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金融・投資商品の税務Q&A 【Q10】「個人が割引債の償還を受けた場合の取扱い」~割引債の発行日が平成28年1月1日以後の場合~

筆者:箱田 晶子

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金融投資商品税務

【Q10】

「個人が割引債の償還を受けた場合の取扱い」

~割引債の発行日が平成28年1月1日以後の場合~

 

PwC税理士法人
金融部 パートナー
税理士 箱田 晶子

 

[Q]

私(居住者たる個人)は内国法人発行の円建社債をその発行時から保有しています。この社債は割引発行であり、詳細は以下の通りです。なお、この社債は税務上の特定公社債に該当します。

  • 額面金額:1,000,000円
  • 発行金額:980,000円
  • 償還金額:額面金額の100%
  • 期間:5年(発行日:平成28年7月1日、償還日:平成33年6月30日)
  • 利息:ゼロ

この割引債は償還時にどのように課税されますか。

[A]

割引債の償還により支払を受ける金銭等については、株式等の譲渡による収入金額として取り扱われ、償還差益に対して20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率により課税されます(申告分離課税の対象となります)。

割引債の償還金の支払の際、割引債の償還金に係る差益金額に対して、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率により源泉徴収が行われますが、この源泉所得税は所得税額から控除することが可能です。

検 討

割引債の償還差益に対する課税については、従前、割引債の発行時に源泉徴収を行い、個人についてはこの源泉徴収のみで課税関係が終了する源泉分離課税とされていました。

金融所得一体課税の改正に伴い、平成28年以後は、割引債の源泉徴収については発行時ではなく、償還時(支払時)に行われることとなりました。また、償還差益は株式等に係る譲渡所得等として課税されることとなりました。

改正前の規定が適用されるかどうかは、割引債の発行日が平成27年12月31日以前か平成28年1月1日以後かにより異なります。

発行日が平成27年12月31日以前の割引債は、原則として発行時に源泉徴収が行われていましたが、平成28年1月1日以後に発行されたものについては、発行時の源泉徴収を適用しないこととされます。

(1) 源泉徴収

居住者が割引債の償還金の支払を受ける場合、その支払の際、その割引債の償還金に係る差益金額に対して、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率により源泉徴収が行われます。

この特例の対象となる割引債の範囲は列挙されていますが(キーワード参照)、割引の方法により発行される公社債はこの範囲に入ります。

源泉徴収の対象となる差益金額は、以下の通り定められています。

割引債のうち、発行日から償還日までの期間が1年以下であるもの
⇒償還金額の0.2%

割引債のうち、発行日から償還日までの期間が1年を超えるもの(分離利子公社債を含む)
⇒償還金額の25%

なお、割引債が特定口座において管理されている場合には、償還時に特定口座内で源泉徴収が行われることから、本源泉徴収の対象外とされています。

(2) 申告分離課税

平成28年1月1日以後、社債の元金の償還により交付を受ける金額は、社債の譲渡に係る収入金額とみなされます。この取扱いは、利付債、割引債を問わず、同様です。

割引債のうち、平成28年1月1日以後に発行されたもの(すなわち発行時源泉徴収の適用を受けない割引債)の償還により支払を受ける金銭等は、株式等の譲渡による収入金額として課税されます。

本件の割引債は特定公社債に該当するということですので、その償還差益については、上場株式等に係る譲渡所得等として20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率により申告分離課税の対象となります。

なお、(1)で源泉徴収された源泉所得税については、申告時に所得税額から控除されます。

 

◇ ◆ キーワード ◆ ◇

『償還時源泉徴収の対象となる割引債の範囲』

金融所得一体課税による改正後の規定において、償還時源泉徴収の対象となる割引債とは、租税特別措置法第37条の10第2項第7号に掲げる公社債のうち次に掲げるもの(その償還の時において特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がされ、又は当該特定口座に保管の委託がされているもの等を除く)をいうとされています。

  • 割引の方法により発行されるもの
  • 分離元本公社債(公社債で元本に係る部分と利子に係る部分とに分離されてそれぞれ独立して取引されるもののうち、当該元本に係る部分であった公社債)
  • 分離利子公社債(公社債で元本に係る部分と利子に係る部分とに分離されてそれぞれ独立して取引されるもののうち、当該利子に係る部分であった公社債)
  • 利子が支払われる公社債で、その発行価額として財務省令で定める金額の額面金額に対する割合が財務省令で定める割合以下であるもの

【参考(関連条文)】
措法第37条の10第3項第7号、第37条の11第3項、第41条の12第7項第3号、第41条の12の2

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

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金融・投資商品の税務Q&A

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筆者紹介

  • 箱田 晶子

    (はこだ・あきこ)

    PwC税理士法人 金融部 パートナー。 税理士。

    金融機関、ファンド等に対し、内外の投資信託、仕組債、リッパケージローン等の金融商品に関する税務上のアドバイス、クロスボーダーのファンド投資ストラクチャー組成に関する税務コンサルティングサービスを数多く行っている。

    【主な共著書】
    ・『金融・投資商品の税務Q&A』共著(清文社)
    ・『逐条解説投資信託約款』共著(金融財政事業研究会)
    ・『投資ストラクチャーの税務(九訂版)』共著(税務経理協会)
    ・『信託の税務』共著(税務経理協会)
    ・『法人税重要事例400』共著(税務研究会)

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