産等について棚卸資産の調整措置を受けた場合 「特定課税期間の確定申告書の提出期限」と「棚卸資産の調整規定の適用を受けることとなった日の属する課税期間の末日」とのいずれか遅い日(Q&A問18)。   2 簡易課税制度選択届出書の提出制限の不適用 (1) 内容 消法37の2「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例により、課税期間(※)の開始後であっても簡易課税制度を選択することができる。 (※) 基準期間における課税売上高が5,000万円以下の場合に限る。 消法37の2の適用を受ける場合は、次の期間における簡易課税制度選択届出書の提出制限も適用されない(消法37の2①、Q&A問20)。これにより、3年間の一般課税による申告の強制適用が解除されることとなる。 (2) 特例の対象となる時期 消法37の2の特例は、災害その他やむを得ない理由の生じた日の属する課税期間について適用がある点に注意されたい。新型コロナ税特法に規定する「納税義務が免除されない制限」の解除を受けられる高額特定資産の取得時期等が、特定課税期間の初日以後2年を経過する日の属する課税期間までの課税期間である点と異なっている。 (3) 手続き ① 提出書類 以下の書類を納税地の所轄税務署長に提出する。 ② 申請期限 新型コロナウイルス感染症等の影響による被害がやんだ日から2月以内。被害のやんだ日がその申請に係る課税期間の末日の翌日(個人事業者の場合は、その末日の翌日から1月を経過した日)以後に到来する場合には、その課税期間に係る確定申告書の提出期限。 なお、本稿執筆時点で、災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書はe-Taxで利用可能な手続に掲載されていない。書面での提出が必要と考えられるので、注意されたい。 (連載了)

#No. 376(掲載号)
#石川 幸恵
2020/07/02

〔Q&Aで解消〕診療所における税務の疑問 【第1回】「診療所の収入の所得区分と消費税の課税関係」

〔Q&Aで解消〕 診療所における税務の疑問 【第1回】 「診療所の収入の所得区分と消費税の課税関係」   税理士法人赤津総合会計 税理士・医業経営コンサルタント 赤津 剛史   【Q】 診療所の収入の所得区分で判断に迷うものがいくつかあります。 以下の収入について、所得区分及び消費税の課税関係を教えてください。   【A】 ご質問の収入について、所得区分及び消費税の課税関係は以下のとおりです。 ● ● ● 解 説 ● ● ● ① 自治体から委託を受けた予防接種や検診収入 自治体から委託を受けた予防接種や検診収入は、診療所の診療に付随する行為として、自費診療収入となります。つまり、個人診療所であれば「事業所得」に計上され、医療法人であれば法人の益金に算入されます。 消費税は個人診療所、医療法人ともに課税売上として取り扱います。   ② 休日夜間診療の報酬 休日夜間診療の報酬は、従事する形態によって所得区分が異なります。そのため2つのケースに分けて、以下でみていきます。 [ケース1] 地域の救急センター等で従事する場合 [ケース2] 輪番制で自身の診療所で診療する場合   ③ 産業医の報酬 「産業医」とは、事業場において労働者の健康管理等について、専門的な立場から指導・助言を行う医師を言います。労働安全衛生法により、一定の規模の事業場には産業医の選任が義務付けられています。 産業医の委託報酬は、個人診療所においては医師個人の「給与所得」に該当し、消費税は不課税として取り扱います。 一方、医療法人が事業場と産業医の派遣契約を締結し、勤務医を産業医として派遣したときは、委託収入として医療法人の益金となり、消費税は課税売上となります。   ④ 原稿料、講演料 医師個人が製薬会社等からの依頼に基づき、執筆した論文等に対する原稿料及び講演をしたことによる講演料等はいずれも個人の「雑所得」になります。 また、原稿料・講演料ともに、医師個人の診療という本来の事業に関連する内容の論文や講演を行う場合には本来業務の付随行為に該当することから、消費税の課税売上に該当すると考えられます。 なお、参考までに国税庁の質疑応答事例「消費税における「事業」の定義」を以下に引用します。 (出典) 国税庁・質疑応答事例「消費税における「事業」の定義」 ◆◇税務監査実務上の留意点◇◆ 個人診療所及び医療法人の税務監査においては、収入の帰属先及び所得区分並びに消費税の課税判定について判断に迷う場面が多くあります。 本来は、医師個人の収入となるものが、医療法人の預金口座へ振込まれているケースも散見されます。支払い側の認識の相違により、医療法人との産業医の派遣契約に基づく支払いに源泉所得税が徴収されているという事例もあります。 経理処理にあたっては、支払い側の経理処理と整合する必要があり、請求書、支払通知書、契約書といった証憑資料の確認という基本の徹底を行い、場合によっては支払い側に直接確認をするといった一歩踏み込んだ税務監査が必要となります。 (了)

#No. 376(掲載号)
#税理士法人赤津総合会計
2020/07/02

令和2年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第2回】「「適用法人の範囲」「適用方法」」

令和2年度税制改正における 『連結納税制度』改正事項の解説 【第2回】 「「適用法人の範囲」 「適用方法」」   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   [3] 適用法人の範囲 グループ通算制度の適用対象となる法人は、適用の承認を受けた「通算親法人(次の法人に限る)及び通算親法人との間に通算親法人による完全支配関係がある通算子法人(次の法人に限る)」の全てとなる(法法64の9①)。 ここで、グループ通算制度の適用範囲となる「完全支配関係」は、完全支配関係のうち、通算除外法人(下記(1)③~⑦までの法人)及び外国法人が介在しない一定の関係となり、通算法人間の完全支配関係を「通算完全支配関係」という(法法64の9①、2十二の七の七)。 (1) 通算親法人 通算親法人とは、普通法人又は協同組合等のうち、次の①から⑥までの法人及び⑥に類する一定の法人のいずれにも該当しない法人をいう。 (2) 通算子法人 通算子法人とは、通算親法人との間に通算親法人による完全支配関係がある他の内国法人のうち、上記(1)③から⑦までの法人以外の法人をいう。   [4] 適用方法 (1) グループ通算制度の開始 ① 承認申請 親法人及び子法人が、通算承認を受けようとする場合には、その親法人のグループ通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始日の3ヶ月前の日までに、その親法人及び子法人の全ての連名で、承認申請書をその親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出する必要がある(法法64の9②)。 ここで、「通算承認」とは、グループ通算制度の適用に係る国税庁長官の承認をいう。 この場合、グループ通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始日の前日までにその申請についての通算承認又は却下の処分がなかったときは、その親法人及び子法人の全てについて、その開始日においてその通算承認があったものとみなされ、同日からその効力が生じる(法法64の9⑤⑥)。 ② 申請の却下 国税庁長官は、承認申請書の提出があった場合において、次のいずれかに該当する事実があるときは、その申請を却下することができる(法法64の9③)。 この場合、「通算予定法人」とは、グループ通算制度の適用を受けようとする親法人又は子法人をいう。 ③ 親法人の設立事業年度又は設立翌事業年度からの適用方法 親法人の設立事業年度又は設立事業年度の翌事業年度から、グループ通算制度を適用する場合の承認申請期限は次のとおりとなる(法法64の9⑦⑧⑨)。 この場合のグループ通算制度の適用を開始する事業年度を「申請特例年度」という。 (※1) 設立事業年度が3ヶ月に満たない場合に限る。設立事業年度が3ヶ月以上の場合は、原則どおり、3ヶ月前の日が申請期限となる。 (※2) 親法人が設立事業年度終了時に時価評価法人(時価評価対象法人に該当し、かつ、時価評価資産を有する法人)に該当する場合を除く。この場合で、親法人の設立事業年度が3ヶ月に満たない場合、結果的に設立事業年度の翌事業年度からグループ通算制度を適用することはできない。 この申請年度の特例を適用する場合、通算子法人となる法人のうち、時価評価法人(時価評価法人が発行済株式を直接又は間接に保有する法人を含む)に該当するものは、他の通算子法人のように申請特例年度開始日ではなく、申請特例年度終了日の翌日(つまり、1期遅れで)にグループ通算制度を開始又は加入することになるなど、特別な取扱いが適用される(法法64の9⑩⑫、14⑤⑥⑧)。 そのため、本連載では、この特例を適用する場合の税務上の取扱いは解説の対象外としており、原則どおり、グループ通算制度の適用を開始する日の3ヶ月前の日までに承認申請をした場合の取扱いのみ解説の対象としている。 ④ 経過措置 経過措置については次のとおりとなる。 (2) グループ通算制度の取りやめ 通算法人は、やむを得ない事情があるときは、国税庁長官の承認を受けてグループ通算制度の適用を受けることをやめることができる。この取りやめの承認を受けた場合には、その承認を受けた日の属する事業年度終了日の翌日から、通算承認の効力は失われる(法法64の10①②③④)。 また、通算親法人が他の内国法人の100%子会社となった場合、通算親法人が解散する場合(合併による解散を含む)、通算子法人がなくなった場合のほか、青色申告の承認の取消しの通知を受けた場合においても、通算承認の効力は失われる(法法64の10⑤⑥、127①②③④)。   (了)

#No. 376(掲載号)
#足立 好幸
2020/07/02

Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第3回】「〔第1表の1〕株主判定と配当還元価額の適否」

Q&Aでわかる 〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第3回】 「〔第1表の1〕株主判定と配当還元価額の適否」   税理士 柴田 健次   Q 下記の通り、経営者甲が所有しているA社株式の全て(議決権総数の44%に相当する株式)を後継者乙に贈与する場合において、A社が有しているB社(大会社に該当)の株式の評価方式は原則的評価方式(類似業種比準価額)が適用されるのでしょうか。それとも特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるのでしょうか。 なお、C社、D社、E社、F社、G社、H社、I社が有しているA社株式は、甲から購入したものであり、いずれもB社の主要な取引先となります。A社株式の譲渡をする場合には、A社取締役会の承認が必要であるものとされています。 A社株式の議決権行使は甲に一任されておらず、C社からI社のそれぞれの会社が議決権行使をしていますが、甲は1社でも味方につければ50%超の議決権の行使が可能となり、甲は実質的にA社を支配している状態にあります。 A B社株式評価を行う場合の株主判定として、A社は同族株主以外に該当するため、特例的評価方式(配当還元価額等)で評価することが評価通達上の評価方法となります。 ただし、乙及びその親族がA社を実質的に支配している場合には、配当還元価額での評価方法は適切であると言えないため、配当還元価額での評価が認められない可能性があり、原則的評価方式により評価することが適正な評価であると考えられます。  ◆  ◆  ◆ ① 評価通達の株主判定 評価通達188(1)によれば、「同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式」は、特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるものとされています。 A社が所有しているB社の株式評価を行う場合の株主判定は、A社を納税義務者として株主判定を行うことになります。実際の株主判定では、乙が筆頭株主となる同族株主に該当しますが、A社は乙の同族関係者に含まれませんので、A社は同族株主以外の株主となります。 したがって、形式的な判定においては、A社が所有しているB社株式については、配当還元価額が適用可能となります。 ◎用語の意義と当てはめ ▷同族株主 課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいいます(評価通達188(1))。 本問の場合には、乙が同族株主に該当します。 ▷同族関係者 法人税法施行令第4条(同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいいます(評価通達188(1))。 特殊の関係のある個人は、例えば株主等の親族などをいいます。本問の場合には、甲及び甲の配偶者は乙の同族関係者となります。特殊の関係のある法人は、例えば、乙及びその親族が直接又は間接に会社を支配(議決権の50%超保有)している場合におけるその会社が該当します。 本問の場合には、A社は乙、甲、甲の配偶者が支配している会社ではないため、A社は乙の同族関係者には該当しません。   ② 配当還元価額の適用の趣旨 関連会社株式の配当還元価額の適否が争われた東京地裁平成16年3月2日判決(TAINSコード:254-9583)では、次のように判示しています。 そして、評価会社に対する影響力を持ち、支配力がある株式に対しては原則的な評価方式が採用されるべきであるとして、配当還元価額の適用を否認しました。 本問の場合には、甲がC社からI社のうち1社でも味方につければ、A社について50%超の議決権行使が可能となり、反対に甲の支配を奪うためには、7社が結束する必要があり、さらにA社株式について譲渡制限も設けられていることからすると、実質的な支配は甲にあると考えることができますので、A社が所有するB社株式については、支配力がある株式に該当し、本来的には配当還元価額での評価方式は馴染まないと言えます。   ③ 評価通達6の適用 評価通達6を適用し、通達によらない評価を行う場合には、特別の事情が必要になります。 財産評価基本通達に定められた評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるなど、この評価方法によらないことが正当と是認されるような特別な事情がある場合には、他の合理的な方法により評価をすることが許されるものと解されています。 本問の場合における評価通達6の適用の有無にあたっては、甲が取引先に譲渡した後の甲一族のA社の支配が継続的に及んでいるかどうか、甲がB社の取引先に株式を譲渡した理由が贈与税及び相続税の負担を減少することを目的としたものではなく経済的合理性に基づくものであるかどうか、B社と取引先との力関係、類似業種比準価額と配当還元価額による金額の差異等を総合勘案して決定されるべきものと考えられます。   ☆実務上のポイント☆ 配当還元価額の適用にあたっては、実質的に会社を支配している株主であるかどうかの着眼点も含めて検討する必要があります。 特に贈与前、相続前において株主に変動がある場合には、株主変動の理由をよく確認する必要があります。 (了)

#No. 376(掲載号)
#柴田 健次
2020/07/02
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