検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10969 件 / 6491 ~ 6500 件目を表示

プロフェッションジャーナル No.248が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年12月14日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.248を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/12/14

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第59回】「日本税理士会連合会の建議から租税法条文を読み解く(その2)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第59回】 「日本税理士会連合会の建議から租税法条文を読み解く(その2)」   中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦     Ⅱ 税理士会等の建議権(承前) 前述のとおり、日本税理士会連合会(以下「日税連」ともいう)及び税理士会は、税理士法の定めにより、税務行政その他租税又は税理士に関する制度について、権限のある官公署に建議し、又はその諮問に答申することができる(税理士法49の11)。 税理士法49条の11は、税理士会の建議、答申等について規定した条文である。 税理士は、税務に関する職業専門家として、税務行政及び税制について、広い知識と深い見識を有するものであることから、税理士の自治的団体である税理士会に、その意見をまとめ、権限ある官公署に建議し、又はその諮問に答申することが認められているのである。 ここにいう、税務行政及び税制についての権限のある官公署とは、国税庁及びその下にある国税局、税務署若しくは都道府県、市町村及びその下にある税務公署並びに財務省主税局、総務省税務局などである。 建議できる事項は、税務行政に関する事項その他国税及び地方税又は税理士に関する制度についての事項である。 かかる建議の対象については、関税、とん税及び特別とん税に関する事項以外の一切の国税及び地方税に関する制度及びその執行並びに税理士に関する制度について建議することができるとする見解がある(日本税理士会連合会『現行税理士法逐条解説』140頁(第一法規1970))。 これに対し、建議の対象となる租税については、税理士法2条《税理士の業務》に規定する税理士業務の対象となる税目のすべてをいうとする見解もある(日本税理士会連合会『新税理士法要説〔6訂版〕』168頁(税務経理協会1999)、同『新税理士法〔4訂版〕』251頁(税務経理協会2015)、鳥飼重和監修『税理士の業務・権限・責任』174頁(中央経済社2002))。 やはり、税理士の属する税理士会の権利として建議が設けられていることと併せ考えれば、後者による説明の方が税理士法内部における整合性を保つことができると考えられよう。そのように考えると、都道府県法定外地方税なども、建議の対象からは除かれることになろう(坂田純一『新版実践税理士法』392頁(中央経済社2015))。 建議とは、自ら希望を申し出て開陳することであるが、権限のある官公署が、税理士会に対して、その税務行政その他国税若しくは地方税又は税理士に関する制度について諮問することもあり、税理士会は、その諮問について答申することもできるとされている。 このように税理士会に建議権があることは税理士法の定めるとおりであるが、税理士会の支部単位で建議をすることができるかについては疑義のあるところである。 この点、税理士法基本通達49の11-1は、「税理士会の支部は、税理士会内部の一機構にすぎず、税理士会の代表機関ではないから、支部限りで法第49条の11の規定による建議をすることはできない」とする。 (注) なお、平成14年の税理士法基本通達制定前の昭和31年8月27日付け官総6-187「改正税理士法の運用上の疑義について(建議等)」においては「官公署に対する建議は、だれに対しても禁止されてはいないから、税理士会支部が行った建議は、当該支部に所属する税理士会員有志の建議であると見ることはできると考える。」との注書きが付されていたが、上記通達では削除されている。 また、税理士会が会員となっている日税連が行った内容と異なる内容で、税理士会が建議できるか否かという問題もあるが、この点については、「日本税理士会連合会、すなわちすべての税理士会が決定した事項について、各税理士会はその決定に従って建議することが当然の事理である」と解説されているにとどまる(坂田・前掲書392頁)。 日税連では、税理士法49条の11に基づき、税制改正に関する建議書を毎年とりまとめている。税務に関する専門家として税制・税務行政の改善に努めることが税理士の社会的使命であり、責任であるとの認識の下で、同条に基づく立法提言を行っているのである。 具体的には、行政における立法提案担当者との懇談に加え、関係省庁との意見交換も踏まえて、建議書という形で立法提案を行っており、日税連では、「建議書の重要性や影響力が従来以上に増してきた」と認識されているようである(日税連は、「公平かつ合理的な税制の確立と申告納税制度の維持・発展に寄与することを希求」する立場から建議を行っていると説明している(日本税理士会連合会「平成29年度税制改正に関する建議書」1頁))。   Ⅲ 平成29年度税制改正に関する建議書 1 建議書における重要建議項目 ここからは、具体的な建議内容を確認してみよう。 例えば、日税連により、平成28年6月23日に発出された「平成29年度税制改正に関する建議書」では、「本建議書における重要建議項目」として、①「災害税制に関する基本法」の立法化について、②中小法人税制について、③消費税制について、④取引相場のない株式等の評価の適正化についての4項目を掲げ、これらを特に強く主張している。 そのうち、例えば、①「『災害税制に関する基本法』の立法化について」として、次のような建議を行っている。 そして、そうした背景を踏まえ次のように建議する。 上記の内容は、同建議書において、次のような表現により強調されてもいる。 2 平成29年度税制改正 (1) 災害対応税制の創設とその趣旨 自由民主党・公明党が平成28年12月8日付けで公表した「平成29年度税制改正大綱」は、上記の日税連の建議書を受けて、以下のような「災害に関する税制上の措置」を提示している。 そして、上記の税制改正大綱を踏まえて、平成29年度税制改正がなされた。同改正における災害関連規定の常設化(以下「災害対応税制」という)の趣旨については、立法担当者が次のように説明している。 このように、被災者に対する従来の税制の対応を述べた上で、この度の改正趣旨を説明する。 すなわち、今までも災害の際にはその都度様々な税制上の特例措置を設けてきたものの、税制上の対応が復旧や復興の動きに遅れることがないようにする観点から、一般化することなどが可能なところについては、あらかじめ立法上の措置を講じておこうとするものである。 このように、日税連の建議書における重要建議事項の4つのうちの1つが税制改正として実現しており、かくも高い確率で具体的な税制改正が実現している点をみれば、それだけ、日税連の建議が実効性の高いものであることを意味しているといってもよいと思われる。 (2) 災害対応税制の具体的内容 さて、災害対応税制の具体的内容について、代表的な取扱いを簡単に確認しておきたい。 (ア) 被災市街地復興土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の特例 上記の趣旨に則り、被災市街地復興土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合を特例の対象に追加している。 すなわち、災害関連規定の常設化に当たり、租税特別措置法31条の2《優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》における「優良住宅地等のための譲渡」の範囲に、「土地開発公社に対する次に掲げる土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等が独立行政法人都市再生機構が施行するそれぞれ次に定める事業の用に供されるもの」が追加された(措法31の2②二の二)。 これは、東日本大震災の際、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律、いわゆる「震災特例法」によって講じられた措置と同様のものである(震災特例法11の5 ⑤)。 この措置は、災害からの復興を支援する観点から規定されたものであることから、災害からの復興のための市街地の整備改善等を目的とした事業が行われる場合に適用できることとされたのである。 具体的には、東日本大震災の際と同様に、災害が発生し、被災市街地復興特別措置法の枠組みである被災市街地復興土地区画整理事業又は住宅被災市町村における第二種市街地再開発事業が行われる場合に特例の適用ができることとされている。 (イ) 特定非常災害の場合の確定優良住宅地等予定地のための譲渡の予定期間の延長の特例 また、特定非常災害の場合の確定優良住宅地等予定地のための譲渡の予定期間の延長の特例にも改正がなされた。 この措置は、災害により、予定期間内に優良住宅地等のための譲渡に該当することが困難となった場合にその期限の延長を行うものであり、特定非常災害の指定により「被害者の権利利益の保全等を図るため、行政上の権利利益に係る満了日の延長」が行われることと同様に被災者の権利利益に係る期限の延長を行うものである。 すなわち、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律の枠組みである「特定非常災害に基因するやむを得ない事情」により、予定期間内に優良住宅地等のための譲渡に該当することが困難となった場合を期限延長の対象とすることとされたのである。 具体的には、確定優良住宅地等予定地のための譲渡に該当するものとして特例の適用を受けた土地等の譲渡につき、特定非常災害に基因するやむを得ない事情により、予定期間内における譲渡が困難となった一定の場合において、その予定期間の初日からその予定期間の末日後2年以内の一定の日までの期間内にその譲渡が優良住宅地等のための譲渡に該当することが確実であると認められることについて証明がされたときは、「予定期間の末日」を「予定期間の末日後2年以内の日であって税務署長が承認の際に認定した日の属する年の12月31日」まで延長することができることとされた(措法31の2⑦、措令20の2)。 なお、ここにいう「特定非常災害」とは、著しく異常かつ激甚な非常災害であって、その非常災害の被害者の行政上の権利利益の保全等を図ること等が特に必要と認められるものが発生した場合に指定されるものをいう(特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律2①)。 (ウ) 住宅ローン税額控除の継続適用及び重複適用 さらに、租税特別措置法41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》に規定する住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)に関して、災害により居住の用に供することができなくなった場合の同控除の継続適用及び重複適用に係る改正がなされた。これは、非常にインパクトのあるものであるといえよう。 住宅ローン税額控除は、自己の居住用家屋の取得を促進する観点から措置されている租税特別措置であり、家屋を住宅の新築取得等の日から6月以内に自己の居住の用に供し、居住日以後その年の年末(その者が死亡した日の属する年又は家屋が災害により居住の用に供することができなくなった日の属する年にあっては、これらの日)まで引き続き居住の用に供している年に限り、その適用を受けることができることとされていた。 つまり、住宅ローン税額控除の適用を受けていた者が、災害により、その家屋を居住の用に供することができなくなった場合には、その居住の用に供することができなくなった日の属する年においては住宅ローン税額控除の適用を受けることができるが、その翌年以降は、住宅ローン税額控除の適用を受けることができないとされていたのである。 そこで、災害関連規定の常設化に当たり、災害の規模にかかわらず、一般的な災害により家屋を居住の用に供することができなくなった場合において、災害がなければその控除の適用を受けることができた期間については、継続して住宅ローン税額控除の適用を受けることができることとされたのである。 災害により家屋を居住の用に供することができなくなったような場合は、本人の責めに帰するところではない。 そうした場合にまで、「居住の用に供していない」ことをもって、住宅ローン税額控除の適用を認めないとすることは、要件として厳格すぎると考えられることを踏まえ、住宅ローン税額控除の残存期間について控除の適用を受けることができるという期待権に配慮する観点から、措置されたと説明されている(田名後正範=篠田和哉「租税特別措置法(所得税関係の住宅・土地税制関係)の改正」藤山智博ほか『改正税法のすべて〔平成29年版〕』188頁(大蔵財務協会2017))。 すなわち、従前家屋(住宅の新築取得等をして引き続きその個人の居住の用に供していた家屋をいう)が災害により居住の用に供することができなくなった場合において、居住年以後の控除期間の各年のうち、その居住の用に供することができなくなった日の属する年以後の各年につき、適用年とみなして、住宅ローン税額控除の適用を受けることができることとされたのである(措法41)。 (3) 小括 地震大国であり、また、毎年のように台風の被害等を受ける我が国において、これまで恒久的な災害対策税制が十分に整備されていなかったことの方がむしろ不思議であったといってもよかろう。 日税連の建議を基礎とした上記改正によって、住宅ローン税額控除をはじめ、災害に関連する多くの税制上の取扱いが恒久化されることになったのは、大きな前進であったといえよう。 (続く)

#No. 248(掲載号)
#酒井 克彦
2017/12/14

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第17回】

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第17回】   公認会計士 佐藤 信祐   (《第2章》 平成13年度税制改正) (6) 資本の部の金額の取扱い ① 概要 平成13年度税制改正では、資本積立金額、利益積立金額の抜本的な改正がなされている。具体的には、平成13年度税制改正前は、商法等の規定による金額をそのまま法人税法上も追認していたのに対し、平成13年度税制改正により、法人税法独自の計算を行うことになった。これは、【第5回】、【第6回】で解説したように、法人税法の観点から、資本・利益区分の原則を突き詰めたからであると考えられる。 なお、平成13年当時では、法人税法2条17号、18号に規定されていたが、その後の税制改正により、資本金の額と資本積立金額を合計して「資本金等の額」と表記の変更を行ったうえで、法人税法施行令8条にて資本金等の額、同令9条にて利益積立金額の計算のほとんどが委任されることになる。 なお、平成13年度税制改正により、法人税法2条17号柱書では、 と規定され、同条18号柱書では、 と規定された。 そして、『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』52頁(日本租税研究協会、平成13年)では、 と解説されている。つまり、100から150を「減算」した場合には、△50になる。さらに、100から△150を減算した場合には、250になる。 このような資本積立金額、利益積立金額の計算の明確化により、債務超過会社の組織再編や平成22年度税制改正前の清算所得課税にそれぞれ影響を与えるようになった。 ② 合併 (ⅰ) 資本積立金額 平成13年度税制改正により、法人税法2条17号ハでは、合併を行った場合における資本積立金額の増加額について、以下のように規定された。 分かりにくいため、適格合併の場合と非適格合併の場合とに分けてみよう。 まず、適格合併の場合において、「次号ニに掲げる金額」とされているのは、後述するように、「合併法人が適格合併により被合併法人から引継ぎを受ける利益積立金額」を意味する。そのため、適格合併の場合には、移転資産の帳簿価額から①移転負債の帳簿価額、②被合併法人の利益積立金額、③合併により増加した資本の金額を減算した金額により、資本積立金額の増加額を計算することになる。すなわち、被合併法人の資本の金額と資本積立金額を合計した金額が、合併により増加する資本の金額と資本積立金額の合計金額となる。 なお、厳密には、③については、「資本の金額その他の政令で定める金額」も減算する必要があり、具体的には、法人税法施行令8条の2第2項において、(ⅰ)合併により増加した資本の金額、(ⅱ)合併により交付した自己株式の帳簿価額、(ⅲ)合併により交付した金銭の額と金銭及び合併法人株式以外の資産の価額と規定されている。このうち、(ⅰ)(ⅱ)は説明するまでもないと思われるが、(ⅲ)が規定されているということは、配当の代り金として交付したもの以外の合併交付金については、資本積立金額の減算要因になるという点は重要である。利益積立金額の計算を正確に行うためには、資本積立金額の調整項目とせざるを得なかったということが言える。 次に、非適格合併の場合には、合併により移転を受けた資産及び負債の純資産価額を「当該合併により交付した当該法人の株式その他の政令で定める資産の当該合併の時の価額をいう。」と読み替えているという点に留意が必要である。すなわち、交付した合併法人株式の時価を基礎に、合併法人において増加する資本金等の額を計算する形になっている。 また、やや読みにくい規定となっているが、法人税法施行令8条の2第1項により「政令で定める資産」には合併交付金が含まれ、同条第2項により「政令で定める金額」にも合併交付金が含まれることから、結局は、合併法人株式の時価がそのまま合併法人において増加する資本の金額及び資本積立金額の増加額となる。 この考え方が、平成13年当初は、多くの実務家にとって違和感のあるものとなっており、非適格合併の税務処理を分かりにくくさせた要因の1つであったと思われる。しかし、平成18年度税制改正により、資産調整勘定(税務上ののれん)の考え方が整理されてくると、増加する純資産の部の考え方が、同時期に公表された企業結合に関する会計基準と同じ考え方となっており、本稿校了段階では、多くの実務家にとって納得感のある条文になったように思われる。 (ⅱ) 利益積立金額 平成13年度税制改正直後の法人税法2条18号ニでは、適格合併を行った場合における利益積立金額の増加額について、 と規定し、同法施行令9条第1項では、 と規定されている。すなわち、被合併法人の利益積立金額をそのまま引き継ぐとしながらも、配当見合いの合併交付金を交付した場合には、その部分の金額を控除することとされている。 これに対し、非適格合併を行った場合における利益積立金額の増加額については、何ら規定されていないことから、非適格合併により利益積立金額は増加しないことになる。 このように、非適格合併を行った場合には、資本の金額又は資本積立金額の増加額として処理し、適格合併を行った場合には、被合併法人の利益積立金額をそのまま引き継ぎ、その結果、被合併法人の資本の金額及び資本積立金額の合計金額が合併法人の資本の金額及び資本積立金額の合計金額として処理されることになったため、資本金の部の取扱いが明確になったということが言える。 *   *   * 次回では、分割型分割を行った場合における資本金の部の計算について解説を行う予定である。 (了)

#No. 248(掲載号)
#佐藤 信祐
2017/12/14

社葬をめぐる税務上の留意点【前編】

  社葬をめぐる税務上の留意点 【前編】   太陽グラントソントン税理士法人 マネジャー 税理士 川瀬 裕太   Ⅰ はじめに 中小企業などの創業者であり、代表取締役を長年務めていた方が亡くなったときは、その会社において「社葬」を執り行うことがある。 代表取締役の死亡によって、事業が健全に継承されるかということは、社内の方だけでなく、取引先などの社外の方にとっても関心が高く、社葬を行う態勢がきちんとしているかどうかで大きく評価が分かれるケースもある。 このように、社葬は会社にとっても重要なものであるが、本稿では税務上どういったところに留意すべきかについて確認していきたい。   Ⅱ 社葬費用の法人税法上の取扱い 1 法人税法上の取扱い 社葬費用について、法人税法上は、次のように取り扱うこととされている。 法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする(法基通9-7-19)。 当該通達の適用に当たっては、①社葬を行うことが社会通念上相当であるかどうか、及び、②負担した金額が社葬のために通常要すると認められる金額であるかどうか、ということがポイントとなる。 ① 社葬を行うことが社会通念上相当であるかどうか 「社葬を行うことが社会通念上相当であるかどうか」は、死亡した役員等の死亡の事情、生前における法人に対する貢献度合等を総合勘案して判断することになる。 会社の創業者社長が亡くなった場合であれば、職務上の地位、会社への貢献度合を考慮すれば、社会通念上相当と認められる場合に該当すると考えられる。中小企業では、親族を役員としているケースもあるが、名前だけの役員の場合には、会社への貢献度合という点で社葬を行う十分な理由がないこともあるため、留意が必要である。 一方で、一般社員が業務外の事由で亡くなった場合であれば、職務上の地位や会社への貢献度合という点から、社葬までは行わないのが一般的である。ただし、建築現場での作業中の事故、海外出張の際の飛行機事故など業務上の死亡の場合には、職務上の地位や会社への貢献度合に関わらず、社葬を行うのに十分な理由があることから、社会通念上相当と認められる場合に該当する余地があると考えられる。 ② 負担した金額が社葬のために通常要すると認められる金額であるかどうか 「社葬のために通常要すると認められる費用」とは、通常は、会葬のための費用が該当し、密葬の費用、墓石、仏壇、位牌等の費用、院号を受けるための費用など個人が負担すべきであると認められる費用は、これには該当しない。 社葬のために通常要すると認められるものとしては、下記のような費用が該当すると考えられる。 2 合同葬 個人と会社が合同で行うものや、関連会社が共同で社葬を行うような「合同葬」という葬儀の形式がある。 この場合に、税務上留意すべき点は、費用の分担である。 個人と会社が合同で行った場合には、親族などに係る分を区分して計算根拠を作成しておくことが必要と思われる。関連会社が共同で社葬を行う場合には、単に関連会社であるという理由だけで費用の分担がなされるときは、本来負担しなければならない会社に対する寄付金とみなされるケースもあるため、各関連会社にとって社葬を行うだけの十分な理由があるかどうかを検討する必要がある。 3 代表的な判決・裁決 上記で述べた事項に関する代表的な判決・裁決の事例を紹介しよう。 (【後編】(12/21公開)に続く。)

#No. 248(掲載号)
#川瀬 裕太
2017/12/14

相続空き家の特例 [一問一答] 【第24回】「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定⑥(売買契約金額以外の別名目で金銭の授受が行われている場合)」-譲渡価額要件の判定-

相続空き家の特例 [一問一答] 【第24回】 「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定⑥ (売買契約金額以外の別名目で金銭の授受が行われている場合)」 -譲渡価額要件の判定-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、母親が相続開始の日まで単独で居住の用に供していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築)及びその敷地(以下「A家屋等」という)を、昨年5月にその相続により取得し、その家屋の耐震リフォームを行い、相続後は空き家の状態のままで、同年9月にA家屋等を1億300万円で売却しました。 なお、Xは、売買金額9,800万円、移転協力金300万円、引越代金200万円として売却代金を受領しました。 この場合、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用を受けることができるでしょうか。 A その譲渡した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡の対価たる金額が1億円を超えていることから、「相続空き家の特例」の適用を受けることができません。 ●○●○解説○●○● 「相続空き家の特例」は、被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡の対価の額が1億円以下であることが、その適用要件の1つとされています(措法35③)。 この譲渡の対価の額とは、例えば譲渡協力金、移転料等のような名義のいかんを問わず、その実質において、その譲渡した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡の対価たる金額をいうとされています(措通35-19(譲渡の対価の額))。 したがって、本事例の場合、移転協力金も引越代金も実質的に被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡の対価たる金額であることから、その実質において1億円を超えているため、「相続空き家の特例」の適用を受けることができません。 なお、譲渡の対価の額が1億円を超えるところ、同特例の適用を受けるために1億円以下の架空の契約書を作成するなど真実の取引を仮装した場合には、重加算税(通則法68)の対象となります。 (了)

#No. 248(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/12/14

居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第10問:2017年12月改訂】「住民票の住所と実際の住所が異なる場合」-居住用財産の範囲-

居住用財産の譲渡所得 3,000万円特別控除 [一問一答] 【第10問:2017年12月改訂】 「住民票の住所と実際の住所が異なる場合」 -居住用財産の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは7年前に、G市にある中古住宅Bを購入し、それ以来Bに住んでいましたが、今回このBを売却して、H市の新居Cへ転居しました。 Xは、Bを購入する3年ほど前から同じG市の借家Aで生活をしており、7年前に同市内のBに転居したのですが、住民票を異動せずにそのままにしておいたので、今回のCへの転居にあたっては、従前の借家A時代の住民票上の住所から直接C(H市)への転居という形をとりました。 このため、譲渡契約締結日の前日における住民票に記載されていた住所と売却した居住用家屋の住所と異なります。 この場合、「3,000万円特別控除(措法35)」の特例を受けることができるでしょうか? A 「3,000万円特別控除」の特例の適用を受けることができる。 〈解説〉 「3,000万円特別控除(措法35)」は、居住用財産を譲渡した日の属する年分の確定申告書の「特例適用条文」欄に「措法35条」と記載するとともに、次に掲げる書類の添付がある場合に限って適用される(措法35⑪、措規18の2)。 「マイナンバー制度(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)」が導入されたことにより、平成27年度税制改正において、確定申告書に住民票の写し等を添付することとされていた一定の特例について納税者の利便性向上を図るため、確定申告を行う者が住宅等を居住の用に供していることを確認するための住民票の写しの添付は要しないこととされた。 ただし、譲渡契約締結日の前日においてその譲渡をした者の住民票に記載されていた住所とその譲渡資産の所在地が異なる場合その他これに類する場合には、次に掲げる書類を確定申告書に添付する必要がある。 なお、上記の(3)の書類としては、電気・ガス・水道等の公共料金の領収書、年賀状・手紙等の郵便物、日刊新聞・定期購読誌等の領収書、通勤・通学定期や勤務先等への自宅住所届出書類の写しなどが考えらる。 (了)

#No. 248(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/12/14

〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第53回】「送り状」

〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第53回】 「送り状」   税理士・行政書士・AFP 山端 美德   当社は運送業者です。次の文書は貨物の運送に際して作成する文書ですが、印紙税の取扱いはどうなりますか。 1枚目(荷送人用) 2枚目(運送会社控え) 3枚目(荷受人用)《運送品とともに送付》   1枚目(荷送人用)については、当社(運送会社)が荷送人に対して交付する文書で、荷受人、荷送人及び運送保険についての記載があり、運送契約の成立の事実を証明する目的で作成されるものであることから、第1号の4文書(運送に関する契約書)に該当する。 2枚目(運送人控え)については、運送人の事務整理等に使用するための控えであり、課税文書に該当しない。 3枚目(荷受人用)については、運送品とともに送付されるものであり、運送状に該当し、課税文書には該当しない。 [検討1] 1枚目(荷送人用)が課税文書に該当するかどうかの考え方 上記のことから、運送の引受けの証として作成されるものなのか、単なる荷物の受領なのかについては、文書全体を検討したところで判断しなければならない。 [検討2] 2枚目(運送人控え)及び3枚目(荷受人用)についての考え方 3枚複写の送り状の2枚目(運送人用控え)については、運送人の控え又は事務整理に使用するものと認められるため、課税文書には該当しない。 また、荷物とともに荷受人に送付される3枚目(荷受人用)については運送状に該当し、課税文書には該当しない。   ▷まとめ 法別表第一第1号の「定義」欄に、運送に関する契約書は、乗車券、乗船券、航空券又は運送状を含まないとされている。したがって、事例の送り状については、第1号の4文書に該当しないのではないかと考えるかもしれないが、送り状等の名称であっても、運送業者が署名し、荷受人に交付するものは、運送引受けの証として交付するものであり、第1号の4文書として課税文書に該当する。 実務において、顧客から荷物の発送等を受ける場合に作成する書式は、作成者によって様々である。後日、不納付の指摘を受けないためにも、作成時に書式を税務署に持参し、判断を受けることが得策である。   (了)

#No. 248(掲載号)
#山端 美德
2017/12/14

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第31回】「大島訴訟/サラリーマン税金訴訟」~最判昭和60年3月27日(民集39巻2号247頁)~

さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第31回】 「大島訴訟/サラリーマン税金訴訟」 ~最判昭和60年3月27日(民集39巻2号247頁)~   弁護士 菊田 雅裕   (了)

#No. 248(掲載号)
#菊田 雅裕
2017/12/14

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第65回】藤倉化成株式会社「特別調査委員会調査報告書(平成29年11月10日付)」

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第65回】 藤倉化成株式会社 「特別調査委員会調査報告書(平成29年11月10日付)」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   【調査委員会の概要】   【藤倉化成株式会社の概要】 藤倉化成株式会社(以下「藤倉化成」と略称する)は、昭和13(1938)年設立、塗料、樹脂材料等の製造・販売を主要事業とする。売上高62,780百万円、経常利益3,348百万円、従業員数1,245名(数字はいずれも2017年3月期)。本店所在地は東京都板橋区。東京証券取引所1部上場。 架空取引が発覚した藤倉化成の連結子会社である藤光樹脂株式会社(以下「藤光樹脂」と略称する)は、昭和39(1964)年設立。1973年9月、藤倉化成が筆頭株主となった。合成樹脂原料・加工品の販売を主たる事業とする。売上高23,049百万円(2016年3月期)。従業員49名。資本金4,000万円のうち、藤倉化成の出資比率は51%で、他に創業者で代表取締役会長の小川正雄氏が30.5%の株式を有している。本社所在地は東京都中央区。代表取締役社長の山増裕志氏は藤倉化成の出身であり、また、特別調査委員会委員長の下田善三氏が監査役を務めている。   【藤光樹脂株式会社とATT株式会社の架空取引に関する調査報告書の概要】 1 調査に至る経緯 6月22日、ATT株式会社(以下「ATT」と略称する)社長柴野恒雄氏から、ATTとの取引が循環取引であった旨告白する文書がメールで届いたことが、翌23日に、藤光樹脂から藤倉化成に伝達され、架空取引で多額の被害が発生した蓋然性が強いことから、藤倉化成は社内に特別調査委員会を設置し、調査を開始した。 藤光樹脂とATTとの取引関係は2008年に始まり、2009年3月には関係強化のため藤光樹脂がATTに対して1,500万円を出資することとなり、現時点での出資比率は15%である。2011年頃、取引はいったん消滅し、藤光樹脂はATTに対する出資金の減損処理を行う。取引が再開したのは2013年で、「ATTからフィルムを仕入れ、Y社・Z社に販売する取引」で、「2016年11月ころまで継続し、取引自体は順調に決済された」ということである。 その後、2016年12月になって、ATT柴野社長から、次のような取引を持ちかけられる。 こうした取引の総額がどの程度の規模であったのかは、報告書では触れられていない。一方、調査報告書作成時点における藤光樹脂の損害額は約4億3,000万円に達した。 2 資金循環取引の概要 ATTとの取引について、概要をまとめると以下の図のようになる。なお、後述するが、KISCO株式会社(以下、「KISCO」と略称する)特別調査委員会報告書では、ATTは「A社」として記述され、また、商流もこれとは異なる形で説明がされている。 (※) 東京商工リサーチの記事を参考に筆者作成 3 架空取引であることを見抜けなかった原因 上記のような典型的な架空循環取引に藤光樹脂経営陣が気づかなかったことについて、特別調査委員会は、以下の不備を指摘している。 株主権の不行使については、ATTは一度も株主総会の招集通知を藤光樹脂に送付していないし、計算書類等も提供していないにもかかわらず、藤光樹脂からは改善の要望をした形跡がないということである。 また、藤光樹脂が置かれていた状況として、2017年3月期には、前期まであった大型商談が大幅縮小又は終了し、売上の大幅な減少が想定されており、2016年4月から「新たな取引の拡大が至上命題」となっていたことが説明されており、こうした事情も、「疑問点を抱かず、慎重なる調査を怠ることにつながっていた」と指摘している。 4 原因分析と改善策 調査委員会による原因分析と改善策の提言は、藤倉化成に対するものと藤光樹脂に対するものに大別され、それぞれ、以下のとおりである。 (1) 藤倉化成 調査委員会は、藤倉化成において、藤光樹脂による貸倒損失の発生という事態を防止できなかった原因として、取締役会開催が年4回と少ないうえ、開催が形式的で、情報共有や内部統制が十分に機能していなかったことを挙げ、以下のように改善策を提言している。 (2) 藤光樹脂 一方、調査委員会は、藤光樹脂について、原因分析として、「体質的に、全体構造を慎重に検討する姿勢が欠けている」「一度取引を開始すると問題が表面化するまで、疑問な事情が全社的に情報共有されず、管理部門など他部門も含めた検討が十分に行われる体勢となっていない」と批判したうえで、以下のように改善策を提言している。   【調査報告書の特徴】 一部情報誌で、2016年4月頃に報じられたスマートフォン用フィルムの循環取引疑惑であったが、資金繰りに窮したATT柴野社長による自白メールがきっかけとなって発覚することとなった。真っ先に被害の発生と調査委員会の設置を公表したのは、素材商社大手のKISCOであり、6月29日のことであった(ただし、ATTという社名は使われていない)。その後、8月に入り、ATTは東京地方裁判所に対し自己破産の申立てを行うこととなる。 今回取り上げた藤倉化成による調査報告書は、ATTとの取引を実名で公表している点で、先行して公表されたKISCO株式会社の調査報告書とは大きく異なっており、また、両報告書を比較すると、取引関係の記述に相違があることがわかる。 1 ATTとの取引により損失を被ったとみられるKISCO株式会社の報告書 藤倉化成による調査報告書に先行して、8月14日には、KISCO特別調査委員会による報告書が公表されている 。ただし、同報告書では、ATT株式会社と思われる取引先名称が「A社」となっており、必ずしも、ATT株式会社と特定しているわけではない。また、同報告書で「B社」とされている会社は、ATTに対する出資関係にあるという記述などから藤光樹脂であることが推察できるが、こちらも、必ずしも特定されているわけではない。 仮に「B社」が藤光樹脂であったとすると、「B社」はKISCOの仕入先となってKISCOから代金を受け取っていることになるため、今後、架空取引で損失を被ったKISCOから仕入代金の返還を求められる可能性が高いはずなのだが、藤倉化成による調査報告書にはKISCOと見られる相手先との取引が記述されておらず、疑問は解消されない。 なお、KISCO報告書によれば、ATTをめぐる架空売上計上額は累計で650億円に達し、そのうち未回収の売掛金(被害金額)は約70億円、また、平成29年3月期におけるKISCOの全売上高に占める割合は39%を超えていたことがわかっている。 2 監査役である親会社常務取締役が特別調査委員会委員長を務めることの違和感 特別調査委員会は、委員長に藤倉化成常務取締役管理本部長が就任し、委員には弁護士である社外取締役も加わっているものの、藤倉化成の幹部社員で構成されている。報告書は全13ページという簡潔なもので、委員会の人選については全く触れられていない。 委員長の下田常務取締役は、藤光樹脂の監査役を兼務しており、藤光樹脂が巻き込まれたような不自然な取引については詳細を調査・報告させ、場合によっては、取引を中止させるべき立場にあったと言えよう。ところが、調査報告書では、架空取引に関与した藤光樹脂関係者はいないと結論づけているが、藤光樹脂の取締役会がどのように運営されていたのか、下田氏が藤光樹脂監査役として本件取引についてどのような報告を受けていたのか、などの記述は見当たらない。 もちろん、関係者の責任追及が調査の目的ではないことから、藤光樹脂経営者の責任について言及がないことをもって調査報告内容が不十分であると決めつけることはできないが、身内による調査という印象は否めない。 3 取引信用保険 調査報告書11ページには、藤光樹脂が本件取引の相手先とされていたX社の売掛金について、4億円を限度とする取引信用保険をかけていたものの、X社への売上が架空のものであることから、保険会社から、保険金の支払いを拒否されているとの記述がある。 相手の与信に不透明なところがあり、リスクヘッジのために取引信用保険を付保するというのは、藤光樹脂のような商社では広く行われているところであろうが、架空売上の計上に伴う売掛金未回収には保険は適用できないという極めて当然の事実は、「多少のリスクは保険が適用されるから大丈夫」という甘い与信判断は許されないということである。 4 中国を舞台にした資金循環取引 本連載でも取り上げた昭光通商株式会社の連結子会社による事件 、KDDI株式会社香港現地法人による事件 、2015年4月における江守グループホールディングス株式会社の突然の破綻など、中国企業を相手とする商談で架空循環取引が判明する事件が後を絶たない。 KISCO調査報告書では、ATTが守秘義務条項を盾に取引先(最終消費者)の開示に応じなかったこと、取引の相手とされた中国企業各社が国営企業であるため貸し倒れリスクが低いと説明されていたことなどが明らかになっている。しかし、日本企業と違って、こうした情報の裏付けをとろうにも、なかなか上手くいかないのが中国企業であり、売上拡大を狙うあまり、確認が少しでも疎かになってしまうと、架空循環取引に巻き込まれかねないリスクがあるということを、あらためて認識しておきたい。 *  *  * なお、上述したとおりATTをめぐる本件の全容を把握するには、本稿でもたびたび言及したKISCO調査報告書の検証を行う必要があると思われるため、次週(2017/12/21)の本誌上において解説を行う予定である。 (了)

#No. 248(掲載号)
#米澤 勝
2017/12/14

連結会計を学ぶ 【第8回】「みなし取得日」

連結会計を学ぶ 【第8回】 「みなし取得日」   公認会計士 阿部 光成     Ⅰ はじめに 連結財務諸表の作成は支配獲得日から行うことになるが、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)では、支配獲得日等に関して、みなし取得日の規定を設けている(連結会計基準注解5)。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ みなし取得日に関する規定 1 基本的な考え方 連結貸借対照表の作成にあたっては、支配獲得日において、子会社の資産及び負債のすべてを支配獲得日の時価により評価する方法(全面時価評価法)により評価し、親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本は、相殺消去すると規定されている(連結会計基準20項、23項。投資と資本の相殺消去)。 株式の取得日(支配獲得日)が子会社となる会社の決算日と同一であれば、株式の取得日(支配獲得日)の当該子会社の財務諸表を利用して、連結財務諸表を作成すればよい。 しかしながら、実際には、子会社となる会社の決算日ではなく、当該会社の事業年度の途中で、株式を取得することがある。 このような場合に、当該会社の事業年度の途中で、財務諸表を作成することとすると、大変な事務負担を要することから、連結会計基準は、次のようにみなし取得日を規定している(連結会計基準注解5)。 みなし取得日については、かつて、「連結財務諸表原則」の注解9において、次のように規定されていた(下線筆者)。 当該規定は、平成20年12月26日の連結会計基準の設定に際して、「いずれか近い決算日」から「いずれかの決算日」に改正されている。 この趣旨は、平成20年6月30日に意見募集された公開草案に対するコメントへの対応において、「前後いずれか近い決算日」とすると、四半期決算では、みなし取得日が実際の支配獲得日等よりも後ろの決算日になることがあり、在外子会社の決算書の入手が間に合わないなどの実務上の問題があることに対応したものであると述べられている(「主なコメントの概要とそれらに対する対応」の「36)連結会計基準案のみなし取得日」)。 2 資本連結手続に関する実務指針 「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(会計制度委員会報告第7号。以下「資本連結実務指針」という)では、連結会計基準を受けて、次のように、より詳細に規定している(資本連結実務指針7項)。 3 連結対象となる子会社の財務諸表の範囲 みなし取得日は、連結対象となる子会社の財務諸表の範囲と密接に関連している。 資本連結実務指針は、連結対象となる子会社の財務諸表の範囲について、いずれの時点において支配の獲得又は喪失が生じたとみなすかにより異なるとし、次のように規定している(資本連結実務指針7項)。 4 のれんの償却開始時期 一般に、ある会社の株式を取得(支配の獲得)して子会社とする場合、のれんが認識されることとなる。 連結会計基準では、のれんを償却することとしているので(連結会計基準24項、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)32項)、連結財務諸表に取り込まれる子会社の損益計算書との対応が論点になる。 これについて、資本連結実務指針は、のれんの償却開始時期は、原則として、支配獲得日からであり、通常、それは子会社の損益計算書が連結される期間と一致すると規定している(資本連結実務指針31-2項、62-2項)。 みなし取得日との関連については、みなし取得日(資本連結実務指針7項)の適用により、のれんが期首に発生したとみなされる場合には、償却開始日は当期首であり、それが期末に発生したとみなされる場合には、翌期首となると規定している(資本連結実務指針31-2項)。 5 みなし取得日と決算日の3ヶ月のずれ 連結会計基準及び資本連結実務指針では、子会社の決算日と連結決算日とが異なり、その差異が3ヶ月を超えない場合には、子会社の決算日現在の財務諸表に基づき連結決算を行うことができるとされており(資本連結実務指針6項)、また、前述のように、みなし取得日(資本連結実務指針7項)についても認められている。 このため、両方の規定を適用した場合、支配獲得日を開始日とする期間が、子会社の損益計算書が連結される期間とならない場合がある。この場合には、のれんの償却開始時期は、子会社の損益計算書が連結される期間に合わせて決定することになるものと考えられている(資本連結実務指針62-2項)。 例えば、12月決算の子会社を5月末に取得し、6月末をみなし取得日としたときは、3月決算の親会社の第1四半期末の連結上、子会社の6月末の貸借対照表のみを連結し、第2四半期末の連結上も、子会社の6月末の貸借対照表のみを連結し、第3四半期の連結から、子会社の7月から9月の損益計算書を連結することになる。この場合、第3四半期の連結からのれんの償却を行うことになる(資本連結実務指針62-2項)。 (了)

#No. 248(掲載号)
#阿部 光成
2017/12/14
#