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連結納税適用法人のための平成28年度税制改正 【第11回】「日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備」

筆者:足立 好幸

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連結納税適用法人のための

平成28年度税制改正

【第11回】

「日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備」

 

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト パートナー
足立 好幸

 

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[12] 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る
国内法の整備

1 改正内容

「外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律」について、題名を「外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律」(以下、「外国居住者等所得相互免除法」という)に改めるとともに、日台民間租税取決め(注)に規定された内容を実施するため、台湾との相互主義に基づき、台湾との間の二重課税を排除する等のための措置を講ずることとなった(外国居住者等所得相互免除法1~43)。

(注) 日台民間租税取決めに関しては、2013年12月から公益財団法人交流協会(日本側)と亜東関係協会(台湾側)の間で協議を重ね、2015年11月26日に署名されている。

(1) 双方居住者の振分けルール

日本と台湾の双方の居住者に該当する者について、恒久的住居の所在等を基準とした振分けルールに基づき、台湾の居住者に振り分けられる者にあっては日本の非居住者とみなし、いずれか一方の居住者に振り分けられない者にあっては下記(2)④の(ニ)及び(ホ)の措置は適用しない。

(2) 台湾居住者等の所得に対する所得税又は法人税の非課税等

下記のとおり、所得の種類ごとに、台湾居住者等の所得に対する所得税又は法人税の非課税等の措置を講ずる。

この場合、下記の措置のうち源泉徴収による所得税につき軽減又は非課税の適用を受けようとする台湾居住者等について、日本の国内法に定める租税条約の適用手続に関する措置と同様の措置を講ずる。

① 事業所得に対する所得税又は法人税の非課税

台湾居住者 (非居住者又は外国法人で、台湾の法令において、台湾の居住者として租税を課されるものとされているもの (台湾の権限のある機関を含む) をいう) が有する事業所得のうち日本国内にある事業所等に帰せられないもの等について、所得税又は法人税を非課税とする。

② 配当等に対する所得税又は法人税の軽減又は非課税

(イ) 台湾居住者が支払を受ける一定の配当、利子又は使用料(以下、において「対象配当等」といい、下記(ロ)の適用があるものを除く)について、所得税又は法人税の税額を当該対象配当等の10%相当額に軽減する。

(ロ) 台湾の権限のある機関等が支払を受ける一定の利子及び台湾居住者(台湾の権限のある機関等を除く)が支払を受ける一定の利子(台湾の輸出入銀行等により債務保証等がされた債権に係るものに限る)について、所得税又は法人税を非課税とする。

(ハ) 発行時に源泉徴収の対象とされた割引債の発行者は、台湾居住者に対し当該割引債の償還差益の支払をする場合には、当該台湾居住者に対し、その源泉徴収された所得税に相当する金額の全部又は一部を還付する。

(注1) 上記の措置は、台湾居住者の日本国内にある事業所等に帰せられる対象配当等については、適用しない。

(注2) 上記の措置は、対象配当等の額が独立企業間価格を超えるときは、その超過額については、適用しない。

(注3) 一定の利子又は使用料について、日本の国内法に定める租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得に関する取扱いと同様の措置を講ずる。

③ 資産の譲渡所得に対する所得税又は法人税の非課税

台湾居住者が有する資産の譲渡所得(恒久的施設帰属所得又は国内資産譲渡所得のうち一定のもの及び工業所有権等の譲渡所得に限る)について、所得税又は法人税を非課税とする。

④ 人的役務提供対価等に対する所得税の非課税

(イ) 台湾居住者が支払を受ける一定の報酬について、当該台湾居住者が短期滞在者に該当する等の場合には、所得税を非課税とする。

(ロ) 台湾居住者が支払を受ける一定の給与(内国法人の役員として行う勤務に基因するものを除く。(ハ)において同じ)について、当該台湾居住者が短期滞在者に該当する等の場合には、所得税を非課税とする。

(ハ) 台湾居住者が支払を受ける一定の報酬又は給与のうち日本国外において行う役務提供又は勤務に基因するものについて、所得税を非課税とする。

(ニ) 台湾居住者等で一定の要件を満たすものが台湾の権限のある機関等から支払を受ける一定の給与等又は年金について、所得税を非課税とする。

(ホ) 台湾居住者等で一定の要件を満たす学生等が支払を受ける日本国外からの一定の給付について、所得税を非課税とする。

(注1) 上記の(イ)又は(ロ)の措置は、芸能人等として日本国内において行う役務提供又は勤務に基因するものについては、適用しない。

(注2) 納税申告書の提出等をした台湾居住者が短期滞在者に該当すること等となった場合には、その該当すること等となった日から4月以内に、更正の請求により上記の措置の適用を受けることができることとする。

(注3) 源泉分離課税の対象とされる台湾居住者が短期滞在者に該当することとなった場合には、還付申告書を提出することにより上記の措置の適用を受けることができることとする。

なお、その適用対象となる国内源泉所得に関し、台湾居住者又はその関係者による当該国内源泉所得の基因となる行為の主たる目的の1つが、上記の措置の適用を受けることである場合には、適用しない。

また、日本と台湾で課税上の取扱いが異なる事業体に対する上記の措置の適用については、日本の国内法に定める日本と租税条約の相手国等で課税上の取扱いが異なる事業体への租税条約の適用に関する措置と同様の措置を講ずる。

(3) 台湾における移転価格課税に係る対応的調整

内国法人等に係る台湾の関連者との間で行う取引に関し、その価格が独立企業間価格と異なることにより当該内国法人等の所得が過大となる場合において、国税庁長官の確認を受けたときは、当該取引は独立企業間価格で行われたものとして課税所得を計算する。

(4) 国税庁長官の確認があった場合の更正の請求の特例等

納税申告書の提出等をした者は、上記(1)及び (2)の措置の適用により課税標準等又は税額等が過大となる場合において、国税庁長官の確認があったときは、その確認の日から2月以内に、更正の請求によりこれらの措置の適用を受けることができる。

台湾居住者等が有する所得につき上記(2)の措置の適用により源泉徴収による所得税に係る過誤納があった場合において、国税庁長官の確認があったときは、税務署長は、当該所得に係る源泉徴収義務者に対し、その過誤納金に相当する給付金を支給する。ただし、当該過誤納金につき還付請求をすることができる場合には、この限りでない。

(5) 台湾の租税に関する権限のある機関への情報提供

台湾の租税に関する権限のある機関に対し、租税に関する情報の提供を行うことができる旨の規定を設ける。

(出典) 「参考資料」(財務省)

 

2 適用時期

平成29年1月1日以後に開始する事業年度又は連結事業年度から適用される(外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律施行令等の一部を改正する政令「附則」1、所得税法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令、平成28年所法等改正法附則1五)

 

〔凡例〕
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
法規・・・法人税法施行規則
地方法・・・地方法人税法
地法・・・地方税法
措法・・・租税特別措置法
措令・・・租税特別措置法施行令
措規・・・租税特別措置法施行規則
国通・・・国税通則法
(例)法法34①二・・・法人税法34条1項2号

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 

▷平成31年度税制改正(全8回)

▷平成30年度税制改正(全9回)

▷平成29年度税制改正(全9回)

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【第1回】 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

はじめに

[1] 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

1 改正内容

2 『自己創設営業権』の評価問題が解消!

3 連結納税開始日・加入日が平成29年10月1日の場合は旧税制が適用に!

4 どうせ時価課税されるなら、合併で時価譲渡になる方がいいのか、スクイーズアウトで時価評価される方がいいのか?(時価課税の有利・不利)

【第2回】 スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

[2] スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

1 改正内容

2 連結納税の不利益を受けずに少数株主排除が可能に!

3 連結納税開始日が平成29年10月1日以後であっても、株式交換等が平成29年9月30日以前に行われた場合は旧税制が適用される!

4 全部取得条項付種類株式方式又は株式併合方式により連結納税に加入した場合、「完全支配関係を有することとなった日」はいつになるのか?

【第3回】 研究開発税制の見直し

[3] 研究開発税制の見直し

【第4回】 所得拡大促進税制の見直し他

[4] 所得拡大促進税制の見直し

[5] 役員給与等の見直し

[6] 地域未来投資促進税制の創設

【第5回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その1)

[7] 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充

1 中小企業経営強化税制の創設

【第6回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その2)

2 中小企業投資促進税制の見直しと適用期限の延長

3 商業・サービス業活性化税制の適用期限の延長

【第7回】 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限、災害特例措置

[8] 震災・災害に関する税制措置の整備

[9] 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限

【第8回】 連結法人の申告期限の延長の見直し

[10] 連結法人の申告期限の延長の見直し

1 法人税の申告期限の延長について

2 事業税の申告期限の延長について

【第9回】 地方税率の改正時期の変更他

[11] 地方税率の改正時期の変更

[12] 組織再編税制に係る改正

[13] タックス・ヘイブン税制の総合的見直し

▷平成28年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率等の改正

~はじめに~

[1] 連結法人税、連結地方法人税、住民税、事業税の税率の改正

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し

[2] 連結欠損金の繰越控除制度の見直し

[3] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[4] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第3回】 減価償却制度の見直し

[5] 減価償却制度の見直し

【第4回】 役員給与の見直し

[6] 役員給与の見直し

【第5回】 雇用促進税制の見直し

[7] 雇用促進税制の見直し

【第6回】 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

[8] 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

【第7回】 組織再編関連税制の見直し

[9] 適格現物出資の見直し

[10] 組織再編税制の見直し

【第8回】 移転価格文書化制度(その1)

[11] 移転価格文書化制度

1 多国籍企業グループの移転価格文書化制度

(1) 国別報告書

【第9回】 移転価格文書化制度(その2)

(2) マスターファイル(事業概況報告事項)

【第10回】 移転価格文書化制度(その3)

(3) ローカルファイル(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)

2 国外事業所等との内部取引に係る移転価格文書化制度

【第11回】 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

[12] 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

【第12回】 その他国際税務の改正・固定資産税の特例措置

[13] 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン税制)の見直し

[14] 国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施

[15] 機械装置の固定資産税の特例措置の創設

▷平成27年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率の引下げ

~はじめに~

[1] 連結法人税率の引下げ

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その1)

[2] 連結欠損金の控除限度額の段階的引下げ

(1) 連結欠損金の控除限度額の段階的引き下げ

(2) 連結所得金額の100%を控除限度額とする特例

① 中小法人等

② 経営再建中の法人

【第3回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その2)

③ 新設法人

【第4回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その3)

[3] 連結欠損金の繰越期間の延長

[4] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[5] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第5回】 受取配当等の益金不算入制度の見直し

[6] 連結納税適用法人に係る受取配当等の益金不算入制度の見直し

【第6回】 研究開発税制の見直し

[7] 連結納税適用法人に係る研究開発税制の見直し

【第7回】 地方拠点強化税制の創設(その1)

[8] 連結納税適用法人に係る地方拠点強化税制の創設

(1) 改正の概要

(2) 地方拠点建物等の取得費の特例措置

【第8回】 地方拠点強化税制の創設(その2)

(3) 雇用促進税制の拡充

【第9回】 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

[9] 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

【第10回】 所得拡大促進税制・その他の租税特別措置法上の見直し

[10] 連結納税適用法人に係る所得拡大促進税制の見直し

[11] その他の租税特別措置法上の見直し

【第11回】 事業税の改正

[12] 連結納税適用法人に係る事業税の改正

【第12回】 国際税務の改正

[13] 連結納税適用法人に係る国際税務の改正

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