平成29年3月期決算における会計処理の留意事項
【第2回】
仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋
- 【第1回】
Ⅰ 税制改正
- 【第2回】 本稿
Ⅱ 税効果会計の改正
Ⅲ 減価償却方法の改正
Ⅳ 法人税等に関する会計基準の改正
- 【第3回】 3/2公開
Ⅴ マイナス金利
Ⅵ 在外子会社等の会計処理の改正
Ⅶ リスク分担型企業年金
- 【第4回】 3/9公開
Ⅷ 公共施設等運営事業における運営権者の会計処理
Ⅸ 短信及び有価証券報告書の改正
Ⅹ 金融庁の平成27年度有価証券報告書レビューの審査結果
Ⅱ 税効果会計の改正
平成27年12月28日に企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(以下、「回収適用指針」という)」が公表された。
「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の主な改正点
回収適用指針では、以下の実務指針について、基本的にその内容を引き継いだ上で、必要と考えられる見直しが行われている。
- 会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」及び会計制度委員会「税効果会計に関するQ&A」のうち繰延税金資産の回収可能性に関する定め
- 監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い(以下、「監委66号」という)」及び監査委員会報告第70号「その他有価証券の評価差額及び固定資産の減損損失に係る税効果会計の適用における監査上の取扱い」のうち会計処理に関する部分
本解説では、以下の主な改正点について解説する。
【主な改正点】
(1) 企業の分類
(2) 「分類2」に該当する企業におけるスケジューリング不能な将来減算一時差異
(3) 「分類3」に該当する企業における将来の一時差異等加減算前課税所得の合理的な見積可能期間
(4) 「分類4」に係る分類の要件を満たす企業が「分類2」又は「分類3」に該当する場合
(5) 会計方針の変更
(1) 企業の分類
監委66号において、企業を5つに分類することが求められていた。回収適用指針においても基本的に踏襲した上で一部必要な見直しが行われている。
繰延税金資産の回収可能性を判断する際に、回収適用指針第16項から第32項に従って、要件に基づき企業を「分類1」~「分類5」に分類し、当該分類に応じて、回収が見込まれる繰延税金資産の計上額を決定する(回収適用指針15)。
「分類1」~「分類5」の要件は、監委66号と回収適用指針で以下のように異なる(回収適用指針15、17、19、22、26、30)。ポイントは将来の状況が要件に入っていること、及び会計上の指標である利益要件から税務上の指標である課税所得要件へ変更されていることである。
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