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特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第9回】「買換資産の家屋を改良、改造した場合」-買換資産の範囲-

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第9回】 「買換資産の家屋を改良、改造した場合」 -買換資産の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、居住用の買換資産として家屋及びその敷地を購入しました。 その家屋が老朽化しているため、改良、改造を行いました。 また、敷地内に車庫と物置を建てました。 この場合、改良等の費用を買換資産の取得価額に算入して「特定の居住用財産の買換えの特例(措法36の2)」の適用を受けることができるでしょうか。 A 買換資産に該当する家屋の取得に伴い改良、改造し、又は車庫と物置を取得したものであれば、買換資産として「買換えの特例」の適用を受けることができます。 ●○●○解説○●○● 既に所有する家屋又はその家屋の敷地の用に供する土地等について、その者の居住の用に供するための改良、改造等を行った場合は、措通36の2-11(宅地の造成)に定めるところの、宅地を造成した場合の費用の額が相当の金額に上り、実質的に新たに土地を取得したことと認められるものを除いて、買換資産の取得には当たりません(【第7回】参照)。 しかしながら、買換資産に該当する家屋又は当該家屋とともにする当該家屋の敷地の用に供する土地等の取得に伴って、買換資産の取得期間(譲渡する日の属する年の前年1月1日からその譲渡の日の属する年の翌年12月31日までの間)内に次に掲げる改良、改造等を行った場合は、買換資産の取得に当たるものとして、「買換えの特例」の適用を受けることができます(措通36の2-12(買換資産の改良、改造等))。 (了)

#No. 213(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/04/06

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《リース取引》編 【第2回】「リース契約の中途解約の場合の会計処理~所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)」

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領 《リース取引》編 【第2回】 「リース契約の中途解約の場合の会計処理 ~所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)」   公認会計士・税理士 前原 啓二   はじめに 【第1回】では、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理と、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を、対比して解説しました。今回は、それぞれの会計処理において、リース契約が中途解約された場合の取扱いをご紹介します。   1 一連のリース取引に係る仕訳 ケース1 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理 〈×0年4月1日:リース取引開始日〉 〈×0年4月30日:第1回目リース料支払日〉 〈×1年3月31日:第12回目リース料支払日、決算日〉 〈×2年2月28日:第23回目リース料支払日〉 〈×2年3月1日:リース契約解約時〉 ケース2 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 〈×0年4月1日:リース取引開始日〉 〈×0年4月30日:第1回目リース料支払日〉 〈×1年3月31日:第12回目リース料支払日、決算日〉 〈×2年2月28日:第23回目リース料支払日〉 〈×2年3月1日:リース契約解約時〉 この設例は、【第1回】と同様に、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当し、中小企業会計指針により、このリース物件については、(1)売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う方法と、(2)通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行い、未経過リース料を注記する方法のいずれかを選択適用します。リース解約時以前までのそれぞれの会計処理は、【第1回】において解説したとおりです。×2年3月のリース契約解約に係る会計処理は、次のとおりです。 ケース1 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理 まず、×2年3月期の減価償却費を計上します。リース期間定額法により、耐用年数をリース期間5年に、残存価額をゼロとして、減価償却費を計算(6,000,000円×11月/60月=1,100,000円)します。次に、リース解約時点におけるリース資産残存簿価3,700,000(6,000,000円-減価償却累計額2,300,000円)を除却損として計上します。 リース解約に伴う残存リース料は、解約時点(×2年3月)において税込3,996,000円(6,480,000円-108,000円×23回)であり、3,996,000円全額のリース債務を消去します。この結果、リース債務残高もゼロとなります。 ケース2 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 リース解約に際して、リース解約に伴う残存リース料である税抜金額3,700,000円を解約損計上し、それに係る消費税296,000円を仮払消費税計上します。   2 リース解約に伴う残存リース料の消費税法上の取扱い 所有権移転外ファイナンス・リース取引について、契約期間終了前にリース契約を解約した場合、借手が貸手へ支払うこととなる残存リース料は、消費税法においては次のように取り扱われます。 リース物件の陳腐化のための借換えなどにより、貸手と借手との合意に基づき、解約するときの借手から貸手への残存リース料の支払は、リース債務の返済にすぎないため、消費税法上、課税仕入れに該当せず、課税の対象外となります。この設例のケース1は、これによっています。 ただし、貸手と借手との合意に基づき、リース物件の陳腐化のため、リース物件を廃棄するとともに、残存リース料の一部又は全部を減額する場合、リース料の値引きがあったものと認められ、この残存リース料の減額は仕入れに係る対価の返還等として取り扱われます。 一方、特例として、所有権移転外ファイナンス・リース取引につき、借手が賃貸借取引として会計処理している場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間において課税仕入れとして消費税を申告しているときは、これによって差し支えないこととされますが、この方法によると、解約以後は賃貸借処理されなくなるので、それ以後の賃貸借処理の都度計上される予定であったリース料に係る消費税を仕入税額控除する機会が失われることになります。そもそも、残存リース料はリース資産の譲受対価であり、当然に仕入税額控除の対象となるはずです。したがって、この残存リース料は解約した日の属する課税期間における仕入税額控除の対象とされます。この設例のケース2は、これによっています。   3 決算書の金額 ケース1 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理 ▷ ×2年3月31日決算期 〈当期損益計算書〉 〈当期末貸借対照表〉 ケース2 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 ▷ ×2年3月31日決算期 〈当期損益計算書〉 〈当期末貸借対照表〉   4 損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整 この設例のケースは、会計処理と法人税法上の取扱いに差異がないので、損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整はありません。 (《リース取引》編 終了)

#No. 213(掲載号)
#前原 啓二
2017/04/06

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第132回】金融商品会計⑮「建設協力金」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第132回】 金融商品会計⑮ 「建設協力金」   仰星監査法人 公認会計士 永井 智恵     〈事例による解説〉   〈会計処理〉 ① X1年4月1日(建設協力金の支払時) (*1) 5,200×1/(1+0.03)4+5,100×1/(1+0.03)5=9,019 (*1-1) 5,000+10,000×2%=5,200(返済1回目のキャッシュ・フロー(元本+利息)) (*1-2) 5,000+5,000×2%=5,100(返済2回目のキャッシュ・フロー(元本+利息)) (*2) 10,000-9,019=981 ② X2年3月31日 (*3) 981÷5年=196 (*4) 9,019×3%=270 ③ X3年3月31日 (*5) (9,019+270)×3%=278 ④ X4年3月31日 (*6) (9,019+270+278)×3%=287 ⑤ X5年3月31日(返済1回目) (*7-1) (9,019+270+278+287)×3%-200=95 (*7-2) 10,000×2%=200 ⑥ X6年3月31日(返済2回目) (*3-1) 981÷5年=196 ⇒ 197(端数調整) (*8-1) (9,019+270+278+287+95-5,000)×3%-100=48 ⇒ 51(端数調整) (*8-2) (10,000-5,000)×2%=100   〈会計処理の解説〉 建設協力金は、建物建設時に消費寄託する建物等の賃貸に係る預託保証金であり、契約に定めた期日に預託金受入企業が現金を返還し差入企業がこれを受け取る契約です(金融商品実務指針221項)。将来返還される建設協力金等の差入預託保証金は金銭債権であるため、金融商品に関する会計基準の対象になります(金融商品実務指針10項)。 建設協力金の典型例としては、当初無利息であり10年経過すると低利の金利が付き、その後10年間にわたり現金で返済されるものが挙げられます(金融商品実務指針221項)。 将来返還される建設協力金等の差入預託保証金(敷金を除きます)に係る当初認識時の時価は、返済期日までのキャッシュ・フローを割り引いた現在価値の合計です(金融商品実務指針133項)。現在価値に割り引くための利子率は、差入企業が対象となった土地建物に抵当権を設定することが多いため、その場合は原則としてリスク・フリーの利子率(例えば、契約期間と同一の期間の国債の利回り)を使用します。 本事例では、以下のとおりX1年4月1日時点の建設協力金の時価は9,019となります。 また、支払額と当該時価との差額は、長期前払家賃として計上し、契約期間にわたって各期の純損益に合理的に配分します(金融商品実務指針133項)。 本事例では、A社の支払額10,000と時価9,019との差額981を長期前払家賃として計上し、契約期間の5年にわたって各期に196ずつ支払賃料として配分しています。 建設協力金等の差入預託保証金は返済期日に回収されるため、当初時価と返済金額との差額を契約期間にわたって配分し、受取利息として計上します(金融商品実務指針133項)。 本事例では、各年度の利息計上額及び帳簿価額を以下のとおり算出しています。 (※) f ’は帳簿価額fの前期末残高です。 (注) 端数調整しています。 イメージとしては以下の図のようになります。 (了)

#No. 213(掲載号)
#永井 智恵
2017/04/06

外国人労働者に関する労務管理の疑問点 【第1回】「外国人留学生をアルバイトで雇用するときは?」

外国人労働者に関する 労務管理の疑問点 【第1回】 「外国人留学生をアルバイトで雇用するときは?」   社会保険労務士・行政書士 永井 弘行   -連載開始に当たって- このところコンビニや飲食店で、外国人留学生のアルバイトスタッフに出会う機会が多くなった、と感じる方は少なくないと思います。また企業の規模を問わず、外国人を社員として雇用するところが増えています。 これまで外国人を採用したことのない企業の人事担当者にとって、外国人を雇用する際にはどのようなことに注意しなければならないのか、日本人の採用と何が違うのか、などの疑問があると思います。 この連載では、「外国人雇用の経験がない、または少ない会社の人事担当者の疑問を解消する」ことを目的に、企業が採用時にどんなことを理解し、手続きしなければならないか、という視点で書いていきたいと思います。   1 「資格外活動の許可」を得ていなければ、アルバイトできません 日本の大学、専門学校、日本語学校に在籍する外国人留学生は、「留学ビザ」を得て、日本に滞在しています。「留学ビザ」というのは通称で、正確には法務省入国管理局が許可した「留学」の在留資格を得て、日本で生活しています。 在留資格は、行政機関(役所)である入国管理局が与える「許可」の一種であり、「日本で適法に滞在できる法的な資格」と言えます。日本での活動に応じた「許可」を得た外国人だけが、在留資格を得て、日本に長期間、滞在することができます。 「留学」の在留資格は、日本で学ぶためのもので、「就労不可」です。つまり、フルタイムで仕事に就くことはできません。 例えば、留学生が大学を卒業した後に、国内の貿易会社で社員として通訳・翻訳の仕事に就くためには、会社で勤務する前に、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザ(在留資格)に変更することが必要です。 留学生が在学中に、日本での生活費をまかなうためにアルバイトをするときは、あらかじめ法務省入国管理局から「資格外活動の許可」を得ていることが必要です。この資格外活動の許可を得ていなければ、アルバイトに就くことはできません。 もしアルバイトをすると、「不法就労」として、留学生本人だけでなく、事業主も罰せられることがあります。   2 「資格外活動の許可」を得ているかどうかは、どうやって確認するか 留学生をはじめ、日本で中長期間在留する外国人は、「在留カード」というカードを持っています。この在留カードは「常時携帯すること」が義務付けられています。 在留カードは運転免許証と同じ大きさで、顔写真、氏名、在留資格、在留期限などが記されていますが、その裏面に「資格外活動許可欄」があります。そこに「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と書かれていれば、入国管理局から資格外活動の許可を得ています。 もし、この「資格外活動許可欄」に何も書かれていなければ、まだ入国管理局の許可を得ていない状態です。この状態でアルバイトに就くと、不法就労になります。この場合、アルバイトを始める前に、留学生が入国管理局に出向いて「資格外活動の許可」を得ることが必要です。 また、カードの表面の一番下に「このカードは20XX年X月X日まで有効です」と書かれています。もしこの期限を過ぎていれば、有効期限を過ぎた運転免許証が無効(車を運転できない)なのと同じように、留学の在留資格そのものが無効になっています。つまり、日本に適法に滞在できない状態です。当然、アルバイトをすることはできません。 人事担当者の立場では、留学生のアルバイト雇用を始める前に、まずはその留学生に在留カードを提示してもらい、その表面を見て、「留学」の在留期間の有効期限内であることを確認してください。次に裏面を見て、「資格外活動許可欄」に「許可」と書かれていることを確認してください。 〔在留カードのサンプル〕 (※) 入国管理局ホームページ「入国管理局パンフレット(出入国管理のしおり)(2016年版)」10ページより   3 勤務可能な時間は週28時間が上限です 現在、留学生が資格外活動の許可を得てアルバイトできる時間は、週28時間が上限となっています。例えば1日6時間で週4日=週24時間などのアルバイト勤務が可能です。 この週28時間以内の取扱いは、入管法施行規則(出入国管理及び難民認定法施行規則)第19条で定められています。   4 日本人スタッフと同じ勤務シフトに入れない場合があります 例えば、パート・アルバイト従業員が1日6時間で週5日勤務するケースでは、1週間の所定労働時間が30時間になります。日本人でしたら(学生・一般を問わず)、この週30時間勤務のシフトに入り、アルバイトをすることに問題はありません(労働・社会保険等が適切に適用されていることが前提です)。 一方、外国人留学生は上記の通り、週28時間を超えてアルバイト勤務を行うことはできません。この時間を超えて勤務すると、不法就労になります。このため、外国人留学生は週28時間以内になるよう、シフトの時間を短縮するなどの対応が必要です。   5 夏休みなど長期休業期間に限り、1日8時間までアルバイト可能です この「週28時間以内」という制限は、学校の授業がある期間の取扱いです。夏休みなど学則で定められた長期休業期間に限って、1日8時間までアルバイトが可能です。 一般の日本人と同様に労働基準法などの労働関係法令が適用されますので、原則週40時間まで勤務することが可能です。 この「1日8時間以内」が可能なのは、「学則で定められた長期休業期間」だけです。たまたま授業の休講が多くても、学校の授業が行われている時期は、対象外です。 このため、1日8時間以内の勤務を行うときは、「学校が長期休業期間になっているか」を確認してください。   6 風俗営業等に従事することはできません この風俗営業等とは、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)第2条で「風俗営業」として定められたもので、キャバレー、ホステス・ホストのいる飲食店、ナイトクラブ、照度10ルクス以下のバー・喫茶店、まあじゃん店、パチンコ店、性風俗関連特殊営業などが該当します。 留学生はこうした風俗営業等に従事することが禁止されています。もし留学生が風俗営業のアルバイトをすると不法就労になり、留学生を雇用する事業主も3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられることがあります(入管法第73条の2第1項)。 このように風俗営業等の事業所では、留学生をアルバイト雇用することができません。 逆に言えば、「風俗営業等」以外の分野、業種でしたら、留学生は原則、どんな職場でもアルバイトに就くことができます。 なお、どの分野、業種でアルバイトをしても、日本人と同様に労働基準法、最低賃金法などの労働関係法令が適用されます。当然、労災保険も対象になります。   7 ハローワークへの届出が必要です 留学生は昼間学生ですので、雇用保険には加入しません。しかし、アルバイトを雇用したとき、その会社はハローワークに「雇入れに係る外国人雇用状況届出書」の届出が必要です。外国人の在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍、資格外活動の許可の有無、雇入れ年月日などを記して届出します。 また、アルバイト雇用が終わったときも「離職に係る外国人雇用状況届出書」を届出します。 ハローワークに届出を行えば、入国管理局への届出(「中長期在留者の受け入れに関する届出」)は原則、不要です。留学生のアルバイト雇用の開始時・終了時には、それぞれハローワークで「雇入れに係る外国人雇用状況届出書」、「離職に係る外国人雇用状況届出書」の届出を行ってください。 なお、「雇入れに係る外国人雇用状況届出書」、「離職に係る外国人雇用状況届出書」の書式は、[こちらの厚生労働省ホームページ]から入手可能です。 【参考】 「雇入れ(離職)に係る外国人雇用状況届出書」 (※) 厚生労働省ホームページより (了)

#No. 213(掲載号)
#永井 弘行
2017/04/06

これからの会社に必要な『登記管理』の基礎実務 【第2回】「登記管理を怠るリスク」

これからの会社に必要な 『登記管理』の基礎実務 【第2回】 「登記管理を怠るリスク」   司法書士法人F&Partners 司法書士 本橋 寛樹   はじめに 前回定義した登記管理をもとに、今回はその登記管理を怠るリスクについて考察する。 自社や顧問先企業に当てはめて、リスクを洗い出す観点で読み進めてもらいたい。   登記管理を怠るリスク まず、事業活動と登記管理は「別物」であるという認識が肝心である。 事業活動の好不調にかかわらず、登記管理は適宜行う必要がある。リスクが潜在的にとどまっている間は、目の前の事業活動に直接的な影響が及ばないため、手当てを施す必要がないように思える。しかし、手当てをしない期間が長くなるにつれて潜在的なリスクが顕在化し、事業活動に打撃を与えるおそれが高まる。 いったんリスクが顕在化すると、正常の状態に戻すのは容易ではない。 では、実際にどのようなリスクが顕在化するのか。 下表は、リスクの顕在化前と顕在化後の一例をまとめたものである。 上表を図示すると、次のようになる。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 それでは、なぜリスクが生じてしまうのだろうか。次にその要因を考察する。   リスクが生じる要因 「企業が登記管理を怠る」というリスクが生じる要因は、主に次の3点である。 ① 会社主導の管理を要する点 ② 中長期にわたる管理を要する点 ③ 相次ぐ法改正等の対応不足 ① 会社主導の管理を要する点 役員の任期管理について、役所が会社に対して役員の任期到来の時期を前もって知らせる制度はない。このため、会社が自発的に任期の到来時期を把握し、その時期に役員の選任決議とその登記手続をする必要がある。 株主管理について、登記には株式の所有者情報や変動が反映されない。会社が主導となって、株主関係書類を作成のうえ、管理をする。 例えば、会社が株主名簿を作成、備置きし、必要に応じて、株主名簿記載事項証明書等の関係書類の発行を行う。また、株主構成に変動があれば、株主は会社に所定の書類を提出し、会社が株主名簿の更新等の処理をする。 ② 中長期にわたる管理を要する点 役員の任期管理では、任期が1年である場合を除き、任期満了に伴う役員変更の登記手続は数年に一度となる。会社の実務担当者が異動すると、業務の引継ぎにおいて漏れが生じる可能性がある。 株主管理は、会社が存続する間は継続して行う必要がある。例えば、株主名簿の名義書換えは、一つ一つの手続は独立しているが、その積み重ね次第で株主の管理状況が左右される。 議決権行使の観点から、株式の分散や、株主に起こりうる相続発生、判断能力の低下等に備えて、中長期にわたる対策を立てていく必要がある。 ③ 相次ぐ法改正等の対応不足 平成18年の会社法施行後、登記に直結する会社法、商業登記に関する法改正等が相次いでいる。 役員の任期を最長の10年と定めている株式会社や任期規定が適用されない有限会社であれば、最後の登記手続から長期間経過しており、現行制度や運用に沿っているか見直しの機会を設ける時期に差しかかっているだろう。 以下の表を通して、法改正等の対応がとられているか、今一度確認していただきたい。 【会社法施行後の、登記に直結する法改正等】   まとめ 登記管理を怠るリスクが生じる要因を振り返ると、以下のような体制づくりが実現できれば、リスク回避に結びつくと考える。 ◆法改正等に対応しながら ◆会社主導で ◆中長期的に管理し続けられる ⇒体制づくり *  *  * 次回からは、登記管理の軸となり、また登記管理を怠るリスクを回避する体制づくりの一環となる、「役員の任期管理」について解説していく。 (了)

#No. 213(掲載号)
#本橋 寛樹
2017/04/06

家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第10回】「よくある質問・留意点⑤」-受託者として適任な者がいない場合の対応-

家族信託による 新しい相続・資産承継対策 【第10回】 「よくある質問・留意点⑤」 -受託者として適任な者がいない場合の対応-   弁護士 荒木 俊和   - 質 問 - 私(夫)には妻がいるが、お互い高齢になりつつあり、漠然とした将来への不安がある。 私たちには子供がいないため、妻以外の相続人としては甥2人になるが、疎遠であり、10年以上会っていない。 財産として賃貸に出している木造アパート1棟があるため、誰かに管理を任せたいと思っている。 このような場合、家族信託を使うことで何とか対応できないか。   1 問題の所在 相続・資産承継対策として家族信託を検討する場合、大きな問題となりうるのが、「適切な受託者が見つからない」という問題である。 受託者の資格は、信託業法に触れない場合で、正常な判断能力を有する者である限り法律上の制限はないが、事実上の限定として、「委託者との間に信頼関係が築ける者」である必要がある。 質問のケースでは、妻は高齢であるため受託者となることが困難であり、甥2人とは疎遠のため信頼関係の構築が困難であることから、適切な受託者が選任できるのかが問題となる。   2 受託者となり得る者 (1) 信託銀行、信託会社 信託銀行は歴史的、実務的背景から、あまり積極的に個人向けの対応を行っていない。 一部の信託銀行については、一定規模以上の資産があれば家族信託についての対応を行うところも出てきているとの情報もあるが、「いかなる資産でも受託する」ところまでは至っていない。 一方、銀行機能を有さない信託会社では、相続・資産承継対策のための信託を受託するところも存在する。ただし一般的な受託基準が示されていないため、家族信託の対象として検討している財産について委託することが可能であるか、個別に確認する必要がある。 また、信託銀行、信託会社については、信託業として受託するものであるため、受託手数料が発生することに留意しなければならない。 (2) 自ら設立した法人 一部の意見では、受託者が見つからない場合、一般社団法人や会社等の法人を設立し、その法人を受託者とする方法を推奨する向きもある。 しかし、法人といえども内部(業務執行機関)には自然人が必要なのであり、法人を設立すれば直ちに問題が解決するわけではない。質問のケースでいえば、法人の役員を誰にするのか、という問題が生じることになり、役員として適任の者がいないのであれば問題は解決しない。 また、夫が一人株主として株式会社を設立し、夫が株式会社を受託者として信託したような場合は、夫と株式会社が実質的に同一主体であると見られ、自己信託ではないか(公正証書によらなければ成立しない(信託法第4条第3項))と見られる可能性もある。 (3) 弁護士、司法書士等の士業 成年後見制度と同様に、弁護士や司法書士等の士業に対し、受託者としての任務を期待する向きも存在する。 弁護士については弁護士法第3条の「一般の法律事務」として、業として受託者になれるとする見解もある。しかし、この見解はあくまでも解釈によるものであり明文の規定がないこと、受託者となった弁護士による横領等の不祥事が起こらないか不安の声もあること等から、弁護士が業として受託者になれるとする意見は少数にとどまっている。 また、仮に士業が業として受託者になれるとしても、家族信託の場合は原則的に信託財産に対する債務について、受託者の個人財産も引当てになる(信託財産だけで支払えない負債を抱えた場合は受託者の個人財産で支払わなければならない)ため、現実に個人としての士業が受託者になろうとするのかは疑問である。   3 問題点の再分析を 以上のことから、親族又は身近な人以外を受託者にすることは、容易ではない。 そのような場合には、「問題の再分析」を行うことが有効な解決への道となる場合が多い。 質問のケースでは、夫が「漠然とした将来への不安」と述べているだけであり、実は『何を目的とした対策を取りたいのか』という点が明確になっていない。 考えられる問題としては、 ことが挙げられる。 これらの問題に対応した対策はそれぞれ異なるため、どの問題を中心的な問題としてとらえるのか、聞き取り等によって明確にしておく必要がある。 例えば(ア)や(イ)への対応であれば早めにアパートを売却してしまうことが考えられるし、(ウ)であれば家族信託によらずとも、遺言を作成しておくだけで問題が解決する可能性がある(甥から遺留分減殺請求を受けることはない(民法第1028条参照)。また、それらを組み合わせることが最善の方法となるケースもあり得よう。 このように問題点を再分析することによって、解決の糸口が見つかる場合もある。   4 まとめ 以上のように、家族信託は親族又は身近な人で信頼のおける人を受託者として想定しているため、適任者が見つからないとなると、他の受託者を探すことは容易ではない。 そのような場合、家族信託以外の手法が有効であるということもある。 家族信託の具体的な内容を決めるときもそうであるが、困難が生じたときには頭を柔らかくして、様々な角度から対策を検討する姿勢が必要である。 (了)

#No. 213(掲載号)
#荒木 俊和
2017/04/06

〈小説〉『資産課税第三部門にて。』 【第19話】「家族信託と贈与税納税義務」

〈小説〉 『資産課税第三部門にて。』 【第19話】 「家族信託と贈与税納税義務」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「ところで統括官、家族信託って、そんなに流行っているのですか?」 昼食後の雑談中に、谷垣調査官が尋ねる。 「・・・家族信託?」 田中統括官は、怪訝そうな顔をする。 「ええ、納税者からの電話で・・・銀行から家族信託を勧められたので、その課税について質問があったのです・・・そもそも家族信託って何なんですか?」 谷垣調査官は、昨日の電話の内容を思い出す。 「そうだな・・・信託では、「委託者」「受託者」そして「受益者」の三者が登場することになるが、この三者が皆親族の場合、一般的にこれを『家族信託』という。」 田中統括官は、答える。 「全員が親族だから、『家族による家族のための信託(財産管理)』とも言われているね。」 そう言うと田中統括官は、谷垣調査官を見て尋ねた。 「具体的にどのようなケースの信託なの?」 「電話の質問では・・・信託を設定した場合、受益者に贈与税が課税されるが、受益者はその信託契約の当事者ではないから、自己の意思で贈与税の確定申告書に署名押印ができないのでは・・・という内容でした。」 谷垣調査官が答える。 「確かに、受益者は信託契約の当事者ではないから、その旨の連絡がない限り、自分が贈与税の納税義務者になるという認識はないか・・・」 田中統括官は苦笑する。 「例えば、今、自分の財産を子供に贈与してしまうと、子供が浪費してしまう恐れがあるので、それを避けるために、当該信託財産の受益権を取得していることを知らせず、当該信託財産の信託契約を設定する・・・この場合、税法では、子供は信託に関する権利を委託者から贈与により取得したとみなされ、贈与税が課税されることになる・・・」 田中統括官はそう言うと、「税務六法」から相続税法9条の2を開き、同条1項を読み上げた。 「・・・そして、この信託の効力については、信託法4条で規定している。・・・同条1項は次のように書かれている。」 と言って、田中統括官は、今度は「小六法」を開く。 「・・・納税者の質問は、「その場合、誰が贈与税の申告書を提出すれば良いのか?」というものでした。・・・もっとも、納税義務者は子供なんですが・・・子供に信託をしたことを隠しておきたいらしくて・・・」 谷垣調査官は、電話の内容をそのまま伝える。 「なるほど。そういう質問か・・・」 田中統括官は、腕を組んで思案顔になる。 「・・・それは、結局、親が子供に代わって、贈与税の申告をするより仕方がないだろう・・・子供に知らせたくないのだから・・・」 田中統括官は、少しあきらめ顔でいう。 「しかし、それはおかしいですよね。納税義務者が、自分の贈与税の申告書を提出したことを知らないなんて・・・」 谷垣調査官は、田中統括官の言葉に反論する。 「確かに谷垣君の言うとおりだが・・・しかし、もともと、親が子供に信託を知らせることを避けたいというのだから・・・仕方がないのでは・・・」 そう言いながら、田中統括官の言葉は徐々に小さくなる。 「例えば、父である委託者が子供を受益者として、子供に内緒で、銀行と信託契約を締結すると、子供は、その信託契約の効力が生じた時点で、贈与税の納税義務者になる・・・そして、信託財産は、賃貸マンションの1億円だから、その贈与税の課税価格は1億円、ということですね。」 谷垣調査官は、財産評価基本通達202(1)を開く。 谷垣調査官は、自分の描いた図と評価通達を田中統括官に見せながら質問する。 「そうすると、贈与税は4,800万円ぐらいになります。それを本人に知らせず、父親が納付すると、これもまた贈与税の課税の対象になるのではないでしょうか・・・」 「そうだなあ・・・納税者に知らせずに贈与税の申告すること自体、法律上も当然問題が生じるから、先ほどの僕の意見は、間違っていた・・・撤回するよ!」 そう言いながら、田中統括官は、大きく笑った。 (つづく)

#No. 213(掲載号)
#八ッ尾 順一
2017/04/06

《速報解説》 総務省、有識者・地方団体実務者等へのヒアリングを踏まえ、「ふるさと納税」の返礼品における「返礼割合を3割以下」とするよう地方団体へ要請~過度な返礼品競争へ適切な対応を求める

《速報解説》 総務省、有識者・地方団体実務者等へのヒアリングを踏まえ、 「ふるさと納税」の返礼品における 「返礼割合を3割以下」とするよう地方団体へ要請 ~過度な返礼品競争へ適切な対応を求める   Profession Journal編集部   総務省は平成29年4月1日付けで各都道府県知事宛「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について(総税市第28号)」を通知し、過熱する返礼品競争への対応として返礼品の返礼割合を3割以下とする等を要請した。 *  *  * 平成20年度税制改正における創設以後、すでに国内に浸透した感のあるふるさと納税制度は、納税者が選んだ自治体への寄附を行うことで所得税及び住民税の寄附金控除が受けられる特例措置。27年度税制改正では確定申告が不要となるワンストップ特例制度も創設され利便性も高まっている。 一方でかねてより問題視されていたのが、納税者に対する地方団体からの返礼品。本来であれば「寄附のお礼」としての位置づけであった返礼品が、いわゆるふるさと納税ポータルサイト等により返礼品を比較検討されたうえで納税者が寄附先の地方団体を選定する状況へ変化し、より魅力的(=返礼割合の高い)な返礼品を各地方団体がアピールするといった「ふるさと納税返礼品の通販カタログ化」が過熱の一途をたどっている。 この問題に対し総務省は昨年4月1日の通知「地方税法、同法施行令、同法施行規則の改正等について(総税企第37号)」において、ふるさと納税の寄附金は経済的利益の無償供与であることや、「返礼品の送付が対価の提供」との誤解を招きかねないとして返礼品の価格や返礼品の価格の割合を表示しないこと、商品券等の金銭類似性の高いもの、貴金属等資産性の高いものの送付を行わないよう求めていたが、大きな変化は見られなかった。 *  *  * このほど総務省は、有識者や地方団体の実務家、全国知事会、全国市長会、全国町村会にヒアリング等を行った結果をもとに、平成29年4月1日付けで「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について(総税市第28号)」を通知し、「改めて、制度の趣旨に添った責任と良識のある対応を厳に徹底するよう」要請を行った。 通知の中で総務省は、ふるさと納税の本来の趣旨を確認したうえで、金銭類似性の高いもの等を返礼品としないことなど昨年通知と同様の対応を求めた上、「返礼割合に関しては、社会通念に照らし良識の範囲内のものとし、少なくとも、返礼品として3割を超える返礼割合のものを送付している地方団体においては、速やかに3割以下とすること」を要請した(現況では返礼割合が50%を超える地方団体もある)。 また、ふるさと納税の趣旨を踏まえ、「各地方団体は、当該地方団体の住民に対し返礼品を送付しないようにすること」も求めた。 今回の通知では、総務省が「個別の地方団体における返礼品送付の見直し状況について、今後、随時把握する予定」であるともしており、加熱する返礼品競争への影響も予想されるが、同日付けの別の通知「ふるさと納税に係る返礼品の送付等に関する留意事項について(総税市第29号)」では次の記載も見られ、今後、本制度をめぐる各地方団体の対応が注目される。 *  *  * なお、上記の有識者による意見では、ふるさと納税が都市部住民の地方への関心を高め、国内の寄付文化醸成の一助となり、副次的には返礼品の存在が地方の特産品事業者(地場産業)等の創意工夫を喚起しているといった評価がある一方で、「返礼品の送付は明らかに過熱しすぎ」、「返礼品競争に明け暮れるのは論外」との問題点を指摘、ポータルサイト運営事業者の登場は制度創設時の想定外であり何らかの対策が急務、過度な返礼品競争に対し返礼割合の上限を設けるべきとの意見があった。 一方、地方団体の実務担当者等の意見を確認すると、実は有識者の意見とほぼ同様であり、返礼品競争により制度本来の趣旨が見失われるという危機感や、逆に経費が大きくなり財政を圧迫しているといった、いわゆる「競争疲れ」とも思える意見が多くを占めた。その上で、総務省(国)に対し、返礼品や返礼割合に関するガイドライン等、実効性のある対策を早急に求める意見もあった(下記ページではヒアリング結果も公表されている)。 (了)

#No. 212(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2017/04/05

《速報解説》 「監査法人のガバナンス・コード」が確定~コード採用監査法人は金融庁より公表へ~

《速報解説》 「監査法人のガバナンス・コード」が確定 ~コード採用監査法人は金融庁より公表へ~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年3月31日、金融庁の「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」(座長 関哲夫(株)みずほフィナンシャルグループ取締役)は、「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード。以下「コード」という)を公表した。これにより、平成28年12月15日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言において、監査法人の組織的な運営において確保されるべき原則を規定した「監査法人のガバナンス・コード」の策定が述べられたことによる。 なお、「主なパブリックコメントの概要及びそれに対する回答」も公表されている。 金融庁は、今後、コードを採用した監査法人を一覧として公表するとしており、コードを採用する監査法人は、金融庁に連絡をすることとされている。 平成29年3月31日、公認会計士・監査審査会は「監査法人のガバナンス・コードの公表を受けて」を公表し、大手監査法人を中心に、すでにコードの趣旨を踏まえた態勢強化に向けた取組が進められていると承知しているが、公認会計士・監査審査会としては、今後、各監査法人が構築・強化した態勢の実効性を検証するとのとである。また、このようなモニタリングで得られた情報については、モニタリングレポート等を通じ、市場関係者にも広く提供してゆくなど、投資者の資本市場に対する信頼の向上等に取り組んでゆくと考えているとのことである。 さらに同日、日本公認会計士協会は「会長声明」を公表し、コードの公表は、監査法人のガバナンスの更なる向上の契機であり、本原則を適用する監査法人の真摯な取組と実践は、監査に対する資本市場からの信頼性の維持向上に資するものとなるとし、資本市場の関係者への協力についても述べている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 概要 コードは、5つの原則とそれを適切に履行するための指針によって構成されており、次のことなどが述べられている。 コードは、コーポレートガバナンス・コードと同様に、コンプライ・オア・エクスプレイン(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明する)の手法が想定されている。 2 具体的な内容 コードの指針では次のことも述べられている。 (了)

#No. 212(掲載号)
#阿部 光成
2017/04/05

《速報解説》 国税庁、大規模法人向け情報ページの一環として「連結納税制度Q&A」を公表~質問の多い事項を全66問で幅広く解説~

 《速報解説》 国税庁、大規模法人向け情報ページの一環として 「連結納税制度Q&A」を公表 ~質問の多い事項を全66問で幅広く解説~   税理士法人トラスト 公認会計士・税理士 足立 好幸   ◆『連結納税制度Q&A』の公表について 平成29年3月31日、国税庁HP上に「大規模法人向けの情報を調べる」というページが新設された。これは、昨今、税務当局が推進している大規模法人に向けた税務コンプライアンスの維持・向上を図るための取組みの一環として、主に調査課所管法人等の大規模法人向けの情報を取りまとめ、紹介するものである。 そして、そのページ内において、連結納税制度に係る税務上の取扱いのうち、質問の多い事項について取りまとめた『連結納税制度Q&A』が公表されている。 連結納税制度は、平成22年度のグループ法人税制の創設以降、上場企業など大規模法人を中心にその採用が年々増加しており、それに伴い税務当局への質問も増加しているものと推測され、それに対応するために公表したものと思われる。   ◆どのような内容となっているか 大項目は、連結納税制度に係る基本的な項目をまんべんなく取り上げており、各Q&Aについては、基本的な考え方を解説するQ&Aもあれば、加入、離脱、短期間で加入と離脱、合併、残余財産の確定など特殊な取扱いを解説するものもある。 いずれも連結納税制度に係る者であれば、一度は疑問に思うものが多い。 以下、大項目と各Q&Aについて一読されたいものについてコメントしておく。 1 連結法人の判定等(7問) ⇒連結法人の範囲、外国法人が介在している場合、一般社団法人、連結納税の加入制限がある法人が一定期間経過後に自動的に再加入することについても取り上げられている。 2 連結納税の承認(7問) 3 申告・納付(4問) ⇒連結子法人の解散又は残余財産の確定があった場合のみなし事業年度、申告方法、その事業年度で生じた欠損金額の株主である他の連結法人での損金算入について解説されている。 4 青色申告(3問) ⇒連結法人によって設立された連結子法人が離脱した場合の単体申告に係る青色申告の承認手続について取り上げられている。 5 異動の届出(1問) 6 事業年度(7問) ⇒同一の連結親法人事業年度中に加入及び離脱した場合、月次決算期間中に加入と離脱をする場合のみなし事業年度について解説されている。 7 投資簿価修正(3問) ⇒連結子法人株式について評価換えをする場合の投資簿価修正の時期と50%超下落の判定方法について解説されている。 8 開始・加入の時価評価(8問) ⇒連結納税開始の日に連結子法人の間で適格合併があった場合の時価評価資産の取扱いが取り上げられている。 9 連結法人間取引の損益調整(5問) 10 受取配当等の益金不算入(4問) ⇒関連法人株式等に係る受取配当等の益金不算入額の計算において、離脱した法人が支払う負債の利子等の額、離脱した法人の総資産の帳簿価額及び期末関連法人株式等の帳簿価額を含める必要がないことが解説されている。 11 寄附金の損金不算入(1問) 12 欠損金額(6問) ⇒連結法人間で適格合併が行われた場合、連結納税から離脱した場合、最初連結事業年度終了前に離脱した場合の繰越欠損金又は連結欠損金個別帰属額の取扱いが取り上げられている。 13 外国子会社配当等の益金不算入(1問) ⇒連結法人単独での保有割合が租税条約の二重課税排除条項で軽減された割合以上である場合は、益金不算入規定が適用となる外国子会社に該当することをフローチャートを交えて解説している。 14 貸倒引当金(3問) 15 圧縮記帳(1問) 16 連結法人税(1問) 17 所得税額控除(1問) 18 外国税額控除(2問) 19 消費税(1問) ⇒所得税額控除、消費税等に係る経理処理(税抜・税込)は統一する必要がないこと、外国税額控除は連結グループ全体として選択することが解説されている。 (了)

#No. 212(掲載号)
#足立 好幸
2017/04/04
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