検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10495 件 / 6521 ~ 6530 件目を表示

《速報解説》 経産省、法人税の申告期限延長特例の適用について留意点を公表~定款等における「事業年度終了の日から3ヶ月以内に定時株主総会が招集されない常況」を例示~

《速報解説》 経産省、法人税の申告期限延長特例の適用について留意点を公表 ~定款等における「事業年度終了の日から3ヶ月以内に 定時株主総会が招集されない常況」を例示~   公認会計士・税理士 石川 理一   平成29年4月18日に経済産業省(経済産業政策局企業会計室)は「法人税の申告期限延長の特例の適用を受けるに当たっての留意点」(以下、留意点という)を公表した。 本誌掲載の拙稿のとおり、平成29年度税制改正において、企業が決算日から3ヶ月を越えて定時総会を招集する場合、総会後に法人税の確定申告を行うことを可能とする措置が講じられた。 留意点は、定時総会における議決権行使基準日を決算日とは異なる日に設定し、定時総会の開催日を変更することを検討している企業が法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける際の参考となるよう、改正後の法人税法第75条の2第1項第1号(以下、本特例という)の解釈等について、整理・公表されたものである。 本特例の適用を受けるためには、会計監査人設置法人であり、かつ、定款、寄付行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下、定款等という)の定めにより事業年度終了の日から3ヶ月以内に定時株主総会が招集されない常況にあることが必要である。 留意点では、決算日が3月末日である法人を前提に、定款等における定時総会の招集時期の定め方について、以下の4つのケースを挙げて説明している。 なお、会社法上、定時株主総会は議決権行使基準日から3ヶ月以内に開催する必要がある(会社法124条第2項)。 ケースA 定時株主総会の招集時期を「特定の月」と定めている場合 ケースB 定時株主総会の招集時期を「2ヶ月以上の期間」により定めている場合 ケースBではさらに以下の2つにケース分けしている。 ケースB-a 定時株主総会の招集時期を「2ヶ月以上の特定の期間」と定めている場合 ケースB-b 議決権行使基準日を定めたうえで、「議決権行使基準日からの一定の期間」に定時株主総会を招集するように定めている場合 ケースC 議決権行使基準日を定めているが、定時株主総会の招集時期の定めがない場合 ケースD 定時株主総会の招集時期を「議決権行使基準日からの期間」により定めているが、議決権行使基準日の定めがない場合 延長月数は、法人の申請に基づいて、税務署長が指定する。このため、「申告期限の延長の特例の申請書」(以下、申請書という)に、事業年度終了の日の翌日から3ヶ月以内に定時総会が招集されない常況にあると税務署長が確認できる資料を添付する必要がある。 上記4つのケースについて、①各事業年度終了の日の翌日から3ヶ月以内に定時株主総会が招集されない常況にあると認められるか否か、及び、②申請書の添付資料をまとめると以下のとおりである。 上表における「定時株主総会の招集月が確認できる資料」とは、以下の資料をいう。 申請書は、本特例の適用を受けようとする事業年度終了の日まで(連結事業年度について申請する場合には、連結事業年度終了の日の翌日から45日以内)に納税地の所轄税務署長に提出する必要があることに注意が必要である。なお、本稿公開時点において、本特例に対応した申請書の様式は、国税庁ホームページではまだ公表されていない。 (了)

#No. 216(掲載号)
#石川 理一
2017/05/01

プロフェッションジャーナル No.216が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年4月27日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.216を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/04/27

山本守之の法人税“一刀両断” 【第34回】「トランプ政権の税制を考える」

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第34回】 「トランプ政権の税制を考える」   税理士 山本 守之   平成28年度の税制改正では、日本は先進国の法人税率を配慮して次のように法人税実効税率を引き下げました。 (出所)財務省主税局資料(平成27年12月公表) この税率引き下げの理由について、「平成28年度与党税制改正大綱」では次のように説明しています。 この場合の実効税率引き下げの財源は次のようなものです。 (出所)財務省主税局資料(平成27年12月公表) アメリカのトランプ政権では、国と地方の税率の合計が40.75%(カリフォルニア州)である法人税について、国税にあたる連邦法人税率を35%から15%~20%に段階的に引き下げる方針で、英国も2020年度に20%から17%に引き下げる予定です。主要国の法人税率は次の通りです。 こうなると日本は、法人税率の手当ては終わったとしているわけにはいきません。個人所得税とのバランスも考えなければならないでしょう。 各国が法人税率を思い切って下げられるのは、法人税率が高いと企業は安い国に拠点を移し、企業の空洞化を招くからです。個人は法人のように気軽に納税地を移すわけにはいきません。そこで、法人と個人の税率を調整することが必要となります。 日本にも影響の強い米国の税制改革の共和党案を今年の夏に議会を通過させる予定のようです。 この法案で興味があるのは「税率」と「法人税の国境調整」です。 まず、「税率」は現在の国税(法人税)35%を共和党案では20%に引き下げることにしていますが、トランプ大統領の選挙公約は15%で、いずれにしても大幅な引き下げです。日本の法人税率も影響を受けそうです。「日本の法人税率の国際調整は終わった」と呑気に控えてはいられません。 2月28日にトランプ大統領は初の議会演説で「歴史的な税制改革を進めていく」としましたが、法人税率の具体案には踏み込まなかったようです。しかし、夏までには15%~20%(改正前税率35%)の法人税の引き下げと「法人税の国境調整」が行われるのは確実です。 大きな問題は「法人税の国境調整」です。最大の焦点は、輸出には課税を免除する一方で、輸入は20%課税するというものです。 これがそのまま実施されると、日本は自動車の対米輸出が半減して国内総生産(GDP)も0.5%落ち込むという試算があります。こうなると法人税率を舞台にした「貿易戦争」に発展する可能性が強いです。 実は、法人税の国境調整は輸出補助金を禁ずる世界貿易(WTO)ルールに抵触することになります。しかし、トランプ大統領はWTOのルールに従わない姿勢を示しています。 戦後の自由貿易を主導してきた米国が国際ルールを無視すれば、世界的な貿易摩擦を招きかねません。 しかし、トランプ政権が議会に提出した通商政策の年次報告では、「米国に不利になるWTOの判断が出ても拘束力があるわけでもない」とし、さらに「トランプ政権は通商政策での米国の主権を積極的に守る」として「米国第一」を鮮明にし、それに反する場合は世界共通のルールでも無視するという考え方を打ち出しています。 「法人税の国境調整」によって税収が10年で1.2兆ドル増加するだけでなく、アメリカの巨額の貿易赤字を一気に縮小させますから、米国にとっては魅力的です。 上記の国境調整は小売業にとっては痛手であり、次のような反対意見があります。 食品やガソリン、衣服など家庭の必需品の価格を20%以上押し上げる。 税制改革に賛成だが、国境税調整は有害である。 国境税調整は実施した例がなく、流通等の雇用を減らす。 これに対して、製造業などは国境税調整賛成で、次のような意見があります。 米国企業は低税率の恩恵を受けた他国企業の後じんを拝してきた。 米国での仕事や製造、仕事に投資を促す仕組みをつくり、米経済を再調整する。 国境調整などの共和党による税制案は170万人の雇用を生み、国内総生産や資金を引き上げる。 いずれにしても、新たな税制となれば、賛成派と反対派が生じることは必然です。これを恐れて税制を選挙対策と考えると日本のようになり「なにが公平か」「なにが正義か」を考える視点を失ってしまいます。 ただ、トランプ氏のように「アメリカンファースト」という考え方だけで改革を推進するのも考えものです。事前に国民の意見を聞き、問題となる点の対策を考えることも必要でしょう。 (了)

#No. 216(掲載号)
#山本 守之
2017/04/27

居住用超高層建築物(タワーマンション)に係る固定資産税等の課税の見直し

居住用超高層建築物(タワーマンション)に係る 固定資産税等の課税の見直し   税理士法人トゥモローズ 代表社員 税理士 角田 壮平   1 はじめに 平成29年度税制改正法案が平成29年3月27日に可決・成立し、同月31日に公布された。タワーマンションに係る「固定資産税・都市計画税」及び「不動産取得税」の改正内容についても地方税法、総務省令の公表により明らかになったことから、本稿では、当該規定に基づき具体的な計算方法等について解説する。 なお、「固定資産税・都市計画税」と「不動産取得税」については、本論点において同様の改正がされているが、本稿では特に断りがない限り、主に固定資産税についての解説をすることとする。   2 居住用超高層建築物の定義 本改正の対象となる「居住用超高層建築物」とは、区分所有に係る家屋のうち、建築基準法第20条第1項第1号に規定する建築物であって、複数の階に人の居住の用に供する専有部分を有し、かつ、当該専有部分の個数が2個以上のものをいう(地法352②)。 なお、建築基準法第20条第1項第1号に規定する建築物とは、高さが60mを超える建築物を指す。   3 各区分所有者の固定資産税の計算方法 (1) 居住用超高層建築物以外 居住用超高層建築物の固定資産税の計算方法を確認する前に、居住用超高層建築物以外の区分所有家屋の固定資産税の計算方法から確認することとする。当該区分所有家屋の各区分所有者の固定資産税は、下記の通り計算する(地法352①、地規15の3)。 (※) 専有部分の天井の高さ、附帯設備の程度、仕上部分の程度について著しい差違がある場合には、その差違に応じて補正した割合を使用する。 本改正の対象となる居住用超高層建築物についても、従前は上記と同様の計算方法であったが、本改正により下記(2)の計算方法に改められた。 (2) 居住用超高層建築物 居住用超高層建築物の区分所有家屋の固定資産税の計算方法は、次の専有部分の区分に応じ、それぞれに掲げる方法により計算する。 ① 人の居住の用に供する専有部分 全国における居住用超高層建築物の各階ごとの取引価格の動向を勘案した割合によって按分計算することとし、具体的には下記の通りである(地法352②一、地規15の3の2)。 (※1) {100+(10/39)×(人の居住の用に供する専有部分が所在する階-1)} (※2) 上記(1)同様、専有部分の天井の高さ、附帯設備の程度、仕上部分の程度について著しい差違がある場合には、その差違に応じて補正する。 なお、(※1)の補正率は、居住用超高層建築物の区分所有者の全員が当該居住用超高層建築物の各階ごとの取引価格を勘案して協議して定めた補正の方法(当該補正を行わないこととするものを含む)を市町村長に申し出た場合において当該市町村長が当該補正の方法によることが適当と認めるときは、当該補正の方法により行うことができる(地規15の3の2⑤)。 ② ①以外の専有部分 上記(1)同様、専有部分の床面積の割合で按分して計算する(地法352②二)。   4 適用関係・適用時期 (1) 固定資産税 平成29年1月2日以後に新築された居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結されたものを除く)に対して課する平成30年度以後の固定資産税について適用する。上記以外の既存の居住用超高層建築物については、なお従前の例による(H29改地法附則17⑤)。 (2) 不動産取得税 平成29年4月1日以後に新築された居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結されたものを除く)であり、平成30年4月1日以後の取得に対して課すべき不動産取得税について適用する(H29改地法附則1四、10)。   5 建物の相続税評価額への影響 本改正は、タワーマンションに係る固定資産税・都市計画税、不動産取得税の税額按分に関する内容であり、固定資産税評価額については、本改正による変更はない。したがって、本改正による建物の相続税評価額への影響はない点に留意が必要である。   (了)

#No. 216(掲載号)
#角田 壮平
2017/04/27

平成29年度税制改正における特定の資産の買換え特例のポイント

平成29年度税制改正における 特定の資産の買換え特例のポイント   税理士 内山 隆一     1 1号買換えの譲渡資産及び買換資産の範囲の見直し〔個人・法人共通〕 (1) 譲渡資産から、事務所及びその敷地の用に供されている土地等が除外された。 → 工場、作業場、研究所、営業所、倉庫その他これらに類する施設(福利厚生施設を除く)が対象となる。 (2) 買換資産から、都市再生特別措置法81条1項に規定する立地適正化計画を作成した市町村の当該立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域以外の地域内にある誘導施設に係る土地等、建物及び構築物が除外された。   2 2号買換え及び7号買換えの廃止〔個人・法人共通〕 下記の特例が、廃止された。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   3 9号買換え(改正後は7号)の買換資産の範囲の見直し〔法人のみ〕 買換資産のうち、鉄道事業の用に供される車両及び運搬具が、貨物鉄道事業用の電気機関車に限定された。   4 10号買換え(改正後は8号)の譲渡資産の範囲の見直し〔個人・法人共通〕 譲渡資産から、漁業(水産動植物の採捕又は養殖の事業をいう)の用に供されるものが除かれた。   5 特定非常災害時における買換資産の取得期間の特例の創設〔個人・法人共通〕 特定非常災害として指定された非常災害に基因するやむを得ない事情により、買換資産を取得指定期間内に取得することが困難となった場合において、その取得指定期間の初日から取得指定期間の末日後2年以内の間に買換資産を取得する見込みであり、かつ、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、取得指定期間を取得指定期間の末日から2年の範囲内で延長する措置が講じられた。 *  *  * 上記1~5の改正後の適用要件を整理すると、次のようになる。 【改正後の適用要件の整理】 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (注) 買換資産である土地等の面積が、譲渡資産である土地等の面積の5倍を超える場合には、その超える部分の面積に対応するものは、買換資産に該当しないものとする。 (了)

#No. 216(掲載号)
#内山 隆一
2017/04/27

平成29年度税制改正における『組織再編税制』改正事項の確認 【第3回】

平成29年度税制改正における 『組織再編税制』改正事項の確認 【第3回】   公認会計士 佐藤 信祐   (2) 全部取得条項付種類株式、株式併合及び株式等売渡請求 ① 基本的な取扱い 改正前法人税法では、現金交付型株式交換を行うと非適格株式交換として時価評価課税の対象になっていたことから、その代替的手法として、全部取得条項付種類株式、株式併合又は株式等売渡請求が利用されてきた。 これに対し、前回解説したように、平成29年度税制改正では、全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式等売渡請求による完全子法人化について、株式交換と同様に、組織再編税制の一環として位置づけられた。 ただし、全部取得条項付種類株式又は株式併合を用いた手法では、一株に満たない端数の代り金として交付されることから、金銭等不交付要件に抵触しない。そして、株式等売渡請求を用いた手法では、取得の対価として金銭を交付したとしても、金銭等不交付要件に抵触しないことが、条文上、明記された(法法2十二の十七柱書)。そのため、事業継続要件及び従業者引継要件を満たせば、容易に税制適格要件を満たすことができる。 このように、スクイーズアウトを行ったとしても、時価評価課税が問題になる場合としては、支配関係継続要件に抵触する場合、すなわち、スクイーズアウトを行った後に、完全子法人株式を譲渡することが見込まれている事案がほとんどであると考えられる。 そして、会社法上、株式交換と異なり、スクイーズアウトの手法は、支配株主が法人ではなく、個人である場合であっても利用することができる。しかし、法人税法2条12号の16に規定する「株式交換等」は、全部取得条項付種類株式又は株式併合における最大株主等である法人又は株式等売渡請求における一の株主等である法人との間に完全支配関係を有することとなるものに限定されており、支配株主が個人である場合には、そもそも「株式交換等」に該当しない。その結果、支配株主が個人である場合には、法人税法62条の9に規定する時価評価課税の対象には含まれないことになる。 このように、スクイーズアウトを行ったとしても、時価評価課税の対象になることは稀であるように思われる。しかし、本稿では、スクイーズアウトを行った後に、逆さ合併を行った場合の取扱いについて指摘させていただきたい。実務上、MBO案件では、許認可等の問題により、完全親法人となるSPCを被合併法人とし、完全子法人となる事業会社を合併法人とする逆さ合併を行いたいというニーズが存在するからである。 この点につき、法人税法施行令4条の3第19項1号では、改正前法人税法施行令と同様に、適格合併後に、株式交換等完全子法人と適格合併に係る合併法人との間に、当該合併法人による完全支配関係が継続することが要求された。すなわち、株式交換等完全子法人が合併法人となることから、株式交換等完全子法人が自社の発行済株式の全部を直接又は間接に保有することは不可能であるため、50%超100%未満グループ内の株式交換等に該当しない。 その結果、支配株主が法人である場合において、スクイーズアウトにより少数株主を締め出してから逆さ合併を行うときは、時価評価課税の対象になる。 【逆さ合併を行うことが見込まれている場合】 ② 無対価スクイーズアウト 平成22年度税制改正により、無対価組織再編を行った場合における税制適格要件の判定は、原則として、非適格組織再編として整理しながらも、対価の交付を省略したと見ることができる場合には、例外として税制適格要件を満たすことができるように条文で限定列挙されていた。この考え方は、平成29年度税制改正でも踏襲されており、無対価株式交換を行った場合の取扱いは変わっていない。 これに対し、全部取得条項付種類株式、株式併合又は株式等売渡請求によりスクイーズアウトを行ったときも、同様の取扱いになるのかという点が問題となる。 まず、無対価スクイーズアウトとして想定されている典型的な手法は、全部取得条項付種類株式を利用して、100%減資をした後に、スポンサーの増資を引き受ける場合であると考えられる。このような手法は、法人税法2条12号の16で規定されている株式交換等に含まれるスクイーズアウトが、最大株主等である法人又は一の株主等である法人との間に完全支配関係を有することとなるものを言うことから、「株式交換等」に該当しない。そのため、税制適格要件を検討するまでもなく、時価評価課税の対象にならないと考えられる。 そして、債務超過であることを理由として、支配株主が少数株主を無対価で締め出す場合もあり得る。しかし、法人税法施行令4条の3第18項で規定されている無対価株式交換の定義には、スクイーズアウトは含まれていない。そして、同条19項では、「当該株式交換等が無対価株式交換である場合にあっては」と規定されていることから、無対価スクイーズアウトを行ったとしても50%超100%未満グループ内の株式交換等に該当するということが言える。そのため、支配株主が法人である場合において、無対価スクイーズアウトを行ったとしても、従業者引継要件及び事業継続要件を満たすのであれば、時価評価課税の対象にならないと考えられる。 ③ 連結納税制度への影響 さらに、本誌199号で述べたように、連結納税制度への影響についても留意が必要である。なぜなら、改正前法人税法では、買収会社が連結納税制度を導入している場合には、全部取得条項付種類株式、株式併合又は株式等売渡請求を利用しても、連結納税への加入に伴う時価評価課税は避けられなかった。これに対し、平成29年度税制改正により、時価評価課税を回避することができるようになった。 さらに、単純な株式購入により100%子会社化を行った場合であっても、時価評価を行う前の営業権や知的財産権の帳簿価額が0円であることが多いため、「帳簿価額が1,000万円未満の資産」として時価評価課税の対象から除外することができる。 このように、スクイーズアウト税制の影響は、スクイーズアウトそのものというよりも、連結納税制度を導入することに対するハードルが下がったという影響の方が大きいため、今後、連結納税制度を導入する企業が増えてくると考えられる。 (次号(5/11)に続く)

#No. 216(掲載号)
#佐藤 信祐
2017/04/27

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例49(相続税)】 「借地権につき、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例が適用できたにもかかわらず、これを適用せずに申告してしまった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例49(相続税)】   税理士 齋藤 和助       《基礎知識》 ◆小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(措法69の4) 相続により取得した財産のうちに被相続人の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で建物や構築物の敷地の用に供されているものがある場合には、一定要件のもと、これらの宅地等につき一定割合の評価減が受けられる(下表参照)。なお、この特例は借地権にも適用がある。 ◆小規模宅地等の特例における申告要件(措法69の4⑥) 小規模宅地等の特例の適用に関しては、申告要件が付されており、相続税の期限内申告書(その申告に係る期限後申告書及び修正申告書を含む)にこの特例の適用を受ける旨を記載し、一定の書類の添付がある場合に限り適用することとされている。 したがって、当初申告において小規模宅地等の特例の適用がある宅地等に特例を適用しないで申告した場合には、更正の請求はできない。 ◆小規模宅地等の特例における宅地等の選択替えの可否(措令40の2⑤) 小規模宅地等の特例の適用において、特例対象宅地等が2以上ある場合又は特例対象宅地等を取得した者が2人以上あるときは、その選択に関する一定の書類を相続税の申告書に添付することとされている。 したがって、特例対象宅地等の選択は、相続税の申告において確定することとなり、その後において、宅地等についての選択替えは認められず、更正の請求もできない。 ◆国税通則法における更正の請求事由の場合(通則法23①) 申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるときは、法定申告期限から5年以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等につき更正の請求をすることができる。 したがって、例えば、小規模宅地等の特例の適用を満たしていない宅地等に誤って特例を適用し、後日これが判明した場合で、他に特例の適用を満たしている宅地等がある場合には、期限内の更正の請求により、改めて当該他の宅地等に小規模宅地等の特例を適用することができる。       (了)

#No. 216(掲載号)
#齋藤 和助
2017/04/27

国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第4回】「非永住者の課税所得の範囲に関する改正のなぞ」

国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第4回】 「非永住者の課税所得の範囲に関する改正のなぞ」   税理士 菅野 真美   - 質 問 - 平成29年度税制改正で、非永住者の課税所得の範囲について見直しがなされましたが、なぜこのような改正が行われたのかよくわかりません。理由を教えていただけませんでしょうか。   ◆ ◆ 解 説 ◆ ◆ ▷非永住者と課税所得 「非永住者」とは、居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人のことである(所法2①四)。以前は日本国籍の人でも非永住者になることができたが、非永住者であることを利用した節税策が問題視され、現行ではこのような国籍条項が設けられている。 非永住者の課税所得の範囲は、平成29年度税制改正前は、第95条第1項(外国税額控除)に規定する国外源泉所得(以下「国外源泉所得」という)以外の所得及び国外源泉所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの(旧所法7①二)とされていた。 この非永住者の課税所得の範囲が、平成29年度税制改正により、国外源泉所得の後にカッコ書きで「国外にある有価証券の譲渡により生ずる所得として政令で定めるものを含む」という規定が盛り込まれた。 なぜこのような改正が行われたのか、以下において推察してみたい。   ▷平成26年度税制改正前における非永住者の課税所得の範囲 平成26年度税制改正前における非永住者の課税所得の範囲は、所得税法161条に規定する国内源泉所得(以下「国内源泉所得」という)及びこれ以外の所得で国内において支払われ又は国外から送金されたもの(旧所法7①二)とされていた。 また、恒久的施設を有していない非居住者の株式の譲渡による所得については、原則的には国内源泉所得に該当せず、例外的に、事業譲渡類似株式や不動産関連法人株式の譲渡所得のように限定列挙された取引についてのみ課税されるという整理がなされていた(旧所令291)。 例えば一般的な日本の上場会社の株式1,000株を、日本に恒久的施設を有しない非居住者が譲渡した場合の所得は、国内源泉所得に該当しないことから、日本で課税されることはなかった。 それでは、非永住者が、一般的な日本の上場会社の株式を外国の証券取引所で売却した場合の所得はどうかというと、この所得が「国内源泉所得以外の所得」となり、日本に売却代金が送金されない限り課税対象にならなかったと考える。   ▷平成26年度税制改正で課税関係はどう変化したか? 上記の取扱いであったところ、平成26年度税制改正において、非永住者の課税所得の範囲が、「国内源泉所得+国内源泉所得以外の所得で日本に送金されたもの」から、「国外源泉所得以外の所得+国外源泉所得で日本に送金されたもの」というように定義づけが変更された。つまり、「国内源泉所得」を中心に非永住者の課税所得を整理するのではなく、「国外源泉所得」を中心として整理されることとなったのである。 国外源泉所得についての定義は、外国税額控除を定めた所得税法95条4項に規定されている。このうち株式の譲渡所得については、国内源泉所得の対象となる株式の譲渡所得と同様の規定ぶりになっている。例えば、事業譲渡類似に該当する株式の譲渡は外国法人の株式の一定の要件に該当するものの譲渡で、譲渡所得について外国の所得税が課されるものとなっている(所令225の4①四)。 つまり、一般的な日本の上場会社株式の譲渡所得は「国外源泉所得以外の所得」となり、平成26年度税制改正以後は、譲渡代金が国内に送金されない場合であっても、日本での譲渡所得の課税対象になったと考える。 ただし、この改正は平成29年分以後の所得税について適用とされた(平26改所法等附3③)。   ▷平成29年度税制改正をどう読むのか? このように譲渡所得に対する課税が突然変更されたことによる影響が大きかったものと思われるが、平成29年度税制改正において、非永住者の課税所得の範囲は、「第95条第1項(外国税額控除)に規定する国外源泉所得(国外にある有価証券の譲渡により生ずる所得として政令で定めるものを含む。以下この号において「国外源泉所得」という。)以外の所得及び国外源泉所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの」とされ、下線部の規定が盛り込まれた。この改正は平成29年4月1日以後の有価証券の譲渡について適用される(平29改所法等附2)。 この「国外にある有価証券の譲渡により生ずる所得として政令で定めるもの」は、所得税法に規定する有価証券でその取得の日がその譲渡の日の10年前の日の翌日から当該譲渡の日までの期間(その者が非永住者であった期間に限る)内にないもの(特定有価証券)のうち、次に掲げるものの譲渡により生ずる所得とする(所令17①)。 例えば、非永住者であった期間で譲渡の3年前に取得した日本の上場株式を外国の証券取引所で売却した場合は、国外源泉所得以外の所得となることから、日本に売却代金が送金されなかったとしても課税対象となる(所令17)。 しかし、経過措置が設けられていて、平成29年4月1日前に取得した有価証券を10年内に譲渡した場合においては、特定有価証券であるとみなし、外国証券取引所で売買した場合は国外源泉所得となることから国内に送金しない限り、所得税の課税対象から除外されることになる(平29改所令附3)。 つまり、平成29年3月31日までに取得した日本の上場株式を非永住者が取得から10年以内に外国の証券取引所で譲渡し、譲渡対価を外国にプールし続けた場合は平成26年度の税制改正前と同様に日本では課税対象にならないということになる。 (了)

#No. 216(掲載号)
#菅野 真美
2017/04/27

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第12回】「家屋は買換資産と認められず、土地のみが買換資産となる場合」-買換資産の範囲-

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第12回】 「家屋は買換資産と認められず、土地のみが買換資産となる場合」 -買換資産の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、前々年の5月に居住用財産(所有期間が10年超で居住期間は10年以上)を売却し、前年中に居住用家屋とその敷地を取得する見込みで「特定の居住用財産の買換えの特例(措法36の2)」の適用を受けて確定申告書を提出しました。 前年11月にようやく土地を取得して、翌月の12月初旬に居住用家屋の工事を建築業者に発注しました。 なお、その家屋は、請負契約で定めたとおり本年3月に完成したので、直ちに引渡しを受け、翌月の4月にXとその家族が入居しました。 この場合、Xは、家屋とその敷地の全部を同特例の適用対象とすることができるでしょうか。 A 家屋については「買換えの特例」の適用対象となる買換資産に該当しませんが、土地については適用対象となる買換資産に該当します。 ●○●○解説○●○● Xは、居住用家屋を買換資産の取得期限(譲渡の日の属する日の翌年12月31日)までに発注していますが、その期限までに取得(引渡しを受ける)をしていませんので、家屋については、適用対象となる買換資産に該当しないこととなります(措法36の2①②)。 しかし、その敷地は、①買換資産の取得期限までに取得し、かつ、②その居住の用に供すべき期限(買換資産の取得の日の属する年の翌年12月31日)までに、その上に自己の居住用家屋を建築し、X自身が入居していますから、Xの居住の用に供したことになり、買換資産に該当することとなります(措通36の2-17(買換資産を当該個人の居住の用に供したことの意義))。 なお、買換資産の取得に係る契約の締結後に生じた災害その他その者の責めに帰せられないやむを得ない事情によって遅れた場合には、措通36の2-16(やむを得ない事情により買換資産の取得が遅れた場合)の取扱いにより適用を受けることができるときがあります(【第5回】解説のなお書を参照)が、本事例の家屋の場合は、取得期間内に取得する契約を締結していた事実がありませんので、この取扱いの適用を受けることができません。 (了)

#No. 216(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/04/27

〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第15回】「別表13(2) 保険金等で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書」

〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第15回】 「別表13(2) 保険金等で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書」   公認会計士・税理士 菊地 康夫   Ⅰ はじめに 本稿では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第15回目は、実務で比較的採用するケースがあるにもかかわらず一般的な書籍等では解説される機会があまり多くない、「別表13(2) 保険金等で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書」を採り上げる。   Ⅱ 概要 この別表は、固定資産の滅失又は損壊により保険金等を取得した法人が、その保険差益金等に関し法人税法第47条から第49条まで(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)の規定の適用を受ける場合に記載する。 本制度は、いわゆる圧縮記帳と呼ばれるものである。 そもそも法人が災害等により支払を受けた保険金等でも、滅失による損失等を上回る部分(保険差益)について、法人税法上は益金の額に算入されるものであるが、これをすべて課税対象とすると滅失等した資産に代わる新たな資産の取得が資金的に困難となり、本来の保険金としての意義が損なわれてしまうことから、一定期間内に滅失等した所有固定資産に代替する同一種類の固定資産(代替資産という)を取得等した場合に、保険差益金の額を基礎として計算した圧縮限度額の範囲内で、代替資産の帳簿価額を損金経理により減額する方法等により、その課税の繰延べを認めるという制度である。 圧縮記帳の対象となる保険金等とは、固定資産の滅失又は損壊により支払を受ける保険金、共済金又は損害賠償金で、固定資産の滅失等のあった日から3年以内に支払の確定したものをいう。なお、棚卸資産を対象とする保険金等は圧縮記帳の対象とならず、事業の休廃業等により減少する収益の補てん又は発生する費用の補てんに充てるものとして支払を受けるものも、圧縮記帳の対象とならない。 また、代替資産は保険事故等があった事業年度内に取得されることが原則であるが、その事業年度内に代替資産を取得することができない場合には、保険金等の支払を受ける事業年度の翌事業年度開始の日から2年以内に取得した代替資産についても圧縮記帳の特例が適用できる。この場合、保険差益金の額を特別勘定として経理しておき、実際に代替資産を取得した事業年度で圧縮記帳を行うことになる。 圧縮限度額の計算方法は次のとおり。 (※1) 保険差益金の額=(改訂保険金等の額)-(滅失した固定資産の被害直前の帳簿価額) (※2) 改訂保険金等の額=(取得した保険金等の額)-(滅失等により支出する経費の額) ▼ 注意!▼ 滅失等により支出する経費の額は、その滅失等があった所有固定資産の取壊費、焼跡の整理費、消防費等、直接関連して支出される経費のことであり、類焼者に対する賠償金、けが人への見舞金、被災者への弔慰金等といった固定資産の滅失等に直接関連しない経費は含まれない。   なお本別表は、各災害ごとに、かつ、滅失した固定資産の種類ごとに用紙を改めて記載することになる。   Ⅲ 「別表13(2)」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成28年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。   (4) 圧縮記帳に関する計算と仕訳例 (単位:円) 〔前期〕 ◆事故発生時 ◆経費支出時 〔当期〕 ◆保険金取得時 ◆代替資産取得時 〔圧縮限度額の計算〕 ◆滅失等により支出した経費(焼跡の整理費)の建物への按分 ◆建物に係る改訂保険金額 ◆保険差益のうち建物に係る金額 ◆建物の圧縮限度額 (5) 別表の各記載欄の説明 「保険金等を受けた場合」 「代替資産の交付を受けた場合」 「帳簿価額の減額等をした場合」:「保険金等を受けた場合の計算」 「帳簿価額の減額等をした場合」:「代替資産の交付を受けた場合の計算」 「特別勘定に経理した場合」 (了)

#No. 216(掲載号)
#菊地 康夫
2017/04/27
#